窯業協會誌
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89 巻, 1030 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 神谷 純生, 吉村 昌弘, 宗宮 重行
    1981 年 89 巻 1030 号 p. 281-287
    発行日: 1981/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Cr2O3-TiO2系に存在する高指数CS相を透過型電子顕微鏡によって観察した. 1390℃, Cr2O3 13.7-24.1wt%組成領域において高指数CS面の方位はCr2O3量の減少とともに (121)r (rはルチル副格子を示す) より (5, 12, 7)rまで変化し, それに伴いCS面の間隔は12.9Åより18.2Åへと増加した. Cr2O3 7.5-13.7wt%組成領域では (5, 12, 7)r CS相はルチル固溶体と共存し, また (121)r CS相の上端成分はこれまでX線的にその存在が考えられていたn=9 (Cr2Ti7O17) ではなく, n=8 (Cr2Ti6O15) であった. 一定組成試料において, 個々の結晶片によって, CS相の構造は, わずかずつ異なるものも検出され, 通常単一のCS相からなる均質なバルク試料を得ることは困難であった. しかし個々の結晶片は観察視野内で等間隔に配列するCS面を含み, ほぼ均質な構造を有していた. またルチル構造を母体にした結晶学的シェア操作を基本にして, 高指数CS面の構造モデルを考察した結果, (5, 12, 7)r CS面は直線状ではなく, むしろCS面に沿って折れ曲がった構造であることが示唆された.
  • 服部 豪夫, 毛利 純一
    1981 年 89 巻 1030 号 p. 287-291
    発行日: 1981/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    易焼結性微粉末調製法の一つとして凍結乾燥法が試みられ, 興味ある結果が報告されている. 本報告はスピネル組成比の硫酸マグネシウム水溶液と硫酸アルミニウム水溶液の混合溶液を凍結乾燥し, 得られた塩の熱分解挙動をDTA, TG, 及びX線回折法により検討したものである. その結果, 混合水溶液の凍結乾燥塩は非晶質のMgSO4・6H2Oと結晶質のAl2(SO4)3・17H2Oの混合物であると考えられた. この凍結塩を加熱すると, 結晶性の硫酸アルミニウム17水塩は結晶性無水硫酸塩を経たのち, 非晶質のアルミナを生成した. 一方, 非晶質の硫酸マグネシウム6水塩は非晶質の無水塩となり, その後いったん結晶化したのち分解し, 非晶質のマグネシアを生成した. この非晶質マグネシアの一部はそのとき既に生成していた非晶質のアルミナと直ちに反応してスピネルを生成させた. このとき反応しなかったマグネシアはその後結晶化したが, それがアルミナと反応しスピネルを生成させるのには更に高温を要した. 以上のようにスピネルの生成は低温での生成と高温での生成という2段階の生成過程から成っていることが分った.
  • 岡田 繁, 阿刀田 徹三
    1981 年 89 巻 1030 号 p. 292-302
    発行日: 1981/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    アルミニウム融液中でアルカリ土類金属六ホウ化物 (CaB6, SrB6及びBaB6) 単結晶の育成をアルゴンガスふん囲気中で行った.
    単結晶の最適育成条件は原料の混合原子比が, CaB6では (B/Ca)=3.20-5.70, (Al/Ca)=10.50-50.50, SrB6では (B/Sr)=2.00-3.50, (Al/Sr)=25.98-77.94, また, BaB6では (B/Ba)=3.00-5.70, (Al/Ba)=34.81-76.28の範囲であった. どの場合においても加熱保持温度は1450℃以上, その温度における保持時間は10時間以上であった. 得られた単結晶は {100} 面に囲まれた立方体状結晶と, (100) 面の良く発達した針状及び板状結晶であった. 各単結晶の格子定数 (a0) と密度 (D) は次のとおりであった.
    CaB6: a0=4.15215±0.00008(Å), D=2.44±0.02g/cm3 SrB6: a0=4.19756±0.00009(Å), D=3.37±0.03g/cm3 BaB6: a0=4.26961±0.00008(Å), D=4.26±0.03g/cm3
    各単結晶のヌープ微小硬度はそれぞれ (100) 面内について測定し, 次の値を得た.
    CaB6: 1840-1940kg/mm2 SrB6: 1680-1960kg/mm2 BaB6: 1770-2010kg/mm2
    各単結晶の酸化反応は720°-730℃より起こり, どの場合にも非晶質の酸化生成物が生成した. これらの酸化反応は2段階に進行した. 初期段階には一般酸化速度式 (dw)n=ktがよく適合し, これより求めた酸化反応の見掛けの活性化エネルギーはCaB6では56kcal/mol, SrB6では55kcal/molそしてBaB6では64kcal/molであった.
  • 木下 実, 松村 浩行, 岩佐 美喜男, 速水 諒三
    1981 年 89 巻 1030 号 p. 302-309
    発行日: 1981/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    黒鉛型中でβ-SiC (Starck社製, 平均粒径0.7μm) を1700°-2300℃, 100-1000kg/cm2の条件で加圧焼結し, ち密化に対する圧力の効果について検討した. また得られた焼結体のロックウェル硬さを測定した.
