窯業協會誌
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91 巻, 1049 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 井関 孝善, 山下 和彦, 鈴木 弘茂
    1983 年 91 巻 1049 号 p. 11-16
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    SiC焼結体に対するAlのろう付け性を検討した. 薄いAl板を用い, 反応焼結及び常圧焼結SiC焼結体を800℃と1000℃, 真空中で高周波加熱することにより接合し, 室温から550℃にわたる温度範囲で4点曲げ強度を測定した. 接合体の4点曲げ強度は, 室温で10-25kg/mm2 (100-250MPa), 400℃で5-15kg/mm2 (50-150MPa) であった. 接合体の破壊挙動は, 常圧焼結SiC接合体の場合, 高温で延性的, 室温でぜい性的だったが, 反応焼結SiC接合体の場合は, 焼結体中の遊離Siの流出と接合母材中へのAlの侵入が, 接合母材の強度低下と, 接合層のぜい化をもたらした.
  • 東 保男, 末廣 建介
    1983 年 91 巻 1049 号 p. 16-21
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    原料である石英の磨砕処理がCaO-SiO2系の水熱反応にどのように影響するかを小型反応容器をオイルバス中に入れ反応温度を速やかに上げる方法で検討した.
    石英の磨砕処理により反応性は向上するが, 24時間磨砕の場合は3時間以後に著しい反応の遅延を認めた. また生成物のCaO/SiO2の組成比, (1-3√1-α)N=ktN値, 生成物の形態等は, 原料の石英の磨砕処理により変化することを認めた.
    以上の結果は, 石英の磨砕処理によって反応機構が異なることを示唆している. この理由は, 磨砕によって生じた無定形シリカが速やかに反応し, 初期段階でち密化された反応層が形成され, そのために溶解, 拡散が困難になり反応機構に違いが生じるし, また反応の遅延も起こると考えられる. すなわち, CaO-SiO2系の水熱反応は原料である石英中の無定形シリカの影響を評価すべきであると考えた.
  • 平尾 一之, 曽我 直弘
    1983 年 91 巻 1049 号 p. 21-27
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ガラスの物性と構造の関係を求めるためにイオンポテンシャルを仮定してハロゲン化物ガラスの分子動力学計算を行った. 本研究では特にAgIとZnCl2の融液及びガラスのシミュレーションの結果を示した. AgIガラスと融液の構造は, 2体相関関数g2(r) を用いて表したが, 同種イオン間の第1ピークが分裂すること, Ag+はI-に比べて秩序が悪いことなどが明らかになった. また, これらのイオンの動きを直接見るために, X-Y, Y-Z平面に投影した軌跡図を用いて検討した. 更に, これらの計算を拡張して, エンタルピー, 体積, 拡散係数等を求め, 温度の関数として表した. その結果, ガラス転移温度付近でこれらの物性に変化がみられた. 上記の計算を実験室で実際にガラス化可能なZnCl2に応用した結果, シミュレーションにより合成したガラスの物性と実験値とはよく対応しており, 本質的な差は認められなかった. 以上より, 分子動力学法をハロゲン化物ガラスに適用することにより, 元素の違いによるガラスの物性及び構造の変化を予測することが可能であると思われた.
  • 野口 文男, 植田 安昭, 木村 秀明, 柳ケ瀬 勉
    1983 年 91 巻 1049 号 p. 27-34
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    本研究は, 頁岩の膨張機構を明らかにするため, 焼成過程で発生するガス組成の測定を行い, ガス組成と頁岩中の含有成分, ガス発生と膨張機構の関係, 融着機構等について種々検討した. 得られた結果をまとめると次のようになる.
    (1) 頁岩の最大膨張率を示す条件は焼成温度1100℃以上, 昇温速度40℃/min以上の加熱条件が必要である.
    (2) 発生ガスは, 膨張性のよい頁岩ではH2, CO2, H2O, COガスを, 膨張性の悪い頁岩はCO2及びH2Oガスのみを検出した. このうちH2やCOガスは頁岩中に含まれる有機炭素の分解により生成することを考察した. したがって, 有機炭素含有量の多い頁岩ほどよく膨張し, また, 膨張性の悪い頁岩に有機炭素を添加すると膨張性が改善されることを明らかにした.
    (3) 発生ガス量は頁岩の溶融温度付近で急激に減少し, 発泡温度を過ぎると再び増加することを明らかにした. この結果から, 膨張機構は従来の説と同じであることが分った.
    (4) 膨張物は, 還元性雰囲気にある内部層と酸化された外殻層の2層構造からなっていることを示し, 特に外殻層は空気中の酸素によって酸化され, 耐熱性の高い焼結層を作るため, 頁岩粒同士や炉壁との融着防止に役立っていることを明らかにした.
  • 後藤 隆泰, 曽我 直弘
    1983 年 91 巻 1049 号 p. 34-41
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    直方体共振法を用いて, 等方性及び異方性の小片試料の弾性定数及び温度依存性を測定するための測定システム, 解析方法を検討した.
