AlCl
3とTiCl
4の混合蒸気を, 燃焼火炎を用いて酸化し, 球状で超微粒 (平均30-50nm) のAl
2O
3-TiO
2複合粉体を作製した. 結晶相として, γ晶のAl
2O
3とルチル相とアナタース相のTiO
2が検出されたが, AlBr
3とTiCl
4を原料としプラズマや管状反応器により酸化した場合に生成するβ-Al
2TiO
5はほとんど見られなかった. 比較的反応性の小さいAlCl
3を用いたことによって, Al
2O
3とTiO
2が同時には析出しにくくなったためと考えられた. アナタース相のTiO
2粒子はAl
2O
3と複合しておらず, 一方Al
2O
3粒子中に細かく分散して存在すると考えられるルチル相のTiO
2には, Al
2O
3が準安定的に固溶しており, Al
2O
3の固溶がTiO
2のルチル化を促進すると考えられた.
結晶相の安定性を調べるための仮焼実験において, Al
2O
3のα晶化はTiO
2の存在により促進される傾向が見られたが, これはγ-(あるいはδ-) Al
2O
3中へのTiO
2の固溶によると考えられた. 1200℃で仮焼した複合粉体中には, Na
2Ti
2Ti
6O
16とX線回折図形の類似した未知の結晶相が検出された. この新しい結晶相はH+やAl
3+を含み, H
2-X(Al
YTi
1-Y)
2Ti
6O
16-Zの形で表されるような, ブロンズ型化合物ではないかと考えられた.
抄録全体を表示