窯業協會誌
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93 巻, 1078 号
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  • 神谷 信雄, 上垣外 修己
    1985 年 93 巻 1078 号 p. 275-280
    発行日: 1985/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    機械的応力存在下における焼結ムライトの水中急冷による熱疲労寿命及び曲げ破壊強度を測定した. これらの実験結果を基にして、 先に導いた “機械的応力存在下でのセラミックスの熱疲労寿命予測式” の妥当性について議論した.
    熱疲労寿命の実測値は寿命予測式によく合い、 実測値から求めたn値 (V=AKIn, V: き裂伝ぱ速度, KI: 応力拡大係数) は, 曲げ破壊強度の応力印加速度依存性から求めた値とほぼ一致した. これらから, 熱疲労寿命予測式の妥当性を確認した.
    熱疲労試験での破面は曲げ破壊試験での破面とは異なり滑らかであった. この理由は, き裂の伝ぱ速度の差によると考えられた.
  • 岩本 信也, 梅咲 則正, 遠藤 茂樹
    1985 年 93 巻 1078 号 p. 281-288
    発行日: 1985/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    プラズマ溶射前後の3種類のジルコニア・セラミックス (ZrO2-8wt% Y2O3, ZrO2-20wt% Y2O3, ZrO2-2.77wt% MgO) がX線回折により調べられた. ステップ走査によって得られた {400} と {111} 面の積分強度から, これらジルコニア原料粉末並びにプラズマ溶射後の被膜中における単斜晶, 正方晶, 立方晶, の結晶形が定量された. その結果, プラズマ溶射により, 3種類のジルコニア被膜が安定化されることが判明した.
    プラズマ溶射前後の3種類のジルコニア・セラミックスについてのラマンスペクトルが測定された. 得られた結果は,ジルコニア焼結体に対する他のラマン測定結果と良い一致を示した. ラマンスペクトルは, 単斜晶と正方晶ジルコニアの結晶形に対して極めて敏感であるために, ビッカース圧痕, 被膜の破壊あるいはレーザー光による熱処理によって発生する正方晶/単斜晶変態 (応力誘起変態) の解析に応用された. 得られた結果は, ラマン分光法がジルコニア被膜中で発生するこの相変態を研究することに対して極めて有効な手段であることを示した. 更に, ラマン・マイクロプローブがZrO2-8wt% Y2O3溶射被膜中のビッカース圧痕により発生するクラック部付近の相変態領域の解析に応用され, 変態領域がクラックから約12μmにまで及ぶことを明らかにした.
  • 福重 安雄, 柴田 敬太郎, 加藤 昭夫
    1985 年 93 巻 1078 号 p. 289-294
    発行日: 1985/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    シリカとカーボンの混合粉末をN2とH2の混合気流中で加熱してシリカの還元窒化炭化を行い, 合成条件がSi3N4(α+β) とβ-SiCの生成比, Si3N4相中のα-Si3N4の生成割合 (Si3N4中のα率と以下呼ぶ) 及び生成粒子の形状へ及ぼす効果を調べ, 各相の生成経路を考察した.
    生成物はα-Si3N4, β-Si3N4及びβ-SiCで形状は球状粒子, 針状結晶及び板状結晶であった. 原料のC/SiO2比が増加するとSiC/Si3N4比は増加し, またSi3N4中のα率は漸減し, C/SiO2>3では約0.7で一定となる. 1475℃ではPN2/(PN2+PH2) 比が増加するとSiC/Si3N4比は減少し, またSi3N4中のα率も減少する. PN2/(PN2+PH2)=0.79での3SiC+2N2=Si3N4+3Cの平衡温度は1530℃付近である. Si3N4の安定領域でのSi3N4(α+β) の生成経路には, SiO2から直接生成する経路とβ-SiCを経由する経路がある. α-Si3N4の大部分はβ-SiCから生成し, β-SiCのβ-Si3N4への転化率はα-Si3N4に比べて小さい. 一方, β-SiCの生成経路にはSiO2からの直接生成のほかにβ-SiC安定領域のSi3N4(α+β) を経由する生成経路がある.
  • 水野 正雄, 山田 豊章, 大竹 武
    1985 年 93 巻 1078 号 p. 295-300
    発行日: 1985/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ヘリオスタット式太陽炉を用いて試料を溶融した後急冷し, その際の冷却曲線から試料の凝固点を求め, Ga2O3-La2O3系の液相線を決定した. 溶融後急冷した試料についてX線回折及び化学分析を行い生成相を調らべた.
    ペロブスカイト構造のLaGaO3及び単斜型の2La2O3・Ga2O3の単一相は, 1500℃に加熱処理した試料と溶融後急冷した試料のいずれにも認められた.
    LaGaO3及び2La2O3・Ga2O3の格子定数は, それぞれa0=5.475Å, b0=5.524Å, c0=7.747Å及びa0=7.973Å, b0=10.968Å, c0=11.569Å, β=108.30°であった.
