窯業協會誌
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89 巻, 1033 号
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  • 鈴木 傑, 小林 種雄, 高橋 実, 今岡 稔
    1981 年 89 巻 1033 号 p. 457-461
    発行日: 1981/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    メタリン酸塩ガラスについて, 一定荷重下でのクリープを圧縮法によりガラス転移領域で測定し, 特に遅れ弾性に注目し整理してみた. メタリン酸塩ガラスの遅れ弾性の最終コンプライアンス (J) は, 修飾イオンの大きさに影響されるが, いずれも1013 poise付近にピークを持つ同じような傾向を示した. Jは粘性ηの関数として次式, J=(1-k2ηG/η)・f2[nk1/η] で近似させることができた. ここで, k1, k2, f2, nは任意のパラメーター, ηGは遅れ弾性による変形の際の粘性抵抗係数を表す.
  • 袴塚 康治, 米田 登, 土谷 敏雄
    1981 年 89 巻 1033 号 p. 461-470
    発行日: 1981/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    V2O5を含むmixed network former系ガラス, V2O5-B2O3-P2O5ガラスの電気伝導と誘電緩和をこれらの微構造との関連において研究した。 電気伝導と誘電緩和の間の密接な相関関係から, 両方とも同じ電子ホッピングプロセスに起因していると思われる. 直流の導電率はV2O5含量に依存し, モル比B2O3/P2O5で1/3から3/4に相当する組成で極小を示した.
    一方, 化学分析より決定した原子価比V4+/VtotalはP2O5をB2O3で置換するとともに単調に減少した. Mottの理論によれば, その直流の導電率は, 原子価比V4+/Vtotal=0.5で極大を示すことが期待される. V2O5-B2O3-P2O5系ガラスにおいて, 導電率の極小がV2O5含量に依存し, 原子価比V4+/Vtotalで0.2から0.6において観察された. この異常な挙動は, このタイプのガラスの直流の導電率が必ずしも原子価比V4+/Vtotalによって決定できないことを示唆している. この異常性を検討するため, 分子容, 分子屈折, IR測定及び電子顕微鏡観察の結果からガラス構造が特徴づけられた. 分子容の組成依存性は, 導電率に極小をもつ組成付近で急激に変化した. また分相が観察され, その分相は, 導電率に極小を示す組成の両側で異なる形態を示した. Vitreous BVO4, amorphous V2O5とガラスのIRスペクトル間の類似性から, BVO4とV2O5の構造単位がB2O3を多量に含有するガラスにおいて存在することが示唆された. したがって, B2O3量の多い組成の直流導電率の大きな増加は, これらの構造単位に帰することができる.
    一方, 導電率に極小を示す組成付近のV-O-V非対称振動によるIRの吸収の消失は, V-O-V非対称振動が電子ホッピングプロセスに関係していることを示唆する.
    これらの結果は, 微構造の変化がこのタイプのガラスの直流導電率の組成依存性を支配しているものと結論された.
  • 露木 尚光, 久 修, 宮川 継男, 笠井 順一
    1981 年 89 巻 1033 号 p. 471-479
    発行日: 1981/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    混和剤を用いたセメントの水和は, その添加量によって著しく変動することがしばしば起こる. 著者らは-COOH基, >C=O基をもった2-オキソグルコン酸カルシウム存在下におけるCaO・Al2O3の水和をモデルに検討した. この混和剤はCa(OH)2水溶液においてCa錯体の形成, 場合によってはCa共沈体の生成という相反する二面性がある. 2-オキソグルコネートの濃度によってCaO・Al2O3の水和現象は三つのパターン (タイプA, B, C) に分類できるが, いずれの場合でも水和初期に共通することは, CaO・Al2O3からのカルシウム分, アルミニウム分の溶出→錯体の形成→共沈体の生成, へと移行することである. 水和現象の差異は混和剤と反応するカルシウム分, アルミニウム分の量が添加量によって異なるためである. したがって, 凝結は溶出現象又は錯体形成の持続時間と共沈体の被膜生成状態とによって左右され, 三つのパターンに分かれる. Ca錯体は液相中で安定な (1:1) 錯体で, Ca共沈体は無定形の難溶性ゲル状物質であり, 単なる2-オキソグルコネートのCa塩ではない. この混和剤を用いた硬化体中の無定形ゲル状物質とは, 錯体形成が引き金となって生成したものである.
