窯業協會誌
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86 巻, 997 号
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  • 橋本 甲四郎, 佐藤 孝順, 戸田 善朝
    1978 年 86 巻 997 号 p. 381-387
    発行日: 1978/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    水酸化鉄 (II) の沈殿を中性付近の水溶液中で酸化すると, 中間酸化物であるグリンラストIIを通ってα-FeOOHとγ-FeOOHとが混合状態で得られる. しかしリン酸塩を微量添加するとγ-FeOOHが単相で得られた. リン酸塩を添加しない場合, グリンラストIIの酸化によりまずγ-FeOOHが析出し, 次にγ-FeOOHは一層安定なα-FeOOHに溶解析出の過程を通って変化する. この場合, γ-FeOOHの生成速度に比較してα-FeOOHの生成速度がそれほど速くないため, α-FeOOHとγ-FeOOHとが混合して析出するものと判断された. この一連の過程に対してOstwaldの階段則が適用できる. リン酸塩を添加するとγ-FeOOHが単相で析出しα-FeOOHの生成が見られないことの原因は, γ-FeOOHにリン酸根が吸着し, γ-FeOOHの溶解速度を著しく遅くするためと考えた. リン酸根の添加量を増大すると, 生成するγ-FeOOHの形状は針状ないし葉脈状から矩形状となり粒子は微細化された.
  • 小野 修一郎, 早川 博, 坪根 大輔
    1978 年 86 巻 997 号 p. 388-392
    発行日: 1978/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    水素化ナトリウムと水素化マグネシウムを, Na:Mg=1:1になるように混合し, 400℃で80kg/cm2の水素中で反応させることにより, 新しい3元系金属水素化物NaMgH2.72を合成した. この化合物は灰白色の細かい粉末で, 空気中では極めて不安定である. 粉末X線回折図からNaMgH2.72は, a=5.466Å, b=3.845Å, c=5.409Åの斜方格子をとり, その中で金属イオンは擬立方格子を形成している.
  • 陶磁器素地と釉薬との適合性に関する研究, 第10報
    稲田 博
    1978 年 86 巻 997 号 p. 392-397
    発行日: 1978/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ビトリアスチャイナの貫入抵抗性は素地中の石英, クリストバライト含量と密接な関係があり, 板状試料のX線粉末回折法による結晶回折線強度の測定により, 素地中の結晶量を知り, 釉応力と関係づけることができる. その際, 成形による石英の優先配向についての疑いが生じたので, これについて検討した結果について述べる.
    ローラーマシンで成形した肉皿の面方向と断面方向につきその素焼き品で石英のX線回折強度を比べたところ, (100) 及び (110) 回折線の強度は面方向の方が断面方向に比べそれぞれ1.7倍, 1.3倍の値を示し, (112) 回折線は方向による差がなかった. すなわちc軸が成形面に平行に配向していることが推察された.
    一方偏光顕微鏡で薄片を観察したところ, 平板状の結晶粒子が成形面に平行に配向しているものが多く, 断面薄片では正の伸長方向をもつ粒子が多く, したがってその板状面は (100) 又は (110) であると考えられ, X線回折による結果と一致した. 釉応力は石英の優先配向に関係なくほぼ同じ値を示したが, これは石英のc軸方向の膨張係数が垂直方向に比べてかなり小さく, 配向の影響を相殺したものと考えられる.
  • 鈴木 一孝, 土田 幸宏, 森田 泉, 新 裕章, 伊藤 祐敏
    1978 年 86 巻 997 号 p. 397-404
    発行日: 1978/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    3CaO・SiO2(C3S) 水和に対するグルコン酸ナトリウム, ラウリン酸ナトリウム及びアルキルアリルエーテルの作用を, ペーストについての微小熱量計測定, 化学分析及び電位測定を行って検討した.
    グルコン酸ナトリウムは, C3Sに対して0.12%以上添加すると水和を遅らせるが, その作用はC3S粒子周囲への親水基の吸着により行われる. そのため溶液中のCa2+, SiO2イオンは減少し, Ca(OH)2は生成しない. ζ電位は初めは負から増大するが吸着が飽和するまでに一定値に達し, 次いで親水基へのCa2+の化学的吸着が起こるとともに正に変わり増大していく. ラウリン酸ナトリウムは飽和吸着したのちにNaイオンはミセルの親水基に結合してζ値を正に変える. Ca2+は水中に溶出しCa(OH)2を生成しつつ水和は促進される. 非イオン型界面活性剤であるアルキルアリルエーテルは, ζ値の大きな変化を示さない. このことは, Ca2+の界面活性剤への吸着が起こらないことを示すもので, したがってCa2+, SiO2イオンの溶出は時間とともに促進され, 水和は進行する.
  • 西川 友三, 西田 俊彦, 後藤 泰宏
    1978 年 86 巻 997 号 p. 404-411
    発行日: 1978/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ギプサイトと炭酸ナトリウムとの間のトポタキシャルな反応を使って, 結晶粒子が優先配向をした多結晶β-アルミナを作成する技術を研究した.
    結晶の (00l) 面が平板面を構成しているギプサイトの板状粉末を普通の形をした炭酸ナトリウム粉末と混合した. これらの原料混合物のスラリーを, 濾過形成が可能なように, ピストンの部分に多くの小穴を備えた金型中で成形した. この加圧軸に垂直な方向にギプサイトがうまく並んでいるであろうと思われる成形体を, 濾過成形と同じ加圧方向のもとで, 1600-1850℃, 340kg/cm2, 20-60分の条件のもとでホットプレスした. ホットプレスの間に, ギプサイトは炭酸ナトリウムと反応してβ-アルミナに変わり, しかも濾過成形中に並べられたギプサイトの (00l) 面は, 生成したβ-アルミナの (000l) 面へと受け継がれていった.
