窯業協會誌
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94 巻, 1085 号
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  • 谷 俊彦, 吉田 豊信, 明石 和夫
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 11-16
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    直流アークジェットと高周波プラズマを重畳した, “ハイブリッドプラズマ” を用いた, 熱プラズマCVD法によりSiCl4とNH3から窒化ケイ素微粒子を合成した. また, 300-3500KにおけるAr-H-N-Si-Cl系熱平衡組成を計算し, 熱力学的考察を行った. プラズマ尾炎部へのNH3導入量が少ない場合, 生成物には金属Siや塩化物が混入し窒化率は不十分であった. NH3導入量を増加することにより, 窒素含有量が37wt%で, Si-N結合による鋭い赤外吸光ピークを示す非晶質白色微粒子が得られた. 平衡計算によれば, プラズマからの冷却過程において, Si3N4が生成する前に液相Siが出現する可能性が示された. NH3導入量が不足すると, このSi出現温度領域が広がるうえ, H2分圧の不足により低級塩化物が再結合により出現することとなる. 反応系における [NH3]/[SiCl4] のモル比が大きな値であっても, NH3の導入絶対量の不足が生成物中への金属Siや塩化物の混入を招くのは, 冷却速度の低下と反応の不均一性のため, Si凝縮相が生成しやすくなること及び上記熱力学的影響と考えられる.
  • 二木 昌次, 白石 勝造, 清水 忠義, 吉田 豊信
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 17-21
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ハイブリッドプラズマ装置を用い, SiCl4-H2-NH3系の気相反応により生成量100g/hでSi3N4を合成し, その特性について検討した. 得られた粉末は白色でかさ密度の非常に小さいものであった. 生成物はX線的に, また赤外吸収の結果よりアモルファスであり, 結晶化温度が1500℃で非常に純度の高い物であった. 生成物はSi3N3.88O0.35H0.19の組成を持ち, シリコンジイミドの混入はみられなかった. 比表面積は60-70m2/gで平均粒径300Å程度であった. 粉末粒子は球状で, 表面が6-7Åの酸化層に覆われており空気中で徐々に酸化が進行する.
  • 鎌田 喜一郎, 前田 祐二, 安井 寛治, 森山 実
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 22-28
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    容量結合型プラズマCVD装置 (13.56MHz) を用いて, SiH4 (90%Ar希釈), NH3, C2H4及びH2原料ガスより, Si3N4-SiC系セラミックスの薄膜を合成した. 原料ガスの流量比を変えることにより, 薄膜の組成を化学量論組成のSi3N4からSiCまで変化させて, 析出速度, 屈折率, 組織, 構造, 赤外吸収及び可視・紫外吸収について調査し, 薄膜のキャラクタリゼーションを行った.
    RFパワー100W, 全圧66.7Pa (0.5Torr), 基板温度400℃の条件で, ガス流量比を変化させて合成した薄膜は, 析出速度約0.4nm・sec-1の表面が平滑な非晶質膜で, その組成は, 原料ガス流量比にほぼ比例した. Si-N及びSi-C結合に基づく赤外吸収ピークの波数は, 流量比に比例して860cm-1から780cm-1へ連続的にシフトし, また, 可視・紫外吸収測定より求めた光学的バンドギャップも, 3.7eVから2.4eVへ同様にシフトした. これらの結果と透過型電子顕微鏡観察の結果より, 合成した薄膜中のN及びCは, Si3N4やSiCなどの不均一な混合相として存在しているのではなく, 原子的スケールで均一に分散したものであると推定される.
  • 林 卓, 川辺 恵久, 齋藤 肇
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 29-35
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1350℃と1400℃におけるSiO2-C-Na3AlF6系の窒化反応によりβ-sialonウイスカーの気相成長を研究した. ウイスカーはグラファイト試料容器内と容器外に生成し, 前者は主にα-Si3N4ウイスカー, 後者は少量のα-Si3N4を含むβ-sialon (Si6-zAlzOzN8-z) ウイスカーであった. 容器外に生成する管外ウイスカーの生成状態は, SiO2に対するNa3AlF6の割合を増加すると著しく向上するが, 管外ウイスカー中のβ-sialonウイスカーの割合は減少し, そしてα-Si3N4ウイスカーが増加する傾向にあった. また, 管外ウイスカー中のβ-sialon/α-Si3N4の割合は反応温度, N2ガス流量にも強く依存した. 最適条件下では85%以上のβ-sialonを含むウイスカーが約20%の好収率で得られ, 長さは最大10mm程度 (平均5mm), 径は1.0-10μmであった. β-sialonウイスカーの先端にはドロプレットが認められ, 反応時には融体として存在し, ここにSiO, CO, N2, AlF3などの気相種が溶解し, 過飽和となって析出するというVLS機構によって, β-sialonウイスカーが成長していると考えられた. β-sialonウイスカーの組成は格子定数からZ≒1.8-2.0と見積もられた.
  • 大河内 正人, 安藤 義則
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 36-44
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ガス蒸発法で作製したβ-SiC超微粉を原料とし, Ar雰囲気中で常圧焼結を行った. 超微粉単味の焼結では粒成長のみが生じ, ち密化は進行しなかった. この原料の場合も, 従来知られているホウ素と炭素を助剤として同時に添加して焼結する方法が, ち密化の促進のために有効であることが確認された. その際, 炭素については原料粉に含まれている遊離炭素をそのまま利用することができる. 遊離炭素の量を4.3wt%に調整し, それにホウ素1.0wt%を助剤として加えて2200℃で焼結したとき, 最高の相対密度97%が得られた. 遊離ケイ素が多く含まれる原料にホウ素を1.0wt%添加して1900℃以上の温度で焼結するか, あるいは遊離炭素が3.0wt%以下の原料にホウ素を1.0wt%以上添加して2100℃以上で焼結すると, 50μm以上の大きな板状結晶 (6H型のα-SiC) が成長し, ち密化が著しく妨げられる.
