窯業協會誌
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88 巻, 1020 号
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  • 呉 基東, 森川 日出貴, 岩井 津一, 赤尾 勝
    1980 年 88 巻 1020 号 p. 431-435
    発行日: 1980/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    マグネサイトとその熱分解によって得られたペリクレースとの間の結晶学的方位関係を, 高温ワイセンベルグ法及び常温プリセッション法によって決定した. ペリクレースは次の4種類の方位で晶出した.
    (1) M[120]//P[112], M(001)//P(111)
    (2) M[120]//P[111], M(001)//P(112)
    (3) M[120]//P[001], M(001)//P(110)
    (4) M[120]//P[110], M(001)//P(001)
    方位関係 (1) のペリクレースは多く存在し, 方位関係 (3), (4) のものはまれであった. 方位関係 (2), (3) と多分 (4) のペリクレースは元のマグネサイトのc軸に平行な3回軸が保持されるために, この3回軸で関係付けられる3種類の同価な個体から成り立っている.
    マグネサイト仮像を保った無数のペリクレース粒子から成る熱分解生成物は, マグネサイト表面のペリクレースのエピタキシャルな核生成, それに引き続く結晶成長, 反応境界面に適宜起こるエピタキシャルなペリクレース核生成とその結晶成長の繰り返しにより理解できる.
  • 福原 実, 後藤 誠史, 浅賀 喜与志, 大門 正機, 近藤 連一, 小野 吉雄
    1980 年 88 巻 1020 号 p. 435-440
    発行日: 1980/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    テトラカルシウムアルミノフェライト, 4CaO・Al2O3・Fe2O3, のセッコウ存在下でのエトリンガイト生成期における反応機構の考察を行った.
    水和生成物は, Feをわずかに含むエトリンガイト及びゲル状の黒色の粒子であった. この黒色の粒子はFe成分に富んでおり, 未反応4CaO・Al2O3・Fe2O3と外形が非常に似ていることにより, 未反応4CaO・Al2O3・Fe2O3よりCa成分及び, Al成分が溶出して生成したものと考えられる.
    反応機構の解析はコンダクションカロリメーターを用いた熱測定の結果より行った. その結果4CaO・Al2O3・Fe2O3の元の場所に生成している水和反応物層中の拡散がエトリンガイト生成反応の律速段階であることが判明した.
  • 松本 潔
    1980 年 88 巻 1020 号 p. 441-445
    発行日: 1980/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    これまでガラスの表面におけるdepth profileの測定にはAESとSIMSが用いられているが, アルカリアノマリーのような照射損傷を避けるためいろいろな工夫が必要とされていた.
    一方, ESCAは照射損傷という面からはガラスの測定に適しているといえるが, 深さ方向分解能が低いため, イオンスパッターと組み合わせてのガラスのdepth profileの測定には用いられなかった.
    そこでESCAによる深さ方向の測定の分解能の向上を図るため, 分析領域の小さいCMA型アナライザーと広い領域を均一にエッチングできるイオンガンの使用を試みた.
    この手法の深さ方向の分解能は既知の厚さの酸化物層の測定によると20%以下であり, フロートガラスのdepth profileの結果はAESによる結果とよく一致した.
    この手法によれば, AESの場合に必要とされる照射損傷を避けるための煩雑な工夫なしに容易にガラスのdepth profileを得ることができる.
    今回の結果によるとフロートガラスの表面近傍での陽イオン富化層中でカルシウムとナトリウムは異なる分布を示す. カルシウムは表面下20Åに極大をもち表面では減少する. 一方, ナトリウムの分布は表面に極大をもつ.
    Na, Ca, Si, Oの主成分に関してはトップ面とボトム面は極めて類似の分布をもつ.
    トップ面とボトム面の相違としてAESの結果ではボトム面の鉄の存在が報告されているが, 鉄はいずれの面からも検出されなかった.
    今回の測定で両面間の相違としてボトム面に炭素の量が多い部分が見いだされた.
