本研究では, 透明Y
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3と黒色Y
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3焼結体のインライン透過率の測定及び比較検討を行った. 透明Y
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3焼結体については, 全透過率の測定も行った.
Y
2O
3焼結体の原料粉としては粒径4-6μm, 純度99.99%のY
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3粉末を使用した. この粉末から作製した圧粉体を水素ふん囲気中, 2270℃ (2543K) の温度で焼結して透明Y
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3焼結体を得た. 黒色Y
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3焼結体を作製する場合には, 透明焼結体を露点-36℃ (237K) の水素ふん囲気中, 2000°-2200℃ (2273-2473K) の温度で再び加熱した.
インライン透過率の測定波長範囲として0.2-13μmを選び, 測定試料の厚さを0.76mmとした. 全透過率測定用の光源としてはタングステンランプを使用した.
透明Y
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3試料は0.24-10.5μmの波長範囲で透光性を有し, 波長0.7μmでは80%のインライン透過率を示した波長6.3μmでは透過率84%の最高値に達した. また, その吸収係数は0.9-6μmの波長範囲で約3cm
-1の値を示し, 短波長側と長波長側の吸収端は, それぞれ波長0.22μm及び10.5μmに現れた.
2000℃ (2273K) の温度で黒色化したY
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3試料の0.24-2.6μmの波長範囲におけるインライン透過率は, 透明Y
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3試料より低下し波長0.45, 0.524, 0.646, 1.410及び2.240μmにおいてY
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3の構造的欠陥に起因すると考えられる吸収ピークが示された.
2200℃ (2473K) の温度で黒色化したY
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3試料の0.24-0.7μmの波長範囲におけるインライン透過率は0となり, 波長0.7μm以上から透光性を示す. また, 波長6μmでは透過率84%の最高値に達するが, 7.5μm以上の波長域では7.84, 8103, 8.64及び9.03μmの波長に4個の吸収ピークが現れた.
透明Y
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3試料の全透過率は82.3%であった.
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