    ホットプレス後のβ-アルミナ焼結体の配向度 (f) は, ホットプレスの加圧方向に垂直な焼結体の研磨面よりのX線回折を使って, ロットゲーリングの方法で求めた.
    この値 (f) は, アルカリ成分の多い原料粉末を使用することや, ホットプレス中のβ-アルミナの熱分解を避けるために, 成形体の周囲にアルミン酸ナトリウムのようなアルカリを含んだ粉末を充てんすること, あるいはその両方を行うことによって, 0.9以上にまで高めることができた.
  • 岩佐 美喜男, 小瀬 三郎, 是永 定美, 古川 満彦
    1978 年 86 巻 997 号 p. 411-418
    発行日: 1978/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    MHD発電チャネルの壁構成材料は過酷な条件下に置かれるため種々の損傷を受けるが, 特にシード物質の影響が大きいと言われている. そこで電気炉内で, 代表的なシード物質, K2SO4融液中にセラミックス材料を長時間浸漬し, その性質の変化を調べる実験を行っている. 今回はMgOについての結果を前回のAl2O3と比較しながら述べる.
    製法, 純度の異なる3種類の焼成品と1種類の電融品を1300℃の溶融K2SO4中に最高1000時間浸漬し, その組織, 重量, 体積, 表面粗さ, 曲げ強さ, そして硬さの変化を調べた. 表面組織の変化の観察等から, MgOでは表面の粒界部が主にK2SO4の浸食を受けるのみで, β-Al2O3化することにより内部まで浸食が進むAl2O3とは対照的であった.
    MgOは長時間K2SO4に浸漬されても, その性質の変化は少なく安定であることが明らかになった.
  • 東 伸行, 山田 留, 桑原 千三
    1978 年 86 巻 997 号 p. 418-424
    発行日: 1978/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    本報では, 気相反応によって得たSi2ON2針状結晶の収率を改善するためCuの添加量及び反応温度を高めた実験を行い, その生成過程及び成長速度について検討した.
    Si-SiO2-Mg-Cu圧粉体を窒素ふん囲気中1470℃で加熱するとSiとSiO2の反応によりSiO(g) が発生し, また圧粉体の表層部はSi, Mg及びCuを含む液合金によりおおわれる. その液合金に気相成分のSiO及びN2が溶解し過飽和となりSi2ON2が析出した.
    SiO(g) の生成は, 反応温度の上昇により促進される. 一方, Cuの添加量を増すとCuは第3の成分としてSi-Mg meltの融点を低下させるため気相成分の液相への溶解度を増加させる役割を果たすと考えられる. このように反応温度とCuの添加量を高めた結果, 針状結晶の収率は向上した.
    針状結晶の成長速度は主にSiO(g) の生成量に依存し, 最大の長さ方向の成長速度は約100μm/minであった.
  • 佃 康夫
    1978 年 86 巻 997 号 p. 424-428
    発行日: 1978/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    本研究は, レーザーフラッシュ法によってち密なY2O3焼結体の熱定数, 特に熱拡散率及び熱伝導率を求めることを目的とするものである.
    焼結温度2270℃ (2543K), 露点-36℃ (237K) の水素ふん囲気中の焼結で得た相対密度100%の黒色Y2O3焼結体を測定試料として使用した. 熱定数測定装置は, 三鬼エンジニアリング社製のTPL-18型であり, 波長0.6943μmのAl2O3-Cr3+レーザーを試料の加熱用光源として用いた. 測定温度が900℃ (1173K) 以下の場合には, 直径0.05mmのクロメル・アルメル熱電対を用いて試料の温度変化を測定した. 測定温度が900℃ (1173K) 以上の場合には, 光高温計を用いて試料の温度変化を測定した. 測定温度として20°, 150°, 1025°及び1800℃ (293, 423, 1298及び2073K) を選んだ.
    上記温度域における黒色Y2O3焼結体の熱拡散率は, それぞれ8.3×10-2, 6.9×10-2, 1.6×10-2及び2.1×10-2cm2/s (8.3×10-6, 6.9×10-6, 1.6×10-6及び2.1×10-6m2/s) であった. これらの熱拡散率から算出した熱伝導率は, それぞれ7.5×10-2, 4.2×10-2, 1.1×10-2及び1.4×10-2cal/cm・s・deg (31.7, 17.6, 4.60及び5.86J/m・s・deg) であった. 上記の黒色Y2O3焼結体の熱伝導率は, 文献値よりやや大きい値であった. この差異を明らかにするために, 文献値の場合に用いられるような白色Y2O3焼結体の20℃ (293K) における熱伝導率を測定した結果, 文献値に示された4.7×10-2cal/cm・s・deg (19.7J/m・s・deg) に近い5.0×10-2cal/cm・s・deg (20.9J/m・s・deg) を得た. これから, 本測定による熱伝導率が文献値より高いのは本測定におけるY2O3試料として, 黒色焼結体を使用したことによるものであり, 黒色焼結体の熱伝導率は, 白色体より高いことが分った.
  • 鈴木 傑, 高橋 実, 小林 種雄
    1978 年 86 巻 997 号 p. 428-430
    発行日: 1978/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 清水 紀夫, 柳田 博明, 堀 正芳, 橋本 甲四郎
    1978 年 86 巻 997 号 p. 430-432
    発行日: 1978/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 藤田 一美, 香山 勲
    1978 年 86 巻 997 号 p. 433-434
    発行日: 1978/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 猪股 吉三, 田中 英彦
    1978 年 86 巻 997 号 p. 435-436
    発行日: 1978/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 86 巻 997 号 p. A51-A52
    発行日: 1978/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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