窯業協會誌
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91 巻, 1052 号
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  • 西川 友三, 岡本 泰則, 稲垣 茂樹
    1983 年 91 巻 1052 号 p. 149-156
    発行日: 1983/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Mn-Znフェライト単結晶の主な低指数面 (100), (110) 及び (111) に沿っての破壊靱性をCSF法, IF法によって測定した. CSF法では, ビッカース型ダイヤモンド圧子による破壊開始傷の導入が圧痕近傍のミクロな塑性変形を生じさせることがスリップ・トレースより認められ, この変形部分の研磨による除去が残留応力の除去と対応することが確かめられた. IF法については, 靱性評価のための関係式や試料表面処理の影響についても検討し, 得られた靱性値をCSF法での結果と比較した.
    破壊靱性の最も低いのは (110) 破壊であり, その値はCSF法で1.14±0.06, IF法で1.09±0.09MN/m3/2 (表面機械研磨) であった. 化学研磨による表面処理はIF法での値をやや低くした.
    (100) 破壊については, 両法ともに所定面のみの破壊を生じさせることができず靱性値は得られなかったが, 破壊の生じ難い面であることが認められた. 低荷重 (≦50gf) のIF法でのみPalmqvist型き裂が得られた.
    (111) 破壊については, 本質的に破壊し難い方位でありIF法では破面の所定面よりの “それ” が必ず生じた. CSF法で近似的に得た靱性値は1.40±0.21MN/m3/2であった.
  • 高橋 達人, 木谷 福一, 宮下 芳雄, 山口 明良
    1983 年 91 巻 1052 号 p. 157-164
    発行日: 1983/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    溶銑予備処理後のAl2O3-SiC-C耐火物において, SiC粒のくし状の損耗状態, その損耗部でのカーボンの析出, 及びマトリックス中でのNa2O-Al2O3-SiO2系化合物の析出が観察された. この観察に基づいて, SiCの役割について熱力学的検討を行った結果, 次のことが明らかとなった.
    (1) 稼働面付近のC(s)は酸化され, CO(g) となり耐火物内部のガス雰囲気を形成し, その一部は,
    SiC(s)+CO(g)→SiO(g)+2C(s)
    のように, SiCとの反応によって再びC(s) へ戻される.
    (2) 耐火物中のSiC(s) は, 雰囲気中のCO(g) と反応し, 粒表面から順次くし状に損耗される. その際, SiO(g) を生成するとともに, C(s) を析出させ, SiCの損耗部を埋める.
    (3) SiO(g) は, Al2O3粒表面や気孔中で, Na2Oなどの外来物質と反応して, Na2O-Al2O3-SiO2系の生成物を析出させ, 耐火物中の空げきを埋めち密化し, 耐火物中の気相の流れを妨げ, グラファイトの酸化を防止する.
  • 神崎 修三, 西田 達也, 大津賀 望, 斎藤 勝一, 中川 善兵衛, 浜野 健也
    1983 年 91 巻 1052 号 p. 164-170
    発行日: 1983/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    硝酸塩溶液を噴霧熱分解して得たスピネル粉末の, 加熱変化と焼結性について検討した.
    合成粉末の比表面積, 細孔容積は仮焼により変化し, 400℃仮焼で最大値を示す. また, 400℃で仮焼した粉末は, 格子定数が8.081Åと結晶性の高い値を示すが, 1次粒子の大きさは約150Åと小さく, 120m2/gの比表面積をもつ活性な粉末である.
    合成した粉末は, そのまま成形・焼成しても, ち密な焼結体を得ることは困難であるが, 粉砕することにより焼結性は著しく向上する. また, 反応溶液中の水分量の減少に伴い, 集合粒子が粉砕・成形時に壊れやすくなり, 焼成密度が増大する.
    スピネル組成として0.3mol/lの硝酸塩, 水-アルコール (容積比1:1) の混合溶液の800℃仮焼物を, 1500℃, 4時間焼成した結果, 凍結乾燥法で作製した粉末と同様, 添加剤を加えずに相対密度97%の焼結体が得られた.
  • 三友 護, 長田 真司, 堤 正幸, 藤井 洋治
    1983 年 91 巻 1052 号 p. 171-175
    発行日: 1983/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    常圧焼結β-サイアロンの常温曲げ強度を測定した. 平均強度は534MPaであった. 25本の試料の強度をワイブルプロットし, ワイブル係数 (m) 6.5を得た. 異常に低い強度の2本を除くと, ワイブル係数は8.8とホットプレス品に近い値となる.
