種々のかさ密度をもつ市販のアルミナ系, 及びジルコニア系繊維質断熱材の熱伝導率 (λ) を, 室温から1400℃の範囲にわたって非定常熱線法によって測定し, それらの温度依存性を検討した. アルミナファイバーはδ-Al
2O
3からなり, 1250℃以上でα-Al
2O
3に転移するため, λの値, 及びその温度依存性は変化した. すなわち, δ-アルミチファイバーのλは温度の上昇に伴って単調に増大したが, かさ密度が0.2g/cm
3以上のα-アルミナファイバーのλはα-Al
2O
3のλの温度特性が反映されて低温域で高くなり, 300°-500℃の間に最小値をもつ放物線状の温度依存性を示した. ジルコニアファイバーのλは小さく, 温度の上昇とともに単調に増大した.
各ファイバーのλは, 低温域ではかさ密度の小さいものほど小さいが, 高温域ではふく射伝熱の寄与の増大により, 逆に大きくなる. しかし, 結晶質のファイバーは, 繊維表面でのふく射線反射効果により, ガラス質ファイバーに比べると, 高温域でのλは小さく, 高温における断熱性は優れていることが分った.
アルミナ, 及びジルコニアファイバーの熱伝導率 (λ
F) と温度 (θ) との間には, 次のような実験式の成り立つことが分った.
λ
F=
a・exp(
bθ) 式中の定数
a, 及び
bと, 各ファイバーの体積分率の間には, 一定の関係のあることが分った. その関係を基にして, δ-Al
2O
3のλ, 及びその温度依存性を推算した.
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