  • 小玉 展宏, 荒川 敏彦, 徳永 裕司, 月舘 隆明
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 45-47
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    The formation of silicon carbide powder by carbonization of iminodisilanenitrile (Si2N3H) has been investigated. Submicron SiC powder was produced by heating the mixture of carbon black and amorphous Si2N3H for 0.5-4h at 1350°-1650°C under reduced pressure. The crystallinity of the products increased with increasing the reaction temperature and reaction time. The particles were spherical and had maximum size of 0.2-0.4μm in diameter. A reaction process consisting of the formation of Si3N4 particles as an intermediate and the subsequent carbonization was proposed for the formation of present SiC particles.
  • 菅原 義之, 杉本 健一, 黒田 一幸, 加藤 忠蔵
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 48-53
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    粘土-有機複合物を熱炭素還元による炭化物合成に応用することを目的として, モンモリロナイト-ポリアクリロニトリル (PAN) 層間化合物をAr雰囲気にて焼成した. 1200℃ではβ-SiCが生成し, 1300℃以上ではα-及びβ-SiCが生成した. 酸化物ではSiO2成分が全く結晶化しなかったのに対し, Al2O3成分はMg-Al-O系の化合物として結晶化した. モンモリロナイト-炭素混合物からの反応との比較により, 層間のPANの存在がα-SiCの生成をもたらし, 酸化物の結晶化を抑制したことが明らかとなった.
  • 林 卓, T. Y. TIEN
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 54-62
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Mg-SialonオキシナイトガラスがSi3N4, AlN, SiO2, Al2O3及びMgOの混合物から調製され, ガラス化範囲がSi, Al, Mg/O, Nの系において決定された. 6.5at%の窒素を含むガラスが得られた. コーディエライト組成を基礎とした酸化物ガラスへの窒素の導入は, 密度, ガラス転移温度, ビッカース硬度, 屈折率を増加させ, 一方, 熱膨張係数を減少させた. DTA曲線においてコーディエライトの結晶化による発熱ピークが, 1000°-1200℃の範囲で観察された. そのガラスの結晶化に及ぼす熱処理時間, 温度及び白金の影響を調べた. コーディエライト結晶の析出のための析出の最適温度は1200℃であり, 核形成剤としてのPtは微構造の制御に有効であった. Mg-sialonガラスは自己核形成すると考えられ, それゆえに酸化物ガラスに比べて微細な粒子からなるガラスセラミックスを形成することができると思われる. Mg-sialonガラスセラミックスは, Si3N4セラミックスにほぼ匹敵する熱膨張係数を持っていた.
  • 平野 眞一, 小沢 正邦, 飛永 勝
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 63-67
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    生成炭素の形態・性質は, 出発原料である有機化合物の炭素-炭素結合の制御と熱分解条件の選択によって決定される. 本研究では, 易黒鉛化性炭素を与え, 廃棄物の再利用において興味あるポリスチレンを用い, 加圧下熱分解による炭素の生成過程を調べた. 25-125MPa, 600℃までの処理により, ポリスチレンは加熱によりオリゴマーに分解し, 縮合によって芳香環が形成される. 熱分解途中において, 高分子量分と低分子量分からなる二液相の分相が25MPa, 365℃付近で起こることが分かった. このような加圧下熱分解によって, 高収率で炭素が生成できることが明らかになった. 一方, 600℃での生成炭素の形態は圧力により変化する. 50MPa以下では, 低分子量分のガスの存在跡を示す気孔をもつ形態を示し, 75MPa以上で球状炭素が得られる. 100MPa, 600℃では, 保持時間につれ微小粒子の発生から, 微小粒子の合体及び成長により球状を示すことが明らかになった.
  • 余語 利信, 伊藤 秀章, 都筑 祥博, 中 重治
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 68-70
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    CoB was synthesized by pyrolysis of CoB10H10 at 1250kg/cm2, atmospheric pressure and 10-5 Torr. The characteristic absorption bands at 2500, 1070 and 1015cm-1 of CoB10H10 disappeared after heat treatment at 400°C and 10-5Torr for 1h. The formation temperature of CoB by pyrolysis at 1250kg/cm2 was 550°C, which was lower by 50°C than those of pyrolysis at atmospheric pressure and 10-5Torr. The crystallinity of CoB synthesized at 650°C and 1250kg/cm2 was comparable with those formed at 800°C and atmospheric pressure. The amount of boric acid as a by-product decreased as the pressure of pyrolysis decreased from 1250kg/cm2 to 10-5Torr.
  • 和田 宏明, 黒田 一幸, 加藤 忠蔵
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 71-75
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ホウ酸-グリセリン縮合物を窒素及びアルゴン中で処理することにより, ホウ素を含有するセラミックスの合成を行った.
    前駆体であるホウ酸-グリセリン縮合物は透明なガラス状固体であり, 分析の結果, 脱水が行われ, B-O-C結合を含む構造 (C3H5O3B)nの生成が認められた.
    この縮合物を熱処理した結果, 900℃から1250℃の範囲では, 雰囲気によらず生成物は酸化ホウ素と無定形炭素であった. 窒素中1300℃以上では, 窒化ホウ素及び炭化ホウ素の生成がX線回折分析, 赤外吸収分析により認められた. 焼成物の結晶性は焼成温度の上昇とともに大きくなったが, 焼成時間は窒化ホウ素の結晶性にのみ影響を及ぼした. 窒化ホウ素の結晶子径をScherrer式により計算すると, 1300℃では約50Å, 1400℃では約100Åとなった. アルゴン中での焼成では炭化ホウ素が主生成物であったが, グラファイトの生成も認められた. また比較のためにB2O3とカーボンブラックの混合物を窒素中, 1400℃で加熱処理したところ, 炭化ホウ素の生成は認められたが結晶性は低く, 窒化ホウ素についてはX線的に明確なピークは見られなかった. このようにホウ酸有機誘導体からの還元及び, 炭化・窒化反応は単なる混合物系の炭素還元法とは明確に異なることが分かった.
