ガラス円管及びびん試験体について, スチールボールによる落球衝撃を与え, 試験体の内, 外表面に発生するひずみ (円周方向) 分布をストレインゲージにより測定し, スチールボールの衝撃エネルギー, 試験体の肉厚並びに発生したひずみ量の関係を定量的に検討し, それと並行して試験体に同じく点荷重 (静荷重) を加えた場合に発生するひずみ分布との比較検討を行った.
また市場で7-10年間使用されたびんを試験体として, 表面傷が集中的に発生している円筒部 (外表面) に同様の落球衝撃を与えて破壊実験を行った.
これらの実験から以下のような知見が得られた.
1. 衝撃時に発生するひずみ分布
i) 試験体内表面の場合
発生した引っ張りひずみは衝撃点直下で最大を示し, それから離れるにつれて急激に減少した. またその最大値と衝撃エネルギーの間には両対数で直線関係が認められた.
ii) 試験体外表面の場合発生した引っ張りひずみは試験体の肉厚に応じて, 衝撃点から円周方向に30°-60° (ずれ角度) 離れた位置に最大値が認められ, 本試料びん (肉厚, 約4mm) の場合では衝撃点からのずれ角度50°近傍に引っ張りひずみのピークが認められ, 外部衝撃による典型的なびんの破壊パターンである “ヒンジ割れ” (Hinge fracture) の場合の破壊起点とよく一致した.
2. 試験びんの耐衝撃強度
スチールボールの質量, 衝撃速度並びに衝撃エネルギーとびんの耐衝撃強度の関係について検討を行った結果, (1)式のような関係式が得られた.
m・
V2.54=
C (1) (ここで,
m: スチールボールの質量,
V: 衝撃速度,
C: 定数である.)
また衝撃の負荷速度とびんの破壊強度の関係につき検討を行い, Charles, Evansらにより導かれた(2)式から, 疲労定数, n≒18が得られた. σ=β・σ
1/n+1 (2) (ここで, σ: 破壊応力, σ: 荷重の負荷速度, β: 定数,
n: 疲労定数である.)
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