窯業協會誌
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86 巻, 998 号
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  • 中村 専一
    1978 年 86 巻 998 号 p. 437-443
    発行日: 1978/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    CaO・3B2O3・4H2O (CB3H4と略記, 以下同様), CB3H5, C2B7H8及びC2B5H5の加熱変化をTGA, DTA, 粉末X線回折, 化学分析及び偏光顕微鏡観察によって調べた. 得られた結果は次のようであった.
    (1) 合成した含水ホウ酸カルシウムはCB3H4, CB3H5, C2B7H8あるいはC2B5H5と同じX線回折図を示したが, それらの化学組成は非化学量論的でB2O3成分が不足していた.
    (2) 新化合物, CB3の存在が確認された. CB3の生成はB2O3/CaOのモル比が約2.7以上の時に可能であった. 含水ホウ酸カルシウムに吸着された微量のエタノールはCB3の生成を妨げた.
    (3) CB3は約650℃で結晶化し, 870℃以上でCB2とB2O3高含有成分に不可逆的に分解した.
    (4) CB3は水蒸気の存在のもとで可逆的にCB3H4に変わった. 一方, CB3が分解して生じたCB2とB2O3 (高含有相) の混合物は, 水蒸気の存在のもとで, CB3を経ることなく, まずB2O3がH3BO3に変わり, 次いでCB2, H2O及びH3BO3が徐々に反応してCB3H4に変わった.
    (5) CB3は光学的に2軸性で, α=1.530, β=1.535, γ=1.605, 真比重=2.33であった.
  • 武藤 文夫, 中込 恒雄, 滝 貞男
    1978 年 86 巻 998 号 p. 443-449
    発行日: 1978/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    繊維状チタン酸アルカリ金属と代表的な酸化物や炭酸塩との混合物について高温における反応性について実験を行った. チタン酸アルカリ金属としては水熱反応により合成したK2Ti6O13とNa2Ti3O7を用いた. 混合物試料を所定温度で15時間加熱し, 主に粉末X線回折法により反応を検討した.
    K2Ti6O13, Na2Ti3O7の両者ともに,
    (1) Al2O3, Fe2O3, CuO, NiOとは反応しなかった.
    (2) CoO, MgO, PbO, CaCO3, SrCO3, BaCO3とは500°-1100℃の間において反応して, それぞれのチタン酸塩が生成した.
    (3) SiO2についてはルチルの析出する反応が900℃以上で起こった.
    K2Ti6O13に比してNa2Ti3O7の方が低い温度で反応が進む傾向にある. また, 反応の進行とともにチタン酸アルカリ金属繊維は消失し, 数μm以下のチタン酸塩あるいはルチル結晶よりなる凝集体が生ずる.
  • 梅林 正気, 小林 和夫
    1978 年 86 巻 998 号 p. 449-457
    発行日: 1978/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ケイ砂とアルミニウムの混合粉末の成形体を窒素中で窒素流量, 成形圧力, アルミニウム添加量を変えて1500℃まで加熱し, 加熱の過程での反応を熱天びん及びX線回折法を用いて調べ, 次の結果を得た.
    (1) アルミニウムの窒化は約500℃以上で生じ, 約660℃でアルミニウムの溶融とともに急速に進行した. その反応熱はケイ砂とアルミニウムの反応を急速に進行させ, ケイ素とα-Al2O3を生成させた.
    (2) アルミニウムオキシナイトライド (AlN・Al2O3) (スピネル型) が660°-1200℃に加熱された試片に観察された. このことは, 窒化アルミニウムの生成及びアルミノ・テルミット反応の二つの発熱反応により試片の内部では局部的に極めて高い温度が得られたことを示すものと考えられた.
    (3) アルミノ・テルミット反応により析出したケイ素は, 約1150℃以上で窒素と反応し, β'-Si3N4(AlN・Al2O3) となった. ケイ素の窒化が始まる温度は, 成形圧及び添加アルミ量によって変化した. 窒素流量が0-30cc/min, 及び成形圧力が2000, 3000kg/cm2では1500℃, 1hの加熱でも, ケイ素は未反応で残留した.
