アルミニウム融液中でPrB
6とNdB
6の合成と単結晶への育成をアルゴンガス雰囲気中で行った. 育成した単結晶について格子定数, 密度及びヌープ微小硬度を測定した. 更に, 空気中での酸化反応を検討した. 得られた結果は次のごとく要約できる.
PrB
6とNdB
6の立方体状単結晶を得るための最適条件は両結晶においてほとんど違いがなく, 原料及び融液の混合原子比はPrB
6ではB/Pr=5.7, Al/Pr=77, またNdB
6ではB/Nd=5.5, Al/Nd=78である. ともに加熱温度は1500℃, その温度における保持時間は10時間である. 単結晶として {100} 面で形成された立方体状結晶の他に, (100) 面が良く発達した針状及び板状結晶を得た. 得えられた結晶はいずれも青色の金属光沢を示した.
単結晶について室温で測定した格子定数 (
a0) と密度 (
D) はそれぞれ次のとおりであった. PrB
6:
a/0=4.1327±0.0001(Å),
D=4.76±0.03g/cm
3 NdB
6:
a0=4.1266±0.0001(Å),
D=4.89±0.02g/cm
3単結晶の (100) 面について測定したヌープ微小硬度は次のとおりであった. PrB
6: 〈100〉 1890-2200kg/mm
2 〈110〉 1520-1740kg/mm
2 NdB
6: 〈100〉 2010-2270kg/mm
2 〈110〉 1645-1950kg/mm
2両単結晶の酸化反応は730°-750℃より起こり, PrB
6の酸化生成物はPr(BO
2)
3 (単斜晶系) と非晶質のB
2O
3であり, NdB
6ではNd(BO
2)
3 (単斜晶系) と非晶質のB
2O
3であった. これらの酸化反応は一般酸化速度式 (d
w)
n=
ktに従って進み,
nの値はPrB
6では2.02±0.10, NdB
6では1.94±0.16で, これらより求めた酸化反応の見掛けの活性化エネルギーは, PrB
6では148.5±3.8kcal/mol, NdB
6では127.1±3.0kcal/molであった.
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