窯業協會誌
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91 巻, 1051 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 宮崎 大輔, 袴塚 康治, 土谷 敏雄
    1983 年 91 巻 1051 号 p. 103-109
    発行日: 1983/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    MnOを35-50mol%含むMnO-P2O5系ガラスの結晶化機構を高温顕微鏡, X線回折及び走査型電子顕微鏡 (SEM) により検討した. 各々のバッチは空気雰囲気中において, 1150℃で30分間溶融した.
    2種類の試料を作製した. すなわち, (1) 溶融物をステンレス板に流し, 直径50mmの円板に成形した. 徐冷後, 10mmの厚みに研磨したバルク試料を結晶化の実験に用いた. (2) 溶融物からblown-film (約10μmの厚み) を作製し, 高温顕微鏡の実験に用いた. 各々のバルク試料を均一な温度分布の条件下で, ステンレスキャップで囲み, 電気炉中で加熱した. 各々の結晶化温度はDTAにより決定した.
    析出結晶は, X線回折分析の結果, 主にピロリン酸マンガン (Mn2P2O7) であった.
    破断面のSEM像から, 35-45mol% MnOを含む試料は, 表面から内部への1次元的な結晶成長による配向構造を示した. その結成長速度は, 45mol% MnOにおいて, 610℃で1mm/hであった. 50mol% MnOを含むblown-filmは, 主に3次元的な結晶成長を示す球晶とデンドライト状結晶からなっていた. blown-filmで形成した球晶は, 偏光顕微鏡で明暗が交互となるリングを示した.
    結晶成長次元や結晶形態の相異は, (MnO+H2O)/P2O5比ばかりでなく, ガラス中に含まれる水にも関連していた.
  • 菊地 武, 渡辺 昭輝, 内田 健治
    1983 年 91 巻 1051 号 p. 110-116
    発行日: 1983/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    全域にわたるルチル型固溶体が1200℃でSnO2-GaSbO4系において, 1350℃でSnO2-CrNbO4系において見出された. SnO2に対し, CrSbO4は1200℃でCr0.5Sb0.5O2に換算して80mol%, GaNbO4は1300℃で同様に50mol%, GaTaO4は1300℃で同様に85mol%固溶した. 格子定数はいずれも固溶量とともに単調に減少した.
    Sb酸化物はSnO2に対しSb2O4として固溶するものと推定され, その固溶量は蛍光X線分析によれば大気中1200℃においてSbO2に換算し, 最大2.3mol%となり過剰のSb成分は揮発した. 格子定数は固溶量とともに直線的に増加し, Sb濃度の最大値 (2.3mol%) ではa=4.740±0.001Å, c=3.190±0.0005Åであった.
    ZnSb2O6はSnO2に対しZn1/3Sb2/3O2に換算し1200℃で50mol%固溶し, SnO2はZn1/3Sb2/3O2へ約20mol%固溶した. 同様にMgSb2O6は1250℃でSnO2に対し50mol%まで固溶したが, SnO2のMgSb2O6構造への固溶は認められなかった. SnO2固溶体の格子定数はいずれも3重ルチル構造のa及びc/3の値へ向かって直線的に減少した.
    各系につき, その合成温度における相関係を求めた.
  • 高橋 克明, 尾坂 明義
    1983 年 91 巻 1051 号 p. 116-120
    発行日: 1983/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    R2O-SiO2系ガラス中を伝ぱする超音波の縦波及び横波速度をパルス伝ぱ法で測定した. この伝ぱ速度とアルキメデス法で測定した密度とからガラスの弾性率 (剛性率G, 体積弾性率K及びヤング率E) を計算した. 体積弾性率と平均原子対体積とを対数目盛りにプロットしたところ, アルカリケイ酸塩系ガラスの弾性率は全組成を通じて傾き-4/3の一本の直線により近似された. このことはSogaら (J. Non-Cryst. Solids, 22, 67 (1976)) の報告したMO-SiO2系ガラスの挙動とは異なっている. この点について前報のアルカリケイ酸塩系ガラスに対するモデル (尾坂, 高橋, 窯協 90, 703-09 (1982)) の立場から, アルカリイオンの充てん効果及び非架橋酸素の発生の面から説明した. 前者は弾性率を増加させる効果があり後者は減少させる効果がある.
  • 木村 脩七, 萩尾 剛, 安田 栄一, 田辺 靖博, 菱山 幸宥, 鏑木 裕
    1983 年 91 巻 1051 号 p. 121-125
    発行日: 1983/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    組成の異なるプロパン-水素混合ガスの1300℃での熱分解により, マトリックス部の組織がISO (isotropic), RC (rough columnar) もしくはSC (smooth columnar) である3種の炭素繊維/CVD炭素複合材を作製し, これら複合材及びそれらを3000℃で熱処理したものの電気抵抗率及び4.2Kあるいは77Kにおける磁気抵抗を測定した. ISO, RC及びSC複合材の電気抵抗率はそれぞれ, 2.1×10-3, 1.0×10-3及び1.6×10-3Ω・cmで, 4.2Kにおけるそれらの横磁気抵抗はすべて負の値を示した. 一方, 熱処理されたISO, RC及びSC複合材の電気抵抗はそれぞれ1.2×10-3, 0.3×10-3及び0.6×10-3Ω・cmであった. 熱処理されたRC及びSC複合材の77Kにおける磁気抵抗が正であるのに対して, 熱処理されたISO複合材のそれは負であった. これらの結果は, 生成した複合材中の熱分解炭素はすべて乱層構造炭素であること, 及びISO炭素は難黒鉛化炭素であることを示した. 残りのSC炭素とRC炭素は易黒鉛化性炭素で, RC炭素はこれらの中でも特に黒鉛化しやすいものであることが分った.
