窯業協會誌
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90 巻, 1043 号
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  • 井上 悟, 芹沢 高, 滝沢 一貴, 山根 正之
    1982 年 90 巻 1043 号 p. 343-348
    発行日: 1982/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    シェリュプスキー法により, ガラスの均質度をより正確に測定するために, クリスチャンセンセル中でのガラス粒子と浸液の屈折率差による光の減衰以外の, 粒子と浸液界面で発生する余分な光損失を除去し得るガラス試料の最適処理方法を検討した.
    透明石英ガラス及び光学ガラス粒子をHF水溶液でエッチング処理して作製したクリスチャンセンセルの最大透過率を測定した結果, 1% HF水溶液で5分間処理することにより最も効率良く光損失を低減し得ることが分った. この処理を行った光学ガラス粒子 (246-297μm) の最大透過率は, 屈折率分布の標準偏差を1×10-5と仮定したときの理論計算値 (99%) にかなり近い値 (94%) であった. 1N KOH水溶液を用いて, 40℃で60分処理した粒子についても同様の効果が得られた. また, 同様の条件でHF及びKOH水溶液によりエッチングした光学ガラスの表面の化学組成を分析した結果, エッチングによると思われる顕著な組成変動は認められなかった.
  • 金 豪健, 小久保 正, 伊藤 節郎, 田代 仁
    1982 年 90 巻 1043 号 p. 348-355
    発行日: 1982/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    2個の白金るつぼを上下に重ね, 上方のるつぼの底面にピンホールを1個あけておいた. この二重るつぼ中にγ-6Bi2O3・SiO2またはγ-6Bi2O3・GeO2多結晶体を満たし, 下方のるつぼの底面を水冷し, 上方のるつぼの上面を1250°-1280℃に加熱して, 多結晶体を下方のるつぼの底面に近い厚さ1-2mmの部分だけ残し溶融した. その後, るつぼ上面の温度を5℃/hの速度で降下させ, 下に残した多結晶体を種子結晶として, 融液を115℃/cmの温度こう配下で0.4mm/hの速度で下から上に向け一方向に凝固させた. ピンホールの真下に単結晶片を置き, これを種子結晶として同様に融液の一方向凝固を行うことも試みた.
    上方のるつぼ内に形成された凝固物を凝固進行方向に垂直に切断し, 光学研磨すると, 直径30mmの面積の広い黄色透明なγ-6Bi2O3・SiO2及びγ-6Bi2O3・GeO2単結晶板が得られた. これらの結晶板は, 先にチョクラルスキー法により作られたγ-6Bi2O3・SiO2, 及びγ-6Bi2O3・GeO2単結晶と同様の光透過率, 光伝導性, 比旋光度, 電気光学効果等を示した. ただし, これらの結晶板は転位による小傾角境界や弱い不均一な複屈折を示した.
  • 水田 博之, 芝崎 靖雄, 延谷 宏治, 金丸 文一
    1982 年 90 巻 1043 号 p. 355-362
    発行日: 1982/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    0.12K2O・0.48PbO・0.40ZnO・0.15Al2O3・1.70SiO2(mol) の基本組成を持つ基礎釉及び基本組成にTiO2(5wt%) とNH4VO3(3wt%) を単独または同時に加えた組成の釉について結晶化及び虹彩現象の研究を行った.
    1150°-1250℃の温度範囲で溶融後徐冷すると基礎釉及びV添加釉ではZn2SiO4の結晶が析出するが, Ti添加釉ではZn2SiO4とZn2TiO4の結晶が析出した. TiとVを同時添加した釉ではルチル型 (TiO2) が主として析出し鮮やかな虹彩を示した. この虹彩現象は葉片状に集合した薄板状ルチル型 (TiO2) の析出によって引き起こされるが, Zn2TiO4やZn2SiO4の析出は逆に虹彩現象を弱めた. 析出結晶相の同定には, 実体顕微鏡, 走査型電子顕微鏡, 分析電子顕微鏡やX線回折装置を用い, 析出結晶と虹彩現象との関連性を詳しく議論した.
  • 分析電子顕微鏡による検討
    渡村 信治, 北村 雅夫, 芝崎 靖雄, 前田 武久
    1982 年 90 巻 1043 号 p. 362-366
    発行日: 1982/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    蛙目粘土 (瀬戸市本山産) の個々のカオリン鉱物粒子の鉄分含有量と形態の関係を分析電子顕微鏡で検討した. 不定形の板状カオリナイトでは微量の鉄分を示したが, 六角板状及び管状のものは鉄分を示さなかった. 希塩酸及び過酸化水素処理の後でも前者の鉄分の値に変化はなかった. このことから, 検出された鉄分はカオリナイトの粒子表面に付着したゲルや微粒子に由来するものではなく, 個々のカオリナイトの結晶構造中に含有されていると考えられる.
