窯業協會誌
Online ISSN : 1884-2127
Print ISSN : 0009-0255
ISSN-L : 0009-0255
89 巻, 1034 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 川口 将徳, 佐々木 豊重, 金子 泰成, 杉之原 幸夫
    1981 年 89 巻 1034 号 p. 525-532
    発行日: 1981/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    水に浸食された数種のケイ酸塩ガラスをESCAを用いて測定した. 表面からの深さ方向へのSiO2濃度の変化をO1sスペクトルを解析することによって推定でき, その結果はSi2pスペクトルと陽イオンからのESCAスペクトルの相対強度比 (Ication/ISi2p) の変化及びSi2pスペクトルのケミカルシフトの変化に良く対応することが分った. 更に, 得られたESCAスペクトルのケミカルシフトを詳しく検討することによって, 腐食によって生成する物質が同定できた.
    ケイ酸塩ガラスの水による腐食に対しては以下の結論を得た.
    (1) Na2O-SiO2系, Li2O-SiO2系, Na2O-CaO-SiO2系ガラスを水に浸漬すると陽イオンが浸出され, 表面層にSiO2に富む層を形成する. この層はNa2O系では2次的反応によって破壊しやすい. Li2Oでは破壊され難く, 浸漬時間とともに成長する.
    (2) Na2O-CaO-SiO2系ガラスではCa2+よりもNa+が浸出されやすい.
    (3) これらのガラスから浸出された陽イオンは溶液中あるいはガラス表面でLi2CO3, Na2CO3, NaOHなどの化合物を生成する.
    (4) ガラス中で-|Si|-OHグループは重合し, SiO44-ネットワークを形成する.
  • 長谷川 安利, 三友 護, 広田 和士, 田中 英彦, 藤井 洋治, 鈴木 弘茂
    1981 年 89 巻 1034 号 p. 533-539
    発行日: 1981/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    酸化温度1200°及び1300℃における “balanced” β-サイアロン加圧焼結体の強度に及ぼす影響について実験した. 酸化は24時間 (1d) から720時間 (30d) まで乾燥酸素ふん囲気中で行い, 曲げ強度, 表面粗さ (Rmax) 及び走査型電子顕微鏡による破断面の観察を行った. 酸化温度1200℃では, 酸化の進行と同時に強度は増加し, 72時間 (3d) までは未酸化試料より大きい値を示した. これは表面加工傷及び焼結体内部欠陥の鋭角部分を酸化膜によっておおったためと考察された. 更に酸化が進行すると表面粗さは次第に増加し, 強度は低下するが, 再び酸化の進行とともに, 表面粗さは低下し, 強度は回復の傾向を持つが, 粒成長の影響などにより, 強度は低下する. 酸化による重量増の変節点と強度の低下, Rmaxについての関連についても論じた. 1300℃酸化では強度のバラツキが多く, 表面粗さとの関係は見出せなかったが, 強度発現は傾向として1200℃のそれに従う. 破壊の出発点は次の三つに大別できる. (1) 酸化層とサブストレートの境界面, (2) 酸化膜内の欠陥部, (3) サブストレート中の欠陥部.
  • 今岡 稔, 坂村 博康
    1981 年 89 巻 1034 号 p. 539-543
    発行日: 1981/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    電圧下でソーダ・ホウ酸ガラスに周期応力を加えると, 電流が応力に対応して変化することが観察された. この電流変動の温度に対する変化は, ソーダ・ケイ酸ガラスのときと同様に, 内部摩擦の変化とよく一致した. すなわち内部摩擦の低温ピークに対応して電流変動のピークがみられ, 一方高温側には電流変動のピークがみられなかった. 低温側の電流変動のピークは応力によるアルカリイオンの動きによるものであり, また高温側にピークがみられないのは非架橋酸素が存在しないためと推論した. また静的応力を加えた場合, ホウ酸塩系の電流変動の減衰速度はケイ酸塩系よりやや速い傾向を示したが, 両者の結果は全体的にみてほとんど同じであった.
