9Al
2O
3・2B
2O
3結晶の構造を単結晶X線回折法で研究した. 斜方晶系で, 空間群は
C2v12-
Cmc2
1であり, 単位格子は
a=5.682±0.013Å,
b=14.973±0.034Å,
c=7.692±0.017Åで, これから計算したA
9B
2の
zは1.09であった. フーリエ合成法と最小自乗法によつて信頼度因子
R=10.3%の構造が得られた. この構造はアンダルサイトのものに類似していて, AlO
68面体, AlO
44面体, BO
3三角形及び酸素が不規則に5配位しているAl原子を含んでいる. これらAlO
68面体とAlO
44面体は
a軸方向に連続して結合している. この構造では単位格子中に10Al
2O
3・2B
2O
3が1式量単位はいっているような原子配列であるので, この構造を10Al
2O
3・2B
2O
3型構造と名付けた. しかし, 化学分析からは, この化合物は9Al
2O
3・2B
2O
3組成であると結論される. このX線測定実験と化学分析の結果の間の矛盾は, 10Al
2O
3・2B
2O
3型構造の化合物中のAl原子の約2%弱がB原子で統計的に置換された構造になっているとして解決できた. すなわち, この置換によって組成はAl
20-4/11B
4+4/11O
36=1.09(9Al
2O
3・2B
2O
3) となり, 単位格子中の式量単位数
zも
z=1.002となり, 比重実測値, 化学分析結果, X線測定結果がすべて満足される. 更に, 置換前後の信頼度因子
Rの変化を調べて, B原子によって置換されるAl原子の位置を推定した.
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