窯業協會誌
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90 巻, 1045 号
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  • 石田 信伍, 藤村 義和, 若松 盈
    1982 年 90 巻 1045 号 p. 487-495
    発行日: 1982/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    瀬戸・多治見地方の粘土をESR法で調べて, それらに含まれている観測しうる常磁性種は主にFe3+と有機ラジカルであることが分った. カオリン中の欠陥と帰属されてきたシグナル (g||=2.049, g=2.007) はこれらの粘土中では存在しなかったり, あるいは非常に微弱であった.
    詳細に調べられ, 以下に言及する粘土は55wt%のハロイサイト, 35wt%の石英及び6wt%の長石よりなる神明カオリンである.
    この粘土をESRで調べて, その中には少なくとも2種類の有機ラジカルと2種類のFe3+ (一つは構造内に置換したFe3+, もう一つは水溶液中のFe3+と類似したFe3+) の存在することが明らかになった. シュウ酸水溶液で表面の鉄を除去した後の粘土のESR吸収と450℃で粘土を酸化した後の粘土のESR吸収の比較から, 構造内に置換されたFe3+量は全鉄量に比較して非常に少ないことが推論された. 同様に粘土のESRスペクトルとFe(NO3)3水溶液のそれとの比較から, 恐らく吸収水に溶解しているかあるいはこれと強く相互作用しているであろうと思われる遊離状態のFe3+は同様に少なかった (全鉄量の≈20%). 上述の推論から, 大部分の粘土中のFe3+は通常のESR測定によっては観測できない状態で, 恐らく層間にあってその面と相互作用して, 存在することが示唆される.
    排気後, 引き続いて500℃で粘土を酸化すると, 強磁性のγ-Fe2O3に帰属される大きな広幅な吸収が出現したが, これから遊離状態のFeイオンが約500℃で表面に凝集することが分った.
    更に, これまでの研究報告を調べ, またシミュレーション法を使って, g=2.049及びg=2.007のシグナルがSO4-アニオンラジカルと帰属されうる可能性のあることが指摘された.
  • 熊谷 正人, 内村 良治
    1982 年 90 巻 1045 号 p. 496-503
    発行日: 1982/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    SiC質耐火物の曲げ試験時における荷重-変位曲線, AE特性, 電気抵抗変化等を測定し, AE法と電位差法の比較, き裂抵抗法による靱性評価, き裂進展挙動とAE特性の関係等について検討した.
    その結果,
    (1) 荷重付加過程から最高荷重点を経て荷重減少過程に入る領域まではAE計数総数と電位差は全く同様の変化を示す. 荷重が更に減少した領域ではAE計数は少ないが, 電位差は直線的に増大する. 電位差法はAE法に比べてき裂の開口程度を追跡するのに特に有効である.
    (2) き裂の進展に伴ってき裂抵抗Rは増大し, その増大傾向から材質のき裂進展抵抗を評価できる.
    (3) き裂抵抗Rとき裂進展時のAE計数の増分はほぼ直線関係にあることから, き裂進展に伴うRの増大はき裂の枝分かれに起因するものと推察される.
    (4) き裂進展挙動がぜい性的になるにつれて, き裂単位面積当たりのAE計数は少なくなる. この関係は熱衝撃時の破壊にも適用でき, 片面加熱時のAE特性から耐火物の破壊のぜい性の程度を推定できる.
  • 木村 邦夫, 立山 博, 陣内 和彦, 恒松 絹江
    1982 年 90 巻 1045 号 p. 503-510
    発行日: 1982/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    シラス中の火山ガラスは, 顕微鏡下で平板状, 針状集合状, 海綿状, 塊状, 中空発泡状の大略5種類に分類できる. 本研究では, X線粉末法による回析強度から動径分布関数を求め, 粒子形状が異なるシラス中の火山ガラスの構造を解析し, その構造の違いが加熱発泡性にどのように寄与しているかを, 佐賀県伊万里地方に産する黒曜岩, 真珠岩とを比較しながら推論した.
    シラスガラスに含まれる一部の水分は, 2次的な水和によるものと考えられる. この結合水の増加により, ガラス構造中の≡Si-O-Si≡架橋の破壊が進み, 部分的なSiO 4面体網目構造の切断が起こり, その結果, 急速加熱時のガラス粘性が低下し, 加熱発泡性が向上することが推察された. ガラス構造は, 黒曜岩, 真珠岩, 平板状及び針状集合状シラスガラス, 海綿状シラスガラスの順に長距離秩序度を失う傾向にある. シラスガラスと真珠岩のガラス構造は似ているが, 針状集合状及び海綿状シラスガラスの加熱発泡性は, 真珠岩に比べ低下する. この差異は, ガラス構造だけに起因するものではなく, 物理的な粒子形状の差が大きく影響していると考えられる.
