窯業協會誌
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89 巻, 1027 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 高橋 克明, 三浦 嘉也
    1981 年 89 巻 1027 号 p. 107-118
    発行日: 1981/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    28.7Na2O・71.3B2O3融液におけるCd, Zn, Tlなど単一原子価イオン及びFe, Mn, Asなどレドックスイオンの白金電極における還元反応を三角波掃引ポテンシャルスイープ法で調べた. 単一原子価イオンはほとんどの場合金属状態まで可逆的に還元された. レドックスイオンは高価数のイオン状態から段階的に還元を受けることが分った. Sn4+/Sn2+系では吸着による前置ピークが観察された. 電極反応が可逆なものについては半波電位を求め, 950°-790℃の温度範囲で電気化学列を作成した. Kühlらの結果との比較では, Cr, Mn及びCeイオンの間で酸化力はともにCr6+/Cr3+>Mn3+/Mn2+>Ce4+/Ce3+の順であったが, AsとSbイオンの順位には逆転が見られた. 電気化学列では, 酸化力はSb5+/Sb3+>As5+/As3+であり, これはBaakらのこれらの系の自由エネルギーの密閉系における測定結果を支持した. 電気化学列より算出した異なるレドックス対間の反応の平衡定数のうち, Cr-Fe, Mn-As及びCr-As系については, Paulらの分光学的手法による結果と反応の進行方向に一致が見られた. Mn-Ce系の平衡定数は大略一致した.
  • 金岡 繁人, 加藤 悦三
    1981 年 89 巻 1027 号 p. 119-123
    発行日: 1981/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    最近, 京都清水焼業界で使用されている出石陶石中の粘土鉱物の鉱物学的試験, すなわち化学分析, DTA, TG, IR吸収スペクトル及び各種処理によるX線分析等が行われた. 化学組成はSiO2 54.48%, TiO2 0.06%, Al2O3 29.56%, Fe2O3 1.41%, CaO 0.13% MgO 0.50%, K2O 6.15%, Na2O 0.36%, Ig. loss 7.80%である. DTA曲線においては100℃, 550℃, 及び680℃にそれぞれ吸熱ピークが認められる. 定方位試料によるX線分析の結果10.5Å, 5.09Å, 3.31Åにピーク, 23Åに弱い肩が認められる. エチレングリコール処理した非定方位試料では14Å, 10Å, 5.09Å及び26Åの肩等が認められる. これらの試験結果から, この粘土は雲母/スメクタイト混合層鉱物で雲母層90-70%, スメクタイト層10-30%の組成を有するものであることが分った.
  • 松本 和順, 佐多 敏之
    1981 年 89 巻 1027 号 p. 124-129
    発行日: 1981/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    LaCrO3の蒸発に及ぼすCa添加の影響を, 種々の酸素分圧を持つふん囲気中で調べた.
    La1-xCaCrO3 (x=0-0.15) は, La2O3, Cr2O3, CaCO3を所定比に混合したものを, 空気中, 1400℃で処理して合成した. 蒸発実験は, 1700℃で焼結させた円板状の試料をMo巻線水素炉のアルミナ炉心管内に, Pt・20%Rh線で保持して行った. ふん囲気は, H2-CO2又はO2-Arの混合ガスで酸素分圧 (pO2=10-10-1atm) を制御して, 60cm3/min (NTP) の流速で流した. 温度は1650℃で行った.
    蒸発量は時間にほぼ比例し, またどのpO2でも, Ca添加量の多いほど大きくなり, そしてpO2=10-2atm付近で最小になった. この蒸発は主に, La1-xCaxCrO3内のCaCrO3成分の蒸発によるものと考えられる. LaCrO3成分とCaCrO3成分の蒸発速度の比を求めてみたところ, CaCrO3成分の方が, 約50倍大きかった.
    蒸発表面には, 初期のペロブスカイト相 (P0), それより格子定数の小さいペロブスカイト相 (P1) それに単斜晶系のB型La2O3相 (B-L) の3相が存在した. P1相とB-L相は, それぞれ, CaCrO3成分の分解により生成したCaがより多く固溶したLaCrO3とLa2O3の可能性が高い.
  • 森本 繁樹, 三島 康玄
    1981 年 89 巻 1027 号 p. 129-134
    発行日: 1981/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    感光剤を除く酸化物組成が33.4P2O5・22.2Al2O3・22.2B2O3・11.1MgO・2.5Na2O・8.6K2O (wt%) で, 感光剤のAg, Cl, Br及び感光促進剤のCuOを種々の割合で含むアルミノホウリン酸塩ガラスにおけるハロゲン化銀結晶の析出, フォトクロミック特性及びCuOの効果を検討した.
    ガラス中のBr量が増すにしたがって, ハロゲン化銀結晶の析出量の最大値を示す温度及び結晶が析出しなくなる温度が高温側へ移行した. 析出した結晶中のBr量は常にガラス中のそれよりも多く, 高温処理するほど結晶中のBrは増加した.
    飽和暗化度は析出した結晶量の増加とともに増大した. 半退色時間は結晶粒径の増大とともに長くなり, ハロゲン化銀結晶中のBr量が増すにしたがって長くなった.
    CuOを含まないガラスは暗化しなかった. CuOの添加量が増すとともにガラスの飽和暗化度は急速に増大し, 0.05%付近で極大となり, その後再び減少した. 半退色時間はCuO量の増加とともに急激に減少した.
  • 太田 進啓, 藤木 良規
    1981 年 89 巻 1027 号 p. 134-139
    発行日: 1981/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    フラックス徐冷法で種々な徐冷開始温度によりK2Ti4O9繊維を育成し, 吸湿性, K溶出性及び熱的挙動の相違について検討した.
