網目を形成する3価イオンの導入は, 酸素の結合状態に影響を及ぼし, ガラスの網目構造に特異な変化を与える. その変化が電気伝導度に与える影響について検討するために, 2Na
2O・
xR
2O
3・(8-
x)SiO
2ガラス (R: B, Al, GaそしてLa) について, 固体から溶融状態までの温度範囲で伝導度を測定し, また, 酸素の架橋状態の変化を知るために, 光電子分光法によりOlsピークを測定・解析した.
Tg以上の溶融状態では, 各系における3価イオンの増加は, 電気伝導度を低下させた. 特に, 網目を形成するB
3+, Al
3+そしてGa
3+の各イオンは, [RO
4]
-Na
+/ΣNa
+の増加に対して伝導度を直線的に減少させ (ただし, Al/Na≦1, Ga/Na≦1), また, それらの値も同組成比をもつガラスで互いに一致した. したがって, それらは元素が異なっても, 各系の網目構造の類似性が保たれれば, Na
+イオンの移動度に与える影響が同じであることを意味する.
Tg以下の固体状態では, 伝導度の組成依存性は単純ではなく, ガラスの凍結された温度に平衡する構造に依存する. 従来から問題となっているB
3+イオンとAl
3+イオンの伝導度に及ぼす挙動の違いも, この凍結温度の違いによって説明できる. 一方, La
3+イオンは網目修飾イオンとして働き, その増加はすべての温度域で伝導度を急激に減少させる.
Andersonモデルによって, 伝導の活性化エネルギーにおけるNa
+イオンの結合エネルギー項の増加を見積もったところ, R/Naが0から1まで変化するにつれて約4-5kcal/molの増加であった.
抄録全体を表示