    (4) 1500℃に加熱した試片の反応生成物はアルミニウムの添加量によって変化した. すなわちアルミニウムの場合, 生成物はβ'-Si3N4, α-Al2O3, O'相, ムライト及びX相であったが, 添加アルミニウム量が50, 60wt%と増加すると, O', ムライト, X相等シリカ側の相は消え, 50, 60wt%アルミニウムでおのおのβ'-Si3N4, α-Al2O3, 15R-AlN及び15R-AlN, β'-Si3N4, α-Al2O3となった.
  • 陶磁器素地と釉薬との適合性に関する研究, 第11報
    稲田 博
    1978 年 86 巻 998 号 p. 458-467
    発行日: 1978/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    陶石40%, カオリン30%, 蛙目粘土15%, 長石10%, ケイ石5%の磁器素地に磁器釉をかけ, 量産用トンネル窯でSK12RF, 42時間焼成して作製した食器について, 貫入安全度を支配する因子について検討した. 更に再焼成によっても貫入安全度が低下しないためにはどのように配合を変更すべきかについても検討した.
    その結果, 素地中残存石英量の増大は素地の膨張係数を増し, 釉応力は引張り応力から圧縮応力が増す方向に変化し, 加熱急冷テスト温度差を増し, 貫入安全度が向上するという単純な正の相関関係が認められた. また釉が厚くなると貫入安全度は低下するから, その分, 素地中残存石英量を増す必要があることが分った.
    基礎配合品は, 再焼成によって素地中石英が溶解して減少し, 貫入安全度が明らかに低下することが認められた. 貫入に関し, 焼成条件幅が広くかつ再焼成, 又はシンクイン絵付けによって貫入を誘発しないためには, 再焼成によっても素地中残存石英の減少しにくい素地配合が望ましく, そのためには, 素地に単にケイ石を添加するより, 長石をケイ石で一部置換する配合が効果的に貫入安全度を向上させ得ることが分った. しかしこのような配合変更は逆に素地の透光性を損なう方向にあるので, 両者を考慮して最適配合を選ぶ必要がある.
  • 野村 修身
    1978 年 86 巻 998 号 p. 467-476
    発行日: 1978/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    セミホットMHD発電ダクト壁は, 耐熱セラミックス系材料で内張りする方法が最も適当と言われている. 材料研究の動向を見ると, この材料としてろう接が不可能な材料が選択される可能性があり, その場合には熱伝達現象的に見て, 材料と支持体 (冷却体) との間が単純接触で, しかも接触圧力がほとんど0の状態となる. 本論文では, この状態における両者間の熱伝達をモデル実験により研究し, 材料の表面温度を決定する要因を見出して, 発電ダクトを設計するためのデータを得ることが目的である. 実験は試料の接触面温度150°-500℃で行われ, 材料と支持体間の等価間隔として, Al2O3-SUSで76μm, MgO-SUSで85μmが得られた. 他方, 粗さ計で凹凸を測定し, 試料と支持体の単純和を作ると, 両者ともに上記の約85%の値となった. それゆえに, 非接着支持状態における, セミホットMHD発電ダクト壁材料と支持体の間の熱伝達は, 両者間に存在する薄い気体層の熱伝導と見なされ, しかもその熱伝達等価厚さは, 両者の接触面の凹凸 (粗さ及びうねりを含む) より計算される間隔と同程度であることが分った.
  • 1978 年 86 巻 998 号 p. 467a
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 上薗 裕史, 浜野 健也
    1978 年 86 巻 998 号 p. 476-484
    発行日: 1978/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    マグネシア微粉末 (粒径0.1μm以下) を温度と圧力を変えて成形し, 1400℃で焼成して, 焼結中期過程における焼結体の組織と粒径との関係を検討した. 粒界に接する気孔の体積分率 (Pgb) と粒径 (D) との関係は組織変化の特徴を示すものと考えられ, 一般的にこれを三つのタイプに分類した. マグネシアはこのうち比較的不均一な組織変化をする部類に属すると思われ, Pgb∝1/D1/3の関係を保って粒子成長することが分った. この不均一性は測定した焼結体中の固-固-気体間の2面角の広い範囲のばらつきと, その結果生ずる組織の不均一に対応すると考えられ, 焼成前の成形体の充てん状態とは無関係であった. しかし粒内への気孔の取り込みの時期や量などを含めて考えれば, 成形体の充てん状態は組織に大きく影響し, ホットプレス成形の場合, 焼成前に55%以上の相対密度があると, 気孔は粒界に接したまま成長し, 粒内への取り込みを抑えることができた. 一方常温で静水圧成形すると, 逆に焼成前の相対密度の高い方が早く粒内に気孔を取り込む傾向が認められ, これらを利用して成形温度と圧力を適当に選ぶだけで, 焼結体の組織制御がある程度可能になることが分った.