  • 中 重治, 伊藤 秀章, 筒井 寿也
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 76-82
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ダイヤモンド合成の溶媒・触媒金属に, Fe, Co, NiとTi, Cr, Cu及びB4Cを添加, 組み合わせた2元系を選び, 黒鉛からのダイヤモンドへの結晶化挙動に及ぼす溶媒・触媒効果を観察した.
    黒鉛と各種金属系を, アルゴンガス雰囲気下 (1×10-3Torr) で1000℃, 1hの前処理を行った後, ガードル型装置により加圧・加熱処理 (6.5-7.5GPa, 1700℃, 15min) を行った. B4CとTiCxの添加効果は, 他の第2成分の添加系と著しく異なる挙動を示した. B4Cは溶媒・触媒金属 (Fe, Co) と反応して, それぞれの金属ホウ化物を形成し, 溶媒・触媒効果を消失させた. 一方, チタン含有系では, チタンはTiCxとして存在し, 溶媒・触媒効果を減少させることなく, 生成するダイヤモンドの粒成長を抑制する効果があった. この傾向は, Fe-Ti系において顕著であった. Cr, Cu含有系では, Fe, Co, Niの1成分系に比較して, 若干溶媒・触媒効果が劣ることを観察した.
  • 木枝 暢夫, 水谷 惟恭, 加藤 誠軌
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 83-87
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Nb-N系の相平衡を, 温度1300°-1700℃, 窒素分圧10-2-1atmの範囲について, 急冷試料の化学分析とX線回折, 及び熱天秤法を用いて研究した. 生成した窒化物相は, β-Nb2N, γ-Nb4N3, δ-NbN, ε-NbNの4相である. このなかで, γ相とδ相が大きな不定比性を示し, 均一領域はそれぞれNbN0.71-NbN0.84及びNbN0.84-NbN0.92であった. 高温における各相の相境界を窒素分圧-温度-組成図 (PN2-T-x図) を用いて検討し, 次のような結論を得た. (1) γ相とδ相の相境界は温度が高くなるほど窒素量の少ない側へと移り, 1500℃と1600℃の間で, γ相はδ相へと転移する, (2) γ→←δ転移の際, PN2-T-x図の等温線に不連続が生じないことから, この転移の次数は1次でないと考えられる. 以上の結果に基づき, Nb-N系の状態図を作成した.
  • 井上 誠, 酒井 忠基, 片桐 太郎
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 88-90
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    The effects of the pressurized nitrogen atmosphere on the dewaxing time of injection molded Si3N4 green parts have been studied. As-molded parts of complex shapes, such as cutter blades and turbocharger rotors were used, and were dewaxed within one or two days at the heating rate of 10°-20°C/h in the pressurized (5kg/cm2G) nitrogen gas atmosphere. On the other hand, dewaxing needed 6-20 days by the conventional method with the non-pressurized condition because of the limited heating rate of 1°-3°C/h. The extensive reduction in dewaxing time is explained in terms of the prevention of binder boiling and control of evolved gas volume.
  • 鈴木 久男, 齋藤 肇
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 91-99
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Si3N4に焼結助剤としてCeO2, Y2O3及びAl2O3を添加して, N2気流中, 1750℃で2時間焼結を行った. その結果, CeO2≧7.5wt%の組成範囲で比較的高密度 (>95%), 高強度 (約600MPa) の焼結体がえられることが分かった. このようにしてえられた焼結体は, 粒界第2相としてCe5(SiO4)3N, Y5(SiO4)3N及びガラス相を含んでおり, 優れた高温特性を有するものと予想された.
    また, CeO2添加量が増加するに伴って, α-Si3N4固溶体の重量分率α′/(α′+β) が増加し, CeO2≧10wt%の組成範囲で約65%となることが分かった. ち密化は液相焼結によるが, 低温 (1600°-1700℃) では液相中でα-Si3N4固溶体が安定であり, 焼成温度の上昇に伴って柱状晶のβ-Si3N4が析出した. 高温強度はCeO2を10wt%添加した焼結体が最も高く, 1300℃で約500MPaであった. また, 微小圧子圧入破壊法 (Indentation Microfracture Method; IM法) によるこれらの焼結体の臨界応力拡大係数KICは約6MN/m3/2であった.
  • 田中 嘉一郎, 植月 徹, 山根 庸史, 野崎 善治, 中沢 泰朗
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 100-105
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ZrSe2の焼結について, 窒素雰囲気中で, 800°-1450℃の温度範囲でホットプレス焼成と1420°-1480℃の温度範囲で等温通常焼成を行って調べた. ホットプレスの出発原料にはZrSe2とZrSe3をそれぞれ単独に化学輸送法により合成して使用した.
    ZrSe3はホットプレス中, 800°-1000℃の温度範囲で分解してZrSe2に移行した. 1150℃以上のホットプレスで, ち密化の進行と圧縮強さの増加が認められた. ZrSe3を出発原料として, 1350℃, 1時間, プレス圧130kg/cm2の条件でホットプレスを行った試片は, 最高の密度, 理論密度の98%と最高の圧縮強さ, 1850kg/cm2を示した. ホットプレスでZrSe3の分解を経てZrSe2の焼結体を得る過程は活性化焼結法として応用できる.
