溶銑予備処理後のAl
2O
3-SiC-C耐火物において, SiC粒のくし状の損耗状態, その損耗部でのカーボンの析出, 及びマトリックス中でのNa
2O-Al
2O
3-SiO
2系化合物の析出が観察された. この観察に基づいて, SiCの役割について熱力学的検討を行った結果, 次のことが明らかとなった.
(1) 稼働面付近のC(s)は酸化され, CO(g) となり耐火物内部のガス雰囲気を形成し, その一部は,
SiC(s)+CO(g)→SiO(g)+2C(s)
のように, SiCとの反応によって再びC(s) へ戻される.
(2) 耐火物中のSiC(s) は, 雰囲気中のCO(g) と反応し, 粒表面から順次くし状に損耗される. その際, SiO(g) を生成するとともに, C(s) を析出させ, SiCの損耗部を埋める.
(3) SiO(g) は, Al
2O
3粒表面や気孔中で, Na
2Oなどの外来物質と反応して, Na
2O-Al
2O
3-SiO
2系の生成物を析出させ, 耐火物中の空げきを埋めち密化し, 耐火物中の気相の流れを妨げ, グラファイトの酸化を防止する.
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