窯業協會誌
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87 巻, 1005 号
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  • 銀含有ガラスの電気的性質, 第2報
    土谷 敏雄, 堀内 哲郎, 森谷 太郎
    1979 年 87 巻 1005 号 p. 223-229
    発行日: 1979/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Ag2O-B2O3ガラスの電気伝導と誘電緩和を20°-120℃の温度範囲で研究した. 銀ホウ酸塩ガラスは約30mol% Ag2O組成までガラス化できた. 銀含有ガラスはナトリウム含有ガラスよりも, logσが高い値を持ち, 低い温度係数を示した. 伝導度と誘電特性 (ε'とε'') において, ホウ酸異常がNa2O-B2O3ガラスの16mol% Na2O組成付近で見いだされた. しかし, Ag2O-B2O3ガラスでは異常は見られなかった. 銀含有ガラスにおいて, ε'とε''の値はAg2O量の増加とともに急激に増加した. ε'とε''の値はナトリウム含有ガラスよりも銀含有ガラスにおいてより大きな値を示した.
    30mol% Ag2Oガラスの誘電緩和はMaxwell-Wagner損失に基づくものと考えられた. この現象は (Ag0)nのコロイドとAg+イオンのクラスターの存在に起因すると考えられた.
  • 神崎 修三, 中川 善兵衛, 浜野 健也, 斎藤 勝一
    1979 年 87 巻 1005 号 p. 230-237
    発行日: 1979/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    同一ホットプレス条件で得たほぼ理論密度の, アルミナ, マグネシアの組成比が異なるスピネル焼結体について, 微構造及び強度に及ぼす組成比の影響について検討した. スピネルの粒径は, 等モル組成とアルミナ過剰組成とは同じ程度の大きさであるが, マグネシア過剰組成では過剰量に伴いわずかに小さくなる. 焼結体の気孔率, 粒径がほぼ同じ場合, 曲げ強度及び破壊じん性はマグネシア過剰組成が最も低く, 等モル組成, アルミナ過剰組成の順に高くなることを示した. これは, マグネシア過剰組成では不均一な組織となり, 内部き裂を増大させることによると考えられ, アルミナ過剰組成では再加熱により非常に微細な第2相を生じ, 内部き裂を小さくしたり, あるいはき裂先端がピン止めされることによると考えられた. ち密で気孔率と粒径がほぼ同じ場合, マグネシア過剰組成よりも等モル及びアルミナ過剰組成の焼結体の方がより高い強度が得られることを明らかにし, 粒径約1μmの等モル組成, アルミナ過剰組成 (1.50A) のスピネルについて曲げ強度はそれぞれ49kg/mm2, 67kg/mm2の値が得られた.
  • 川副 博司, 細野 秀雄, 国米 洋, 金澤 孝文
    1979 年 87 巻 1005 号 p. 237-241
    発行日: 1979/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    透明なxK2O・(y-x)BaO・(100-y)B2O3ガラスの “かくれた不混和” を, Cu (II) のESRで検出し, これを “ESR-不混和” と名づけた. ここで, x, yはそれぞれK2O, 全修飾酸化物の濃度を表し, 0≦xy, 5≦y≦25の値をもつ. ガラス生成領域内の組成をもつガラスのあるものでは, Cu (II) のESRに二つのサイトの重ね合わせが見られた. 各サイトは, yK2O・(100-y)B2O3ガラス及びyBaO・(100-y)B2O3ガラス中に存在するものに等しかった. BaO-B2O32成分系は, 0≦[BaO]≦17の領域が不混和で, ≈B2O3と, ≈17BaO・83B2O3の組成をもつ2相に分れた. したがって, ESR不混和のガラスは, 近似的組成がyK2O・(100-y)B2O3, 17BaO・83B2O3, B2O3の3相の混合物とみなせる, と考えられた. BaO-B2O3系の不混和は, K2OでBaOを置換すると消失するが, それに要するK2OをESRによって判定すると, opalescenceによって決定したものより, 約10倍多いことが判明した. ESR-不混和は, Co (II) の光吸収によっても検出可能であった. ただし, スペクトルの重ね合わせは, 若干不鮮明であった.
  • 安井 至, 長谷川 洋, 今岡 稔
    1979 年 87 巻 1005 号 p. 242-248
    発行日: 1979/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    シリケートガラスの構造解析の第一歩としてK2O・SiO2ガラスを解析した. グラファイトモノクロメーターとバランスドフィルターにより単色化したMo Kα線を使用してX線測定を行い, それより動径分布曲線を算出した. アルカリメタシリケートガラスの構造として, random network, 鎖状, リング状などの構造が提案されている. 鎖状構造を持つモデルから計算した原子対の距離にpair-functionを対応させる方法で計算動径分布曲線を算出したところ, 実測曲線と傾向が似ていた. そこでモデルの構造を変化させたところ, SiO4 4面体の曲げ角9° (図4) Si-O距離1.60-1.68Å, K-O距離2.75-2.82Åにした時, 最良の一致を示した. 鎖状構造はアルカリメタシリケートの結晶構造と基本的に同一であり, ガラス構造としても妥当であると判断された. リング状構造も検討したが, 実測曲線を説明するモデルは得られなかった. pair-functionの幅を, 原子対の性格, 構造の特徴, 統計的変動を考慮して変化させることによってガラス構造の不規則性を導入したが, これにより実測曲線との一致は大幅に改良され, 不規則性が重要なパラメーターの一つであることが分った.
