窯業協會誌
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86 巻, 992 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 小山田 了三, 萩原 尚男
    1978 年 86 巻 992 号 p. 151-158
    発行日: 1978/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ガラス状PbO-GeO2系及びPbO-B2O3系のラマンスペクトルを測定し, これを解析した. ガラス状純GeO2において, バンドは300-600 (ピーク位置は410), 760, 860及び970cm-1に観測された. 410, 760及び860cm-1のバンドをそれぞれ, 4面体構造でTd対称をもつGeO4単位のν4, ν1及びν3モードに帰属した. PbO-GeO2系においては, 新しいバンドが750-850cm-1に現われ, このバンドは偏光分析により2個のバンドに分けられる. この新しいバンドの一つ, 高エネルギー側のバンドは, 添加PbO量の増加に伴い低波数側ヘシフトする. この波数はPbO・GeO2組成の近傍ではほぼ一定の値を示す. 更に低エネルギー側のバンドの同様なシフトも観測された. これは正方晶GeO2 (ルチル型) のような6配位Ge原子の生成に関係するものと思われる. ラマンスペクトルにおけるこのようなバンドのシフトの傾向は, 既報の赤外線吸収スペクトルのバンドのシフトと同様である.
    ガラス状B2O3において, バンドは450, 650, 806, 1260及び1470cm-1に観測された. 650, 806, 1260及び1470cm-1のバンドを, それぞれ平面三角形構造でD3h対称をもつBO3単位のν4', ν1', ν3'及びν3'振動モードに帰属した. PbO-B2O3系においては, 添加PbO量の増加に伴い1260及び1470cm-1のバンドは一つのブロードなバンドとなり, 低波数側ヘシフトする. すなわちPbO 30mol%では1350cm-1に, PbO 70mol%では1245cm-1となる. これはPb2+イオン及びBO3群間の相互作用効果を示唆していると考えられる. また1000-1150cm-1に新しいバンドが現われた. バンドの強度, はPbO濃度約50mol%までは増加し, それ以上では減少する. この事実はこの系に存在するBO4単位の数と関連づけて考えられる.
    上述の帰属に基づいてGeO4及びBO3構造単位の力の定数をGFマトリックス法で算出した. GeO4fr, fφ及びfの値はそれぞれ5.45, 0.55及び0.13 (mdyn/Å) であり, BO3についてはそれぞれ6.13, 0.80及び0.76 (mdym/Å) であった.
  • 河村 淳一, 楠瀬 洋, 中村 康正, 山田 徳一
    1978 年 86 巻 992 号 p. 158-166
    発行日: 1978/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    最大粒径4mmの, Andreasenの連続粒度分布にしたがう坏土からえられたマグネシア耐火物の棒突き充てん体, プレス成形体及びその焼成体等の充てん性につき, 著者らの方法による計算値と実測値の比較をおこなった.
    その結果, 焼成体の最密充てんとなる粒度分布 (qρm) は, 棒突き充てん体, プレス成形体と同様によい一致を示し, 充てん操作の強化と焼成温度上昇によるqρmの変化の傾向についてもよい一致を示した.
    また充てん度の計算過程でえられる各粒径成分にともなう未飽和空隙量の計算値の傾向は, 焼成体の気孔径分布の傾向とよい一致を示した.
    これらの結果から, 著者らの粒径多成分系の充てん容積の計算法は耐火物の組織構造を検討する上で意義あり, かつ適切な方法であり, また粒度分布係数は重要なパラメーターであると結論しうる.
  • 永野 正光
    1978 年 86 巻 992 号 p. 166-169
    発行日: 1978/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    クロム粉末の窒化速度とCr2N-CrN系の平衡を熱天びんにより測定した (850-1250℃). クロム粉末の窒化反応の速度は生成物層中の窒素の拡散律速で説明された. CrNのCr2Nへの分解反応 (2CrN=Cr2N+1/2N2) の平衡窒素圧Pと温度Tとの関係は次式で表わされた.
    logP(atm)=12.2-1.67×104(1/T) (ΔH°=38.2kcal/mol) またCr2Nの非化学量論組成と構造との関係を考察した.
  • 陶磁器素地と釉薬との適合性に関する研究, 第5報
    稲田 博
    1978 年 86 巻 992 号 p. 170-174
    発行日: 1978/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    種々の吸水率をもつ同一配合の半磁器食器をオートクレープ中10kg/cm2 (178℃) の水蒸気下で処理し, 処理時間による釉応力の変化を測定した. 釉応力を処理時間の対数に対してプロットすると直線的な減少傾向を示した. 素地の吸水率が小さくなると初期圧縮応力は増すが, 処理時間による釉圧縮応力減少の傾斜は素地の吸水率が変わっても同じであった. すなわち釉応力が0となる処理時間は初期圧縮応力の大小のみに依存することがわかった. 釉厚さが2倍の時は吸水率が小さくなると, 釉応力減少の傾斜が小さくなった.