    ZrSe2の等温通常焼成においては, 時間の経過に対する試片の収縮とち密化の進行が観測された. ZrSe2の焼結の進行はSe放出と, Se/Zr比が減少する不定比化の進行を伴っていた.
    焼結の過程はSe離脱により生成する空格子を介した拡散により支配されると推察された.
  • 三友 護, 水野 賢一
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 106-111
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    窒化ケイ素に5wt%のY2O3と2wt%のAl2O3を加え, 1気圧の窒素中で1750°-1800℃ (常圧焼結), または10気圧の窒素中で1800°-1980℃ (ガス圧焼結) に1時間加熱した. 常圧焼結では1600°-1800℃で収縮が観測される. 1800℃の焼結では窒化ケイ素の熱分解が生じるため収縮が止まってしまう. 最高到達密度は相対密度71.7%であった. ガス圧焼結では熱分解が抑制でき, 液相量を増加させる反応が起こる. 焼結体の密度は1800°-1980℃で生じる溶解-再析出過程により増加する. この過程は高温ほど顕著であった. 1930°-1980℃の焼結で相対密度97%以上の高密度品が得られる. 1950℃では最高99.4%の焼結体を得ることができた. 高温焼結中に異常粒成長が生じ, 繊維状粒子が生成した.
  • 山崎 繁, 北川 満, 高津 勝美, 末広 好伸
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 112-117
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    La2O3-Y2O3-Al2O3-SiO2-BeO粉末を所定量調合し混合, 粉砕, ペレット化した後に仮焼した接合材を用いて窒化ケイ素焼結体相互の接合を試みた.
    接合条件として40-53kPaの窒素雰囲気下での減圧接合法にて, 昇降温速度50°-1800℃/min, 接合温度1400°-1500℃の範囲で最適接合条件を求めた. 検鏡の結果, 接合層中にほとんど残留気泡, クラックは見られず, 良好な接合層を呈していた.
    接合部断面の元素分析から接合剤組成中のLa, Y, Alの各元素が窒化ケイ素中へ拡散し, 拡散層が形成されていることが確認された. 一方, 接合層中には微量のNが検出された.
    3点曲げ法による接合強度測定の結果, 接合温度1450℃といった比較的低温の接合でも290MPaの強度が得られていることがわかった. その破断発生個所は上記の拡散層からと考えられ, 接合層強度はそれ以上と思われた.
    また, 拡散層の硬度測定を行った結果, 母材のそれよりも高い結果が得られた.
  • 佐谷野 顕生, 田中 俊一郎, 池田 和男
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 118-120
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    It was found that a metallized layer can be formed on Si3N4 ceramics using the paste containing Li2MoO4 and TiO2. X-ray diffraction pattern and SEM observations revealed that the metallized layer consisted of Mo, TiN, Y2O3⋅2SiO2, etc., and that the thickness was around 7μm. Metallized Si3N4 specimens were bonded to steel by Ag-Cu solder after Ni plating. The shear strength of the bonded specimens was about 130MPa at room temperature, 100MPa at 300°C and 50MPa at 500°C.
  • 寺尾 公一, 鈴木 隆夫, 荒堀 忠久
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 121-125
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    固溶値の異なるβ-サイアロン及びSi3N4のステンレス鋼に対する耐食性を回転侵食法により調査した.
    Si3N4に比べサイアロンの耐食性は著しく向上し, 固溶値の増大にともないさらに改善された. サイアロンの溶損はSi及びNの溶解により進行するが, 最終的に表面層は溶鋼中で安定なα-Al2O3を形成し, 内部の溶損を抑制することが判明した.
    鋼中のCrは侵食界面に高濃度となり, またN溶解度を増すために, 高Cr含有のステンレス鋼ほど侵食が激しくなった.
  • 吉尾 哲夫, 小田 喜一, 大岡 一夫, 小田 耕平
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 126-132
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    オートクレーブを用いて, Al2O3-Y2O3-AlNを添加した常圧焼結Si3N4の水熱条件下における溶出挙動について調べた. 溶出試験は, 300℃, 8.6MPa, 1-10日間の水熱条件下で行った. 溶出試験による重量減少は, 時間とともに増加し, 10日間で9mg/cm2に達した. 溶出減量の放物線則によるプロットから, 溶出は2段階の拡散機構で進行すると考えられた. SEMにより, 侵食層は多孔質層とその上に生成する薄片状析出物とから構成されていることが観察された. 侵食層のEPMAとIRの結果より, 侵食層の主成分はNH4+とY2O3を含むアルミノケイ酸塩の水和物であり, Al2O3とY2O3は層中に蓄積されることが分かった. これらの結果は, Si3N4焼結体の溶出挙動, 特に焼結助剤として添加されたAl2O3, Y2O3の役割については, ガラスの侵食機構と関連づけて考察できることを示唆している.
  • 佐藤 次雄, 菅野 佳実, 遠藤 忠, 島田 昌彦
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 133-138
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    SiC, Si3N4及びAlN試料を900°-1200℃の温度域において, K2SO4あるいはK2CO3溶融塩中に浸し, 0.1-20h反応を行わせ腐食挙動を調べた. AlNセラミックスは本実験条件下では, AlON及びα-Al2O3酸化被膜が形成されカリウム塩溶融塩腐食に対し極めて安定であり, ほとんど重量減少を示さなかった. SiCセラミックスはK2CO3溶融塩にはわずかに溶解しただけであるが, K2SO4溶融塩とは定量的に反応し, K2SO4/SiC反応モル比は0.8であった. Si3N4セラミックスは窒素雰囲気下ではK2SO4及びK2CO3溶融塩いずれとも定量的に反応し, 各々の反応モル比はK2SO4/Si3N4=1.6, K2CO3/Si3N4=3.5であった. 一方Si3N4-K2SO4系の反応は空気中では酸化物被膜の生成により抑制された. 窒素雰囲気下におけるSi3N4とK2SO4あるいはK2CO3との反応は, 固液不均一反応における表面化学反応律速の速度式に良く適合し, 見掛けの活性化エネルギーはそれぞれ724kJ/mol及び126kJ/molであった.