  • 太田 能生, 森永 健次, 柳ケ瀬 勉
    1982 年 90 巻 1045 号 p. 511-516
    発行日: 1982/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    試料加熱及び測温を同時に行うことができ, しかも光学顕微鏡で試料融体を観察が可能なホットサーモカップル法を用い, RO-B2O3系 (R=Sr, Ba, Ca, Mg), Bi2O3-B2O3, PbO-B2O3各2元系の2液相領域を測定した. 実測したバイノーダル曲線は, Rowlinsonによって与えられた実験式ln|X-Xc|=a+b・ln|T-Tc|(Xc: 臨界組成, Tc: 臨界温度, a, b: 定数) で表され, ホウ酸塩系のbの値は, ケイ酸塩系と同様に, 約1/2であった. また, aはアルカリ土類金属イオンの半径と直線関係を有していた.
  • 稲垣 道夫
    1982 年 90 巻 1045 号 p. 516-521
    発行日: 1982/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    13種の原料有機物, 粒度, 粒子形状及び常圧下予備加熱処理温度を異にする試料粉末を5kbar加圧下, 1600°-2000℃に1時間加熱処理し, 黒鉛化した. 得られた黒鉛成形体から細棒を切り出し, 加圧方向からの角度φの関数として002回折線強度 (ピーク値) を測定することによって, 黒鉛結晶子の配向関数I(φ) を求めた. そして, φ=90°での配向関数の値I(90°) を配向の目安として用いた.
    予備加熱処理温度Tpの配向度への強い影響が認められた. 例えば, グラッシーカーボン・スフェアーではTpの高い試料からは非常に高いI(90°) 値を持つ黒鉛成形体が得られる. また, 粒子の形状も配向度を決める重要な因子であり, 球状粒子からなるものは不規則な形状を持つ粒子に比べてより高いI(90°) 値を示した. これに対して, 基本六方網面が並んで偏平な粒子となっているポリ塩化ビニル炭や六方網面が一つの軸に平行に並んでいる炭素繊維では, 高圧セル中に充てんする際にこれらの粒子が既に配向しているため, 非常に低いI(90°) 値, すなわち高い配向度を示した.
  • 吉村 昌弘, 山沢 和人, 宗宮 重行
    1982 年 90 巻 1045 号 p. 521-527
    発行日: 1982/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    酸化ランタンと含水酸化鉄を出発試料としてLaFeO3の水熱合成を行った. 鉱化剤としてLiOH, NaOH, KOH, KNO3及びKClの各溶液を用いた場合, 合成にはKOHが最も有効であった. 次に圧力100MPa, 温度100°-800℃, 処理時間48時間, 0.51-53wt% KOH溶液, 及び100MPa, 300°-700℃, 1-168時間, 53wt%溶液の条件下においてLaFeO3の生成領域を求めた. LaFeO3の生成領域はKOH濃度及び時間の増加により低温側に移動していた. SEM観察によると合成されたLaFeO3結晶は100MP, 450°-500℃, 53wt% KOH溶液のとき最大となり, また {100} 面の良く発達した立方体状結晶となった. これは高温・高濃度ほどLaFeO3の溶解析出速度は大きいが, より高温ではLaFeO3はLa(OH)3とα-Fe2O3に再び分解する傾向があるためである. したがって100MPa, 450°-500℃, 53wt% KOHという条件はLaFeO3の水熱合成及び育成の最適条件であると思われる. しかしながら, 長時間処理しても結晶は大きくならなかったので温度差法による育成が必要である. この条件下で温度差5℃をつけて168時間育成した結果, 0.8mmのLaFeO3結晶が得られた.
  • 猪股 吉三
    1982 年 90 巻 1045 号 p. 527-531
    発行日: 1982/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    焼結の進行に伴う表面及び粒界のエネルギーの減少と物質移動速度を関連させ, 立方稠密充てんの等容積球体の収縮速度を理論的に導き, 収縮速度への表面及び粒界エネルギーの寄与を検討した. こうして得られた速度式によれば, 粒界エネルギーが表面エネルギーと同程度か, それ以下であって, 粒成長が起こらなければ, 始めて閉気孔が生成するまでの段階は, 次式で表されることが期待される.
    ΔL/L0tmここに0.26<m<0.58
    また, 粒界エネルギーが, 表面エネルギーの√3倍以上であると, この系は完全に焼結せず, 開気孔を残した状態で, 収縮の平衡点に到達することを示し, このような場合についても, 前記した概念に基づいて収縮速度を算出した.
