透明な
xK
2O・(
y-x)BaO・(100-
y)B
2O
3ガラスの “かくれた不混和” を, Cu (II) のESRで検出し, これを “ESR-不混和” と名づけた. ここで,
x,
yはそれぞれK
2O, 全修飾酸化物の濃度を表し, 0≦
x≦
y, 5≦
y≦25の値をもつ. ガラス生成領域内の組成をもつガラスのあるものでは, Cu (II) のESRに二つのサイトの重ね合わせが見られた. 各サイトは,
yK
2O・(100-
y)B
2O
3ガラス及び
yBaO・(100-
y)B
2O
3ガラス中に存在するものに等しかった. BaO-B
2O
32成分系は, 0≦[BaO]≦17の領域が不混和で, ≈B
2O
3と, ≈17BaO・83B
2O
3の組成をもつ2相に分れた. したがって, ESR不混和のガラスは, 近似的組成が
yK
2O・(100-
y)B
2O
3, 17BaO・83B
2O
3, B
2O
3の3相の混合物とみなせる, と考えられた. BaO-B
2O
3系の不混和は, K
2OでBaOを置換すると消失するが, それに要するK
2OをESRによって判定すると, opalescenceによって決定したものより, 約10倍多いことが判明した. ESR-不混和は, Co (II) の光吸収によっても検出可能であった. ただし, スペクトルの重ね合わせは, 若干不鮮明であった.
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