    このように処理時間による釉応力の変化は直線的となるため, 初期圧縮応力と, オートクレーブ1回処理, 例えば3時間処理後の釉応力の値から, 釉応力が0となる処理時間を求めることができる. すなわち迅速な経年貫入抵抗性測定法となり得る.
    高火度磁器, ボーンチャイナ, ビトリアスチャイナではオートクレーブ処理により釉応力は全く変化せず, 経年貫入に関し完全に安全であることが改めて確認された.
    本方法によれば, 単に経年貫入抵抗性を迅速に測定できるだけでなく, 初期圧縮応力と釉圧縮応力低下傾向の大小の二つを知ることができるので, 半磁器の経年貫入抵抗性を改善, 管理する上で便利であろう.
  • 酒井 利和, 栗山 正明, 犬飼 隆, 木島 剛
    1978 年 86 巻 992 号 p. 174-179
    発行日: 1978/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    AlNとAl2O3の混合粉末をホットプレスして得た27R及び21 R-pseudo-polytype及びスピネル型のoxynitrideの熱伝導率を測定し, それぞれ0.015, 0.013, 0.026cal/cm・s・K (300K) であった.
    アルミナを各種温度で還元・窒化した酸素含有量の異なるAlN粉末を用い, 酸素含有量並びにホットプレス条件の熱伝導性に及ぼす効果について検討した. 熱伝導性は不純物酸素量の増加によって著しく劣化するとともに, 焼結温度によっても影響される. AlN微粉末の表面は一般に非晶質の酸化物で覆われているが, 1200℃以上で非晶質層からコランダムが析出する. コランダムは1650℃以上ではAlNと反応してスピネル型のoxynitrideを生ずる. コランダムとoxynitrideの生成が焼結を促進する. 主として粒界に存在するoxynitrideは1900℃以上でAlNと反応してpseudopolytypeを生ずる. この際の急激な熱伝導性の変化は, 粒界にあった酸素が広くAlN粒子内に拡散していくことを示す.
  • 市古 忠利
    1978 年 86 巻 992 号 p. 179-186
    発行日: 1978/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    骨リンを使用したボーンチャイナの製造のための基礎資料を得ることを目的に, ボーンチャイナ素地の焼成過程を等温収縮の測定及びX線回折, 偏光顕微鏡, 走査型電子顕微鏡による観察によって速度論的, 微構造的に考察した. また焼成素地のかさ比重, 弾性率, 抗折強度, 透光度, 膨張係数も測定した.
    昇温熱膨張収縮の結果から920℃付近と1200℃付近に明確な収縮が認められた. 920℃付近の収縮は拡散反応機構によると推測できた. 1200℃付近の収縮は粘性流動機構と結晶の溶解過程の複合した収縮過程と推測できた. 弾性率と抗折強度は1200℃以上でマトリックス部の溶融相の発達に伴い増大し, 気孔の発達に伴い減少した. 透光度はマトリックス部の溶融相の発達に伴い増大し, 膨張係数は結晶の溶解に伴い減少した.
    骨リンを使用した素地と骨灰を使用した素地を比較すると, 920℃付近のCa3(PO4)2とアノーサイトの生成過程の違いを除いては, 焼き締り過程, 微構造, 焼成素地の特徴に顕著な差違は認められなかった.
  • 冨塚 功, David J. JOHNSON
    1978 年 86 巻 992 号 p. 186-192
    発行日: 1978/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    著者らは先に高分解能電子顕微鏡を用いて, ピッチ系及びリグニン系の炭素繊維のマイクロテキスチャーを明らかにした. これに引き続き, 今回, 3種のピッチ系繊維と1種のリグニン系の繊維について, この結果を勘案した, X線小角散乱を用いたマイクロボイドに関する研究を行った. これによれば炭素繊維中のマイクロボイド及びそれを取り囲む固相の部分は熱処理温度の増大とともに大きさが増し, また延伸を加えると, 更に大きさが増すことが明らかとなった. またピッチ系の繊維では, 慣性半径に対する相対値で見たマイクロボイドの大きさの分布は慣性半径が増大しても余り変化がなく, 比較的狭い範囲に納まっていた. 更に延伸を加えない繊維中のマイクロボイドは偏平な回転楕円体で, 延伸を加えた繊維中のマイクロボイドは細長い回転楕円体で近似できた. 一方リグニン系の炭素繊維中のマイクロボイドは二つのグループに分かれ, その一つは同温度に処理したピッチ系の繊維中のマイクロボイドに類似し他の一つはこれより大きいものであることが確認された.
  • 岸井 貫
    1978 年 86 巻 992 号 p. 193-194
    発行日: 1978/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 86 巻 992 号 p. 194
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 86 巻 992 号 p. A19-A24
    発行日: 1978/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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