  • 金子 泰成
    1979 年 87 巻 1005 号 p. 248-252
    発行日: 1979/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ゲルマン酸塩, フッ化物及び窒化物の光電子スペクトルを測定し, 以下の結果を得た.
    (1) MeO-GeO2化合物中での酸素イオンの状態は, 陽イオンの影響を受けて複雑に変化する.
    (2) PbO-GeO2 2元系ガラスでは, PbOの添加量が増加すれば大体においてO 1s結合エネルギーは低エネルギー側にシフトする.
    (3) Na2O-GeO2 2元系ガラスでは, O 1s結合エネルギーシフトとNa2O添加量とに明りょうな関係が認められない.
    (4) RF-BeF2系におけるF 1s及びBe 1s結合エネルギーの組成による変化は, ケイ酸塩中でのO 1s及びSi 2p結合エネルギーの挙動とそれぞれ類似している.
    (5) 窒化物のN 1s結合エネルギーは, 化合物中の窒素原子の最近接原子の電気陰性度に対応している.
  • 山口 明良
    1979 年 87 巻 1005 号 p. 253-258
    発行日: 1979/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Cr2O3粉体を空気ふん囲気下で加熱した時, その焼結は蒸発-凝縮機構で生じ, ほとんど収縮しないが, 走査型電子顕微鏡により相当な粒成長が観察された. この現象は理論密度に対して30%ほどの極めて多孔質な粉体においてさえ生じた. 粒成長は1000℃以上で始まり, 1300℃以上でかなり急激となった. 初期の1μm以下の球状粒子は, 成長によって2μm以上になると自形をとるようになった. そして1μm以下の粒子からなる粉体は緑色に, 2μm以上の粒子からなる粉体は黒色に観察された.
  • 耐火物の熱衝撃による破壊現象の研究, 第1報
    熊谷 正人, 内村 良治, 川上 辰男
    1979 年 87 巻 1005 号 p. 259-267
    発行日: 1979/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    金属精錬炉等に使用される耐火物は, 急激な温度変動にさらされる場合が多いが, このような熱衝撃による損傷過程については未解明な点も多い.
    本報では, マグネシア質, マグネシア・ドロマイト質, アルミナ質の3種の耐火物について, 直方体形状の耐火物を積み上げたパネルを片面から加熱する, いわゆるパネルスポーリング試験の際のAE特性を調べ, 熱衝撃後耐火物の損傷状態との対応を検討した.
    その結果, (1) AE特性と耐火物の損傷状態の間によい対応がみられ, AE法を用いることによって, 耐火物中でのき裂の発生や伝ぱを高感度に検出できる. (2) 3種の耐火物は, 全く異なったAE特性, すなわちき裂の伝ぱ挙動を示す. この伝ぱ挙動の違いは, それぞれの耐火物の結合様式等を考慮することによって, ある程度説明できる.
    以上のように, AE法によればこれまでの非破壊試験法とは全く異なった情報が得られ, 今後耐火物をはじめ無機材料の破壊挙動の解明や種々の評価方法への応用が広く期待できることが明らかになった.
  • 吉尾 哲夫, 高橋 克明
    1979 年 87 巻 1005 号 p. 267-273
    発行日: 1979/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    本研究は, 廃びんガラスを用いて, クロムスラッジを廃棄し得るガラス固化体にする方法を開発することを目的とした. 一連の予備実験の後, スラッジ, ガラス及び粘土の種々の比率の混合物を1200℃で2時間焼成した.
    この固体からのクロムイオンの水への溶出量を原子吸光装置を用いて測定し, 結晶相をX線回折法により同定した.
    機械的強度が高く, ガラス光沢を有するガラス固化体を得る最適な組成は, スラッジ-ガラス-粘土系でそれぞれ44, 28及び28wt%であった. この固化体からのクロムイオンの溶出量は全クロムで0.15ppmであり, 環境庁によって規定されているクロムスラッジに対する最大許容量の1/10であった.
    上記のクロムイオンの溶出量の抑制は, ガラス固化体中でCr2O3あるいはuvaroviteが生成することとガラスの密封効果とに起因する.
  • 清水 紀夫, 柳田 博明, 堀 正芳, 橋本 甲四郎, 西川 泰男
    1979 年 87 巻 1005 号 p. 273-275
    発行日: 1979/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    The new phase of potassium titanate was obtained by the water treatment of the blistered solids which were produced by the KDC process of reaction between titanium dioxide and potassium carbonate.
    The new phase of hydrous potassium titanate is expressed by the empirical formula of 2K2O⋅11TiO2⋅3H2O, and was dehydrated at 110°C and 130°C and decomposed to potassium hexatitanate and potassium oxide at 1100°C. The density of the new phase was measured to be 3.14g/cm3.
  • 1979 年 87 巻 1005 号 p. A32-A38
    発行日: 1979/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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