  • 吉村 昌弘, 加瀬 準一郎, 宗宮 重行
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 139-144
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    高純度Si3N4粉末と高温高圧のH2O (10, 100MPa・200°-800℃) の反応について調べた. Si3N4は200℃以上でH2Oと反応して, アモルファスシリカとアンモニアを生成した. アモルファスシリカは, 酸化反応がほぼ終了した後, 400℃以上でクリストバライトとキータイトに結晶化した. 重量増加から酸化反応率を計算したところ, 反応は拡散律速により進行しているものと考えられ, 見掛け上の活性化エネルギーは, 液相のH2Oによる酸化反応で70-80kJ/mol, 気相では130kJ/molであった. 液相の値はシリカ中のH2Oの拡散について報告されている値に近く, Si3N4のH2Oによる酸化は, アモルファスシリカ層中のH2Oの拡散により律速されているように思われる. 気相のH2Oによる酸化は, 表面がシリカ層により一様に覆われた後は, 液相のH2Oによる酸化に比べ, 極めて遅くなる.
  • 伊藤 秀章, 加藤 守, 杉山 幸三
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 145-150
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    AlBr3, N2, H2及びArからなる反応混合ガスを用いるプラズマCVDにより, 黒鉛基板上に均一な密着性のよい窒化アルミニウム (AlN) 膜がコーティングされた. AlN被覆黒鉛試料 (15×10×1mm) の耐酸化性試験を空気中 (相対湿度: 約50%) で, 室温-1200℃の温度範囲で行った. 熱重量分析の結果, 試料の耐酸化性はAlN膜の配向性と膜厚に依存することが分かった. c軸配向性の高いAlN厚膜 (膜厚>15μm) で均一にコーティングを行うと, 1200℃においても黒鉛基板の酸化は認められなかった.
    1050°-1200℃の高温では, これらの配向性AlN膜は, 放物線則に従う酸化挙動を示し, 表面のα-Al2O3層はAlN膜の酸化に対して不働態膜として働くことが確認された. しかし, 低配向性のAlN膜は, 1200℃で酸化時間とともにほぼ直線的に酸化され, 黒鉛の耐酸化性膜としては適さない.
  • 翠川 雅士, 井関 孝善
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 151-155
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    セラミックスの耐熱衝撃性を評価する際に広く使用される, 加熱された試料を水中に投入し, その後曲げ強さの低下する臨界温度差を測定する水中急冷法を検討した. 反応焼結法及び常圧焼結法で作られた2種のSiC焼結体の試料寸法と, ヌープ圧子押込荷重を変えた試料に対し上記実験を行い, 反応焼結品の方が耐熱衝撃性に優れていることを明らかにした. また, 試料表面と水との熱伝達係数の試料初期温度に対する変化を測定し, その結果を考慮して急冷によって生じる熱応力を計算した. そして, 場合によっては臨界温度差が複数求められたり, あるいは, 一定の値が求められない場合のあることを示した.
  • 新原 皓一, 平井 敏雄
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 156-158
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    The thermal expansion of chemically vapor-deposited (CVD) Si3N4 was investigated from 20° to 1000°C. X-ray and TEM analyses revealed that CVD-Si3N4 samples prepared from a mixture of SiCl4, NH3 and H2 were only α-Si3N4 and free from impurity phases even at grain boundaries. The thermal expansion was measured using dilatometry, and X-ray diffraction techniques. The bulk CVD-Si3N4 specimens with (110) and (210) orientations indicated a lower coefficient of thermal expansion than those for the specimens with (222) orientation. This difference in thermal expansion may be the effect of the crystallographic anisotropy. In fact, X-ray diffraction technique revealed that the coefficient of thermal expansion of α-Si3N4 is lower in the a axis than in the c axis.
  • 中條 博史, 内海 良和
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 159-162
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    The effects of amount of additives B4C and C on the thermal conductivity and bulk density, and the relation between the thermal conductivity and bulk density were described. SiC containing B4C and C was sintered at 2000° to 2150°C for 60 minutes by pressureless sintering. The thermal conductivity of dense SiC with a relative density of 98% reached 160 to 180W/m·K by 1.5wt% C and 2.0wt% B4C addition. Moreover, it was found that the additives in compact SiC were localized at grain boundaries and within grains. The non-uniform distribution of additives enhanced the thermal conductivity effectively.
  • 逆井 基次, 後藤 泰男, 稲垣 道夫
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 163-168
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    形状及び初期き裂長さの異なるストレートスルーノッチを持つ高密度等方性黒鉛試片について破壊靱性値の持つ意味を弾塑性破壊の立場に立つエネルギー論解析との対応から議論した. き裂を準静的に進展させる過程で除荷-負荷を繰り返し, 荷重-荷重点変位曲線 (P-u曲線) から破壊エネルギーγWOFを測定するとともに, それを弾性エネルギー解放率γeと塑性散逸エネルギーγpとに分離・評価した. また, 線形破壊力学に準じた破壊靱性値[KIC]Yを求め, 破壊エネルギーから計算した値[KIC]γと比較した. 黒鉛材は, 大きな破壊エネルギー (約75J/m2) と大きな塑性変形を持ち, 全破壊エネルギー中に占める塑性散逸エネルギーの割合は40%に達する. 靱性値[KIC]Yは[KIC]γとほぼ等しく, 大きな塑性変形をともなう黒鉛材特有の破壊挙動が[KIC]Y値にも強く反映している. き裂進展にともなう[KIC]Yの変化は, き裂長さa/Wが0.7-0.8付近からその増加に伴って急激な減少を示し, き裂進展に対する自由表面の強い影響と, き裂先端に大きなプロセスゾーンが存在することが示唆された.