  • 大田 陸夫, 曽我 直弘
    1982 年 90 巻 1045 号 p. 531-537
    発行日: 1982/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    B2O3-Na2O2成分系のB2O3=25-100mol%の組成の融液を液相温度から種々の冷却速度 (Q=1.2×10-3-105℃/s) で室温まで冷却固化し, ガラス化領域を決定した. 冷却速度がQ=2℃/sよりも大きい場合のガラス化領域はB2O3=30mol%付近の低ホウ酸組成とB2O3=60mol%以上の高ホウ酸組成の二つの領域であり, 冷却速度の上昇とともに, それぞれのガラス化領域は広がった. 冷却速度がQ=7.9×10-2℃/s以下となると, ガラス化領域はB2O3=70mol%付近の組成領域とB2O3=90mol%以上の組成領域の二つの領域に分かれB2O3=80mol%付近の組成は結晶領域となった. このような種々の冷却速度におけるガラス化領域の変化をこの系の液相粘度の組成依存性と比較したところ, 冷却速度が変わってもガラス化領域は液相粘度が臨界値 (Qに対して決まる臨界液相粘度ηL*) より大きい組成領域であると考えてよいことが判明した. 臨界液相粘度は冷却速度とともに低下し, 液相粘度ηLの融液をガラス化するための臨界冷却速度Q*はηLとともに低下した. B2O3-Na2O系のlogQ*[Q]-logηLL*] 関係図は結晶化速度式を数値的に解析していけば導くことができるであろう.
  • 孫 宏〓, 篠崎 和夫, 植松 敬三, 水谷 惟恭, 加藤 誠軌
    1982 年 90 巻 1045 号 p. 537-543
    発行日: 1982/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ホタル石構造の広い固溶域をもつEr2O3-ZrO2系固溶体について等温収縮率や相対密度を測定し, 微構造の変化を観察し, 更に, 見掛けの拡散係数を算出して焼結挙動の組成依存性について検討した. 実験は, Er2O3の濃度が0-50mol%までを5%きざみの12組成について, 1200°-1600℃の温度域で行った.
    1600℃に加熱したとき, Er2O3が0,5%では安定化はされず, 10-40%では立方晶ホタル石構造の単相である.
    出発試料の粒径は組成によって異なるので, 初期焼結式を用いて等温収縮率を補正し, 組成以外の因子が焼結性の比較に影響を及ぼさないようにした.
    焼結は全組成域で陽イオンで律速される体積拡散機構で進行すると考えられ, ジルコニアにEr2O3を添加すると焼結性は増大し, 10%付近で最大になり, ホタル石相では逆にEr2O3の増大につれて減少するが, 35-40%付近で一定ないしはやや増加する傾向がみられた. Er2O3以外の酸化物による安定化ジルコニアの収縮率と比較した.
  • 細野 秀雄, 川副 博司, 金澤 孝文
    1982 年 90 巻 1045 号 p. 544-551
    発行日: 1982/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    77Kにて鉛を含有する種々の酸化物ガラスにγ線を照射し, 生成した常磁性Pb3+のESRスペクトルを測定した. 核スピン1/2の207Pb核による超微細構造の解析から求めた不対電子の占有分子軌道に寄与するPbの6s原子軌道成分の大きさ (s性) が, 前駆体のPb2+の配位により大きく異なることを見いだした. すなわち, 配位I (ほぼ球対称の配位子場をもつ) から生成したPb3+のs性は, 配位II (三角錐または四角錐状の配位子場をもち, その頂点の方向に, 非共有電子対の占有軌道が突き出している) からのそれよりもかなり大きい.
    この結果を利用して, 多種類の酸化物ガラス中のPb2+の配位の決定を試み次の結果を得た.
    (1) リン酸塩及び低アルカリ・ホウ酸塩ガラス中では配位Iが支配的である.
    (2) ケイ酸塩及び高アルカリ・ホウ酸塩ガラス中では配位IIが主体である. この結果は, g-テンソルの詳細な解析からも支持された.
    次に2成分系鉛ガラスの性質とPb2+の配位との関係を検討した. ガラス中のPbOの部分モル屈折とs性の関係を見いだし, 配位IIのPb2+は, Iのそれよりも電子分極率がかなり大きいことを結論した.
  • 毛利 尚彦
    1982 年 90 巻 1045 号 p. 551-552
    発行日: 1982/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 袴塚 康治, 土谷 敏雄, 森谷 太郎
    1982 年 90 巻 1045 号 p. 553-554
    発行日: 1982/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 作花 済夫, 神谷 寛一, 加藤 武
    1982 年 90 巻 1045 号 p. 555-556
    発行日: 1982/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 90 巻 1045 号 p. 556
    発行日: 1982年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 90 巻 1045 号 p. A55-A58
    発行日: 1982/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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