窯業協會誌
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89 巻, 1036 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 鈴木 隆夫, 荒堀 忠久
    1981 年 89 巻 1036 号 p. 637-642
    発行日: 1981/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ケイ石耐火物の主成分であるシリカの安定相は, 867℃以下で石英, 867°-1470℃でトリジマイト, 1470℃以上でクリストバライトである. しかし, 高炉熱風炉や他の炉でも, ケイ石耐火物を1470℃以下のトリジマイト安定温度域で使用した場合でも, しばしばクリストバライトの生成が認められる. そこで, この原因及び転移機構について検討した.
    本研究で使用したケイ石耐火物も, トリジマイト-クリストバライトの転移温度は1470℃である. しかし, この試料に熱風炉のダスト (Fe2O3 41.9wt%, Al2O3 34.0%, SiO2 20.4%) を添加してトリジマイト安定温度域で熱処理したところ, クリストバライトに転移した. これは, ダスト中のAl2O3成分の影響によるものであり, Al2O3によるシリカの転移への影響を定量的に検討した結果, Al2O3の添加量増大とともに1470℃の転移温度が低下し, 1470℃以下でもクリストバライトの生成温度域が存在することが明らかになった. この領域は, ケイ石耐火物中のCaOの添加量によっても変化する.
  • 加藤 紘一
    1981 年 89 巻 1036 号 p. 643-649
    発行日: 1981/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    耐火物にとって侵食とは, 使用される環境条件に対して平衡状態に至る過程であると見なし, その過程の特徴について検討した.
    板ガラス溶解窯の上部構造で使用された耐火物について, 表面侵食相の分析を行い, Na2O濃度に着目して見るとこれらはほぼ一定値を示し, Na2Oの吸収だけが侵食相組成における本質的変化と見なされた. したがってこのような耐火物の侵食における化学的変化を考えるには, 耐火物表面部を一つの系と見なし, 系はアルカリ成分についてだけ開かれ, 他の成分について閉ざされているものと近似した上で平衡状態を考えればよく, 系に含まれるアルカリ量は環境中の同成分濃度 (化学ポテンシャル) によって決まるものと考えられた.
    溶解ガラスによる耐火物の侵食についても, 界面に生ずる侵食相の組成を調べると, Na2O濃度はほぼ一定値を示し, ガラス中の同成分濃度との間でほぼ平衡状態にあるものと推定された. ただしこの場合は, 特に高温下においてはCaOなどの影響も無視することはできなかった.
  • 本庄 孝子, 中西 洋一郎, 進藤 昭男
    1981 年 89 巻 1036 号 p. 649-655
    発行日: 1981/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    テトラエトキシシランの蒸気を酸素を含むふん囲気中で400°-1000℃の数段階の温度に加熱して, 粉末シリカを得, その粒子径, 表面積, 密度, 赤外吸収スペクトル, X線回折を測定し, また水, アルコール, n-ヘキサン中における分散性を調べた. 生成した粉末シリカの粒子径は, 0.07-1.9μmの範囲内で, 生成温度の上昇とともに低下し, BET表面積は生成温度とともに増大し, 733℃では70m2/gであった. 544°-820℃で生成した粉末の密度は2.18-2.07g/cm3であり, 密度と粒子径から算出した表面積はBET表面積の約1/3であった. 生成温度650℃以下では, 内部水酸基が存在し, 生成温度が高くなるほどその濃度は低下した. 生成温度650℃以下では親水性を示し, それ以上では温度が高くなるほど水に対する分散性は低下した. 構造は非晶質であった.
    BaCl2, NiCl2, SrCl2を微量付けた石英板上には直径0.12-1.6μmの繊維状シリカが生成した.
  • 高嶋 廣夫
    1981 年 89 巻 1036 号 p. 655-661
    発行日: 1981/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    赤外分光光度計の対比側に黒体炉を備えた装置を用いてアルミノ・シリケート系セラミックスの赤外線放射特性を検討した. その結果, ほとんどのセラミック放射体からの赤外線放射パワーは金属放射体のそれより効率がよかった. 焼結したケイ石やアルミナの赤外線放射スペクトルは遠赤外線放射体と呼ばれる特性を示した. それは赤外線放射の最大強度が波長5-7μmにあるからである. アルミノ・シリケート系セラミックスにアルカリや遷移元素を導入すると, 赤外線放射率は向上した. これらのセラミックの赤外線放射率はプランクの放射分布式から計算した黒体の放射率と比較して推定した.
  • 山崎 憲五, 山口 嘉信, 中沢 敏彦, 吉村 昌弘, 宗宮 重行
    1981 年 89 巻 1036 号 p. 661-668
    発行日: 1981/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    100℃, 10MPaの水熱条件下でCaO-Al2O3系化合物のリン酸溶液中における反応性を調べた. C3A, C2A7, CA及びCA2では水和反応が起こりC3AH6とAH3の水和物が生成した. 水和性はAl2O3成分量が多い組成ほど小さく, CA, CA2は30日水熱処理後においてもあるリン酸添加量で水和が起こらず, 未反応のまま残存した. CA6, α-Aでは全く水和反応が起こらなかった. リン酸は各CAn表面上でAlPO4類似構造を形成して水和反応を抑制するものと推測された. 更にリン酸はC3AH6のCaO成分より選択的に反応しHApあるいはCaHPO4を生成した. C3AH6の生成領域はCaHPO4からAl2O3端成分へ結ぶ線分まで広がると考えられた. AH3はH3PO4/C+A+H3PO4≒50mol%までAlPO4・2H2Oと共存し生成していた. 各種リン酸塩の生成は溶液の液性に強く依存しており, アルカリ性ではHAp, 中性・弱酸性ではHAp, CaHPO4, AlPO4・2H2O (Messbach-type), AlPO4・2H2O (Lucin-type), 酸性ではCaHPO4, AlPO4・2H2O (Messbach-type), AlPO4・2H2O (Lucin-type), AlPO4・2H2O (Metavariscite), 強酸性ではCa(H2PO4)2・H2O, AlPO4・2H2O (Metavariscite) が生成した.
  • 横井 誠, 高城 東一, 植松 敬三, 水谷 惟恭, 加藤 誠軌
    1981 年 89 巻 1036 号 p. 669-675
    発行日: 1981/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    炭化ケイ素質研削砥材の製造条件が砥材の性質に及ぼす影響を研究した. すなわち, 研削砥材の組成, 成形圧力, 焼成温度, 焼成時間及びふん囲気をパラメーターとして, 得られた砥材のかさ密度, 曲げ強度及びヤング率などの性質を測定した. この結果, 研削砥材の性質は製造条件によって著しく異なり, かさ密度, 曲げ強度及びヤング率の間に相関関係があることが分った. 更に, 焼成中に研削砥材の内部に生じる微構造の変化と砥材の性質の相関関係を検討した.
  • 野上 正行, 守屋 喜郎
    1981 年 89 巻 1036 号 p. 675-676
    発行日: 1981/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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