窯業協會誌
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94 巻, 1088 号
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  • 赤色化のための雰囲気条件
    若松 盈, 竹内 信行, 永井 裕樹, 尾野 凱生, 石田 信伍
    1986 年 94 巻 1088 号 p. 387-392
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    銅釉をかけた磁器を温度曲線が一定の条件下で, 1300℃まで種々の雰囲気で焼成した. 得られた試料の釉の色調を分光反射率から分類し, 釉中の銅の濃度分布及び酸化状態をEPMA, EDX及びESRによって明確にした. この銅釉の色調は, 酸化雰囲気では緑色, 還元雰囲気では灰色となり, 赤色を得るためには加熱時に還元雰囲気, 冷却時に酸化雰囲気が必要であった. 赤色釉中にはCu2+がESRから認められ, 化学平衡を考えるとCu+の存在も予想される. 赤色の銅釉の発色は金属銅コロイドが主体であるとする従来の説とは異なる結果を得た. 銅赤釉中の赤色の発色団はCu2Oの可能性がある. また, 還元雰囲気で加熱すると著しく銅が揮発することが明らかとなった.
  • 山村 博, 垣尾 寿彦, 羽田 肇, 渡辺 明男, 白崎 信一
    1986 年 94 巻 1088 号 p. 393-399
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Ni2+及びFe2+ (Ni/Fe=0.5) を含む水溶液をシュウ酸溶液に滴下することによってNi2+及びFe2+のシュウ酸塩の共沈物を得た. このシュウ酸塩を空気中, 500°-1000℃の温度範囲で熱処理することによってニッケルフェライトが得られた. こうして得たニッケルフェライトは若干Feの不足したスピネル相であり, その化学組成はNi1.09Fe1.91O3.95と表記できることが化学分析及び密度の測定から判明した. X線回折線の広がりの解析から, 低温で熱処理した試料は格子不整及び格子欠陥を伴った不完全な結晶構造からなること, 更に熱処理温度の上昇とともにそれらが減少し, 800℃以上でほとんど消失することが判明した. またこの種の不完全な結晶相の飽和磁化は著しい低下を示すが, 熱処理温度の上昇とともに増加した. 飽和磁化と格子の不完全性との関係を明らかにするために, NiOとFe2O3の固相反応によって得たNiFe2O4を長時間磨砕することによって強制的に格子不整を導入し, その飽和磁化の変化を調べたところ, 共沈法で得た試料の場合と同様, 格子不整が増大するとともに直線的に飽和磁化が減少することが認められた. これらの事実は格子中に導入された格子不整が, その発生原因とは無関係に飽和磁化を低下させることを示すものである.
  • 堀 三郎, 石井 良夫, 吉村 昌弘, 宗宮 重行
    1986 年 94 巻 1088 号 p. 400-408
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    AlCl3とTiCl4の混合蒸気を, 燃焼火炎を用いて酸化し, 球状で超微粒 (平均30-50nm) のAl2O3-TiO2複合粉体を作製した. 結晶相として, γ晶のAl2O3とルチル相とアナタース相のTiO2が検出されたが, AlBr3とTiCl4を原料としプラズマや管状反応器により酸化した場合に生成するβ-Al2TiO5はほとんど見られなかった. 比較的反応性の小さいAlCl3を用いたことによって, Al2O3とTiO2が同時には析出しにくくなったためと考えられた. アナタース相のTiO2粒子はAl2O3と複合しておらず, 一方Al2O3粒子中に細かく分散して存在すると考えられるルチル相のTiO2には, Al2O3が準安定的に固溶しており, Al2O3の固溶がTiO2のルチル化を促進すると考えられた.
    結晶相の安定性を調べるための仮焼実験において, Al2O3のα晶化はTiO2の存在により促進される傾向が見られたが, これはγ-(あるいはδ-) Al2O3中へのTiO2の固溶によると考えられた. 1200℃で仮焼した複合粉体中には, Na2Ti2Ti6O16とX線回折図形の類似した未知の結晶相が検出された. この新しい結晶相はH+やAl3+を含み, H2-X(AlYTi1-Y)2Ti6O16-Zの形で表されるような, ブロンズ型化合物ではないかと考えられた.
