ガラスの物性と構造の関係を求めるためにイオンポテンシャルを仮定してハロゲン化物ガラスの分子動力学計算を行った. 本研究では特にAgIとZnCl
2の融液及びガラスのシミュレーションの結果を示した. AgIガラスと融液の構造は, 2体相関関数
g2(
r) を用いて表したが, 同種イオン間の第1ピークが分裂すること, Ag
+はI
-に比べて秩序が悪いことなどが明らかになった. また, これらのイオンの動きを直接見るために,
X-Y, Y-Z平面に投影した軌跡図を用いて検討した. 更に, これらの計算を拡張して, エンタルピー, 体積, 拡散係数等を求め, 温度の関数として表した. その結果, ガラス転移温度付近でこれらの物性に変化がみられた. 上記の計算を実験室で実際にガラス化可能なZnCl
2に応用した結果, シミュレーションにより合成したガラスの物性と実験値とはよく対応しており, 本質的な差は認められなかった. 以上より, 分子動力学法をハロゲン化物ガラスに適用することにより, 元素の違いによるガラスの物性及び構造の変化を予測することが可能であると思われた.
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