窯業協會誌
Online ISSN : 1884-2127
Print ISSN : 0009-0255
ISSN-L : 0009-0255
94 巻, 1086 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 大田 陸夫, 田代 洋行, 曽我 直弘
    1986 年 94 巻 1086 号 p. 249-254
    発行日: 1986/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    GeO2=100-25mol%の組成域のGeO2-Na2O系融液をQ1=1.0×10-1-Q7=105K/sの範囲の種々の冷却速度で液相温度以上の温度からTg以下の温度まで冷却することにより, ガラス化領域を決定した. 冷却速度に応じて, 三つのガラス化領域が存在した. 臨界冷却速度の逆数-logQ対GeO2濃度曲線はGeO2=90, 72及び35mol%付近で極大となり, 80及び50mol%で極小となった. 液相粘度はGeO2=100mol%で最大であるが, 92及び65mol%の組成で極大, 78mol%で極小であった. こう配パラメーター (Eη/TL) もGeO2=100mol%で最大であり, 92及び65mol%の組成で極大, 78mol%で極小であった. Fulcher型粘度式の定数T0と液相温度TLの比T0/TLはGeO2=100-98mol%で0-0.1の小さい値となったが, 98mol%以下の組成では0.5±0.1の一定値であった. 粘度因子 (液相粘度, こう配パラメーター, T0/TL) と臨界冷却速度の組成依存性を比較し, これらのデータから, 構造因子 (流動単位当たりの融解エントロピーΔSf) の値を概算し, 流動単位の大きさを推定した. GeO2=100-99mol%組成は異常に失透傾向が高いことが判明した. これは, 酸素欠陥を含むGeO2の非化学量論性に基づく不均一核生成に原因があるのではないかと想像された.
  • 渡辺 宏, 近崎 充夫
    1986 年 94 巻 1086 号 p. 255-260
    発行日: 1986/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Y2O3含有量を4-17wt%と変化させた安定化ZrO2の耐熱衝撃性について検討した. 円板試料を1100℃に急熱後, 室温まで約500℃/minで急冷するサイクルを繰り返して熱衝撃試験を行った.
    ZrO2-4wt% Y2O3は単斜晶ZrO2の割合が多いため, 単斜晶→←正方晶のマルテンサイト変態に伴う寸法変化が著しく, 耐熱衝撃性が劣る. 一方, 立方晶単相のZrO2-12及び17wt% Y2O3では相変態は見られないが, 破壊靱性値が低いためにやはり耐熱衝撃性は劣る. ZrO2-7wt% Y2O3では, 変態に伴う寸法変化が比較的小さく, また破壊靱性値も比較的高いために良好な耐熱衝撃性を示す.
    ZrO2-7wt% Y2O3に, 更に0.5-4wt%のAl2O3を添加すると気孔率が低下し, 硬さ及び破壊靱性値が向上して耐熱衝撃性が改善される. また, ZrO2-7wt% Y2O3では, 単斜晶ZrO2粒同士が結合して大きな集合体となっているのに対して, Al2O3添加材では球状の単斜晶ZrO2粒が比較的孤立して存在している. 熱衝撃試験において, クラックは主に単斜晶ZrO2から発生すると考えられ, 単斜晶ZrO2の形態の違いも耐熱衝撃性改善の原因の一つと考えられる. なお, SiO2を添加しても耐熱衝撃性の改善は認められない.
  • 大友 省三, 加藤 正利, 是川 公毅
    1986 年 94 巻 1086 号 p. 261-266
    発行日: 1986/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    市販の3種のアルミナを用いその中から2種同士を色々な割合で混合し粒度及び粒度分布を変え, ドクターブレード法により, 96%アルミナ質のグリーンシートを作り, その焼成収縮挙動について定量的に検討した. グリーンシートの密度は, ブレンドしたアルミナの粒径比が2.8以上になると密度のピークが表れ, これ以下の場合には密度のピークは表れなかった. この生密度は, ある仮定のもとで粒度分布から計算されるところのTASA (Total Apparent Surface Area) より推定できる. グリーンシートの体積収縮率は, Sv=(Dg/Df)*(1-L)*(1-B) で表される. ここで, Dg: 生密度, Df: 焼結密度, L: 灼熱減量, B: バインダー含有量を示す. 一方, 体積収縮率は3次元の線収縮率の積で表され, それぞれの線収縮率はアルミナの粒子形状とテープ装置により変化する. これより, 生密度は体積収縮率を支配するが線収縮率を一義的に決定するものではない.