  • 神崎 修三, 斎藤 勝一, 中川 善兵衛, 浜野 健也
    1978 年 86 巻 998 号 p. 485-491
    発行日: 1978/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ホットプレスして得た透明スピネル (MgAl2O4) の再加熱に伴う透光性と微構造の変化について検討した. 試料の透過率は, 再加熱温度1200℃まで増加するが, それ以上の温度では白濁し減少した. 白濁の初期では, 粒径は変わらず気孔径と気孔量が増加し透過率が減少した. 更に高温では, 粒子及び気孔とも成長した.
    これらの原因として, 白濁初期では主に黒鉛型から含浸した炭素あるいは原料中に含まれホットプレス時に炭化する不純物などが, 再加熱によりガス化膨張し気孔を形成するのと, ひずみの解放により試料中に存在した微細な気孔が膨張すると推論した. また白濁後及び高温では, 気孔間の内部圧力あるいは曲率半径の差に起因し, また粒子成長に伴い, 気孔が合体成長すると推察した.
    以上の結果から, 試料が白濁を生ずる温度以下で長時間処理することにより, 高温での透光性の低下をある程度防ぐことができると考えられ, これが可能であることを示した.
  • 前田 栄造, 笹本 忠, 佐多 敏之
    1978 年 86 巻 998 号 p. 491-499
    発行日: 1978/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    酸素-水蒸気系ふん囲気でのマグネシアからの1670-2000Kでの蒸発をトランスパイレイション法により測定した. pH2O=2.7×10-2-1.9×10-1 atmでは主としてMg(OH)2(g)が主な蒸気種であることをlogpMgX-logpH2Oの直線の傾きが1に近いことから確認し, MgO(s)+H2O(g)=Mg(OH)2(g) 反応の平衡定数logkp=-(14500±600)/T+(2.91±0.35), ΔGf°(Mg(OH)2, g)=-(168400±3000)+(49.6±2)T及びΔH298°=65.4±0.6kcal・mol-1を得た.
    酸素中で1825-1975KでMgO(s)=MgO(g) の蒸発反応の測定から, logpMgO=-(30100±2300)/T+(8.82±2.56) atm, ΔGf°(MgO, g)=-(37000±11000)+(8.6±1.1)T, ΔH298°=143.6±2.4kcal・mol-1を得た. これらの値と既往の値とを使ってMg(g), MgO(g), MgOH(g), Mg(OH)2(g) の蒸気種の蒸気圧を4種のpO2pH2Oの組み合わせで計算して図に示した.
  • 冨塚 功
    1978 年 86 巻 998 号 p. 500-506
    発行日: 1978/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    セラミックス又は金属をマトリックスとする複合材料の製造に関する研究の一環として, 炭素繊維の表面処理に関する知見を得るために, 各種の炭素繊維の粉末と, 有機チタン酸エステルとしては不活性なテトラオクタデシールチタネート (TOT) との混合物を毎分4℃の速度で900℃から1400℃までのおおむね100℃ごと, 並びにその他の必要と思われる温度まで加熱し, 得られた生成物についてX線回折と電子顕微鏡観察を行った.
    その結果, TOTと炭素繊維の濡れ性は良好で, 炭素繊維の粉末は500℃付近から主として二酸化チタンからなる1000Åφ以下の微粉で覆われること, 700°-1200℃の間でこれがチタンの低級酸化物に変わること, 更に1400℃までにはこれが炭化チタンに変わることを見出した. またこれらの変化の生ずる温度は炭素繊維の結晶化度と密接な関係があり, かつ二酸化チタンが低級酸化物に変化し始める温度は触媒作用によって低下させることができることを知った. なお粒子の大きさはこれらの変化を通じて余り変わりがないが, これは二酸化チタンから炭化チタンに変わる際の体積の収縮の一部が粒内に空げきができることで補われるためであることも判明した.
  • 高瀬 光寛, 佐多 敏之
    1978 年 86 巻 998 号 p. 506-508
    発行日: 1978/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 86 巻 998 号 p. A53-A58
    発行日: 1978/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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