    1200℃又は1100℃の高温から徐冷して育成した繊維は1000℃の低温から徐冷したものと比較して吸湿量が多く, 弱酸性水溶液中でのK溶出量は少なく, TG-DTAによる脱水挙動は比較的層間水が少なく, 結合水の脱水温度領域が高温側に広くなる傾向が観測された.
    徐冷開始温度の異なるK2Ti4O9繊維からK成分を溶出して作製したチタニア水和物のTG-DTAによる脱水挙動は初生相の特徴と良く類似する. また, 徐冷開始温度の高い初生相から由来した試料は, 加熱過程の上で中間相への転移発熱ピークが鋭く, 更にアナターゼ相への転移開始温度が比較的低くなる傾向が認められた.
    これらの製造履歴と化学的性質の相違の原因は結晶の成長反応の温度依存性, 特に成長速度の相違により結晶の大きさと品質の差異に求めることができる.
  • 陶山 容子, 加藤 昭夫
    1981 年 89 巻 1027 号 p. 140-147
    発行日: 1981/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    TiCl4の気相酸化分解法で合成した各種粒径のTiO2 (アナタース型) 微粉体を用い, 粒径と焼結性の相関, 及び焼結機構を調べた.
    原料TiO2の粒径の減少とともに焼結体の密度は上昇する. 平均粒径0.06μmのTiO2では, 空気中, 1200℃, 2時間の焼結で相対密度は100%に達した. 数千Å以下の微粉体の焼結過程では, 約750℃以上で粒子の再配列による急速なち密化が起こり, 900°-1000℃以上では粒成長, ネックの成長, 空孔の消滅を伴う拡散機構による緩やかなち密化が起こる. 粒径がおよそ1μm以上の粉体では, 粒子の再配列によるち密化はみられず, およそ1000℃以上で拡散機構による緩やかなち密化が進む. 微粒なほど焼結性が高いのは, 第1に微粒なほど低温で粒子の再配列によりち密化しやすいためであり, 第2に拡散機構による焼結過程での粒径の効果の寄与があるためと考えられる.
  • 長谷川 安利, 広田 和士, 山根 典子, 三友 護, 鈴木 弘茂
    1981 年 89 巻 1027 号 p. 148-155
    発行日: 1981/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    z=1-4のβ′-サイアロン加圧焼結体及びz=2の常圧焼結 (SiOガス分圧制御) サイアロンを市販のSi3N4, SiO2, AlN粉末で作製した. サイアロンの密度は2.853 (z=1), 3.108 (z=2), 2.980 (z=2, RS), 3.095 (z=3) 及び3.110g/ml (z=4) であった. 試料は1200°及び1300℃の温度で, 酸素ふん囲気中で720時間 (30日) 酸化を行った後, 重量増, X線回折, EPMA, SEM及び光学顕微鏡で測定した. 酸化による主成物はムライト及びクリストバライトで, 焼結体内部気泡及び表面の酸化 (第1段階) を経て, 比較的ち密な酸化膜面を形成する (第2段階). 重量増は第1, 第2段階とも (時間)1/2に比例して増加し, 第1, 第2段階の変節点は168時間 (7日) 近辺に認められる. 各段階における酸化割合は, 酸化温度の上昇とともに増加する. 重量増の順序はβ1′>β2′>β3′>β4′となり, 反対に酸化膜厚はβ1′<β2′<β3′<β4′となる.
  • 小山田 了三
    1981 年 89 巻 1027 号 p. 156-159
    発行日: 1981/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    鉱化剤を添加した低品位カオリン (セリサイト: 15.1%, カオリナイト: 19.6%, 石英: 38.5%, パイロフィライト: 26.0%) の低温におけるムライト生成の機構を考察した. 試料 (2g) を700°-1200℃で90日間焼成し, ムライト生成量はX線内部標準粉末法で定量した. ムライト生成量 (αi) と焼成時間 (t) の対数との関係は以下のようになった.
    700℃: α1=-4.3+2.3logt (t=72-1300h) 900℃: α4=-0.5+3.0logt (t=15-1000h) 1050℃: α6=2.0+3.1logt (t=1-700h) 1200℃: α8=8.9+4.2logt (t=1-25h)
    X線及びDTA測定から鉱化剤を添加した低品位カオリンの低温でのムライト化反応もAl-Siスピネル相を経過することが明らかになった. 反応の活性化エネルギーは950℃以下で10.3kcal/mol, 950℃以上で65.8kcal/molと求められた.
  • 高密度β-スポジュメン系セラミックスとその遠赤外熱放射性, 第2報
    山本 博孝, 二宮 秀明
    1981 年 89 巻 1027 号 p. 160-163
    発行日: 1981/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    第1報では, セラミックスを高温にすると, 遠赤外熱放射性が他材に比べて優れているという研究が多数報告されていることを記述し, 著者らは, これをβ-スポジュメン系セラミックスによって, セラミックスがその遠赤外域の熱放射強度が優れていることと, その組成の違いによって, 熱放射強度に若干の差のあることを明らかにした. 次いで, 本報告では, 第1報で遠赤外域により優れた熱放射強度を有するものとして選定した組成のβ-スポジュメン系セラミックスを用いて, その遠赤外熱放射効果を, 遠赤外域に大きな熱吸収をもつ物質としての有機物と水を選んで, これら被ふく射体の温度上昇を測定することにより調べた. その結果, このβ-スポジュメン系セラミックスは, 比較した他の材料と比べて, 高温ヒーターの材料として優れていることを明らかにした.
  • 1981 年 89 巻 1027 号 p. A16-A20
    発行日: 1981/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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