  • 西川 直宏, 大門 正機, 近藤 連一, 北島 圀夫, 大門 信利
    1980 年 88 巻 1020 号 p. 446-453
    発行日: 1980/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    膨潤性を示すNa-テニオライト (NaMg2LiSi4O10F2), Na-フッ素四ケイ素雲母 (NaMg2.5Si4O10F2) 及びNa-フッ素ヘクトライト (Na1/3Mg8/3Si4O10F2) を端成分とする3成分系で, 層間イオン量と8面体層の組成の相違に着目し, 固溶体の合成を試み, その固溶関係を検討した. 更に各固溶体の融解, 結晶化過程の挙動及び膨潤性の相違についても, 粉末X線回折法, DTA及び偏光顕微鏡を用いて検討した.
    系内の各組成における生成物は, 多くの場合, 主に固溶体雲母であり, その層間隔は連続的に変化するので, 本系は完全固溶系と考えられる. このことから, 層間イオン量及び8面体層の組成及び空孔量を連続的に制御し得ることが分った. しかし, 冷却条件によっては, Na-フッ素四ケイ素雲母組成付近ではフッ素マグネシウムリヒテライトとα-クリストバライトが, Na-フッ素ヘクトライト組成付近ではα-クリストバライト, α-トリジマイトが, それぞれ共生物として認められる場合もあった.
    各固溶体の融解, 結晶化過程の様子は, Na-フッ素四ケイ素雲母, Na-フッ素ヘクトライト側において, 共生物が生成しやすく, 固溶体の非平衡的挙動が顕著になったが, 各端成分から広がる三つの領域に分類でき, このうちNa-テニオライトの領域が最も広い範囲を占めた. なお, 融解, 結晶化温度は, 系内を通じてほぼ連続的に変化したが, Na-フッ素四ケイ素雲母組成付近のみ, 1000℃以下で分解が起き, 特異な挙動を示した.
    膨潤性はすべての固溶体において認められ, Na-テニオライト側から, Na-フッ素四ケイ素雲母側とNa-フッ素ヘクトライト側に向かって, 膨潤度は連続的に増加する傾向があった. 特に後二者を端成分とする中間組成の固溶体では, 膨潤度は大きく, 水和により急激にゲル状を呈した.
  • 森本 繁樹, 三島 康玄
    1980 年 88 巻 1020 号 p. 453-459
    発行日: 1980/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    各種のガラスについて銀イオンの安定性とフォトクロミズムの発現との関係を調べた. 更に, アルミノホウ酸塩ガラスにおいて, フォトクロミック特性に対するガラス組成の影響を検討した.
    ソーダ石灰, アルミノホウ酸塩, アルミノホウケイ酸塩, 鉛ホウ酸塩及びリン酸塩ガラスからなる種々のガラスについて, 銀がイオンとしてガラス中に安定に存在するかどうか調べたところ, 非架橋酸素イオンが存在するような組成のガラスでは, 銀はイオンとして不安定で, 容易に銀原子に還元されることが分った. ただし, リン酸塩ガラスは例外で, 非架橋酸素イオンが存在しても, P-O結合の酸性度が高いために, 銀はイオンとして安定であった. 銀をイオンとして安定に含むガラスにハロゲンイオンを共存させると, ハロゲン化銀結晶が析出し, フォトクロミズムが現れることが分った.
    (85-x)B2O3・15Al2O3x(4CaO+Na2O) (x=10-50) の組成のガラスにおいて, フォトクロミック特性, すなわち暗化度と半退色時間をアルカリフラクション (AF)=(R2O+RO)/(R2O+RO+R2O3) の関数として調べた結果, 非架橋酸素イオンが生成し始めるAF=0.333付近で, フォトクロミック特性は大きく変化した. すなわち, 暗化度は非架橋酸素イオンが存在しないAF=0.1-0.25では大きい変化を示さないが, 非架橋酸素イオンが明確に存在するAF=0.40以上では, ハロゲン化銀結晶が析出しにくくなり暗化は起こらず, AF=0.33付近で極大を示すことが分った. 退色時間はAF=0.1-0.25では比較的小さいが, AF=0.3付近からAFが増すにつれて急激に長くなった.