    LaGaO3について高温X線回折を行った結果, 900℃付近において斜方晶系→←菱面体晶系に可逆転移することを認めた.
    LaGaO3及び2La2O3・Ga2O3の凝固点は, それぞれ1715±20℃及び1704±20℃であった.
    Ga2O2-La2O3系における共晶点は, La2O3が23mol% (1345℃), 57mol% (1670℃) 及び80mol% (1650℃) の組成で認められた.
    Ga2O3, LaGaO3及び2La2O3・Ga2O3の冷却曲線は, 冷却の進行に伴い過冷却現象が現れ, 次いで凝固による発熱現象が明りょうに観察された. 一方, La2O3の冷却曲線は, 冷却の過程において凝固点と固相における構造変化を示す2個の発熱ピークが認められた.
    これらの結果から, Ga2O3-La2O3系に対する高温状態図を作成した.
  • 岡田 繁, 阿刀田 徹三
    1985 年 93 巻 1078 号 p. 301-310
    発行日: 1985/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    溶融アルミニウム融剤を用いて, EuB6 (立方晶系), GdB4 (正方晶系) 及びTbB4 (正方晶系) の各単結晶をアルゴンガス雰囲気中で合成した. 得られた単結晶について組成分析, 格子定数, 密度及びヌープ微小硬度を測定し, 更に, 空気中での酸化反応を調べ, その速度論的な検討を行った. 得られた結果は次のように要約できる.
    EuB6の立方体状, GdB4の多面体状及びTbB4の多面体状の各単結晶を得るための最適条件は, 原料の配合原子比が, EuB6ではB/Eu=5.0, Al/Eu=80.4-107.3, GdB4ではB/Gd=3.0-3.5, Al/Gd=80.2-160.4, TbB4ではB/Tb=3.0-4.0, Al/Tb=87.5-145.9である. どの場合においても加熱温度は1500℃で, 保持時間は10時間である.
    EuB6単結晶は {100} 面で形成された立方体状結晶のほかに, {100} 面が良く発達した針状及び板状の結晶として得られた. GdB4とTbB4の単結晶は多面体状結晶として得られた.
    単結晶の組成分析, 格子定数及び密度 (dm) の値は次のとおりであった.
    EuB6: EuB5.83, a=4.1842±0.0009 (Å) dm=4.83±0.04g/cm3 GdB4: GdB3.86, a=7.146±0.001 (Å), c=4.046±0.001 (Å), dm=6.40±0.03g/cm3 TbB4: TbB3.99, a=7.119±0.002 (Å), c=4.027±0.002 (Å), dm=6.54±0.04g/cm3
    ヌープ微小硬度は, EuB6では {100} 面について, GdB4とTbB4では {001} 面について測定し, 次の値を得た.
    EuB6: {100} 面上 〈100〉 方向, 2320-2470kg/mm2 {100} 面上 〈110〉 方向, 2200-2360kg/mm2 GdB4: {001} 面上 〈100〉 方向, 1760-1880kg/mm2 {001} 面上 〈110〉 方向, 1370-1540kg/mm2 TbB4: {001} 面上 〈100〉 方向, 1820-1960kg/mm2 {001} 面上 〈110〉 方向, 1390-1520kg/mm2
    EuB6の酸化反応は640℃付近より始まり, 酸化生成物としてEu(BO2)3 (単斜晶系) を与えた. GdB4とTbB4の酸化反応は730℃-750℃より起こり, GdB4の酸化生成物はGdBO3 (六方晶系), TbB4の酸化生成物はTbBO3 (六方晶系) であった. なお, いずれの場合にも, 非晶質のB2O3が同時に生成するものと考えられる. これらの酸化反応は (dw)n=ktに従い, これより求めた酸化の見掛けの活性化エネルギーは, EuB6では59.8±4.0kcal/mol, GdB4では144.4±4.2kcal/mol, TbB4では91.8±6.1kcal/molであった.
  • 吉川 信一, 山本 貴憲, 小泉 光恵
    1985 年 93 巻 1078 号 p. 311-314
    発行日: 1985/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    層状化合物FeOCl及びVOClについて, 1モル過塩素酸リチウムのテトラヒドロフラン溶液を電解質溶液としたリチウム電池を組み充放電特性を調べた. FeOClにおいて放電率5%以下の範囲では, リチウムとテトラヒドロフラン分子がともにインタカレートされる反応が起こり可逆的に充放電できることが分った.
  • 銭 端芬, 大矢 豊, 浜野 健也, 中川 善兵衛
    1985 年 93 巻 1078 号 p. 315-321
    発行日: 1985/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    アルミナ過剰組成のチタン酸アルミニウム焼成体を硝酸アルミニウム水溶液とルチル微粉末の混合物から作製し, 主として微構造に及ぼす過剰アルミナの影響について検討した.
