窯業協會誌
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85 巻, 986 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 藤木 良規, 泉 富士夫, 大坂 俊明, 渡辺 遵
    1977 年 85 巻 986 号 p. 475-481
    発行日: 1977/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    四チタン酸カリウム (K2Ti4O9) の吸湿と吸水性及び熱的挙動について, TG, DTA, IRスペクトル, 高温X線回折の方法により研究した. K2Ti4O9の合成結晶質粉末の大気中における吸湿は100時間で3.5wt%まで増量して一次飽和するが, 更に700時間で9wt%に達して飽和した. この吸着水分は層間水として1席を占有する. 本相の熔融点はDTAを用いて1114℃±10℃と決定した.
    室温で48時間蒸溜水中に浸漬したK2Ti4O9相は12.1wt%まで水分を吸着した. この水分は層間水と結合水の2席を占有する. 本相は750℃以上に加熱するとK2Ti6O13相へ移行した. この相変化は加水分解によりK+イオンが溶脱されたためである.
    室温で40時間1規定酢酸溶液中に浸漬したK2Ti4O9相は16.4wt%まで水分を吸着した. この水分は層間水と2種類の結合水に相当する3席を占有する. 本相は700℃以上の温度で若干のK2Ti4O9相を伴うが大部分はアナターゼ型TiO2に移行する.
    K2Ti4O9相のIRスペクトルを250-700cm-1の範囲内でKBr錠剤法で測定した. 510cm-1, 460cm-1, 420cm-1 (肩), 300cm-1の波数において特徴的な吸収帯を示し, これらは吸湿と吸水性の相違に基づいて変化した. また, K2Ti4O9相のCa2+イオンに対する陽イオン交換反応を試みた結果, 交換容量として0.25meq/gを示した.
  • 関谷 忠, 松下 徹
    1977 年 85 巻 986 号 p. 481-487
    発行日: 1977/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ナフテン酸バナジウムのブタノール溶液を基板に塗布し, 乾燥後, 空気中あるいは窒素雰囲気中で焼成することによって酸化バナジウムの薄膜を生成させた.
    薄膜の生成過程をTGA, IRスペクトル, 電子線およびX線回折によって調べた.
    薄膜中にナフテン酸バナジウムの加水分解によって生成した非晶質酸化バナジウムは焼成温度の上昇とともに次第に結晶化し, 空気中または窒素雰囲気中で600℃, 20分間焼成することによって, それぞれほとんどV2O5またはVO2からなる薄膜が得られた.
    塗布-乾燥-焼成 (窒素雰囲気中600℃, 20分) の操作をくり返し, そのつど薄膜の電気抵抗を測定すると, くり返し回数が2回日から約60℃に転移が現われはじめ, くり返し回数の増加とともにその転移は顕著になった.
    基板に合成弗素金雲母のへき開面を用いると, 基板面の結晶性によって薄膜の結晶性が増し, 電気抵抗の転移はスライドガラスおよび透明石英ガラスを基板に用いた場合よりもさらにシャープになった.
  • 稲田 博
    1977 年 85 巻 986 号 p. 487-496
    発行日: 1977/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    貫入は食器類ではもっとも重大な欠陥の一つである. 貫入発生の主な原因は釉と素地との熱膨脹係数の不適当な組合せのために釉中に生ずる応力である. 本報告では釉中の応力によって生ずる複屈折を測定することによる磁器釉中の応力の迅速測定法を述べる. 測定は偏光顕微鏡下で石英光楔と石膏検板を用いる方法によった. 試料食器よりの試片の切り出しには超音波駆動の切り出し工具を用いた. 切り出しによって釉中の応力が緩和することのないような寸法をあらかじめ決定した. 同一製品中の場所による応力のばらつきを測定し, 製品開発, 生産管理の目的に対しては一試料一試験片の応力測定で充分なことを確かめた.
    多数の貫入品および無貫入品の釉中応力を測定した. 貫入品の釉中応力は常に引張りで, +10-+500kg/cm2の範囲にあり, 無貫入品のそれは+200 (引張り)--1100kg/cm2 (圧縮) の範囲にあることが見出された. 無貫入品の圧縮応力は大部分-500--800kg/cm2の範囲にあった. また国産および外国製食器の釉中応力を測定した. 大部分のものは圧縮応力がかかっていたが, 少数のもの, 特にビトリアスチャイナ (vitreous china) のあるものでは多少とも引張り応力がかかっているのものが見られた.