  • 山口 明良
    1982 年 90 巻 1043 号 p. 367-373
    発行日: 1982/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    酸化物-炭素系耐火物の開発のための基礎として, Cr2O3, Al2O3-Cr2O3固溶体 ((AlxCr1-x)2O3), MgAl2O3-MgCr2O4固溶体 (Mg(AlxCr1-x)2O4) のそれぞれと炭素との1000°-1500℃における反応について調べ, 次の結果を得た. 上記いずれの酸化物も炭素と接触しない場合, すなわちCOガスとは1500℃においてさえほとんど反応しないが, 炭素と接触した場合に反応を起こした. Cr2O3は1100℃以上で炭素と反応し, 出発原料中のCr2O3とCとの混合比に応じて, Cr3C2, Cr7C3またはその両者を生成した. (AlxCr1-x)2O3は過剰の炭素存在下で炭素と約1300℃以上で反応し, α-Al2O3とCr3C2を生成した. Mg(AlxCr1-x)2O4は過剰の炭素存在下で炭素と約1300℃以上で反応し, MgAl2O4, MgO, Cr3C2を生成し, MgCr2O4の場合には約1200℃以上でMgOとCr3C2を生成した.
  • 高嶋 廣夫, 松原 勝平, 西村 幸雄, 加藤 悦三
    1982 年 90 巻 1043 号 p. 373-379
    発行日: 1982/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    遷移元素酸化物を数種類組み合わせたセラミックスによって黒体の赤外線放射特性に近い高効率赤外線放射材を開発した. 一例として, MnO2 60%, Fe2O3 20%, CuO 10%, CoO 10%の1150℃で焼結したものがある. このように, MnO2やFe2O3を主原料とし, それに補助剤としてCuOやCoOを添加したものによって高効率赤外線放射体としての好効果が得られた. しかし, これらのセラミックスは熱膨張が大きいため熱衝撃に弱い欠点があるが, その熱膨張はペタライトやコーディエライトを添加することによって, 低くすることができた. この高効率赤外線放射体の被照射体への加熱効率は金属を表面とした放射体より高く, また遠赤外線放射体と呼ばれるものよりも高かった.
  • 岡田 繁, 今井 洋子, 阿刀田 徹三
    1982 年 90 巻 1043 号 p. 380-390
    発行日: 1982/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    アルミニウム融液中でPrB6とNdB6の合成と単結晶への育成をアルゴンガス雰囲気中で行った. 育成した単結晶について格子定数, 密度及びヌープ微小硬度を測定した. 更に, 空気中での酸化反応を検討した. 得られた結果は次のごとく要約できる.
    PrB6とNdB6の立方体状単結晶を得るための最適条件は両結晶においてほとんど違いがなく, 原料及び融液の混合原子比はPrB6ではB/Pr=5.7, Al/Pr=77, またNdB6ではB/Nd=5.5, Al/Nd=78である. ともに加熱温度は1500℃, その温度における保持時間は10時間である. 単結晶として {100} 面で形成された立方体状結晶の他に, (100) 面が良く発達した針状及び板状結晶を得た. 得えられた結晶はいずれも青色の金属光沢を示した.
    単結晶について室温で測定した格子定数 (a0) と密度 (D) はそれぞれ次のとおりであった. PrB6: a/0=4.1327±0.0001(Å), D=4.76±0.03g/cm3 NdB6: a0=4.1266±0.0001(Å), D=4.89±0.02g/cm3
    単結晶の (100) 面について測定したヌープ微小硬度は次のとおりであった. PrB6: 〈100〉 1890-2200kg/mm2 〈110〉 1520-1740kg/mm2 NdB6: 〈100〉 2010-2270kg/mm2 〈110〉 1645-1950kg/mm2
    両単結晶の酸化反応は730°-750℃より起こり, PrB6の酸化生成物はPr(BO2)3 (単斜晶系) と非晶質のB2O3であり, NdB6ではNd(BO2)3 (単斜晶系) と非晶質のB2O3であった. これらの酸化反応は一般酸化速度式 (dw)n=ktに従って進み, nの値はPrB6では2.02±0.10, NdB6では1.94±0.16で, これらより求めた酸化反応の見掛けの活性化エネルギーは, PrB6では148.5±3.8kcal/mol, NdB6では127.1±3.0kcal/molであった.
