窯業協會誌
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87 巻, 1012 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 東 保男, 末廣 建介
    1979 年 87 巻 1012 号 p. 597-602
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    石英を1-24時間摩砕して生成した無定形シリカ量を種々の方法で測定した結果, 測定法による相異が見いだされた. すなわち, 転移熱法 (DTA)>真比重法>水酸化ナトリウム溶液による溶解法及びα-クリストバライト化 (X線回折法) の順序であった.
    本実験のような短時間の摩砕では石英の無定形化は不完全 (部分的) であって, 無定形シリカに至る中間状態として格子欠陥, 転位, 表面の格子不整のような種々の不整状態が存在する. そのため, いわゆる無定形シリカ含有量は測定法によって相異する. NaOH溶液による溶解及びα-クリストバライト化による値はシリカゲルのような無定形シリカに相当し, 転移熱及び比重による値は無定形シリカのほかに上述の不整シリカを含んでいる. このような理由で後者は前者より大きな値を示すものと考える.
  • 高ケイ酸ガラスの製造と応用に関する研究, 第5報
    江口 清久, 垂水 修二, 花岡 治清
    1979 年 87 巻 1012 号 p. 602-606
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    分相したホウケイ酸ガラスの酸処理中の伸縮の原因をNa2OとB2O3の溶出量の測定及び酸の温度, 濃度の影響について測定することによって検討した.
    濃い酸又は低温の酸で処理すると, その初期に異常な膨張と収縮が起こることを見いだした. この異常な膨張と収縮は割れの原因になる.
    濃い酸又は低温の酸では溶出の初期にNa2Oが選択的に溶出され, 続いてB2O3が溶出する. ある厚さの多孔性のケイ酸層が生成すると酸に溶出したNa2O/B2O3比は大略母体ガラス中のNa2O/B2O3比と同じになる.
    異常な膨張と収縮の原因は次のように説明することができる. 酸の温度が低いとB2O3の溶解度が極端に低くなり, そのためにNa2Oの溶出量が相対的に多くなるため, Na+と大きいH3O+の交換によう膨潤が強く起こり, これに続いて, ガラス構成酸化物のB2O3が溶出して≡Si-O-Si≡骨格の収縮が起こる. このように膨潤と収縮が分離して起こると推定される. また, 酸濃度が高いときの異常な伸縮の原因も同様に酸の濃度が高くNa2Oが選択的に溶出すると考えて説明できる. 更に, ある厚さの多孔性のケイ酸層が生ずるとこれらがB2O3とNa2Oの溶出をコントロールするものと推定される.
  • 梅林 正気, 小林 和夫, 中島 貴与志
    1979 年 87 巻 1012 号 p. 607-613
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ケイ砂とAlから得た, ステアタイト混入量の異なった, 3種類のサイアロン熱間加圧焼結体 (HQ45-A: ステアタイト混入量0wt%, HQ45-B: 1wt%, HQ45-C: 同じく5wt%) を1300°-1500℃, 乾燥空気中で20時間酸化し, 酸化速度, 酸化被膜の組成及び微構造を調べ次の結果を得た.
    (1) サイアロン熱間加圧焼結体の酸化特性はステアタイト混入量の増加とともに著しく悪くなった.
    (2) 各焼結体の酸化速度は放物線則によく適合したといえる.
    (3) 各焼結体上の酸化被膜中の結晶相はムライトであったが, B及びC試片では, 1300°-約1400℃でコージェライトが生成した.
    (4) 1300℃におけるA試片には粒状のムライトが生成し, 1500℃で局部的に液相が生成した. 一方, B及びC試片では既に1300℃で液相が生成し, 1500℃では全面に生成した. 液相中には多数の発泡の跡, 及び粗大化したムライトの結晶粒が観察された.
  • 露木 尚光, 広瀬 孝志, 笠井 順一
    1979 年 87 巻 1012 号 p. 614-622
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    アルミナセメント-Ca(OH)2系の水和特性は混合するCa(OH)2の量によって著しく異なる. 本報ではこの水和物におけるCa(OH)2の挙動を検討した. ポルトランドセメント-CaSO4・2H2O系にも最適混合比があるように, アルミナセメントにCa(OH)2を加えるときも同様である. この場合, アルミナセメント100重量部に対してCa(OH)2 20-25部が強度からみた最適混合比である.
    混合比によって凝結時間, 短期強度, 遊離CaO, こわばり, 練り殺し現象などの水和特性は全く相反する性質を示す. これらは水和直後のC4AH13水和物とAl(OH)3ゲルとの量的バランスに起因する.
    混合比にかかわらず初期のこわばり現象はC4AH13の生成によるが, Ca(OH)2 35部以上から練り殺し現象によって直ちに, しかも容易にC3AH6に転化する. このため, 硬化体の強度低下は60日材令でもほとんど起こりにくい. しかし, 大過剰のCa(OH)2を混合する場合, すなわち, 貧Al(OH)3ゲルの条件では転化速度は遅くなり, 再びC4AH13の生成が顕著になる.
  • 林 剛, 井上 章, 荻原 通弘, 大津賀 望
    1979 年 87 巻 1012 号 p. 622-632
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    土状で産出する粘土原料は粒子の凝集, 付着現象を生じやすく, また含有水分がこれらの現象に強い影響を与えるために乾式操作による精製が一般に困難である. しかしケイ酸エステルを粉砕助剤として添加した場合にこのような現象が抑制され, 粒子が分散状態となって粉砕が促進され, かつ分級効率が向上することをロウ石の乾式精製実験によって明らかにした. ケイ酸エステルは水分と反応してアルコールを生成し, また部分加水分解物が粘土粒子表面に吸着してはっ水性を与える作用を有する. テトラエチルシリケートとテトラn-ブチルシリケートについて, それぞれの粉砕工程における助剤効果を粉砕物の比表面積から, また分級工程における助剤効果を微細粒製品の比表面積, 粒度分布, 化学組成及び鉱物組成から検討した. 更に微細粒製品の収率と精製状態に対して, 粉砕の進行状態と助剤添加量及びその加水分解速度などが相互に与える影響について考えた.
  • 浜野 健也, 太田 滋俊, 尾崎 義治
    1979 年 87 巻 1012 号 p. 632-641
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    アルミナの焼結に対する希土類酸化物 (Y2O3, La2O3, Sm2O3, Er2O3) 添加の影響を, 収縮率の測定や微構造の観察から検討した. いずれの希土類酸化物も1500℃までの昇温過程ではち密化を阻害するが, 1500℃で保持した場合には, Sm2O3とEr2O3は焼結を促進し, Y2O3とLa2O3は焼結を妨げた. また, 1700℃以上の焼成温度ではいずれの希土類酸化物もアルミナのち密化を促進し, 特にEr2O3を添加した場合が最も高密度の焼結体が得られた. このアルミナ-希土類酸化物系の素地では低温度で液相を生成することもなく, 一般に固溶もしなかったため, アルミナ希土類酸化物との反応性, 焼成中の複酸化物の生成に伴うイオン拡散や体積変化, 第2相としてコランダム粒子間に存在する状態などがち密化に影響を与える要因となっているものと考えられた. いずれの添加試料もアルミナと複酸化物との共融温度より50°-100℃低い温度で焼成した場合には, 異常粒子成長が観察された. また共融温度以上で焼成した場合には, 生成した液相とコランダム粒子とのぬれ性の差により, 組織に大きな影響を与えることが分った.
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