LiCl及びNaClの両フラックスを出発原料として, 塩基性炭酸マグネシウムとα-石英を使用し, 徐冷法により, 各種条件下でMg
2SiO
4の結晶成長を図った. 保持温度及び
R (出発原料/フラックス), 更に生成結晶の成長に及ぼすLi
+, Na
+の効果と考えられる要因により, 形状の異なるMg
2SiO
4を始め, Li
2MgSiO
4, MgSiO
3の結晶の生成及び成長があり, 次のような結果が得られた.
(1) LiClフラックスを使用すると, いかなる条件下においても, Mg
2+にLi
+が置換したLi
2MgSiO
4が副生する. しかし, これらの大部分は, JIS 200メッシュ (粒径74μm) のふるいを通過できず, 他の生成物と分離できる. また, 生成物は
R<0.04において, Li
2MgSiO
4,
R>0.04ではMg
2SiO
4が主な生成物となる.
なお, Mg
2SiO
4は800℃から生成し, 保持温度1000℃,
R=0.10, 保持時間8h, 徐冷速度20℃/hの条件下でLi
+の媒晶イオン効果と考えられる角柱状の35μmに達するMg
2SiO
4結晶を得た.
(2) NaClフラックスの使用において, Mg
2SiO
4及びMgSiO
3の生成条件は, 次のようである. (1) 保持温度1100°-1150℃では
R=0.02-0.08, (2) 保持温度1200℃では
R>0.04.
なお, 保持温度1200℃,
R≦0.04においては, MgSiO
3は生成せず, Na
+の媒晶効果と考えられるMg
2SiO
4の板状晶が生成した. その最大結晶は, 約500μmに達するが, 厚さは1-3μm程度の極めて薄いものであった.
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