ケイ砂とアルミニウムの混合粉末の成形体を窒素中で窒素流量, 成形圧力, アルミニウム添加量を変えて1500℃まで加熱し, 加熱の過程での反応を熱天びん及びX線回折法を用いて調べ, 次の結果を得た.
(1) アルミニウムの窒化は約500℃以上で生じ, 約660℃でアルミニウムの溶融とともに急速に進行した. その反応熱はケイ砂とアルミニウムの反応を急速に進行させ, ケイ素とα-Al
2O
3を生成させた.
(2) アルミニウムオキシナイトライド (AlN・Al
2O
3) (スピネル型) が660°-1200℃に加熱された試片に観察された. このことは, 窒化アルミニウムの生成及びアルミノ・テルミット反応の二つの発熱反応により試片の内部では局部的に極めて高い温度が得られたことを示すものと考えられた.
(3) アルミノ・テルミット反応により析出したケイ素は, 約1150℃以上で窒素と反応し, β'-Si
3N
4(AlN・Al
2O
3) となった. ケイ素の窒化が始まる温度は, 成形圧及び添加アルミ量によって変化した. 窒素流量が0-30cc/min, 及び成形圧力が2000, 3000kg/cm
2では1500℃, 1hの加熱でも, ケイ素は未反応で残留した.
(4) 1500℃に加熱した試片の反応生成物はアルミニウムの添加量によって変化した. すなわちアルミニウムの場合, 生成物はβ'-Si
3N
4, α-Al
2O
3, O'相, ムライト及びX相であったが, 添加アルミニウム量が50, 60wt%と増加すると, O', ムライト, X相等シリカ側の相は消え, 50, 60wt%アルミニウムでおのおのβ'-Si
3N
4, α-Al
2O
3, 15R-AlN及び15R-AlN, β'-Si
3N
4, α-Al
2O
3となった.
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