  • 西野 忠, 桜井 正, 守吉 佑介
    1986 年 94 巻 1086 号 p. 267-272
    発行日: 1986/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    BaCO3に少量の硫酸塩やクロム酸塩を添加し, これをBaCO3の斜方-六方晶の転移温度から急冷すると, CO32-の一部をSO42-やCrO42-で置換したと推定される結晶相が得られ, これをδ-BaCO3と命名した.
    δ相の生成はHedvall効果と関連し, また, 再加熱や水との接触 (水中浸漬や水蒸気吸着) で容易に安定相へ転移するなど興味ある挙動を示す.
    本報ではBaSO4を添加剤として選び, δ-BaCO3に固溶したBaSO4量を化学分析的手法で定量した結果を述べている. その基礎的資料として, 強酸性陽イオン交換樹脂を共用してH+-Ba2+の交換達成と交換体の安定性を吟味し, また上記交換特性が微粒BaSO4に対して効果的であること, δ-BaCO3の希酸処理で残留するBaSO4が極めて微細な粒子であることから, 2-50mol%BaSO4を含むBaCO3から得られるδ-BaCO3について溶出実験を行い, その測定結果からδ-BaCO3には10mol%のBaSO4が固溶しているとの結論を得た.
  • 大門 啓志, 加藤 悦朗
    1986 年 94 巻 1086 号 p. 273-280
    発行日: 1986/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    出発含水硫酸アルミニウムに対する摩砕処理が, 脱水による無水硫酸塩の生成, 脱硫によるη-アルミナの生成を経て, η-アルミナからのα化及び生成するα-アルミナの焼結性に与える逐次的な効果について検討した. 含水硫酸塩の摩砕により, 脱水温度は約30℃, 脱硫温度は約20℃, α化温度は約100℃, それぞれ低下した. 脱水, 脱硫, α化処理段階での生成物は, それぞれ次のように変化した. (1) 無水硫酸塩は加熱による含水塩の溶解のために卵殻破片状粒子となるが, この粒子は内部に微粒子を含むものになった. (2) η-アルミナ凝集粒子の気孔径分布は不均一となり, この凝集粒子からはα相の核が多数発生した. (3) α-アルミナ形骸粒子の内部に多くのき裂が発生した. 更に, (4) α-アルミナ粉末の充てん密度と焼結密度の向上, 及び最適仮焼温度の低下が認められた. α化のアブラミプロットは, 2次元方向へのα相の成長に対応する傾きを与え, 活性化エネルギーは, いずれも約110kcal/molであり, 摩砕による変化は認められなかった. 以上の結果により, (1) η-α相転移の促進は, η-アルミナ粒子内部での核形成の寄与によるものである. (2) 焼結性の向上は, α-アルミナ形骸粒子中に多くのき裂が発生して, 形骸粒子が壊れやすくなり, 粉末の充てん性が良くなるため, と考えられる.
  • 能代 誠, 鑓田 富雄, 赤塚 米三, 倉田 元治
    1986 年 94 巻 1086 号 p. 281-284
    発行日: 1986/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ガラスの着色や泡発生の原因となりうる硫黄の極微量の新しい定量法を考案し検討した.
    試料を加熱し, 追い出した硫黄化合物を液体アルゴン温度でトラップする. トラップした硫黄化合物は急速加熱によりガスクロマトグラフに導入され, 硫黄に対し選択的かつ高感度な炎光光度検出器 (FPD) で定量する方法である.
    分析条件を検討し, 1200℃, 1時間の加熱追い出し条件及びガスクロマトグラム測定条件を決定し, 再現性のよい定量値を得た. 本法により求めたガラス中の極微量の硫酸含有量は蛍光X線分析装置で測定したSKα線のピーク強度とよい直線性を示した. ガスクロマトグラフを用いる本法はppmレベルからパーセントレベルまでの広いダイナミックレインジでガラス中の硫黄を分析できる汎用性の高い優れた方法である.
