窯業協會誌
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88 巻, 1019 号
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  • 梅林 正気, 小林 和夫, 諫山 幸男, 中村 光徳
    1980 年 88 巻 1019 号 p. 361-367
    発行日: 1980/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    シラスを比重選鉱して得た重質部とAlの混合粉末の成形体を窒素ふん囲気中で1500℃まで加熱し, 加熱過程での重量の変化, 焼成体の鉱物組成及び組織を調べ, 次の結果を得た.
    (1) 約500℃からAlの窒化が始まり, 約830℃でシラス重質部とAlの間でテルミット反応が生じた. テルミット反応で生じたSiは, 約1100℃以上で窒化し, β'-Si3N4となった.
    (2) 1300℃で得た焼成体の鉱物組成はAlの添加量によって変化した. すなわち, 40wt% Alでは, β'-Si3N4, α-Al2O3及び15R-AlN, 60wt% Alでは, AlN, 15R-AlN, 12H-AlN及びα-Al2O3となった. また, 焼成温度の上昇とともに, 焼成体中のβ'-Si3N4とα-Al2O3は減少し, 15R-AlN及び12H-AlNが増加した.
    (3) 焼成体中には, シラス重質部が一部未還元で残留し, 1000℃以上でガラス相を形成した. 約1350℃以上で認められた15R-AlNの粒成長は, ガラス相の存在により促進されたものと考えられた.
    (4) Al添加量によって異なるが, いずれの試片においても, 高温で重量の減少が認められた. これらは, ガラス相の熱分解, 及びSi3N4とAl2O3の反応によるSiOガスとN2ガスの発生によるものと考えられた.
  • 関屋 寛治, 森永 健次, 柳ケ瀬 勉
    1980 年 88 巻 1019 号 p. 367-373
    発行日: 1980/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Na2O-GeO2系融体の密度, 粘度, 電導度を測定した.
    密度-組成曲線には, 7mol% Na2Oに極大値が存在した. 部分分子容 (VGeO2) をインターセプト法により分子容から求め, 4配位と6配位のGe4+が存在することを仮定して, 6配位したGe4+イオンの割合, N6, をVGeO2から求めた. N6の値はNa2O/GeO2比が増加するにしたがい直線的に増加し, 25mol% Na2Oで最大となった. 一方25-40mol% Na2OにかけてN6はNa2O/GeO2比の増加とともに減少した. 40mol% Na2Oでは6配位Ge4+イオンは存在しないと推定した. 粘度, 粘性流動の見掛けの活性化エネルギー及び当量電導度の組成依存性はN6の変化で説明できた.
  • 高精度測定器の製作と校正実験
    今川 宏
    1980 年 88 巻 1019 号 p. 373-380
    発行日: 1980/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    シェリュプスキー法の改良に関する理論的考察に基づき-10-3ラジアンの小角散乱光を分離できるセル温度可変高精度濁度計を試作し標準試料で実験値を校正した. 均質度標準試料は同種光学ガラスで10-4程度屈折率が異なる製造ロットのものを平均粒径90μmに粉砕し混合して調製した. 等屈折率浸液を満たした光学セル中にガラス粒子沈積層を作り, 液と粒子の屈折率が一致する温度T0の付近で散乱損失Sを測定した (S=lnI0/Iu, I0は入射光, Iuは出射光の直進成分の強度). SはRamanの理論のとおり正確に2次式S=a(T-T0)2+Sminに従って変化し, Sminは標準試料の屈折率の統計的分散VとSmin=cV+S0の関係を持つことが確認された. 係数acから補正係数βとして理論値に近い値, 4を得た. また測定の感度をパラメーターk2で比較するとShelyubskiiの実験より1けた向上している. 粒子を浸液中に沈積させる技術が寄生散乱 (-S0) のばらつきと測定精度を強く支配する. 散乱光の分布が最大になる角度はRamanの半定量的理論値λ/Δとオーダーが一致することが確認された.
  • ZnO-Al2O3-SiO2系ガラスの結晶化に関する研究, 第3報
    横石 章司, 斎藤 肇
    1980 年 88 巻 1019 号 p. 381-387
    発行日: 1980/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    38ZnO, 11Al2O3, 51SiO2mol%の3成分系基礎組成に対し, ZrO2, リン酸 (リン酸二水素アンモニウムとして添加) 成分を添加したガラスから結晶化ガラスを得る際, 750°-86℃での熱処理により正方晶又は単斜晶ZrO2が析出した.
    通常1100℃以上で正方晶が安定とされ, これ以下では単斜晶が安定である. 本試料ガラスから析出した正方晶ZrO2は準安定相であると考えられ, その安定化について検討するため正方晶ZrO2の析出量及び結晶径をX線粉末回折により測定し, 次の結論を得た.
    (1) 析出した正方晶ZrO2の粒子径は約300Å以下であった. 更にZrO2結晶の粒成長が進むと考えられた場合には, 正方晶ZrO2量は減少し単斜晶相が析出したことから準安定正方晶相が単斜相へ転移したと考えられた.