  • 平尾 一之, 曽我 直弘
    1982 年 90 巻 1043 号 p. 390-396
    発行日: 1982/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    リューサイト型化合物であるKAlSi2O6, RbAlSi2O6及びCsAlSi2O6の熱容量を断熱型カロリメーター及びDSCを用いて, 77K-970Kの温度範囲で測定した. その結果, 298.15KにおけるKAlSi2O6, RbAlSi2O6及びCsAlSi2O6のエントロピーは, それぞれ, 166.5±2.0, 178.6±2.1, 189.2±2.5J・K-1・mol-1であった. また, 高温において, これらのリューサイト型化合物, 及び, 類質同型のリューサイト型鉄ケイ酸塩の熱容量を測定した結果, 例えば, KAlSi2O6では, 893K, RbAlSi2O6では, 638Kにα〓β転移による異常比熱がみられ, この際のエントロピー変化は, それぞれ, 9.7J・K-1・mol-1及び8.2J・K-1・mol-1であった. 他の化合物の測定結果とも合わせて解析した結果, このα〓β転移に伴うエントロピー変化は, 転移温度以下における熱力学量及び歪 (c/a) の程度と密接な関係があることが分った.
  • 浅賀 喜与志, 大沢 栄也, 上西 義介, 太田 京一郎, 大門 正機
    1982 年 90 巻 1043 号 p. 397-400
    発行日: 1982/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    石灰-石英, セメント-石英系水熱反応における未反応石英の定量法としては, 従来より塩酸及び炭酸ナトリウムを用いる濾過法が使用されてきたが, 著者らは濾過法に替えて遠心分離法を試み, 東京工業大学無機材料工学科の学生実験として, セメント-石英系水熱反応試料を用いて両法を統計的に比較, 検討した結果, 遠心分離法では濾過法に比べて測定が簡単で, 短時間に測定でき, しかも測定の標準偏差が0.5%以下と精度も良いことが分った. 更に, 塩酸のみで処理する方法や, 未反応石英の定量に関する基礎実験を行い, 検討を加えた. その結果, 塩酸のみで処理した場合, コロイド状シリカが残存するため未反応石英量は正確に測定できず, 定量法としては不適当であることが判明した. また, 粉砕した石英を5%炭酸ナトリウム溶液処理しても粉砕によって生じた無定形シリカ以外の石英はこの実験条件ではほとんど溶けないことが分った. シリカゲルは5%炭酸ナトリウム溶液30mlで195-280mg溶解することが分り, 上記実験条件では塩酸処理で生ずるコロイド状シリカはすべて溶解していると考えられた.
  • 川口 将徳, 佐々木 豊重, 金子 泰成, 杉之原 章夫
    1982 年 90 巻 1043 号 p. 400-406
    発行日: 1982/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ESCAとIRAスペクトルを用いて, Li2Oを含む数種の混合アルカリガラス及び10.7mol% Na2O-16.4mol% CaO-72.9mol% SiO2ガラスを測定した.
    混合アルカリガラスのESCAスペクトルではO01s及びSi2p結合エネルギーが同一SiO2組成の2元系ガラスよりも低結合エネルギー側へ移動し, その割合はMe2O/Me′2O=1の組成付近で最大となった. O-1s結合エネルギーもMe2O/Me′2O=1の組成に向かって低エネルギー側へ移動する傾向が認められたが, Me2O/Me′2O=1の組成においてもその値は, より原子番号の大きな陽イオンを含む2元系ガラスのそれに接近した. それに対してIRAスペクトルにおいては, ESCAスペクトルに認められたような異常性は認められなかった.
    Na2O-CaO-SiO2系についてもO01s, Si2p結合エネルギーは混合アルカリ効果と同様の変化が認められた. しかしながらこの系では, O-1s結合エネルギーは2元系のそれよりも低結合エネルギー側へ移動した. また, IRAスペクトルは2元系ガラスのスペクトルと異なった形状を示した.
  • 田中 英彦, 三友 護, 堤 正幸
    1982 年 90 巻 1043 号 p. 406-409
    発行日: 1982/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    5種のα-サイアロンを加圧焼結により作製し, 強度と破壊靱性値KICを測定した. α-サイアロンの組成はMx(Si9.3Al2.7)(O0.9N15.1) とし, 固溶する金属Mに各々Ca, Mg, Y, NdとErを選んだ. MがCaとMgの時はx=0.9で, Y, NdとErの時はx=0.6である. 強度は室温で420-605MPaであった. 1200℃では強度は低下し, 室温の60-70%であった. KICは3.5-3.9MN/m3/2であった. 破壊はおもに粒成長した板状粒子から発生した.
  • 1982 年 90 巻 1043 号 p. A46-A50
    発行日: 1982/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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