  • 太田 敏孝, 山井 巌, 斎藤 肇
    1980 年 88 巻 1020 号 p. 460-468
    発行日: 1980/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    通常の水熱反応に脱水反応を併用することにより, 無定形酸化チタンからのTiO2の結晶化をフッ化物溶液中, 350°-600℃において行った. 脱水剤としては, 水素よりイオン化傾向の大きい金属を用いた.
    KF溶液では主にチタン酸カリが, そしてCsF溶液ではアナターゼが生成した. 一方, NaF溶液では, 420℃以上で, ルチル結晶が溶解析出過程により生成した. そして, Znを用いて脱水を行った場合には, 通常の水熱法と比較して大きな結晶が生成した. この場合のZnの酸化反応を検討した結果, 短時間にて終了していたことが分り, 脱水の効果は結晶化の初期, 恐らく核生成時に働いたことが考えられた.
    更に, 結晶成長を行うため, 種々の金属を用いて脱水を長時間続けることを試みたが, 良好な結果は得られなかった. また, 初めにルチル粉末を核として加えて反応を行った場合, 脱水により幾分か成長することが観察された.
  • 梅林 正気, 小林 和夫, 片岡 良平
    1980 年 88 巻 1020 号 p. 469-475
    発行日: 1980/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    SiO2, Al及びSi粉末を出発原料として, Si6-zAlzOzN8-zz=1, 2, 3及びz=1周辺の二, 三のβ'-Si3N4の組成に相当する混合粉末の成形体を1400℃, 10時間窒素ガス中で窒化し, 次いで1650°-1850℃, 400kg/cm2の圧力下で熱間加圧焼結した. 得られた焼結体のち密化, 組成及び組織に対する出発混合粉末の組成の影響を調べ次の結果を得た.
    (1) 各出発組成から, それに対応したz値をもつβ'-Si3N4焼結体が得られた. Z-1のβ'-Si3N4に相当する混合粉末の成形体は, 1750°-1800℃で, 同じくZ-2は, 1800℃でX線的にβ'-Si3N4単相焼結体となったが, 同じくZ-3は, 1800℃においても, α-Al2O3及びX相が残留し, β'-Si3N4単相焼結体とはならなかった.
    (2) Z-1, Z-2及びZ-3, いずれもX相を介した液相焼結であると推定される.
    (3) Z-1近辺で, Si3N4とAlN・Al2O3を結んだ線上より窒化物側の組成に相当する混合粉末の成形体は, 1800℃で, β'-Si3N4単相の焼結体となるが, 十分にち密化するに至らなかった.
    (4) Z-1, Z-2及びZ-3を1750℃で熱間加圧して得た焼結体は, 腐食処理を施すことによりガラス相の存在を示唆する空げきが観察された. また, 同上焼結体中では, β'-Si3N4の粒成長が観察され, z値の高い方が粒成長が著しい.
  • 脇野 喜久男, 田村 博
    1980 年 88 巻 1020 号 p. 475-482
    発行日: 1980/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    基本組成が(ZrSn)TiO4である誘電体セラミックスを選び, そのマイクロ波領域における誘電損失について, 不純物の存在や微細構造の観点から種々の検討を加えた. 添加物としてZnO, NiO, Fe2O3を加え, これら添加物の存在がマイクロ波での電気特性にいかなる影響を与え, またその時, それら添加物はどのような役割を果たしているかを, SEM, X線マイクロアナライザー, X線回折等の手法を用いて分析した.
    ZnOは焼結促進剤として添加しているものであるが, NiOを同時添加していくと, (ZrSn)TiO4のグレインは小さくなり, マイクロ波でのQ値は上昇していく. この時, ZnやNiイオンはグレイン内に拡散せず, バウンダリー相の中でスピネル化合物を作っている. (ZrSn)TiO4にFe2O3を添加すると, マイクロ波Qは極端に低下するが, この場合, 粒成長は促進されており, またグレイン中へのFeの拡散が見られる.
