四塩化珪素とアンモニアとの気相反応による窒化珪素合成反応を, 1050°-1500℃で行ない, 生成物の構造を, X線回折, 赤外吸収スペクトル, 化学分析, 電子顕微鏡により調べ, つぎの結果を得た.
(1) 気相反応の生成物は, Si(NH)
2, Si
3N
4H
3, (SiN)
2-NHのような組成をもち, 過剩のNとHとを含む非晶質物質である. 過剩のNとHの含有量は, 反応温度が高くなると小さくなる.
(2) 生成物は, ほぼ球形で, 粒径が10-100mμの微粒子であった.
(3) 約1400℃での加熱処理により, 生成物はNH
3を放出してα-Si
3N
4へ結晶化する. しかし過剩のNとHの分解は非常に遅く, NH結合は熱的にかなり安定である. これに対して, 低温生成物のSi(NH
2)
4は, 熱処理によって比較的容易に窒化珪素へ変化する. 高温気相反応生成物の窒化珪素への変化が遅いのは, その構造の不規則性に関係していると推定される.
(4) Si(CH
3)
4とアンモニアの反応生成物も, 四塩化珪素の場合と同様に非晶質物質であった. しかし, この場合には加熱処理により, α相に加えてβ相の窒化珪素の生成が認められた.
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