ZnAl
2O
4の生成に対する三通りの異なった混合方法の影響を研究した. 5.4μmの粒径のBayer法によるAl
2O
3と0.3μmのZnO微粉を等モル比にひょう取し, 次の三通りの異なった方法で混合した.
(1) あらかじめ, めのう乳鉢で30分間別個にらいかいしたAl
2O
3とZnOを, 手すりで2分間めのう乳鉢中で混合し, 次いで30分間V型混合機で混合した (方法I).
(2) あらかじめ, めのう乳鉢で30分間別個にらいかいしたAl
2O
3とZnOを30分間V型混合機で混合した (方法II).
(3) 原料のAl
2O
3とZnOを30分間めのう乳鉢中でらいかい混合した (方法III).
最初の二通りの方法は混合の際弱い力しかかからないので弱い混合方法と名付ける. 第3番目の方法は通常の乾式らいかい法で, 粉体にかなりの圧力がかかる.
試料は900°-1100℃で15分ないし3000分間加熱し, 化学分析によりZnAl
2O
4の生成率を測定した.
方法IIIで調製した試料は, 方法I及びIIで調製した試料に比べ高い反応率αを示し, 特に高温でその傾向が著しかった.
主反応型の小松模型を適用したが, Al
2O
3とZnOの粒径に大きな差があるので小松模型はJander式と類似の下記の式に還元できる.
J={1-(1-α)
1/3}
2=
kK・
tJander関数を時間に対してプロットした結果, 測定値は直線関係を満足し, これより速度定数
kKを決定した.
速度定数
kKのアレニウスプロットを行った結果, 試料の調製法が異なった場合, 異なった傾斜の直線が得られた. これより, 異なった混合方法I, II及びIIIに対して, それぞれ活性化エネルギーは40.6, 42.0, 89kcal/molと決定した.
方法I及びIIような弱い混合方法により調製した試料は通常のらいかい混合法IIIにより調製した試料に比べ低い活性化エネルギー値を与える.
文献で報告されているZnAl
2O
4生成の拡散過程の活性化エネルギー値をそれらの反応工程因子とともに集め比較検討した. それによると見掛け上低い活性化エネルギーを与える反応工程因子として, 低温で熱分解した活性なAl
2O
3を出発原料に用いることと, 弱い混合方法を用いていることの二つの因子が注目できることを指摘した.
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