    マイクロ波領域では誘電損失係数は周波数に比例して大きくなっており, この結果は上記の結果とともにイオン結晶の誘電理論により, よく説明される.
  • 清水 紀夫, 柳田 博明, 橋本 甲四郎, 西川 泰男
    1980 年 88 巻 1020 号 p. 482-488
    発行日: 1980/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    二酸化チタンと炭酸カリウムをKDC法 (混練-乾燥-焼成法) により反応させて得られた四チタン酸カリウム繊維は水と反応して, 直ちに基本的水和チタン酸カリウムである2K2O・11TiO2・3H2Oとなる. 水和反応は更に進み, 水和チタニアになるまでカリウムイオンは抜ける. この水和過程で七つの水和相が見いだされた, その内, 6相は水和チタン酸カリウムであり, 残り1相は水和チタニアであることが, 粉末X線回折, 赤外分光分析, 示差熱分析, 熱天びん, 化学分析などの分析により区別することができた.
    XI相 (2K2O・11TiO2・3H2O) は基本的水和相であり, 他のXIIからXVIIまでの6相はXI相のK+イオンとH+イオン間の交換反応によって得られた.
    XIからXVII相までの実験式は以下のようであった. XI相は2K2O・11TiO2・3H2O, XII相はK2O・6TiO2・19/11H2O, XIII相はK2O・7TiO2・24/11H2O, XIV相はK2O・8TiO2・29/11H2O, XV相はK2O・9TiO2・34/11H2O, XVI相はK2O・10TiO2・39/11H2O, XVII相は2TiO2・H2Oであった.
  • 三友 護, 倉元 信行, 猪股 吉三, 堤 正幸
    1980 年 88 巻 1020 号 p. 489-496
    発行日: 1980/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    高密度β-サイアロンをSiO蒸気の存在下で作製した. “balanceed” 組成より過剰アルミナ量が多いほど焼結体の密度が向上し, 粒界のX相の量が増加した.
    得られた反応焼結β-サイアロンの曲げ強度を室温から1400℃まで測定した. z=2のサイアロン組成に1.2wt%の過剰アルミナを含む出発原料を用いた焼結体 (β2-1) の強度は室温で平均40kg/mm2, 最高45kg/mm2であった. β2-1は1200℃まで強度低下は認められなかった. 2.4wt%の過剰アルミナを含むサイアロン (β2-2) の強度は室温で43kg/mm2であった. β2-2の強度は強度低下がβ2-1より激しいため高温ではβ2-1より低くなった.
    z=1.5とz=3のβ-サイアロンの強度も測定した. z=1.5のサイアロン (β1.5) の強度はβ2-1より低いが, 高温での強度低下の割合は小さい. z=3のサイアロン (β3) の室温強度はβ2-1とβ1.5の中間であった. しかし, 高温強度は粒界に未固溶物質が残っていたため低くなった.
    微構造の観察から高温での強度低下は粒界すべり機構による粒間破壊によると考えられる.
    破壊は大さな空孔, 大粒子, 表面傷から発生することが認められた.
  • 金子 泰成
    1980 年 88 巻 1020 号 p. 497-499
    発行日: 1980/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    P2O5ガラスとアルカリリン酸ガラスの光電子スペクトルを測定し, 以下の結果を得た.
    (1) P2O5ガラス中の酸素イオンを架橋酸素と二重結合酸素に分離することができる.
    (2) アルカリリン酸ガラス中では架橋酸素と非架橋酸素を識別することができる.
    (3) アルカリリン酸ガラス中でのLi, NaとKの陽イオン効果はほとんど見られない.
    (4) ソーダリン酸ガラス中の架橋酸素のO 1sは, 酸化ナトリウム量によってケミカルシフトする.
  • 岩佐 美喜男, 木下 実, 寺井 良平
    1980 年 88 巻 1020 号 p. 499-502
    発行日: 1980/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 88 巻 1020 号 p. 502
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 88 巻 1020 号 p. A45-A48
    発行日: 1980/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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