  • イットリア添加の影響
    神崎 修三, 阿部 修実, 田端 英世
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 169-176
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    無添加非晶質窒化ケイ素粉末及びイットリアを10wt%添加した粉末を窒素中, 1200℃から1500℃で1時間結晶化した. 得られた粉末を1750℃, 1時間, 49MPaの条件でホットプレスし, 粉末の特性, 焼結性及び焼結体の機械的性質について検討した.
    イットリアの添加は, 非晶質窒化ケイ素のα相への結晶化及びα/β転移のいずれも促進する. 無添加で結晶化させた粉末は形や大きさが不規則になるが, イットリアを添加して結晶化させると微細で均一な粒径のα及びβ窒化ケイ素粒子となる. イットリアを添加後仮焼した場合, 焼結体のかさ密度, 室温及び1200℃での抗折強度は仮焼温度とともに増加するが, 窒化ケイ素を結晶化させた後イットリアを添加した場合は密度, 強度とも高温で仮焼するほど低下する. 仮焼した粉末のα相含有率は焼結体の密度及び強度にほとんど影響を及ぼさない. 非晶質窒化ケイ素にイットリアを添加して結晶化した場合, 焼結性, 機械的性質及び微構造を制御する要因は粉末の形態及び窒化ケイ素とイットリアの反応生成相であると考えられた.
  • 五戸 康広, 太田 博康, 小松 通泰, 米屋 勝利
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 177-181
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    α型窒化ケイ素に適当な加熱処理を加えることによって, 粒状のα型と針状のβ型窒化ケイ素結晶からなる混合粉末を得た. これをコールドプレス成形して常圧焼結すると, β-Si3N4c軸がコールドプレス方向に対して垂直に配向性をもった. 焼結体表面近傍では, β-Si3N4が表面に沿って長柱状に成長するため, 配向性は特異な変化をした. 配向の程度は混合粉末中に含まれるβ-Si3N4の量及び, 成形圧力に依存した. ビッカース微小硬度と3点曲げ強度は, この配向性に由来して異方性を示した.
  • 本城 国明, 進藤 昭男
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 182-188
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    モノメチルトリクロロシラン, 水素, メタン, アルゴンの混合ガスから1200℃に加熱した炭素繊維上にSiCを被覆し, 被覆SiCの構造, 結晶性, 配向性をX線回折法によって調べた. その結果, SiCは最密充てん面の [111] 方向に沿う積層順序がかなり乱れた3C構造と同定された. 更に, ガス中の水素濃度の減少, あるいはメタン濃度の増加によってこの面が繊維フィラメント表面に平行に配向するようになること, またそれに伴って結晶子が粗大になることを認めた. このような結晶子の配向性とサイズの変化は, メタンの過飽和度の増大に起因すると考えられた.
  • 岸 和司, 梅林 正気, 谷 英治, 小林 和夫
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 189-192
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    β-sialon with z=0.5 was fabricated from Al(Oi-Pr)3/n-C6H14 solution containing α-Si3N4 particles. The solution was ball-milled and spray-dried. The powder mixture of α-Si3N4 and Al(Oi-Pr)3 was calcined and then hot-pressed. Three-point bending strength of the materials was measured at room temperature. The fracture origin was investigated by an optical microscope. Sintered β-sialon with z=0.5 was consisted of β-sialon and a small amount of O'-sialon. The bending strength was 81kg/mm2 for the specimens ground with #270 diamond wheel, 85kg/mm2 for those ground with #600 diamond wheel and 97kg/mm2 for those polished with #1500 SiC abrasive paper. The annealing at 1200°C for 1h in air increasing the strength remarkably up to 140kg/mm2(160kg/mm2 in maximum). Most specimens fractured at surface flaw caused by machining.
  • 石沢 健喜, 鮎沢 信夫, 白仁田 昭, 高井 政道, 内田 範政, 三友 護
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 193-195
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    α-Sialon ceramics in the system of Si3N4-AlN-Y2O3 were fabricated by pressureless sintering. The solid solubility range, microstructure and mechanical properties such as fracture strength, hardness, fracture toughness were measured. In the Y-α-Sialon ceramics, there existed a composition range containing a small amount of additive named “partially stabilized α-Sialon” in which α-Sialon and β-Si3N4 coexist. α-Sialon ceramics with excellent mechanical properties can be obtained in this composition range by controlling composition and microtexture.
  • 稲垣 道夫, 浦島 和浩, 豊増 信之, 逆井 基次
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 196-197
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Fracture energies of a sintered boron nitride were measured using chevron-notched compact tension type specimens. During stable crack growth unloading-reloading processes were repeated in order to evaluate the plastic deformation. From load P-loadpoint displacement u diagram, total fracture energy (work of fracture) γWOF was determined as 26.2J/m2 with error of less than 5%, close to a half of which (about 45%) was found to be dissipated by plastic deformation. The results were discussed in the relation with those on graphite materials.
  • 岩佐 美喜男, 村尾 勉
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 198-203
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    窒化アルミニウム焼結体を1700°-2000℃の温度範囲でホットプレス法により作製した. その摩擦摩耗特性をピンオンディスク法で測定し, また摩耗の摺動速度依存性をサバン式試験法により調べた.
    焼結体の特性としては, ホットプレス温度1700℃では気孔が多く, 破壊靱性, ビッカース硬度はかなり低かった. 1800℃以上ではほぼ一定値に達するが, ホットプレス温度とともに粒子成長が激しくなっている.