    圧力が大きいほどち密化は促進され, この効果は2000℃付近で著しかった. しかし十分な密度の焼結体を得る条件は厳しく, 例えば3.0g/cm3以上の密度を得るには, 200kg/cm2の圧力では2200℃以上の温度を必要とする. B4Cを添加すれば圧力効果も大きくなり, 焼結条件も大幅に緩和された.
    実用的な焼結体密度として95%密度を得るための加圧焼結の条件は, 無添加SiCについて, T(℃)=2610-185logP(kg/cm2), 1wt% B4C添加SiCについて, T=2780-280logPの実験式で示された.
    高密度の焼結体のロックウェルAスケール硬さは約96であった. この硬さは焼結条件によらず, 焼結体密度でほぼ定まる. したがって同じ密度であれば, 焼結条件が異なっていても同じ焼結状態になっているものと考えられた.
  • 大塚 寛治, 宇佐美 保, 関端 正雄
    1981 年 89 巻 1030 号 p. 309-318
    発行日: 1981/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    還元ふん囲気で焼成されるエレクトロニクス用アルミナセラミックスの有機バインダーのバーンアウトは困難な作業の一つとして認識されている. 92%アルミナ質セラミックスとポリビニールブチラールバインダーの系からなるシステムの還元ふん囲気焼成時のバインダーの分解とセラミックスの焼結の相互関係について検討がなされた.
    湿潤水素窒素混合ガス中でバインダーより生成された炭素の分解は化学平衡論から見て, 680℃より開始される. この温度は本系のセラミックスの焼結開始点より十分低い温度である. しかし, 反応速度が実用的になるのは1000℃ 1時間放置以上を必要とし, 500℃/hの加熱速度ではバインダーより出る炭素残留物はセラミックス中に封じ込められ, このセラミックスのかさ密度は予備バーンアウトした試料より低くなる. この原因はセラミックスの焼成段階より, バインダーより発生した残留炭素のバーンアウト速度よりセラミックスの焼結速度が速くなり, 炭素がセラミックス中に閉じ込められ, 更にセラミックス内の酸素により, 一部燃焼気化した結果と考えられた. 予備バーンアウトした試料と同じかさ密度を得る条件は200℃/hより低い加熱速度の時である.
  • 岡本 祥一, 佐藤 孝順, 荒谷 美智, 野崎 正, 岡野 真治
    1981 年 89 巻 1030 号 p. 318-323
    発行日: 1981/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    LSIの保護容器として用いられているアルミナ磁器はα放射体により汚染されており, 放出されるα粒子がメモリーデータを破壊し, シングルビットエラーを誘発する. そこで, 原料のアルミナに含まれるα放射体の核種の同定を行い, その混入過程を検討した. ボーキサイト中に含まれている主なα放射体としては, U, Th, Raの存在が確認された. バイヤー法に準じた実験では, Thは赤泥中に定量的に移行し, アルミナ中には混入しないと判断された. Raも大部分は赤泥中に移行すると判断された. Uはかなりの部分がアルミン酸ソーダ水溶液中に溶出し, 共沈されてアルミナを汚染することが分った. そこでアルミン酸ソーダ水溶液中におけるUの挙動について検討した. pH=11.5, 30℃に調節されたアルミン酸ソーダ水溶液へのUの溶解度は2.06±0.3mg/lと求められ, この値から若干の仮定の下に, UはHUO4-として溶存していると推定された. またγ線スペクトロスコピーから, 水酸化アルミニウム試料中にα放射体核種としてPb-210が検出された.
  • 金 豪健, 伊藤 節郎, 小久保 正, 田代 仁
    1981 年 89 巻 1030 号 p. 323-329
    発行日: 1981/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    γ-6Bi2O3・SiO2結晶粉末を種子結晶とし, 6Bi2O3・SiO2組成の融液を, 白金るつぼ中で115℃/cmの温度こう配下で0.4及び2.0mm/hの速度で下から上に向け一方向に凝固させた. その結果, いずれの凝固速度の場合にも, 凝固方向に平行に伸びた直径1-5mmの多数のγ-6Bi2O3・SiO2柱状晶からなる, ほぼ透明な凝固物が得られた. 特に, 凝固速度が0.4mm/hの場合に得られた凝固物は, 異物をほとんど含まず, 均一な透明性と単結晶に近い光伝導性を示した. 種子結晶として, 左旋性のγ-6Bi2O3・SiO2結晶のみを用いた場合には, 得られた凝固物は均一な左旋性を示した. しかし, 凝固物中の柱状晶は特定の結晶学的方向に配向していなかったので, 凝固物は不均一な電気光学効果を示した.
  • 米屋 勝利, 井上 寛, 柘植 章彦
    1981 年 89 巻 1030 号 p. 330-336
    発行日: 1981/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    AlNの焼結に及ぼす各種添加物の影響を30種の添加物を用いて検討した. その結果, 添加物の内アルカリ土類属又は希土類酸化物がAlNとの相反応により窒素を含むアルミネート相を生成し, これがAlNのち密化を促進して理論密度焼結を達成することが確認された. 焼結体の微細組織は上記のち密化が液相焼結に起因していることを示した. 一方Si化合物はAlNポリタイプのようなより耐熱性の高い化合物を生成しち密化を阻害した.
  • 鎌田 喜一郎, 松本 茂樹
    1981 年 89 巻 1030 号 p. 337-338
    発行日: 1981/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 89 巻 1030 号 p. A33-A38
    発行日: 1981/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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