  • 西田 俊彦, 西川 友三
    1981 年 89 巻 1034 号 p. 544-550
    発行日: 1981/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ホットプレスで作ったNa-β-アルミナ焼結体の有効破壊エネルギー (γeff) をWork of Fracture法で測定した. 測定は60°, 90°, 120°のシェブロンノッチを入れた試料について, 室温から1300℃までの温度範囲にわたって3点曲げ方式で行った. 室温から1000℃までの温度範囲では試料はほとんど不安定破壊をし, 破面は粒内破壊を示した. 1000℃以上になると準安定破壊ないしは安定破壊がみられるようになった. この場合, 準安定破壊では粒内破壊から粒界破壊への遷移がみられ, 安定破壊ではすべて粒界破壊であった. 安定破壊をした試料については荷重-時間曲線を使ってγeffを求めた. このような安定破壊を得るために従来はノッチ角を広くすることが試みられてきたが, 本実験結果では120°のノッチの試料についても60°のノッチの試料と同様に準安定破壊した場合が多かった. しかし準安定破壊の場合でも試料破面の顕微鏡観察から安定破壊面積を見積もることができたので, この面積とそれに対応する荷重-時間曲線からγeffを求めた. β-アルミナ焼結体のγeffの値は1000℃で約20J/m2から1300℃で40J/m2へと増大した. 昇温に伴うγeffの増大は多分き裂先端の熱的な鈍化作用によるものであろうと考えた. 一方安定破壊をした試料の荷重-時間曲線のコンプライアンス解析から, 応力拡大係数 (KI) とその時のき裂進展速度 (v) の算出を試み, 測定条件をうまく制御すれば, Work of Fracture法がセラミックス材料の応力腐食の問題を考えるうえで有力な手段となり得ることを提案した.
  • 小林 和夫, 梅林 正気, 岸 和司, Nancy J. TIGHE, Richard J. FIELDS
    1981 年 89 巻 1034 号 p. 550-555
    発行日: 1981/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    加圧焼結β-サイアロン (Si5Al1O1N7) の室温, 1200℃及び1400℃の4点曲げ強度及びワイブル分布を測定した. 加圧焼結β-サイアロンはSiO2, Al及びSi粉末をN2中で焼成することにより作成したものである. 見掛け比重は約3.14であった. 加圧焼結試料はX線回折からは結晶相としてβ-サイアロン単相であるが, 走査型電子顕微鏡観察からガラス質境界相が認められた. 室温における強度の最高値は450MPaであり, ワイブル係数, mは8.4であった. 1200℃では, 最高強度は変わらないがm値は3.1に低下した. m値の減少は表面の所々に少数出現したピットのためと考えられる. 1400℃で強度は減少したが, m値は4.0に増加した. 強度の低下は粒境界相の粘性とピット生成の増大による. 表面全体に出現したピットと表面酸化層が表面を均質化し, ワイブル値, mを1400℃で増加させたものと思われる. 4点曲げノッチドビームテストによる破壊じん性値, K1cは約3.2MPa√mであり, 室温から1400℃までほとんど一定であった.
  • 小牧 健男, 後藤 淳博, 赤木 三郎
    1981 年 89 巻 1034 号 p. 555-563
    発行日: 1981/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    魔法びん内の熱湯の温度降下の過程を, 熱移動形態を考察することによって公式化した. この場合, 式中の係数は多くの種類の魔法びんについて行った温度試験のデータによって決定された.
    熱湯の最初の温度を95℃と仮定すると, 魔法びんの容量や口径の大きさに関係なく, τ時間後の温度は次式で与えられる. tI=20+27.5exp(-0.6βτ)/1-0.5exp(-0.6βτ) ここにβは, 個々の魔法びんの持っている固有の断熱性因子であり, 数時間の温度を測定することで求められる. 現在, 一般に, 魔法びんの保温効力の判定はJIS法に基づいて行われており, 24時間を必要としている. しかし, 上記の式を用いることによって, 同じ効果を数時間で求めることができ, 試験時間を著しく短縮することが可能となった.