    ピンオンディスク法により測定されたSiCディスクに対する摩擦係数, 比摩耗量はホットプレス温度とともに上昇した. マイルドな摺動条件では微小な結晶粒子よりなる摩耗粉が固体潤滑作用を示すのではないかと考えられる.
    サバン式試験法によれば各焼結体の比摩耗量はある摺動速度より急速に増加し, 明確なピークを示す. このピークの高さはホットプレス温度とともに低下する. 高速での摩耗は連続的な微小破壊によると考えられ, それゆえ, 破壊靱性やビッカース硬度の高い焼結体ほど摩耗しにくいと考えられる.
  • 市田 良夫, 貴志 浩三, 埴田 友重, 井寄 裕介, 原 久雄
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 204-210
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    常圧焼結β-サイアロンの微粒ダイヤモンド砥石による平面研削実験を試み, 鏡面研削特性に及ぼす砥石粒度の影響を検討した結果, 粒度6/12μm以下の微粒ダイヤモンド砥石による研削では, 連続流れ型の切屑が生成され, 切屑及び仕上げ面の生成が塑性変形を主体とするメカニズムで行われていることが確かめられた. また粒度6/12μm以下の微粒ダイヤモンド砥石による研削では, 破砕面の非常に少ない平滑な鏡面が得られ, 例えば0.5/3μm砥石による研削では, 仕上げ面粗さ約0.03μm Rmaxの極めて平滑な鏡面が得られた. 研削抵抗二分力, 比研削エネルギーUe及び砥石-工作物接触面最高温度 (砥石研削点最高温度) θmは, 砥粒粒径の減少とともに増大する. また砥粒の平均粒径dが約20μm以下の範囲において, Ue及びθmはともに (-logd) にほぼ比例する.
  • 近藤 祥人, 黒島 泰幸, 佃 昭, 岡田 昭次郎
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 211-213
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    A hot pressed silicon nitride ceramic is very difficult to grind and it is expected to be widely applied to the heavy duty use, which does not permit the slightest machining damage. Therefore, the efficient grinding without machining damage is very necessary. In this study, the said ceramic was ground by several diamond grinding wheels in order to find out the relation between material removal rate and machining damage. According to the test results, the efficient grinding was performed using a vitrified diamond wheel of 170/200 grain size and the damaged layer was removed using a resinoid diamond grinding wheel of 270/325.
  • 万波 和夫, 酒井 恒蔵, 奥宮 正太郎
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 214-223
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ZrB2は, 高融点, 高硬度, 低電気抵抗, 更には溶融金属, スラグに対する耐食性が高いなどの特長を持つ. 特に電気抵抗が低いことから (15μΩ・cm), ZrB2を主成分とする複合焼結体の放電加工の可能性に着目し, 加工特性及び加工メカニズムについて検討した.
    その結果, ワイヤー放電加工, 形彫り放電加工ともに加工速度は金型用鋼の50-70%, 超硬合金の1.5-2倍であり, 実用的加工が可能なことが分かった. また加工後の組織観察などから, 加工は放電による溶融と, ぜい性破壊の両方で進行すると考えられる. 電極材質によって電極消耗は異なるが, どの材質でも極性を (-) としたときの方が消耗は少ない. また消耗が少ないときの電極には, ZrB2成分が多量に付着しているので, これが保護層の役割を果たしていると考えられる.
  • 高橋 研, 神保 龍太郎, 松下 安男, 小杉 哲夫
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 224-228
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    SiC-ZrB2系導電性複合セラミックスについて, SiCとZrB2の体積比と複合材の抵抗率及び抵抗率の温度変化との関係を調べた. 試料はホットプレス法を用いて作製し, 抵抗率をPauw法を用いて室温と800℃の間で測定した. 結果を複合材の導電モデルと比較した. 複合焼結体の抵抗率は, SiC単独の場合の値からZrB2の体積率が増すとともに減少し, 30%以上のときにNi-Cr合金やステンレス鋼などと同等の値になる. ZrB2の体積率が40%以上のとき, 組成と抵抗率との関係は実効媒質理論によく合い, 系は相関性のない粒子配列を持つとみなせる. それ以下ではZrB2粒子のつながりを考慮する必要があり, 23%以上のところでパーコレーション理論が成り立つ. 抵抗率の温度変化には, 組成に応じてSiCの特性とZrB2の特性が組み合わさって現れる. この結果によれば, ZrB2の体積率がさらに小さい場合にも, ZrB2の部分的なつながりが系の抵抗率を低下させていることを考慮する必要がある.
  • 岡野 一雄
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 229-235
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    SiC焼結体の焼結条件と電気物性の関係について検討を行った. 焼結助剤としてホウ素と炭素を添加したSiCを1950°-2200℃で真空焼結した. 焼成後の冷却速度は5℃/min及び35℃/minとした. 試料の電気物性は焼成温度に依存した. 2000℃以下で焼成した試料の電気伝導度は測定温度, 電圧に依存しなかった. 一方, 2050℃以上で焼成した試料の電気伝導度は温度依存性, 電圧依存性を示した. これらの結果を説明するため, 電気伝導機構を2種類に分けた. 一つは粒界に沿って流れる電流であり, これは2000℃以下で焼成した試料において支配的である. もう一つは粒界を横切って流れる電流であり, これは2050℃以上で焼成した試料において支配的である. 冷却速度が電気伝導度に及ぼす影響は2050℃以上で焼成した試料に顕著に表れた. 急冷 (35℃/min) した試料の電気伝導度は徐冷 (5℃/min) した試料より大きく, この効果は室温以下で顕著であった. 高濃度の局在準位を持つシンメトリーショットキーバリヤーモデルを提案し, 冷却速度の差による電気伝導度の差を局在準位の濃度差によって説明した.
