窯業協會誌
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87 巻, 1001 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 川副 博司, 細野 秀雄, 金澤 孝文
    1979 年 87 巻 1001 号 p. 7-18
    発行日: 1979/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    酸素酸塩ガラス中のカチオンプローブの光吸収, ESR, NMRをガラスのbasicityという立場から総括した. Cu2+のESR (Imagawa basicity) 及びTl+, Pb2+, Bi3+の光吸収 (optical basicity) がLewis basicityを決定する優れた方法であることを強調した. basicityとガラスの性質との関連, 例えば分子屈折や化学的耐久性について議論した. basicityはガラスの性質を予測するのに有用であることが分った. 酸素酸塩ガラス中のCu2+のESRの線幅増大を, Cu2+のまわりの場の局所的ゆらぎに関連づけた. このゆらぎはネットワーク構造のガラスにとっては本質的である. あるガラスのESRで見出された2-site構造は, 巨視的immiscibilityと関連づけられた. これをESR-immiscibilityと名づけた. 過冷却液体状態におけるアルカリとネットワーク構造の運動に関する研究をまとめた.
  • 高田 雅介, 柳田 博明
    1979 年 87 巻 1001 号 p. 19-27
    発行日: 1979/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    酸化物半導体の導電率に及ぼすガス吸着の効果を調べた.
    電子移行過程を伴う化学吸着は半導体の導電率の変化をもたらす. 酸素の化学吸着はよく理解されている. 化学吸着酸素種は温度上昇に伴い次のように移っていく. 1/2O4-→O2-→2O-→2O2-. ほとんどのn型酸化物半導体の導電率は, 空気中で測定すると熱履歴を示す. この現象は化学吸着酸素の挙動で説明できる.
    SnO2, ZnO, Fe2O3などの酸化物半導体がガスセンサー用素材としてよく用いられる. 被検ガスの化学吸着による半導体の導電率の変化を説明するために, 表面又は界面の効果を考慮に入れた多くのメカニズムがこれまでに提案されている.
  • 永山 宏
    1979 年 87 巻 1001 号 p. 28-37
    発行日: 1979/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    耐消化性カルシアクリンカーを得るために消化防止剤としてFeO-TiO2系添加剤を検討した. 主たる結果を以下に要約して述べる. 消化防止に有効なFeO-TiO2系添加剤の適正組成は, カルシアクリンカーの原料としての石灰石中のSiO2含有量の増加につれてTiO2に富む側に移行する傾向があることが認められた. 更に石灰石及び消化防止剤中に不純物として含まれているSiO2は, これらの混合物を焼成したときに2CaO・SiO2, 3CaO・SiO2からなる高融点結晶質マトリックスを生成し, CaO結晶粒の成長を抑制することが認められた. したがって, カルシアクリンカー中のSiO2含有量の増加は耐消化性に対し有害な影響を与えた. この実験の範囲における最も優れた耐消化性クリンカーは0.3-0.4%のSiO2を含む石灰石に5%の酸化鉄を添加することによって得られた.
  • 李 弘林, 佐多 敏之
    1979 年 87 巻 1001 号 p. 38-42
    発行日: 1979/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    工業的に実際使われているMgO-Al2O3-Cr2O3系耐火物に対する蒸発挙動とMgAlCrO4スピネルにCaO, Fe2O3, SiO2などの酸化物を少量添加し, MgAlCrO4スピネルの蒸発速度に及ぼす添加剤の影響を1600℃でラングミュア法によって調べた.
    不均一蒸発によって耐火物試料の表面にはAl2O3, CaTiO3, Mg(Al1-xCrx)2O4などの安定な拡散層ができ, 内部成分の蒸発を抑制することが分った.
    MgAlCrO4スピネルに1, 5, 10mol%ずつ添加したCaO, Fe2O3及びSiO2はすべてMgAlCrO4の蒸発速度を促進し, その効果はCaO>Fe2O3>SiO2の順であり, 最も大きい効果を示すCaOは試料中の3価のクロムを6価にすることによって不安定な化合物である8CaO・6Al2O3・2 CrO3を生成するためであることが分った.
  • 野上 正行, 守屋 喜郎
    1979 年 87 巻 1001 号 p. 43-48
    発行日: 1979/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Si (OC2H5)4を出発原料にして石英ガラス類似の比較的大きな非晶体を作成した. その生成過程を赤外線吸収スペクトル, 比表面積及びビッカース硬度の測定から明らかにし, 得られた非晶体の2, 3の性質について石英ガラスと比較した. ゲル化物の赤外線吸収スペクトルには, 3650, 3600, 3400及び3200cm-1にピークをもつ四つの吸収帯が認められ, その強度は温度の上昇とともに減少した. そのうち特に, 3400cm-1及び3200cm-1にピークをもつ粒子表面の水素結合をしたシラノール基による吸収帯は600°-800℃で消失した. 比表面積やビッカース硬度もこのような温度で急激に変化し, 粒子表面の水素結合をしたシラノール基が消失した後では, 気孔のない硬い非晶体になった. 得られた非晶体のX線小角散乱強度や残留OHによる吸収帯のピーク位置は石英ガラスのそれらとほとんど同じであり, 密度, 屈折率及びビッカース硬度も石英ガラスの値に非常に近かった. ただ水の含有量は石英ガラスに比べて多かった.
