窯業協會誌
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88 巻, 1023 号
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  • 耐火物の熱衝撃による破壊現象の研究, 第5報
    熊谷 正人, 内村 良治, 岸高 寿
    1980 年 88 巻 1023 号 p. 645-652
    発行日: 1980/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    アルミナ-シリカ質を中心とした耐火物の耐熱衝撃性に関連して, 円筒状耐火物の熱衝撃試験時のAE特性と破壊エネルギー, 気孔径分布を始めとする種々の物性値との対応を検討した.
    その結果,
    (1) AE法によって求めた, き裂の不安定伝ぱの難易と破壊エネルギーγWOF, 熱衝撃損傷パラメーターR''''との間にはよい相関が認められ, 円筒法によって耐熱衝撃性を評価できると考えられる.
    (2) 本報における検討範囲内では, 破壊エネルギーγWOFと単位面積のき裂進展による解放ひずみエネルギーの計算値γCALの比がγWOFCAL=0.4-0.6となる肉厚で, き裂の伝ぱ挙動が安定から不安定へ遷移する場合が多かった.
    (3) 気孔径分布が小さい気孔径の方に偏っている耐火物ほど, き裂は不安定伝ぱしにくく, 耐熱衝撃性に優れる傾向にある.
    (4) 粗粒と微粉部の融着が進んでいない耐火物は耐熱衝撃性に優れる場合が多い.
    (5) 弾性率の温度変化で, 中間温度域での上昇の程度と耐熱衝撃性の関連については, 上証 (1), (3), (4) の場合ほど明確な傾向は認められなかった.
  • 井上 耕三, 松田 応作, 大門 正機, 近藤 連一
    1980 年 88 巻 1023 号 p. 652-657
    発行日: 1980/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ケイ酸塩ガラスの耐アルカリ性に及ぼすZrO2の作用を明らかにすることを目的として, SiO2ガラス, SiO2-ZrO2-Na2O系ガラス及びSiO2-TiO2-Na2O系ガラスについてアルカリ侵食時の活性化エネルギーの測定, 侵食後の表面分析及びアルカリ溶液にZrOCl2, Ti(SO4)2, Na2SiO3を添加した時の侵食量の測定を行い, ガラス組成と侵食機構の関係について検討した. SiO2ガラス, SiO2-ZrO2-Na2O系ガラス及びSiO2-TiO2-Na2O系ガラスいずれもアルカリ侵食の速度式はSn=kt (S: 侵食厚さ, n: 定数, k: 速度定数, t: 時間) で表され, 侵食時の見掛けの活性化エネルギーはいずれも約20kcal/molであった. SiO2-ZrO2-Na2O系ガラス, SiO2-TiO2-Na2O系ガラスがアルカリ侵食を受ける場合, ZrO2, TiO2の侵食表面への残留率は類似していた. これらのことより3種類のガラスのアルカリ侵食機構は類似したものと見なされる. 従来ZrO2含有ケイ酸塩ガラス耐アルカリ性発現は主として保護膜生成によるとされているが, 本実験条件下では保護膜の生成は認められなかった. SiO2-ZrO2-Na2O系ガラスはアルカリ溶液中のジルコニウムの存在により侵食速度が著しく低下した. このことよりZrO2含有ケイ酸塩ガラスの耐アルカリ性発現原因の一つとしてジルコニウム含有化合物のガラス表面への吸着が考えられた.
  • 東 伸行, 山田 留
    1980 年 88 巻 1023 号 p. 658-665
    発行日: 1980/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Si, SiO2, Mg及びCuの配合組成比を変えた混合粉末成形体を窒素中1470℃まで加熱し重量と体積変化を調べ反応過程を比較検討した. 更に組成比の異なる成形体の内部組織及び生成相の検討を行い, 次の結果を得た.
    (1) 成形体の重量及び体積はSi/SiO2モル比により著しく異なる. すなわち, Si/SiO2=5と増した粉末成形体の重量及び体積は顕著に増大した. その成形体は表層部から内部にかけて一様にふくらみ, Si2ON2繊維状組織の生成が認められた. Si/SiO2=2.2の成形体内部では, かさ (嵩) の多いマトリックス溶融体が生成し, その周辺の空げき部分にはMg-シリケート系ガラスとSi2ON2の混合相が繊維状に生成した. Si/SiO2=1と小さいとき, その内層部はち密な焼結体となった.