  • 峠 登, 神田 君夫, 南 努
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 236-241
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Tl-Ge-Se系カルコゲナイドガラスについて, 直流伝導度や熱起電能などの電気的性質を, ガラス転移温度Tgとともに調べた. Tgの組成依存性は, Tl2Se-GeSe2擬二成分系を境にして異なった傾向を示した. すなわち, Tgは, これよりSeの多い領域ではGe含量に, Seの少ない領域ではTl含量に主として依存した. また, 伝導度σ25と伝導の活性化エネルギーEσは, Tl含量とともにほぼ単調に変化した. 一方, ゼーベック係数S25は, すべてのガラスで正であり, 組成Ge20Se45Tl35付近で極小値 (ほぼ0) を示した. 同じ組成域において, 熱起電能の活性化エネルギーEsEσの間に大きな差異が認められた (Es<Eσ). 以上のようなS25Esの小さな値は, これらの組成のガラスでは, 電気伝導の荷電担体は主として正孔であるが, 電子の寄与もかなり増加していることを示すものと解釈される.
  • 1986 年 94 巻 1085 号 p. 241
    発行日: 1986年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 木戸 博康, 星川 武, 田上 正彦, 島田 昌彦, 小泉 光恵
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 242-245
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    3成分系希土類マンガンケイ化物RMnSi (R=Ce, Nd, Sm) を合成し, その磁気的電気的性質を調べた. RMnSiの結晶構造は, 正方晶PbFCl型であり, その格子定数はランタニド収縮によりRの原子番号の増加とともに減少した.
    CeMnSiは77K以上で常磁性を示し, NdMnSiとSmMnSiはそれぞれ153および172Kにネール温度を持つ反強磁性体であった. これらの結果から77K以上におけるRMnSiの磁気的性質は, 主にMnスピン間の磁気的相互作用に基づくものであり, その強さと符号はMn間の距離に依存することが明らかになった. また, RMnSiの常磁性キュリー温度が正であることから, 層内におけるMnスピン間には強磁性的相互作用が働いていると考えられる.
    電気的には, CeMnSiは220K以下で半導体的伝導性を示し, NdMnSiとSmMnSiは金属的伝導性を示した.
  • 逆井 基次, 梅崎 哲春, 稲垣 道夫
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 246-251
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ピッチをマトリックスとし, 球形炭素粒子 (カーボンブラック及びカーボンビーズ) をフィラーとする分散系の粘弾性特性をねじりクリープ法によって測定した.
    カーボンブラックとしては平均粒径が0.3μmでほぼ独立した粒子からなるサーマルブラックを選んだ. また, 比較のために, それを約3000℃まで加熱処理したもの, 及び37μm以下の粒子からなるカーボンビーズも用いた. 50°-80℃における定常クリープコンプライアンス及び定常粘度を測定温度, フィラー容積分率の関数として決定した. 粘度の温度依存性は直線で近似でき, 流動のための活性化エネルギーは, フィラーの種類, 量によらず2.8×105±0.1J/molであった. 粘度の絶対値はフィラーの添加によって増大し, その増大の割合は特にカーボンブラックで顕著であった. これら分散系の粘度をフィラーの容積分率との関係で見ると, カーボンビーズ分散系の場合はほぼ一般的な分散系の範囲に入るのに対して, カーボンブラック分散系は極端に大きな粘度を示す. カーボンブラックの場合粒子表面にかなり厚い吸着層が生じていることが示唆された.
  • 李 潔, 楠 泰一, 服部 信
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 252-255
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    疎水性のAs2S3, As2S5と, 比較的親水性といわれるCdSについて, アルコール水溶液を用いてぬれの尺度となる接触角及び親和性の尺度となる浸漬熱を測定し, 両者の対応が親 (あるいは疎) 水性をどう反映するかを調べた. アルコール (メタノール又はエタノール) 分子の水酸基がすべて水と水素結合網目をつくり, 自由度が最低となる組成 (アルコールのモル分率が0.2-0.3) では, アルキル基は束縛されず固体表面で相互作用がしやすくなる. この組成でAs2S3は接触角が極小を示し, 浸漬の発熱は極大となった. すなわちAs2S3表面は親油性であることを示す. 一方, β-CdSではこれと全く逆の傾向が現れた. このように溶液構造に対応して, これら硫化物の接触角と浸漬熱の溶液組成への依存性に, それぞれの表面の親水性あるいは疎水性を反映した特徴が認められた. As2S5とメタノール水溶液の接触角には, 溶液組成による極小値は認められなかったが, アルコール高濃度域ではAs2S3と類似した変化を示す. As2S3とAs2S5の水との接触角はそれぞれ79°及び109°であり, メタノールとの接触角はそれぞれ26°及び0°であった. この結果は, As2S5の方が疎水的であることを示すが, これはAsが疎水的なSで四面体的に囲まれ, 表面が疎水性になるためであると考えられる.
  • 李 潔, 服部 信
    1986 年 94 巻 1085 号 p. 256-257
    発行日: 1986/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Contact angle measurements have been carried out on powders of α-Si3N4 and β-SiC using water, formamide, methylene iodide and n-nitropropane as wetting liquids. The dispersion and polar components of the surface free energy, γsd and γsp, have been calculated from the contact angle data by geometric mean approximation which has previously been applied to estimate the surface free energies of arsenic chalcogenides. For α-Si3N4, γsd and γsp were 17 and 28-35mJ·m-2, respectively. For β-SiC, they were 37 and 2-3mJ·m-2, respectively. The present results suggest that the surface of β-SiC is much less polar than α-Si3N4.
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