  • 針田 彬, 佐多 敏之
    1979 年 87 巻 1001 号 p. 48-56
    発行日: 1979/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Na-β-アルミナはガラス溶解炉用耐火物並びに固体電解質として重要であるが, 更にその特有な層状構造に由来する異方性を持つ興味ある物質である. 本報告ではβ-アルミナ固溶体 (Na2O・9.23Al2O3) の焼結体 (12mmφ, 97%密度) をNaNO3-KNO3系融体に浸したときのNa-Kイオン交換の速度を重量変化を測定しながら280-440℃で測定した. すべての実験で得られた交換速度は時間の1/2乗に比例しており, 焼結体内のNaあるいはKの相互拡散によって交換過程が律速されていることを示している.
    Na-β-あるいはK-β-アルミナをNaNO3-KNO3融液中で交換するとき, 拡散係数はNaやKの濃度が増していくほど10-6-10-7から10-7-10-8cm2/sに減少し, その活性化エネルギーは単結晶の4-5kcal/molの値から10-13kcal/molに増大する. これらの状況はいわゆる混合アルカリ効果に相当している. Na-K混合β-アルミナをKNO3あるいはNaNO3融液中で交換する場合, 同様に中間組成で最小の拡散係数を示すのが見られる. Na-β-アルミナをK50 at%以上のNaNO3-KNO3融液中で交換するとき, またK50at%以下のNa-K-β-アルミナを純粋なKNO3融液中で交換するとき, 焼結体はKの侵入による膨張で破壊した.
    交換後のNa, Kの濃度分布をEPMAで測定し, これからマタノの拡散係数を種々の組成で得た. 300°-400℃, 10-30分の交換で100-1000μmの拡散層が見られた.
  • 瀬戸口 正宏
    1979 年 87 巻 1001 号 p. 57-63
    発行日: 1979/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    γII-Li2ZnSiO4の単結晶を, Li2MoO4とLi2WO4フラックスから, 徐冷法によって育成した. 育成実験は, 保持温度1270°-1420℃, 徐冷速度3.3°-7.0℃/hの範囲で行った. 組成Li2ZnSiO4の結晶は, 出発物質Zn2SiO4とフラックスLi2MoO4が次の反応によって生成した.
    Zn2SiO4+Li2MoO4→Li2ZnSiO4+ZnO+MoO3
    成長結晶は, 3mm角程度で, 一般に, 透明結晶と半透明結晶の混合物であった. 961℃以上で安定相である透明なγII-Li2ZnSiO4結晶は, 1368℃以下の保持温産のとき多数得られた. 半透明結晶は, 徐冷の過程において, 最初に成長したγII-Li2ZnSio4結晶の一部分又は大部分が, より低温相のβII-相へ転移し, それに伴う1.9%の体積収縮のためできた, 多くの微細クラックの不完全性の結果であった. γII-Li2ZnSiO4結晶は, (010), (120) 及び (101) 面によって囲まれていた.
    γII-Li2ZnSiO4結晶について, 空間群P21/n, Z=4及び比重3.41が決定された. 格子定数は, monoclinicで, a0=6.2823, b0=10.626, c0=5.0327(Å)及びβ=90.49°である. βII-Li2ZnSiO4はorthorhombicで, 格子定数は, a0=6.2592, b0=10.626及びc0=4.9529(Å) である.
  • 石川 敏彦, 高木 哲夫, 河本 洋二, 土橋 正二
    1979 年 87 巻 1001 号 p. 63-69
    発行日: 1979/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    15.5Na2O-12.5 CaO-72.0SiO2 (wt%) 3成分系ガラスを用いて, 同じpH値のLiOH, NaOH, RbOH, NH4OH, N(CH3)4OH, Ca(OH)2, Sr(OH)2, Ba(OH)2のアルカリ溶液によるガラスの侵食を調べた. 単一アルカリ溶液による侵食と同時に, 2種のアルカリの混合溶液による侵食も調べた. 侵食の深さは繰り返し反射干渉法で測定した. 同じpH値のアルカリ溶液による侵食にもかかわらず, 陽イオンが異なると侵食量に差が生ずることが分った. アルカリ溶液の侵食の強さに及ぼす陽イオンの影響は, 陽イオンのガラス表面への吸着の強さに大きく依存すると同時に, 陽イオンの活量係数と水和数にも依存していると考えられる. 2種のアルカリの混合溶液による侵食の傾向は, 2種の陽イオン間のガラス表面への吸着の優劣に依存するものと考えられる.
  • 1979 年 87 巻 1001 号 p. 69a
    発行日: 1979年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 87 巻 1001 号 p. 69b
    発行日: 1979年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 87 巻 1001 号 p. A2-A10
    発行日: 1979/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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