    石英ガラスは立方体に, MgO単結晶は結晶軸を決定後直方体に作製した. 測定は石英ガラスでは液体窒素温度から室温まで, MgOでは800℃まで行った. 室温における共振周波数は試料にかかる荷重をゼロに外そうしたときの値を採用し, 低温及び高温における測定では荷重が一定になるように工夫し, 室温からの相対変化を測定した.
    無次元周波数とポアソン比の関係から求めた石英ガラスの弾性定数及び温度依存性は超音波法で求めた結果と良く一致しており, 等方体についてはこの関係を用いることが適切であることが分った. MgO単結晶の室温における弾性定数は実験スペクトルと理論スペクトルの差が最小になるように弾性定数を逐次修正するという方法で求め, 温度依存性は周波数の相対変化から計算した. 結果はSpetzlerのデータと良く一致していた.
    これらの結果から, 直方体共振法では一辺が2mm程度の等方性及び異方性の小片試料でも試料にかかる荷重の影響を除くことにより, 弾性定数及びその温度依存性をかなり精度良く測定できることが分った.
  • 峠 登, 南 努, 田中 雅美
    1983 年 91 巻 1049 号 p. 42-47
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    銅を含むカルコゲナイドガラスのCu2+イオンに対する応用性を, Cu-As-Se系ガラス電極について系統的に調べた. 銅を含むガラス電極はCu2+イオンに応答性を示すが, 銅を含まないものは応答性を示さないことから, Cu2+イオンに応答するためには電極中に銅の存在することが必須条件であることが明らかとなった. 更に, 電極電位とCu2+イオン濃度の対数値との間の直線性や表面処理に対する安定性等に関して, 最適のガラス組成Cu0.10As0.34Se0.56があることを見出した. このガラスから作製された電極は, 10-6-10-2MのCu2+イオンの濃度範囲で30mV/decadeの傾きのネルンスト式に従う挙動を示した. この傾きの値は, 電位決定反応が2電子過程であることを意味している. 幾つかの金属イオンに対する応答性の検討から, この種のガラス電極はAg+やHg2+イオンからは妨害を受けるものの, Mg2+, Co2+, Mn2+, Fe3+, Sn4+など多くのイオンに対して充分な選択性を有することが確認された.
  • 石田 信伍, 藤村 義和, 藤吉 加一, 若松 盈
    1983 年 91 巻 1049 号 p. 47-52
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    磁器素地中の酸化鉄の挙動と性質を主としてESRによって研究した.
    磁器杯土の焼成温度を上げていくと, 凝集状態のFe2O3によるESRシグナルが300℃で出現し, 600℃で最大になり1300℃ではほとんど消失した. この焼成された坏土の色及びシュウ酸溶液による処理で除去されるFeイオンの百分率はこのESR強度とかなりよく関連した.
    空気中1300℃で焼成した数種の磁器素地のFe3+含量を通常の化学分析によって測定され, これと遊離状態のFe3+イオンによるg=4.25のESR吸収強度が比較し, それらの間にな直線関係が見出された. この直線関係は還元雰囲気下で焼成した素地に対しても成り立った. これらの結果はFe3+含量の高低にかかわらず, ESRは磁器素地中のFe3+イオンの直接的定量分析に適用可能であることを示唆する.
    更に, 市販窯業原料のFe3+含量の定量分析にESRを利用しようと試みたがうまくいかなかった.
  • 清水 加津子
    1983 年 91 巻 1049 号 p. 52-59
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    マグネシアセメント砥石製造時の発熱の抑制と, 硬化の早期達成を目的として実験を行った. 海水系酸化マグネシウムを用い, 塩化マグネシウム, 水, アルミナ砥粒と混練した後, 常温硬化により砥石を製造する際, クエン酸及び硫酸マグネシウムを微量添加してその影響を調べ, 次のことが分った.
    反応の速い海水系酸化マグネシウムを用いているため硬化が早期に終結する. クエン酸及び硫酸マグネシウムの添加は, セメントペーストの早すぎる凝結を遅緩するので作業時間の調節に役立ち, また, 硬化発熱の時期を遅らせ, 発熱時の温度を低下する.
    無添加の硬化体は, 大きな空げきを有する不均一な微細構造で, 収縮率は小さいが, 不安定な自由水を有し, アルカリ塩化物の表面析出が著しい.
    微量添加の硬化体は, 硬化初期に自由水が固定され安定化し, 空げきは小さくち密で均一な微細構造となり, 収縮は大きく, アルカリ塩化物の表面析出は少ない. 硬化安定時の砥石の弾性率が高くなる.
  • 松末 勝利, 藤沢 良昭, 高原 北雄
    1983 年 91 巻 1049 号 p. 59-61
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 91 巻 1049 号 p. A2-A6
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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