    (2) 液相に対する窒素溶解量は, Si/SiO2比を増すほど増加し, 反応温度の上昇及び反応時間の経過とともに増大した. すなわち, Si/SiO2=5のSiリッチになった液滴への窒素溶解量はSi/SiO2=1のシリカリッチとなるそれに比べて大きい値を示した.
    (3) Mg添加量の少ない場合, 成形体内部では微細な繊維状組織が溶融体周りの間げきの随所に認められた. 一方, Mg添加量の多いとき, マトリックス溶融体及びSi-Mg合金にはそれぞれSi2ON2結晶の析出が認められたが, 繊維状組織の生成は著しく減少した.
    (4) Cu添加量による生成相への影響は認められない. しかし, Cu添加量を増したとき成形体はふくらみMg-シリケート系ガラスとSi2ON2との混合相とみられる繊維状組織が認められた.
  • 太田 滋俊, 浜野 健也, 中川 善兵衛
    1980 年 88 巻 1023 号 p. 666-673
    発行日: 1980/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    アルミナに2.00wt%のEr2O3を添加して, 主に後期段階の焼結性や微構造に与える影響を検討した.
    1700℃以上で焼成した場合には昇温中にAl2O3-Er2O3間の固相反応が終了し, 生成した3Er2O3・5Al2O3が第2相成分として影響を与えていることが分った. アルミナ単味試料ではコランダムの粒子内に気孔を取り込み, 粒度分布の幅が広がる傾向があったが, Er2O3添加試料では気孔の取り込みの少ない均一な粒径で高密度の焼結体が得られた. これは, 3Er2O3・5Al2O3粒子がコランダムの粒界に存在してコランダムの急激で局部的な粒子成長を抑制するためと考えられた. 粒子成長の機構もアルミナ単味とは異なるものと推定された. また3Er2O3・5Al2O3粒子もコランダムの粒子成長に伴って成長するが, これは主としてEr3+がコランダム粒界を拡散することによるものと考えられ, このようなEr3+の拡散によりコランダム粒界の性質も変化し, 焼結性にも影響するものと考えられた.
    1760℃で焼成を行うとEr2O3添加試料ではコランダムの異常粒子成長が観察された. この異常粒子成長は, コランダムと3Er2O3・5Al2O3との界面エネルギーが焼成温度によって変化するためであると推察した.
  • 宮崎 憲治, 萩尾 剛, 小林 和夫
    1980 年 88 巻 1023 号 p. 673-680
    発行日: 1980/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    炭化ホウ素を0-50wt%の範囲で添加したフェノールホルムアルデヒド樹脂炭粉末 (700℃焼成品) を200kg/cm2の加圧下で1400°-2200℃の温度で焼成を行い, 加圧焼成温度及び炭化ホウ素の添加量が得られる焼成体の物性及び焼成体中のフェノールホルムアルデヒド樹脂炭の黒鉛化挙動に与える影響を検討した.
    その結果, 加圧焼成温度が2000℃以上において, 炭化ホウ素の添加量が焼成体のかさ密度, 曲げ強度及びフェノールホルムアルデヒド樹脂炭の黒鉛化に著しい影響を与えることが明らかとなった.
    特に著しい炭化ホウ素の添加効果が認められた2200℃焼成の場合でも, フェノールホルムアルデヒド樹脂炭の (002) 回折線図形は常に26°成分 (乱層構造成分) と26.5°成分 (黒鉛構造成分) からなる複合図形を示した.
    フェノールホルムアルデヒド樹脂炭は, 反射顕微鏡下では光学的異方性が弱い部分と光学的異方性が強い部分の2種観察され, 光学的異方性が強い部分は, 黒鉛化が進行した部分であり, そのc面は製造時の加圧面にほぼ平行に配向していることが推定された.