    破壊の起点となる欠陥が表面にある場合と内部の場合に分けて検討した. 表面欠陥が原因の場合, 平均強度は490MPa, 見掛け上のワイブル係数は4.7であった. 内部欠陥の場合, 平均強度は564MPa, 見掛け上のワイブル係数は10.6であった.
    内部欠陥はほとんど大きな気孔又は気孔の集合した部分であった. 表面欠陥は傷又は内部欠陥が研削により表面に出たものであった.
  • 芦塚 正博, 坂井 敏彦
    1983 年 91 巻 1052 号 p. 176-182
    発行日: 1983/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    CaO-P2O5 (47.5-55.0mol% CaO) 系及びMgO-P2O5 (47.5-57.5mol% MgO) 系ガラスの密度, 弾性率, 硬度及び熱膨張係数を測定した.
    CaO-P2O5系での平均モル容と理想混合モル容の関係は直線で近似できたが, MgO-P2O5系ではメタリン酸塩組成近傍でCaO-P2O5系での直線からの偏倚が最大になる曲線になった. MgO含量が少なくなるとともに, その偏倚は小きくなり, 33mol%近傍でCaO-P2O5系の直線と一致した. 各種弾性率 (体積弾性率, ヤング率, 剛性率) の対数と平均原子容の対数の間には直線関係が成立した. またCaO-P2O5及びMgO-P2O5系それぞれのグループ内で, ポアソン比と密度及び硬度と空げき率の間にも直線関係が成立した. ポアソン比は密度の増加とともに大きくなり, 硬度は空げき率が大きくなるとともに小さくなった. 本研究の測定組成範囲内での熱膨張係数は, CaO又はMgOの量が増すとともに大きくなった.
  • 吉村 昌弘, 菊川 信也, 宗宮 重行
    1983 年 91 巻 1052 号 p. 182-188
    発行日: 1983/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    アークイメージ炉によって得たAl-Zr系合金を水熱条件下で酸化してアルミナージルコニア系混合微粉体を作製した. 水熱酸化反応は, 100MPa, 3hの条件で500℃以上で進行し, 単斜晶ジルコニア・正方晶ジルコニア及びα-アルミナの3相が生成した. これら生成物の平均結晶子径は, それぞれ13-24nm, 9-12nm, 27-35nmを示し, AlあるいはZr単味を同様の条件で水熱酸化したものより小さな値であった. 生成した微粉体は, 粒径数十nmのAl2O3粒子とZrO22粒子が均一に混合していることが透過型電子顕微鏡観察 (TEM) により明らかとなった.
  • 藤木 良規
    1983 年 91 巻 1052 号 p. 189-196
    発行日: 1983/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    チタン酸カリウム繊維の育成について新しく開発した技術 “徐冷焼成法” により研究した. 本育成法は特定の組成物を高温で固相と液相に分解溶融させ, それを分解溶融温度以下まで徐冷することにより, その固相と液相を会合反応させて繊維状結晶を育成する方法である.
    K2Ti2O5-K2Ti6O13系では一般式K2O・nTiO2中のnが2<n<6の範囲内の出発組成を用いてK2Ti4O9の分解溶融温度 (1114℃±15℃) 以上で液相とK2Ti6O13固相に分解溶融し, それを1114℃以下まで徐冷し, 液相と固相を会合させて種々の組成のチタン酸カリウム繊維を育成することができる. 比較的長繊維はK2O・2.8TiO2出発組成を用いて1150℃で焼成後950℃まで16℃/hの速度で徐冷したときK2Ti4O9とK2Ti2O5の混合相繊維として育成した. 要するに, K2Ti4O9繊維は分解溶融一会合反応により育成し, K2Ti2O5繊維は室温までの急冷過程で液相から結晶化したものである. K2Ti4O9繊維の育成は主に出発組成, 焼成温度, 徐冷速度に依存し, 更にこの分解溶融-会合反応を繰り返すことによっても促進させることができる.
  • 横倉 修一, 吉田 明輝
    1983 年 91 巻 1052 号 p. 196-198
    発行日: 1983/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 91 巻 1052 号 p. A21-A26
    発行日: 1983/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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