NbCの単結晶をNi, Co及びNi-Co系合金をフラックスとして使用して, 1600°-1900℃の育成温度から成長させた, Niを使ったとき, 結晶の大きさは育成温度の上昇とともに増大したが, 1900℃では逆に減少した. また, 保持時間及び徐冷速度をそれぞれ4-16時間及び0.7-7℃/minの範囲で変化させて, 結晶成長に対する影響を検討した結果, 1700℃ではほとんどその影響は認められず, 1800℃では保持時間が長いほど, 徐冷速度が遅いほど成長した結晶は小さかった. Niに対して20wt%のNbCを加えた原料を使い1800℃で4時間保持した後7℃/minで徐冷したとき, 最大1.8mmの立方体の結晶が成長した. Coを使うと, 1600℃→1800℃に育成温度を上昇させると結晶は小さくなり, 保持時間及び徐冷速度の結晶成長に及ぼす影響は認められなかった. Coに対して15又は20wt%のNbCを加えた試料を用いて1800℃で4時間保ち7℃/minで徐冷したとき, 最大1.0mmの結晶がえられた. Ni-Co系合金をフラックスとして使い1700℃の育成温度で結晶成長を行うと, Co/Ni=1/2及び4/1のwt%組成比でそれぞれ最大1.5及び1.2mmの結晶が成長した. Ni, Coいずれのフラックスを使用しても, 結晶の格子定数は
a0=4.4695±0.0005Åとなり, 結晶の成長面は {100} であった. Niを使うと, 成長した結晶はほとんど量論値に近い組成を示し, 結晶中のNi量は, 1800℃で4時間保持したとき2900ppmであったが16時間保持すると600ppmまで減少した. この育成温度1800℃で得られた結晶面の転位密度は10
8/cm
2であった. Coを使うと, 結晶中には遊離の炭素が含まれていることが分かり, 結晶中のCo量は1600°及び1800℃の育成温度でそれぞれ7900及び1250ppmであった.
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