  • 高屈折率ガラスの着色に関する研究 (第4報)
    金 炳勲, 山根 正之
    1981 年 89 巻 1034 号 p. 564-567
    発行日: 1981/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    La2O3-BaO-B2O3系とLa2O3-PbO-BaO-B2O3系超高純度ガラスを作製し, その近紫外部の吸収測定を行った. La2O3-PbO-BaO-B2O3系ガラスの短波長域での吸収係数は, La2O3-BaO-B2O3系ガラスのそれよりはるかに大きく, その吸収端の波長はPbO含有量の多いガラスほど長い. La2O3-BaO-B2O3系ガラスでは, 不純物としてCeが存在しても, 遷移金属のような他の不純物を1ppm以下におさえれば, Ce含有量約80ppmまでは無色のガラスが得られる.
  • 服部 豪夫, 毛利 純一
    1981 年 89 巻 1034 号 p. 568-571
    発行日: 1981/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    酸化カルシウムの再炭酸化反応の動力学を検討した. 炭酸カルシウムを真空中, 800℃で1時間〓焼し, 酸化カルシウムを得, これを500℃に降温させ, そこに炭酸ガスを導入し反応させた. 炭酸ガス圧12-55Torrの条件で, 石英スプリングを用いた熱重量測定により求めた反応時間-反応率曲線を解析して次の結果を得た.
    (1) 酸化カルシウムの再炭酸化反応は二つの過程よりなっていた.
    (2) はじめの過程は直線則で表される界面反応が律速の過程であり, 続いて
    (3) 第2の過程は放物線則がなりたつ, 拡散律速反応の過程であった.
    (4) 両過程の速度定数はいずれも測定した炭酸ガス圧力の範囲内で直線的に変化した.
  • 伊藤 祐敏, 水野 正敏, 河野 高洋, 鈴木 一孝
    1981 年 89 巻 1034 号 p. 572-577
    発行日: 1981/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Sr置換CaAl2O4型固溶体の水和硬化体に関して, Ca1-xSrxAl2O4組成の固溶体試料と同組成比にCaAl2O4とSrAl2O4を混合した試料を用い, 硬化体強度, 組織観察及び水和熱測定から, 強度へのSr成分の効果を検討した. 固溶体試料では, 0.3-0.4mol Sr置換量において硬化体強度に極大がみられた. この極大値は1000kg/cm2 (30日強度) であり, 純CaAl2O4の場合の1.7倍であった. これに反して, 混合試料では, SrAl2O4の混合量が増加するにしたがい強度が低下した. 高強度を示した固溶体試料の硬化体組織では, ち密な水和物が骨材間に充てんし, 互いに良好な接合状態を示した. 固溶体試料の水和熱は, Sr置換量が増加するにしたがい発熱が遅くなり, 水和終結までの累積値は純CaAl2O4に比べて著しく低下した.
  • 作花 済夫, 松下 和正, 渡辺 勉, 神谷 寛一
    1981 年 89 巻 1034 号 p. 577-584
    発行日: 1981/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    乾燥窒素中での加熱及び水蒸気の吹き込みによって水含有量がそれぞれ0.009-0.085wt%及び0.009-0.063wt%の範囲で変化するソーダ石灰シリカガラス及びアルカリ鉛ケイ酸塩ガラスを調製した. これらのガラスの低温粘度, 熱膨張係数, ガラス転移点及びビッカース強度を水含有量の関数として測定した. 550℃におけるlogηの減少はソーダ石灰シリカガラスでは0.076wt%の水含有量の増加に対して, また, アルカリ鉛ケイ酸塩ガラスにおいては0.054wt%の水含有量の増加に対して約1であった. 熱膨張係数については水含有量による系統的な変化は認められなかった. ガラス転移温度は上記の水含有量の増加に対して約25℃低下した. ビッカース硬度は水含有量が増すと低下した. すなわち, ソーダ石灰ガラスでは0.009wt%の水に対する480kg/mm2から0.085wt%の水に対する440kg/mm2まで低下し, アルカリ鉛ケイ酸塩ガラスでは0.009wt%の水に対する430kg/mm2から0.063wt%の水に対する395kg/mm2まで低下した. これらの性質の変化を水がガラス構造中に弱い切れ目をつくると考えることによって説明した.
  • 1981 年 89 巻 1034 号 p. A57-A62
    発行日: 1981/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
feedback
Top