  • 真瀬 洋, 織田 健嗣, 高田 章, 佐藤 安雄, 新井 陳揚, 倉田 元治
    1986 年 94 巻 1086 号 p. 285-294
    発行日: 1986/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ガラス槽窯の設計の効率的かつ高精度化のための3次元数学モデルを開発した. モデルに使われた偏微分方程式の数値解析上効率的な離散化手順を提示し, それに基づいて開発したプログラムシステムの妥当性の評価を行うとともにモデルを電気溶融ガラス槽の設計に応用した. 開発した数学モデルは3種類から構成されている. 第1は, 溶融ガラスの流れ温度モデルである. 第2は, 槽窯内に発生する電力分布モデルである. 第3は, バッチ内に添加された微量のトレーサー物質の槽窯内濃度分布モデルである. モデルの開発に際しての特徴として次の点が挙げられる. 第1のモデルではこれまでに検討されている3次元数学モデルに比較し早く解に収束する数値解析手法の開発と物性の温度依存性の考慮である. 第2のモデルでは重ね合わせの原理の利用により電気的条件 (電極形状, 配置, 電力供給, 結線) をすべて考慮可能とした点である. 第3のモデルでは槽内のあらゆる場所におけるトレーサー濃度の時間依存性を明らかにするプログラムシステムを開発した点である.
    この3次元数学モデルにより槽窯設計が計算時間の点から効率的になり, 幾何学的, 物性的そして操作の種々条件が考慮可能という点から高精度になった.
  • 太田 弘道, 早稲田 嘉夫
    1986 年 94 巻 1086 号 p. 295-299
    発行日: 1986/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    レーザーフラッシュ法は, 円柱状試料を断熱状態に保ち, その表面を瞬間的にパルス光で加熱し試料背面の温度上昇-時間曲線から熱拡散率を求める手法である. 本稿では1000K以上の高温におけるレーザーフラッシュ法によるセラミックスの熱拡散率測定法について, (1) 熱ふく射による熱リークの補正法, (2) レーザービームを透過するような透明な試料に対する測定法, の2点について検討を行った. ふく射による熱リークについては金属のように熱リークの小さな試料について高橋らが提案した補正係数表を再計算・拡張することによって, 一般にふく射率の大きなセラミックスに適用可能な補正係数表を導出し, 得られた結果の有効性をボロンナイトライドを例として確認した. また透光性試料に対する測定法として, 試料の両面に白金ペーストを塗付し裏面を放射温度計により測温を行うための熱放射体, 表面をレーザービーム吸収体として測定を行う方法を開発し, 塗付した層の熱容量による温度上昇-時間曲線のひずみに対する補正を行う方法を示した. この方法によりサファイアの熱伝導率の測定を行い従来の文献値と対応する値が得られることを確認した.
  • 谷 英治, 西島 光彦, 一ノ瀬 弘道, 岸 和司, 梅林 正気
    1986 年 94 巻 1086 号 p. 300-305
    発行日: 1986/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    窒化ケイ素にAl2O3, Y2O3, La2O3, CeO2又はSm2O3を添加し, 1800℃から2000℃の温度で, 2MPaから4MPaまでの窒素圧下において雰囲気加圧焼結を行った.
    窒化ケイ素にY2O3, La2O3又はCeO2を添加して雰囲気加圧焼結すると, 添加量及び燒成温度の増加に伴い密度は増加する傾向が認められた. 窒化ケイ素にCeO2を10wt%添加し, 2000℃, 4MPaで焼成すると, 密度3.23g/cm3, 曲げ強度約520MPaの焼結体が得られた.
  • 宇佐美 勝久, 上原 鎮雄, 添田 厚子, 前田 邦裕
    1986 年 94 巻 1086 号 p. 306-308
    発行日: 1986/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • カオリナイトからのサイアロン粉末の合成
    吉松 英之, 三橋 久, 矢吹 達美
    1986 年 94 巻 1086 号 p. 309-311
    発行日: 1986/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1986 年 94 巻 1086 号 p. 311a
    発行日: 1986年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1986 年 94 巻 1086 号 p. 311b
    発行日: 1986年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
feedback
Top