ビトリアスチャイナ及びボーンチャイナについて, その軟質釉の厚さを変えた時の釉応力の変化を測定した.
ビトリアスチャイナの場合, 釉厚さ0.1mmの時-600--900kg/cm
2の圧縮応力を示したものが, 釉厚さの増大とともに急減し, 釉厚さ1-1.5mmでほとんど0になった. ボーンチャイナの場合, 釉厚さ0.1mmの時-500kg/cm
2あった釉応力は1-1.5mmで-100kg/cm
2に減少した.
また釉層中における応力分布, 屈折率分布も測定した. 圧縮応力は素地に接する部分で最高で, 釉表面がそれに次ぎ, 釉層の中央部が最も低かった. 釉層の屈折率は塊状でとかした釉よりかなり低い値を示し, 素地に接する部分及び釉層表面は, 釉層中央部より低い値を示した.
これらの結果から釉と素地との反応及び釉層表面からの揮発成分の減少により釉層の熱膨張係数に変化をきたしていることがうかがわれる.
ビトリアスチャイナ及びボーンチャイナ上での釉層は実際に用いられる0.1-0.15mmの厚みではそれぞれ1.5×10
-6, 1.0×10
-6程度, 熱膨張係数が低下していると計算された.
前報に報告した“融合点補正”と, 釉焼による釉の熱膨張係数の低下に対する“変質補正”の二つを導入することによって素地の上に焼成された釉層中の釉応力の大きさを合理的に説明できるようになった.
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