    等モルからAl2O3/TiO2=1.50までのアルミナ過剰組成の焼成体はいずれもドメイン組織を形成し, ドメイン径に大きな差は認められなかった. アルミナ過剰量が増加するに従ってドメイン内に球状のコランダム粒子が多く分散し, ドメイン内の1次粒子配向性は弱くなった. それに伴ってドメイン界面のき裂量は少なくなり, 1.50試料ではほとんど認められなかった. また同時に焼成体中の残留ひずみが大きくなった.
    このような焼成体中のき裂量及びひずみの変化は, ドメイン内にコランダム粒子が分散し, また1次粒子の配向が弱くなったためにドメインの見掛けの熱膨張異方性が小さくなって冷却時に発生する界面応力が小さくなったことに起因すると思われた.
    焼成体の曲げ強さはアルミナ過剰量が多くなりき裂の少ない試料ほど大きくなった. またこのような焼成体では熱膨張率が若干大きくなった.
  • 横倉 修一
    1985 年 93 巻 1078 号 p. 322-326
    発行日: 1985/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    我が国において広く使用されているリターナブル (回収, 再利用可能) のガラスびんを選び, びん重量及びびん外表面の加傷度合いの異なる2種類の試料びんについて, 外表面に急冷による熱衡撃を繰り返し最高30回まで与えることによる熱疲労破壊について検討を行った. また試料びんに内圧力4-8kg/cm2を負荷した条件下での熱疲労破壊についても併せて検討を行った.
    その結果熱疲労破壊について破壊力学的に得られた理論式に基づくデータと, 本実験により得られたデータとの間には比較的よい一致が認められた. また試料びんに内圧力を負荷した場合では, 急冷による熱衝撃値 (温度差を尺度とする) は, 熱衝撃30回繰り返すことによって, 熱衝撃1回の場合に比べて10℃程度低い値が得られた.
  • 青木 能理顕, 鈴木 謙治, 長谷川 洋, 安井 至
    1985 年 93 巻 1078 号 p. 327-333
    発行日: 1985/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    分子軌道法 (Intermediate Neglect of Differential Overlap: INDO法とGAUSSIAN-80H: ab initio法) を使用してホウ酸ガラスの最小構造単位であるBO3ユニットのB-Oの結合距離及びBO3ユニットを2個結合させた場合の結合角, 更に三員環 (boroxol環) のB-Oの結合距離, 四員環の最適構造を検討した. 分子軌道法では全原子価電子を考慮できるINDO法を用いてBO3ユニットの最適構造を求め, BO3ユニット2個の結合角を計算した. ホウ酸ガラスの局所的な構造については, B-Oの結合距離が1.35-1.45Åであることが明らかになり, Mozzi, WarrenらによるX線の結果と十分良い一致をみた. 更にINDO法により求めた2個のBO3ユニットを結合させた場合のB-O-Bの結合角が120度に近いことにより, boroxol環の存在を強く示唆する結果が得られた.
    次に, INDO法の結果を参考にしてHand-built法を使用してboroxol環, BO3ユニットを基本構造単位として構造モデルを作成し, ホウ酸ガラスのマクロな構造を検討した. 動径分布曲線と角度分布曲線及び層間距離を検討した結果, ホウ酸ガラスの主要な部分はboroxol環からなっていて, それに加えて少量のBO3ユニットが含まれていることが明らかになった.
  • 吉野 一道, 西野 忠, 吉村 昌弘, 宗宮 重行
    1985 年 93 巻 1078 号 p. 334-337
    発行日: 1985/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    アルカリ土類炭酸塩-硫酸塩間のイオン交換反応について水熱条件下で検討し, 先に報告した空気中での反応と比較検討した.
    1) 水熱下での交換反応は, 1-100MPaの範囲内では圧力にほぼ無関係で, むしろ処理温度に依存する.
    2) SrSO4-BaCO3系では, 100℃ (50MPa) の低温で単純交換反応が進み, SrCO3とBaSO4を与えた. より高温 (300°-500℃) になると, 陽イオンが置換した固溶体 (Sr, Ba)CO3, (Ba, Sr)SO4を生成した. この温度は, SrCO3+BaCO3やSrSO4+BaSO4による固溶体形成温度 (300℃以上, 50MPa) とほぼ等しい.
    3) CaSO4-BaCO3系では, 空気中での反応結果と同様, 単純交換型の反応が認められた.
    4) CaSO4-SrCO3系では, 100°-250℃の範囲で空気中での結果と異なり, 中間相にSrCO3を固溶したアラゴナイトが生成し, これにより交換反応が遅延する結果となった.
    5) 電子顕微鏡写真観察の結果から, 水熱下での交換反応は, 空気中でのイオン交換反応機構とは異なり, 溶解-析出機構により進行するものと考えられる.
  • 門側 幸宏, 山手 有
    1985 年 93 巻 1078 号 p. 338-340
    発行日: 1985/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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