    (2) したがって両ZrO2相の表面エネルギーの差により微粒の準安定正方晶相は安定化され, 臨界径は300Åと考えられた. この値は既に報告されているZrO2粉末の場合の臨界径と一致した. これは本試料のZnO-Al2O3-SiO2系ガラスマトリックス相が, 転移に際し膨張する正方晶ZrO2粒子に対しひずみを与えぬためと考えられた.
    (3) 結晶化ガラスを得る際, ZrO2を核形成剤として用いる場合には, 正方晶ZrO2の析出が好ましいと思われた.
  • 木下 真喜雄, 板谷 清司
    1980 年 88 巻 1019 号 p. 388-394
    発行日: 1980/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    酸化マグネシウムに二リン酸マグネシウム又は二リン酸ジルコニウムを0.1-3.0mol%添加したときの焼結について, 昇温法 (昇温速度10℃・min-1, 室温-1300℃) 及び定温法 (1200℃及び1300℃, 300min) によって検討した. 昇温法では熱膨張計で収縮率を測定し, 定温法では焼結体のかさ密度を求めた.
    昇温法による結果は定温法の結果とほぼ一致した. 定温法による焼結過程は初期 (0-約30min) 及び後期過程 (約30-300min) に区別された. Mg2P2O7添加の場合では, 初期過程において1.0mol%以下の添加でMgOのち密化を促進し, 後期過程では1.0mol%が最もち密化を促進した. しかしながら, ZrP2O7添加の場合は用いたすべての濃度で全過程にわたってMgOの焼結を阻害した. 添加物を加えたときのMgO粒子は1200℃で急速に成長し始め, 1300℃では微量の液相の生成によって粒成長が更に促進された. 添加物のMgOの粒成長に及ぼす効果はZrP2O7の方がMg2P2O7に比べて大であった.
    以上の結果はMgOと添加物との反応生成物及びその生成量に影響され, 特に安定相であるMg3(PO4)2が多量に生成する場合はMgOの焼結を阻害することが認められた.
  • 中山 鐘盛, 橋場 稔, 三浦 英二, 塗師 幸夫, 日比野 泰三
    1980 年 88 巻 1019 号 p. 394-400
    発行日: 1980/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ZnAl2O4の生成に対する三通りの異なった混合方法の影響を研究した. 5.4μmの粒径のBayer法によるAl2O3と0.3μmのZnO微粉を等モル比にひょう取し, 次の三通りの異なった方法で混合した.
    (1) あらかじめ, めのう乳鉢で30分間別個にらいかいしたAl2O3とZnOを, 手すりで2分間めのう乳鉢中で混合し, 次いで30分間V型混合機で混合した (方法I).
    (2) あらかじめ, めのう乳鉢で30分間別個にらいかいしたAl2O3とZnOを30分間V型混合機で混合した (方法II).
    (3) 原料のAl2O3とZnOを30分間めのう乳鉢中でらいかい混合した (方法III).
    最初の二通りの方法は混合の際弱い力しかかからないので弱い混合方法と名付ける. 第3番目の方法は通常の乾式らいかい法で, 粉体にかなりの圧力がかかる.
    試料は900°-1100℃で15分ないし3000分間加熱し, 化学分析によりZnAl2O4の生成率を測定した.
    方法IIIで調製した試料は, 方法I及びIIで調製した試料に比べ高い反応率αを示し, 特に高温でその傾向が著しかった.
    主反応型の小松模型を適用したが, Al2O3とZnOの粒径に大きな差があるので小松模型はJander式と類似の下記の式に還元できる.
    J={1-(1-α)1/3}2=kKt
    Jander関数を時間に対してプロットした結果, 測定値は直線関係を満足し, これより速度定数kKを決定した.
    速度定数kKのアレニウスプロットを行った結果, 試料の調製法が異なった場合, 異なった傾斜の直線が得られた. これより, 異なった混合方法I, II及びIIIに対して, それぞれ活性化エネルギーは40.6, 42.0, 89kcal/molと決定した.
    方法I及びIIような弱い混合方法により調製した試料は通常のらいかい混合法IIIにより調製した試料に比べ低い活性化エネルギー値を与える.
    文献で報告されているZnAl2O4生成の拡散過程の活性化エネルギー値をそれらの反応工程因子とともに集め比較検討した. それによると見掛け上低い活性化エネルギーを与える反応工程因子として, 低温で熱分解した活性なAl2O3を出発原料に用いることと, 弱い混合方法を用いていることの二つの因子が注目できることを指摘した.