  • 新谷 宏隆, 玉井 康勝
    1981 年 89 巻 1033 号 p. 480-487
    発行日: 1981/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    数種のAl2O3-Cr2O3系固溶体を硝酸塩から共沈, 仮焼, 成形, 焼成を経て作製し, 溶融Ib族金属 (銅, 銀, 金) 及び鉄族金属 (鉄, コバルト, ニッケル) によるぬれ性を静滴法により検討した. すなわち, 鏡面に研磨した固溶体試験片上での金属液滴の接触角を測定し, また液滴の形状から表面張力を求めた. 更に, 付着仕事をWad1(1+cosθ) から求めた.
    Ib族金属の場合, 接触角及び付着仕事は固溶体の組成の影響を受けず, ほぼ一定の値を示す. この場合, 付着仕事はvan der Waalsの相互作用のエネルギーで表される. これに対し, 鉄族金属の場合は, 固溶体中のCr2O3含有量の増加とともに接触角が低下し, 付着仕事が増大する. この原因はCr2O3含有量の増加とともに固液界面において化学的相互作用の寄与が大きくなるためである. すなわち, 固溶体からのCrとOの溶融金属中への溶解, 溶解した酸素の界面への吸着に伴う界面張力の低下が接触角の低下, 付着仕事の増大をもたらしていると考えられる.
  • 水野 正雄, 山田 豊章, 田口 昭, 町田 充秀
    1981 年 89 巻 1033 号 p. 488-494
    発行日: 1981/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    太陽炉に付属して使用するガスふん囲気溶融装置の試作を行い, ふん囲気ガス中における温度測定法を確立するための実験を行った.
    1) 溶融装置については, 減圧及びガスふん囲気中での試料の加熱と焦点への照準などの操作が簡単に行え, ほぼ所期の目的を達した.
    2) フラスコを用いたガスふん囲気中における温度測定については, 試料からの蒸発を考慮に入れ短時間で測定を行えば測定誤差範囲内に納まることが明らかとなった.
    3) 0.65μmにおけるフラスコを通しての分光透過率は加熱時間とともに試料の蒸着のため減少した.
    4) Al2O3及びY2O3の蒸発量は微量で, フラスコに付着した試料の透過係数の値は, ほぼ1×10-4s-1であった. ZrO2の蒸発量はAl2O3及びY2O3に比べて多量で, 透過係数は7×10-4s-1であった.
    5) 希土類酸化物の透過係数はLa2O3, Pr6O11, Nd2O3, Sm2O3及びEu2O3については1×10-4s-1以上で, Gd2O3, Dy2O3, Ho2O3, Er2O3, Yb2O3及びLu2O3では, それぞれ1×10-4s-1以下の値であった.
    6) Al2O3, Y2O3, ZrO2及び希土類酸化物の凝固点については, 1atmの空気中及びアルゴンふん囲気中での差は, ほとんど見られなかったが, 減圧下 (10-1mmHg) においては若干低い温度が観察された.
  • 松尾 哲夫, 松原 欣二, 園田 真治
    1981 年 89 巻 1033 号 p. 494-500
    発行日: 1981/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    焼結高純度アルミナ砥石 (SR) や40%ジルコニア砥石 (ZN) を含む計8種類のレジノイド砥石について304ステンレス鋼のスナッギング研削モデル実験 (最大押し付け荷重300N, 砥石周速53m/s) を実施し, 各砥石の研削性能を評価した, 結果は以下のとおりである.
    (1) 砥石間の削除率の差は概して小さいが, 32A, WA砥石で幾分高い. また, SR砥石は76A砥石とともにZS, ZN砥石に比べ高荷重域で削除率は高くなる.
    (2) 砥石損耗率に及ぼす砥石種類の影響は極めて大きく, 結果として研削比は砥石に大きく依存する. ZN砥石は砥石損耗が最も少なく最高の研削比を示し, ZS砥石がこれに次いで高い研削比を有する.