  • 西野 忠, 桜井 正
    1977 年 85 巻 986 号 p. 496-500
    発行日: 1977/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    酸化クロムCr2O3を塩基性物質の共存下で加熱するとCr3+→Cr6+酸化反応が起こり, 塩酸可溶のクロム酸塩を生成する.
    本研究は前報に引続き, 固体酸塩基の概念を定量的に把握する目的で, 主としてIIa族とIV族との複酸化物を合成し, Cr2O3との反応によって得られるクロム酸塩生成率を比較検討し, また同時に反応過程を追跡した.
    IIa族-IVa族系複酸化物では, CaTiO3, SrTiO3は酸性, SrZrO3, BaZrO3は塩基性と見なされる. CaZrO3, BaTiO3両者も塩基性の範ちゅうに入るが塩基度はやや低い. BaO-SiO2系化合物やBaAl2O4も固体塩基といえるがCr2O3との反応様式は炉内の酸素分圧に大きく依存することが判った. SrSiO3, BaAl12O19は共に酸性といえよう.
  • 有岡 雅行, 小久保 正, 田代 仁
    1977 年 85 巻 986 号 p. 501-506
    発行日: 1977/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    粘稠な一致熔融組成の融液から, 一方向凝固法により, 緻密な配向性多結晶体を製造する基礎的条件を明らかにする目的で, Li2O・2SiO2組成 (モル比) の融液を種々の粘土坩堝に入れ, 上下方向に温度勾配のついた電気炉中で下から上に向け一方向に種々の速度で凝固した. 上記の融液をいずれの坩堝中で凝固した場合もc軸方向に伸長したLi2O・2SiO2柱状晶からなる凝固物が得られたが, その配向性は坩堝の種類により, 次のように変化した. 何も敷かない粘土坩堝の場合には, 柱状晶は底面から種々の方向に伸長したが, 底に白金板, Li2O・2SiO2結晶粉末焼結体及びLi2O・2SiO2ガラスセラミック層を敷いた粘土坩堝の場合には, この順に, 柱状晶は坩堝底面に垂直に伸長する傾向を強め, 特にガラスセラミック層を敷いた坩堝の場合には, その配向がほとんど完全であった. 柱状晶の径は, 凝固速度が, 0.7から13mm/hに増加するに従い, 580から340μmへ減少し, 結晶径Dと凝固速度R, との間にはDR-1/6なる関係が認められた.
  • 三小田 真彬, 曳野 禎, 早川 茂
    1977 年 85 巻 986 号 p. 507-517
    発行日: 1977/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    弗素を含む鉛ガラスの横波音速および遅延時間の温度による変化について, 化学組成を変数として重回帰分析し, これらの組成依存性を調べた.
    化学組成は原子%を基準とした場合がもっとも回帰式への適合性がよく, 化学組成 (原子%) と横波音速との間にはつぎの回帰式が成立した.
    K2O-PbO-PbF2-SiO2系ガラスでは v=38.22-8.34[Si]+2.89[K]-32.48[Pb]+47.39[O]-27.28[F] KF-PbO-SiO2系ガラスでは v=3240.16-0.69[Si]+360.96[K]-70.75[Pb]-2.28[O]-405.98[F]
    これらの式を用いて計算した値と実測値との平均偏差は0.01%であった.
    遅延時間の温度係数に対する直線回帰式の適用は困難であったが, RO-PbF2-SiO2系ガラスの遅延時間の温度係数は, R2+イオンのイオン半径が大きくなるにしたがって増大した.
  • 岡本 祥一, 岡本 敞子
    1977 年 85 巻 986 号 p. 518-522
    発行日: 1977/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    水酸化第一鉄沈殿は, 沈殿生成の際に水溶液中に共存する多くの重金属イオンを共沈除去し, 水質を浄化する作用が強い. 共沈機構は, CdI2型の水酸化第一鉄結晶への各種金属イオンの置換固溶である場合 (Mg2+, Zn2+, Cd2+, Mn2+, Co2+, Ni2+) もあるが, Hg2+およびCu2+の場合には, 酸化還元反応が優先する新しい共沈機構によることが明らかとなった. 水酸化第一鉄沈殿の酸化の機構について, 沈殿結晶の固液界面における酸化反応の生ずる位置が異なるため反応生成物が異なると考え, topotacticな酸化と, 溶解析出を伴う酸化とに区別して, 新しい共沈機構について考察を加えた.
  • 大石 行理, 安藤 健, 松広 啓治
    1977 年 85 巻 986 号 p. 522-524
    発行日: 1977/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 85 巻 986 号 p. 524
    発行日: 1977年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 85 巻 986 号 p. A53-A62
    発行日: 1977/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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