  • 平井 敏雄, 島田 正之, 後藤 孝
    1980 年 88 巻 1019 号 p. 401-404
    発行日: 1980/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    化学気相析出法により合成した非晶質及び結晶質Si3N4(CVD-Si3N4) の直流電気伝導度 (σ) を350℃-1000℃の温度範囲及び0-500Vの印加電圧範囲で測定した. すべての測定範囲でオーミックな電気伝導が認められた. 非晶質及び結晶質CVD-Si3N4のσは, 温度の上昇とともに増加し, 600°-700℃ではlogσと1/Tの関係は直線的であった. 直流電気伝導の活性化エネルギーは約2.2eVと求められ, この値は, 高温領域における直流電気伝導が真性電導であることを示している. 結晶質CVD-Si3N4のσの値は非晶質CVD-Si3N4のそれの約1/10であり, またSi3N4焼結体の1/10-1/105であった.
  • 大田 正人, 秋山 桂一
    1980 年 88 巻 1019 号 p. 405-410
    発行日: 1980/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    風化など, 水和について影響を与える外的因子をできるだけ取り除き, CaO・Al2O3の水和過程を純粋に検討した. 更に, それらの因子の効果についても検討した. 水和は, W/C50にて行った. CaO・Al2O3-水系の水和反応は, 溶出期, 析出初期, 析出後期の3期間に分けて考えることができた. 溶出期は, CaO・Al2O3の水相への溶出期間で, 水和物の生成は見られず, 水和の誘導期と考えられる. 析出初期は, 無定形水和物のみの生成期で, いわゆる水和反応開始時間に相当する. 析出後期は, 結晶性水和物の生成時期で, 無定形水和物の生成はほぼ定常状態となる. 溶出期の終わりの水相中の濃度が最高となる値は, CaOが1.07g/l, Al2O3が約1.5g/lであった. 水和物等の水和に影響を与える外的因子が水和系に存在すると, 反応速度だけでなく, 水和機構にも大きな影響を受ける.
  • 神崎 修三, 浜野 健也, 中川 善兵衛, 斎藤 勝一
    1980 年 88 巻 1019 号 p. 411-417
    発行日: 1980/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    反応ホットプレス法により作製した密度99%以上, 平均粒径約1μmのアルミナ過剰組成スピネル焼結体について, 再加熱処理による強度, KIC, の変化を調べ, ナルミナ成分の析出及び微構造との関係について検討した. 室温での曲げ強度とKICは試料の組成, 再加熱条件に依存する. アルミナとマグネシアのモル比が1.22, 1.50の試料はそれぞれ1150℃, 1000℃で再加熱すると, 処理時間に伴い強度, KIC, が最大となる二つのピークを示し, 最大強度約700MN/m2, KIC約4.7MN/m3/2の値が得られた. 強度, KIC, の増大は再加熱過程でアルミナ過剰スピネルから安定なコランダムが析出するまでの前段階として準安定な第2相を析出し, その周りに弾性ひずみを生じたり, き裂先端が第2相により一時的にピン止めされることなどの相互作用によると考えられた. この結果, アルミナ過剰組成のスピネルは再加熱により単結晶の場合と同様に第2相の析出に伴う析出強化を生じ, 強度及びじん性を向上させることができることを見いだした.
  • アルミナ質研削砥石
    篠崎 和夫, 横井 誠, 植松 敬三, 水谷 惟恭, 加藤 誠軌, 岡田 昭次郎, 亀山 次彦
    1980 年 88 巻 1019 号 p. 418-423
    発行日: 1980/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    本研究はビトリファイド研削砥石の製造条件と, 得られる砥石の諸性質との関係を調べたもので, 白色溶融アルミナ砥粒を含む系をモデルに選び, 成形圧力及び焼成時間と, 曲げ強度, 弾性率及びかさ密度との関係を検討した.
    実験結果から, 研削砥石の製造条件とこれらの性質との間には密接な関係のあることが明らかになり, それらの関係を微構造との関連において説明した.
    更に, 均一な性質をもち信頼性のある研削砥石の製造には, 成形時の密度を均一にすることが最も重要であることを明らかにした.
  • 矢島 祥行, 小林 美智子, 一ノ瀬 昭雄, 永長 久彦
    1980 年 88 巻 1019 号 p. 423-426
    発行日: 1980/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    鉛-チタン複合酸化物セラミックス中の鉛及び, チタンの正確かつ簡便な分析方法の確立を目的として, 種々の検討を行った. 試料をピロ硫酸カリウムで溶融分解後, 鉛をあらかじめ硫酸塩としてチタンから分離し, 酢酸アンモニウム溶液に再溶解後, XOを指示薬とするEDTA滴定法により定量し, チタンについてはクペロン錯体として沈殿分離後, 強熱して, 酸化物としてひょう量した. この方法を関連物質についても適用し, 充分満足しうる結果を得た. また, 正確さの観点から, 鉛の分離条件, 鉛の滴定条件, チタンの分離条件についての考察を行った.
  • 木原 誠治, 河本 邦仁, 西川 泰男, 柳田 博明
    1980 年 88 巻 1019 号 p. 427-429
    発行日: 1980/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 88 巻 1019 号 p. 429
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 88 巻 1019 号 p. A40-A44
    発行日: 1980/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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