  • C-SiC-B4C複合材の耐空気酸化性 (第4報)
    小川 一太郎, 山本 孝義, 萩尾 剛, 吉田 久良, 小林 和夫
    1986 年 94 巻 1088 号 p. 409-414
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    生コークス粉末に (SiC:B4C=42:58) の混合粉末を加えて磨砕処理し, これを成形したのち焼成してC-SiC-B4C複合材を製造した. 得られた複合材の耐空気酸化性を調べ, C-B4C複合材の場合と比較した.
    800℃で酸化試験を行った結果, (SiC+B4C) 量が5%以上の混合磨砕粉末から得られた複合材で顕著な耐酸化性の向上がみられた. (SiC+B4C) 量が30vol%の複合材の場合, 酸化による重量減少率は1000℃-20時間の酸化で0.2%, 1200℃-5時間の酸化で0.6%, 1300℃-5時間の酸化で6%であった. これに対して, C-B4C複合材では, 1000℃-20時間の酸化で6%, 1200℃-5時間の酸化で36%とより大きな重量減少率であった.
    X線回折及び赤外線吸収スペクトルから, 酸化雰囲気において複合材の表面にB2O3及びSiO2-B2O3系ガラスの溶融被膜が生成し, これが複合材の酸化を抑制したものと推定された.
  • 市野瀬 英喜, 猪股 吉三, 石田 洋一
    1986 年 94 巻 1088 号 p. 415-418
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    セラミックスにおける最も基本的な粒界の構造を解明するために, 昇華再結晶法で作った高純度SiC双結晶粒界の高分解能電子顕微鏡による格子像観察を行った. この双結晶は, 成長の過程で基板や他の外力の影響を全く受けていないので粒界も最低エネルギー構造になっているはずである. 結晶の純度は, ドナー濃度で10-17/cm3である.
    観察された粒界構造は, 遊離結合手が最小になるように組み立てられた三つの構造モデルの一つとかなり良く一致した. 粒界エネルギーの高低は遊離結合手の数とイオン結合成分の効果とが重なって決まるようである.
  • 李 成元, 浜野 健也, 中川 善兵衛
    1986 年 94 巻 1088 号 p. 419-424
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ZnOとZnOに2mol%のSm2O3を添加した焼結体と添加しない焼結体とについて, 空気中におけるデバイ長さの温度変化と雰囲気空気にプロパンガスを混入したときの抵抗値変化について調べた.
    100°-550℃ではデバイ長さは温度が高くなると大きくなった. 特に, ZnO単味では常温 (27℃) での0.31μmから550℃での0.4μmとなった.
    粒子間のネック半径がデバイ長さより小さい試料のみが, プロパンガス添加による抵抗値変化を示した. これよりプロパンガスの検知機構は, ピンチオフポテンシャルのゲート作用によるものと考えられる.
  • 三浦 嘉也, 秋山 幸徳, 高橋 克明
    1986 年 94 巻 1088 号 p. 425-431
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Na2O-B2O3系ガラス融液の1000℃における分解電圧は白金電極を用いた場合, 残留水分の少ない系であるxNa2O・(10-x)B2O3ではx=1-5の範囲で1.3-1.6Vであり, Na2O増加とともに大きくなる傾向を示した. 一方, 残留水分の多い系であるxNa2O・(10-x)H3BO3ではx=1-3.33の範囲において1.6V前後であり, Na2O増加とともに多少小さくなる傾向を示した. カソード分極においては, ホウ酸アニオンがホウ素まで還元され, 白金ホウ化物を形成する. xNa2O・(10-x) H3BO3系では, ホウ素の析出に先立って残留水分の分解による水素発生が観察された. アノード分極では, 両系とも酸素が発生した. 理論分解電圧との比較により次式に示す反応が起こっている可能性が大きいことが示唆された.