    (3) 研削面粗さ曲線の形状は砥石種類により著しく異なり, ZS, SR砥石では小山の少ない広く深い溝を持つ研削面が生成される. ZN砥石は32A, A砥石に近い曲線形状を示す.
  • 熊谷 正人, 内村 良治
    1981 年 89 巻 1033 号 p. 500-507
    発行日: 1981/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    アルミナーシリカ質を中心とした耐火物の曲げ試験時における応力-ひずみ曲線とAE特性を変形, 破壊の全過程にわたって測定, 検討した.
    その結果,
    (1) 曲げ試験時に主き裂が進展するにつれて, き裂単位面積当りのAE計数は多くなる傾向にある. この現象は, 進展き裂の折れ曲がりや枝分れに起因する.
    (2) ぜい性的なき裂伝ぱ挙動が顕著になる領域では, き裂単位面積当たりのAE計数は少ない.
    (3) 微構造やき裂の伝ぱ挙動の違いを反映して, き裂単位面積当たりのAE計数は材質によって1けた以上異なる.
    (4) AE振幅分布をみると, 微小き裂の発生が主体である荷重増加過程では小さい振幅のAEが多いが, 主き裂が進展する荷重減少過程では大きい振幅のAEが多くなる.
  • 小久保 正, 種井 平吉, 小島 浩一, 田代 仁
    1981 年 89 巻 1033 号 p. 507-516
    発行日: 1981/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    融液の一方向凝固により, 分極の容易なa軸又はc軸を一方向に並べたPbTiO3多結晶体を製造する条件を明らかにする目的で, PbO・TiO2及びこれに少量の添加物を加えた組成の融液を, 白金るつぼ中で焼結体を種子結晶として50℃/cmの温度こう配下で, 2-40mm/hの種々の速度で下から上へ向け一方向に凝固した. その結果, いずれの場合も, るつぼ底面に垂直に伸びた多数のPbTiO3柱状晶からなる多結晶体が得られた. 同結晶は, 融液の組成がPbO・TiO2で凝固速度が2mm/hの場合には, その〈110〉方向を凝固進行方向にそろえて配向したが, 同組成で凝固速度が4-40mm/hの場合, 及びPbO・TiO2に少量のMnO2あるいはUO3を添加した組成で, 凝固速度が2mm/hの場合には, その〈100〉方向を凝固進行方向にそろえて配向した. 柱状晶の径 (D) は凝固速度 (R) が2から40mm/hへ増大するにつれ, 0.53から0.40mmへ減少し, DRの間にはD=0.59R-(1/8.3)の関係が認められた. 凝固物の見掛け気孔率は凝固速度が40から4mm/hへ低下するにつれ, 2.8から0.5%へ減少したが, 凝固速度を更に低下させても, 気孔率はそれ以上減少しなかった. 凝固物の微細構造が上記のようになった原因を, 融液の凝固過程に基づいて考察した.
  • 大岡 一夫, 荻野 直彦, 川西 宣男
    1981 年 89 巻 1033 号 p. 516-523
    発行日: 1981/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    誘導加熱によるガラスの溶融は, 炉構造が簡単で操作性, 遠隔制御性もよい. 更に溶融ガラスを直接誘導加熱する直接誘導溶融では, 高温に耐え, 長寿命のセラミックポットを使用できる利点も付加できる. この特長に着目し, 直接誘導溶融こよる “模擬高レベル廃棄物” のガラス固化法の試験を行った.
    3MHz及び400kHzの発振周波数をもち, 65kWの連続出力の発振器を用い, 内径170-325mm, 高さ600mmの5種のセラミックポットを使用して直接誘導溶融を実現した. 直接誘導のため起動は炭化ケイ素棒の誘導加熱によって行われ, 起動後はこの起動棒を系外に取り去って以後は連続的に直接誘導溶融を続けることができた.
    模擬廃棄物の混合粉末にガラスフリットを添加した原料を用い, 内径325mmのポット中での直接誘導溶融によって11.8kg/hの溶融能力が得られた. 各ポットの溶融試験によって直接誘導溶融のための条件が定められ, かつこれらの条件下での電気的, 熱的性質について解析, 評価を行った.
  • 1981 年 89 巻 1033 号 p. A54-A56
    発行日: 1981/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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