窯業協會誌
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85 巻, 981 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 宗宮 重行, 平野 真一, 石坂 政俊
    1977 年 85 巻 981 号 p. 201-209
    発行日: 1977/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1400℃空気中のCr2O3-MgO-TiO2系相関係および固溶性を決定した. 結果は下記の通りである. (1) MgO-TiO2 2成分系ではTiO2, MgTi2O5, MgTiO3, Mg2TiO4, MgOが存在し, それらの間にはどんな固溶性も認められなかった. (2) Cr2O3-MgO系ではCr2O3はMgOに8wt%固溶し, またMgOもCr2O3に数パーセント固溶した. しかしCr2O3もMgOもMgCr2O4へは固溶しなかった. (3) MgCr2O4とMg2TiO4間には完全固溶体の生成が認められた. (4) TiO2のMgCr2O4への固溶性は16wt%であった. (5) MgOのCr2Ti2O7への固溶性は2wt%であった. (6) Cr2O3-MgO-TiO2系内には, 本研究でAと名付けた新しい3成分系化合物がCr2O3:MgO:TiO2=51.0:5.0:44.0 (wt%) (3:1:5モル比) の組成で生成しうることが分った. (7) 1400℃, 空気中でのCr2O3-MgO-TiO2系相図は7つの領域からなっていた. 即ち, MgO-MgCr2O4・Mg2TiO4固溶体, MgCr2O4・Mg2TiO4固溶体-MgTi2O5, A-MgCr2O4固溶体-MgTi2O5, A-MgCr2O4固溶体-Cr2O3固溶体, A-Cr2O3固溶体-Cr2Ti2O7固溶体, A-Cr2Ti2O7固溶体-MgTi2O5, Cr2Ti2O7固溶体-TiO2, 固溶体-MgTi2O5であった.
  • 吉田 章, 松田 応作
    1977 年 85 巻 981 号 p. 210-218
    発行日: 1977/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    天然ゼオライト-石灰系蒸気養生硬化体の製造を目的とし, 天然ゼオライトの石灰との反応性および一軸圧縮強度について検討した.
    天然ゼオライトは数Åの細孔を有する結晶質と10-0.01μmの範囲の細孔を多く含む多孔性のガラス質からなっており, この多孔性が低温度領域 (20-80℃) における石灰との反応を容易にしている.
    24時間の湿空養生と20時間の80℃蒸気養生で最大圧縮比強度250kg/cm2・gを得ることができ, 3か月の室温湿空養生では160-170kg/cm2・gの圧縮比強度を得た.
    反応過程を化学分析, 力学的破壊過程の検討, XMAによる硬化体切断面の観察等から考察し, 反応生成物の量が多くなりすぎると強度が低下するのは, ポゾランと反応生成物との間にき裂が生じるためであることを明らかにした.
  • 市古 忠利, 磯野 赳夫, 望月 敬一
    1977 年 85 巻 981 号 p. 218-225
    発行日: 1977/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    骨燐を用いたボーンチャイナの焼成過程における石英粒子添加の影響について検討した.
    骨燐, 石灰石, 粘土, 長石, 石英から構成される素地について熱膨脹収縮曲線を検討し, 焼成素地について微構造的にX線回折法と偏光顕微鏡および走査電子顕微鏡で検討した. 嵩比重と抗折強度および弾性率を測定し, 素地の原料の粒度分布の影響も検討した.
    石英粒子は焼成によって生じた素地熔融物中に熔解した. 石英の熔解は素地の磁硝化を促進し, 焼成火度を下げた. 10%以下の石英の添加は1250℃までに素地熔融物中に完全に熔解した. この石英の添加によって素地の強度はあまり影響を受けず, 素地焼成時の焼成幅は拡大した. 強度は素地の粒度分布の影響を受け, 抗折強度は粒度分布が小さくなると向上した.
  • 浜野 健也, 神崎 修三
    1977 年 85 巻 981 号 p. 225-230
    発行日: 1977/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    マグネシアとアルミナの等モル酸化物混合物を原料として透光性スピネルセラミックを得るため, 反応をともなうホットプレス焼結を行った. 酸化物混合物からスピネルが生成する際には約7.9%の体積膨脹をともなうが, これを生成しはじめる温度から330kg/cm2以上の圧力で加圧し抑え込むことにより緻密化に利用できる. 原料のマグネシアはMg(OH)2を900℃, 2時間, またアルミナはAl(OH)3を1400℃, 2時間〓焼した場合にスピネル生成と焼結体の緻密化が最も促進された. 焼結体の緻密化と微構造は, 温度, 圧力, 時間, 加熱方法などの種々のホットプレス条件により影響され, ステップ状の加熱方法を用いたホットプレスにより粒径が1-2μmでほぼ理論密度の, 光透過率が可視光域で35-75%, 赤外域で75-85%の透光性スピネルセラミックが得られた.