    Na2B4O7→2NaBO2+2B+3/2O2
    Na2B6O10→Na2B4O7+2B+3/2O2
  • 芦塚 正博, 清原 秀樹, 石田 英一, 桑原 誠, 窪田 吉孝, 月舘 隆明
    1986 年 94 巻 1088 号 p. 432-439
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    平均粒径が0.4μm (Z3Y-I) と1.0μm (Z3Y-II) の3mol%イットリアを含む部分安定化ジルコニアの疲労を測定した. 20℃での動的疲労の測定より得られたZ3Y-IとZ3Y-IIのき裂進展のパラメーターNは40.8, 250℃でのZ3Y-IのN値は50.5となった. 一方, Z3Y-IIの250℃でのN値は10.2となり疲労現象が顕著であることが明らかになった. 動的疲労のデータから平坂寿命を推測したところ, 室温では600MPa以下の応力で, また250℃でZ3Y-Iの場合500MPa以下の応力で長時間の使用が可能であることが分かった. Z3Y-IIの場合, 250℃での静的疲労により実測した平均寿命は動的疲労の結果より推定した平均寿命より4-6倍長寿命であった. 応力負荷速度が0.301MPa/sと低い場合の動的疲労の測定で得られたZ3Y-IIの破面には破壊起点近傍に疲労破面が観察された. 静的疲労による250℃でのZ3Y-IIの破面の引張り表面侯には凹凸の激しい疲労破面が観察され, その領域は破断するまでの時間が長いほど広くなった.
  • 1986 年 94 巻 1088 号 p. 439
    発行日: 1986年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 戸田 善朝, 橋本 和明, 橋本 甲四郎, 荒井 康夫
    1986 年 94 巻 1088 号 p. 440-448
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    リン酸三コバルト八水和物を150°-350℃の純水飽和水蒸気圧条件下で水熱処理した.
    リン酸三コバルト八水和物を150℃, 120時間の水熱条件で処理すると青みの明るい赤紫色の板状晶: リン酸三コバルト3.5水和物に, 200℃, 48時間の場合は紫みの暗い赤色の粒状晶: リン酸三コバルト二水和物に, 250℃, 72時間の場合は赤みの明るい紫色の針状晶: リン酸三コバルト一水和物に, 350℃, 120時間の場合は赤みの深い青紫色の板状晶: リン酸三コバルトに, 変化した. 示差熱分析における脱水のための吸熱ピーク温度は, リン酸三コバルト3.5水和物の場合393℃, リン酸三コバルト二水和物は470℃, リン酸三コバルト一水和物566℃であった. 水熱処理で生成した各水和物は加熱により脱水して, X線的な無定形相を経ずにリン酸三コバルトに変わった.
    また, 水熱処理液に塩化亜鉛水溶液を用いると, 生成結晶の結晶成長を早めるばかりでなく, 粒子形態や色相を著しく改質できた.
  • 管野 善則
    1986 年 94 巻 1088 号 p. 449-451
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    最近開発されたB4C/Cサーモカップルを用いた雰囲気炉の温度制御方式を提案した. B4C/Cサーモカップルはグラファイト管とB4Cの棒からなり, 一端がお互いに接続されている. 熱起電力は1300°-2000℃の温度域でほぼ直線的に上昇し, 2000℃において450mVであった. このサーモカップルの電気抵抗は温度の上昇につれてわずかに減少し, 250℃付近において最小値を示し, 更に温度が上昇するにつれて著しく増加し, 2000℃において, 4.4kΩに達した. この高い熱起電力と激しい電気抵抗の変化のために, 温度制御ユニットとしては, 高インピーダンスの電圧電流変換器が更に必要であった.
  • 井川 博行, 佐藤 国夫, 鈴木 正治, 浦部 和順, 宇田川 重和
    1986 年 94 巻 1088 号 p. 452-453
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • マイクロ秒領域におけるCl2-中心の生成
    前川 尚, 小谷川 範世, 横川 敏雄, 沢村 貞史, 北市 雅敏, 片山 明石
    1986 年 94 巻 1088 号 p. 454-456
    発行日: 1986/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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