水簸により各種粒度に分級したケイ石を使用してビトリアスチャイナ素地を調製し, SK 12で締焼き後, 軟質釉をかけて釉焼きを行い, 釉応力と素地中の結晶量を測定した. その結果, 基礎調合Aではケイ石粒度が>20μmから3-6μmまでは, -500--800kg/cm
2の満足すべき圧縮応力を示し, 大差なかったが, 粒度が1-3μm, <1μmと微細になるにつれ急激に圧縮応力を増し, -1200kg/cm
2にもなった. ケイ石が細かくなると石英残存量がへるが, クリストバライトがこれを補うだけ生成するため, ほぼ同じ釉応力を示すが, ある限度以下 (1-3μm) に微細になるとクリストバライト生成量が急激に増加するのがその原因である.
また基準配合Aにカオリン3%を添加した若干貫入抵抗性の小さい素地K'-3では, 短時間焼成 (SK 12RF, 42h) ではケイ石粒度が粗くなるほど釉圧縮応力大, 長時間焼成 (SK 13RF, 126h) ではケイ石粒度が細かくなるほど釉圧縮応力大, と逆の傾向を示した. これは, 細粒の長時間焼成ではクリストバライトの生成が著しいためとして説明することができる. このように, 粒度の影響は単純ではないが, 本報の方法によりその機構も含め的確に判断し得ることを知った.
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