窓ガラスの表面をリボン状厚膜導電体で加熱して, 結露による曇りを効果的に防止するためには, 比抵抗が9×10
-6ohm・cm程度, 金属端子の接着強度が30kg/cm
2以上の性能を有する導電体が必要である. 本研究では, りん (鱗) 片状銀粉に絶縁物としてMnO
2, Tiの有機化合物及びRhの有機化合物のいずれかを添加して銀ペーストを調製し, これを板ガラスにスクリーン印刷した後645℃で5分間焼成して導体を作製し, 抵抗と接着強度の組成依存性を調べた. MnO
2を3%添加すると, 導体の比抵抗は3×10
-6ohm・cmから10×10
-6ohm・cmに増大したが, 接着強度は90kg/cm
2から15kg/cm
2まで減少した. また金属の有機化合物では, Rhの場合わずか0.08%の添加で比抵抗9×10
-6ohm・cm, 接着強度56kg/cm
2となったのに対し, Tiでは0.96%添加した場合, 比抵抗は8×10
-6ohm・cmとなったが接着強度は10kg/cm
2程度であった. このことから, Rhの有機化合物を銀ペーストに添加する方法により, 所望の特性を有する導電体が得られることが明らかとなった. また比抵抗は銀粒子間の接触面積に反比例するという仮定に基づいて計算式を誘導し, 比抵抗の組成依存性に適用した.
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