  • 西田 俊彦, 西川 友三
    1980 年 88 巻 1023 号 p. 680-686
    発行日: 1980/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ホットプレスで作ったAlN焼結体の3点曲げクリープ挙動を調べた. 実験は黒鉛製のナイフエッジを用い窒素ふん囲気中で, 40-1400kg/cm2の応力範囲, 1520°-2000℃の温度範囲にわたって行った. ひずみ速度と応力の関係から求めた応力指数 (n) の値は, 充分ち密化した試料で1.0-1.2, 4-5%の気孔率をもっ試料で1.3-1.6程度であり, クリープの主な律速機構は拡散であろうと推定された. 応力指数が1よりも少し大きくなった理由について, (1) 転位の運動の寄与, (2) 粒界不純物相の影響, (3) ミクロな割れや結晶粒界での分離の進行などについて考察をすすめたが, ホットプレス時間, 熱処理時間の短かった試料の応力指数が大きくなる傾向から, 結晶粒界での分離が生じている可能性が大きいと考えた. しかし, 変形後の試料についての顕微鏡観察からはその証拠を見いだすことはできなかった. 求められたAlN焼結体のクリープの活性化エネルギーは95-110kcal/molであった.
  • 鈴木 一孝, 寺嶋 良充, 加藤 公王, 伊藤 祐敏
    1980 年 88 巻 1023 号 p. 687-693
    発行日: 1980/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ポリアルキルアリルスルホン酸ナトリウムをC3Sに対し混和剤として添加し水和させたときの, 溶出するCa2+, 可溶性シリカの分析, 発熱量, 水和率, 吸着量, ζ電位の測定を行って凝結遅延や水和C3Sへの吸着の機構を明らかにした. 三斜晶C3Sを合成粉砕して, 水C3S比1.3のペーストを作り, 混和剤は0.02%から1.00%の濃度をもつよう添加した. 混和剤の濃度が増すとともに溶出するCa2+, シリケートイオンは増加した. Ca(OH)2の結晶析出と水和率は0.02, 0.06%濃度でわずかに増加したが, それ以上の濃度で減少した. カロリーメーター測定では, 水和発熱ピークは濃度増加とともに遅れたが累積発熱量は0.10%添加まで増加した. それ以上の濃度では減少した. これらから, 減水剤の吸着は, 各ナフタレン核体に結合しているSO3-のうちの幾つかがC3S結晶表面のCa2+に結合することによりもたらされることが分った. SO3-は各ナフタレン核体に存在するため, そのチェーンの間にかなり多くのすきまを残したままで粒子面に平行に吸着されるので, Ca2+, シリケートイオンの溶出は強くは妨げられず, また一部のCa2+はカルシウム塩を作りながらも水和は進行すると考えられる. したがってこの界面活性剤の使用は, C3Sへの0.10%以内の添加で有効である. これらの吸着の変化は, ζ電位の測定により確認された. 負のζ値はSO3-によりもたらされ, また0.02, 0.06%減水剤添加で透過時期に正を示すのはCa2+の吸着によるものであることも理解された.
  • 齋藤 安俊, 丸山 俊夫, 伊藤 正彦
    1980 年 88 巻 1023 号 p. 693-699
    発行日: 1980/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    CoMoO4の相転移挙動を融体より冷却固化した試料を用いて, 示差熱分析, 熱重量測定, X線回折, 電気伝導度測定, 熱膨張計法, 走査型電子顕微鏡観察により研究した. b, a, a'の3種の多形が順次加熱時に出現し, 冷却時にはこの逆に転移が進行した.
    繰り返し加熱・冷却により, ba転移はヒステリシスを伴うことが分った. すなわち, ba転移は一定温度 (≈350℃) で起こり, ab転移は繰り返し数の増大とともに転移温度を低下させながら起こる. この繰り返しの間には試料の粒径の減少がみられた. 粒径の変化によるab転移温度の変化は, 異なる履歴の試料を用いた従来の結果がばらついている一因と考えられる.
    電気伝導度測定によると, aa'転移は約940℃で可逆的に進行し, 空気中ではa相, a'相ともに電子伝導性で, 活性化エネルギーはそれぞれ1.6eVと1.4eVであった.
  • 鎌田 喜一郎, 中島 直, 中村 哲朗
    1980 年 88 巻 1023 号 p. 699-700
    発行日: 1980/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 牧島 亮男, 三友 護, 田中 廣吉, 井伊 伸夫, 堤 正幸
    1980 年 88 巻 1023 号 p. 701-702
    発行日: 1980/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 88 巻 1023 号 p. A65-A74
    発行日: 1980/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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