アルミニウム融剤中でSmB
6及びSmB
4の合成と単結晶への育成をアルゴンガス雰囲気中で行った. 得られた単結晶価ついて格子定数, 密度及びヌープ微小硬度を測定した. 更に空気中での酸化反応並びに, その速度論的検討を行った. 得られた結果の要約は次のごとくである.
SmB
6 (立方晶系) の単結晶は単相として得られたが, SmB
4 (正方晶系) の単結晶は単相としては得られなかった. SmB
6の立方体状並び価SmB
4の多面体状単結晶を得るための最適条件は, 原料及び融剤の混合原子比が, SmB
6の場合はB/Sm=5.7, Al/Sm=87, またSmB
4の場合はB/Sm=3.0, Al/Sm=87である. 両方の場合価おいて加熱温度は1500℃, その温度価おける保持時間は10時間であった. SmB
6の単結晶は {100} 面で形成された立方体状結晶のほか価, (100) 面が良く発達した針状及び板状結晶として得られた. SmB
4の単結晶は多面体状結晶のほか価 (001) 面が良く発達した薄板状結晶として得られた.
室温で測定した単結晶の格子定数と密度 (
D) は次のとおりであった.
SmB
6:
a0=4.1335±0.0001Å,
D=4.97±0.04g/cm
3SmB
4:
a0=7.1781±0.0005Å,
c0=4.0694±0.0003Å,
D=6.09±0.039/cm
3ヌープ微小硬度はSmB
6の場合は (100) 面内価ついて, SmB
4の場合は (001) と (211) 面内価ついて測定し, 次の値を得た.
SmB
6: (100) 1630-1930kg/mm
2SmB
4: (001) 1560-1920kg/mm
2(211) 1460-2130kg/mm
2両単結晶の酸化反応は740℃-750℃より起こり, SmB
6の酸化生成物はSm(BO
2)
3 (単斜晶系) と非晶質のB
2O
3であった. SmB
4はSmB
6とSmBO
3 (六方晶系) 等の中間生成物を経過してSm(BO
2)
3と非晶質のB
2O
3を与えた. SmB
6の酸化反応は一般酸化速度式 (d
w)
n=
kt価従って進み,
nの値は2.00±0.10で, これより求めた酸化価おける見掛けの活性化エネルギーは201.3±6.4kcal/molであった. SmB
4の場合は, その酸化反応の過程を上記の酸化速度式で表すことができない. 更価実験的検討を加えることが必要である.
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