  • 高木 茂栄, 大田 正人, 山口 悟郎
    1977 年 85 巻 981 号 p. 231-237
    発行日: 1977/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    アルミナセメントクリンカーについて, そのキャラクターを記載する目的で検討を行った. 使用したクリンカーは工業的に得られた回転窯焼成法と電融法のものである. 解析手段としては, 化学分析, X線回折, 光学的手段, EPMA等を組合せて使用した. 焼成法によるクリンカーは, 非常に微細な構造からなっており, 現在用いられている上記の手段を用いるのは困難であった. 電融法によるクリンカーは, 各塊において微細構造に非常に大きな相違が見いだされ, 全体を把握するためには数多くの塊について測定を行わなければならない.
  • 永井 正幸, 小川 光美, 柳田 博明
    1977 年 85 巻 981 号 p. 237-242
    発行日: 1977/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    厚さ20μmから120μmの純粋なチタン酸バリウム薄膜が加圧転写法の一種である加圧ドクターブレード法により得られた. 膜は成形焼結体とともに1300, 1350及び1400℃でそれぞれ2時間焼結された. 焼結温度が高くなるに従って, 膜内部の空孔が減少し緻密化が進むと同時に粒成長が進行し, 1350℃と1400℃で焼結した膜は大部分が厚さ方向に一粒子から成っていた. 粒成長は膜の厚さ方向に飽和した後, 表面と平行な方向に進み粒子は偏平な形となった. 厚さ40μm程度の膜では, 粒径が膜厚の2倍以上の粒子が占める面積の割合は, 1300℃では0%, 1350℃では9%, 1400℃では25%であった. これらの膜では, X線回折により表面に垂直にc軸が配向し易いことが示された. 粒子の配向は焼結体では全く認められなかったが, 薄膜では, 同じ厚さの膜では, 焼結温度が高い程, 同じ焼結温度では膜が薄い程配向性は増大した.
  • 五十嵐 千秋, 山口 喬
    1977 年 85 巻 981 号 p. 242-247
    発行日: 1977/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    スピネル相CuFe5O8のCuFeO2とFe2O3への共析変態の動力学と機構を, 特にスピネル相へのFe2O3の固溶およびスピネル相からのFe2O3の析出の効果に注目して研究した. 実験手段は, X線回折, 光学顕微鏡およびキュリー温度の測定である.
    化学量論組成より過剰のFe2O3は分解をおくらせ, 分解の機構が温度によって異なることが示された. すなわち, Fe2O3に富むスピネル相は850℃ではCuFeO2+2Fe2O3を分離するが, 500℃ではCuFeO2+2Fe2O3と同時に過剰のFe2O3が分離する. 過共析組成のスピネル相から予めFe2O3を析出させておくと分解速度は増加し, この傾向は特に850℃で著しい. 分解等温線を速度論的に解析した結果, Fe2O3の予備析出により核生成のための活性点の数が増加したことが示唆された. 顕微鏡観察の結果もこの観点を支持していることが示された.
  • 小林 弘旺, 尾山 竹滋
    1977 年 85 巻 981 号 p. 247-252
    発行日: 1977/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    熔融した2成分系スラグ中へのジルコンの溶解速度を円柱状試片 (約20φ×30mm, 見掛気孔率15.5%) をスラグ中で回転することによって, 1500℃, 100rpmの一定条件下で研究した.
    溶解速度は2成分系スラグの組成によって著しく影響を受け, FeO-MnOスラグを除いては, スラグ組成中のFeOの減少に比例して大きく減少した.
    FeO-SiO2スラグ (SiO2=0-40wt%) 中への溶解速度は7.5×10-3-1.1×10-4cm/s程度であった. FeO-CaOスラグでは, FeO-SiO2スラグ中への溶解速度よりもいっそう大きく, Fe2O3-CaOスラグでは逆に少し小さかった. FeO-MnOスラグでは, MnOの影響をほとんど受けず, FeO中への溶解速度と変らなかった. CaO-SiO2スラグでは, 上述のFeOを主体とする2成分系スラグの1/100程度であった.
  • 1977 年 85 巻 981 号 p. A29-A32
    発行日: 1977/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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