  • 桜井 正, 西野 忠
    1983 年 91 巻 1051 号 p. 126-130
    発行日: 1983/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    混合物2CaCO3+3CaCrO4を炭酸ガス中で約900℃に加熱し液体窒素中に急冷することにより, 未報告の炭酸アパタイト型クロム酸塩 (V) Ca10(CrO4)6CO3が得られることが分った. この化合物は六方晶に属し (a0=9.82Å, c0=6.98Å), Ca10(CrO4)6(OH)2の (OH)2をCO3で置換した構造に相当する.
    Ca10(CrO4)6CO3の炭酸ガス中での加熱時における挙動をCa10(CrO4)6(OH)2と比較しながら検討した. Ca10(CrO4)6(OH)2は上記出発混合物を含湿窒素中で約900℃に加熱して得た. これらの熱時における反応は2段階で進む. すなわち, ~650℃で増量を伴う発熱があり, この間では次式で示される不均化反応が起こることが熱分析, 化学分析, X線分析から判明した.
    Ca10(CrO4)6CO3+4CO2→4CaCrO4+5CaCO3+CaCr2O4 (1)
    Ca10(CrO4)6(OH)2+5CO2→4CaCrO4+5CaCO3+CaCr2O4+H2O (2)
    このときに生じるCaCr2O4は高温型と推定され, このものを窒素ガス中で約1600℃に加熱すると低温型に戻る. (1), (2) の反応に引き続いて700℃以上では減量を伴う吸熱反応に移行する. この反応は (1) 式の逆方向の反応式で示されCa10(CrO4)6CO3を再び生成する.
  • 八尾 健, 神野 博
    1983 年 91 巻 1051 号 p. 131-136
    発行日: 1983/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1400℃及び1300℃で雰囲気の酸素分圧を変化させて, 酸化アルミニウムコバルトを焼成した. 生成したスピネル型結晶の格子定数及び光音響スペクトルを測定し, 焼成雰囲気によるコバルトイオンの状態変化を調べた.
    酸化アルミニウムコバルト (スピネル型) の格子定数は, 焼成温度及び雰囲気によらず, ほとんど変化しなかった. 低い酸素分圧で焼成した試料の光音響スペクトルには, 4配位のCo2+によるピークのみが観測された. それに対し, 高い酸素分圧で焼成した試料の光音響スペクトルには, 更に6配位のCo2+及びCo3+によるピークも見られた. 低酸素分圧では, コバルトイオンはすべて2価で4面体サイトを占め, 試料は正スピネル型構造をとるが, 高酸素分圧では, Co2+の酸化によるCo3+の生成により, 実質的にCoOに比べAl2O3が過剰となり, 欠陥スピネルが生成する. 同時に, Co3+はAl3+と同じ8面体サイトを占めるとともに, Co2+も一部が8面体サイトに存在すると考えられる. 欠陥スピネル生成による格子定数減少の傾向と, Co3+のAl3+置換による格子定数増加の傾向の競合により, 格子定数は結果的にほとんど変化しないと説明される.
  • 岡田 繁, 阿刀田 徹三
    1983 年 91 巻 1051 号 p. 136-147
    発行日: 1983/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    アルミニウム融剤中でSmB6及びSmB4の合成と単結晶への育成をアルゴンガス雰囲気中で行った. 得られた単結晶価ついて格子定数, 密度及びヌープ微小硬度を測定した. 更に空気中での酸化反応並びに, その速度論的検討を行った. 得られた結果の要約は次のごとくである.
    SmB6 (立方晶系) の単結晶は単相として得られたが, SmB4 (正方晶系) の単結晶は単相としては得られなかった. SmB6の立方体状並び価SmB4の多面体状単結晶を得るための最適条件は, 原料及び融剤の混合原子比が, SmB6の場合はB/Sm=5.7, Al/Sm=87, またSmB4の場合はB/Sm=3.0, Al/Sm=87である. 両方の場合価おいて加熱温度は1500℃, その温度価おける保持時間は10時間であった. SmB6の単結晶は {100} 面で形成された立方体状結晶のほか価, (100) 面が良く発達した針状及び板状結晶として得られた. SmB4の単結晶は多面体状結晶のほか価 (001) 面が良く発達した薄板状結晶として得られた.
    室温で測定した単結晶の格子定数と密度 (D) は次のとおりであった.
    SmB6: a0=4.1335±0.0001Å, D=4.97±0.04g/cm3
    SmB4: a0=7.1781±0.0005Å, c0=4.0694±0.0003Å, D=6.09±0.039/cm3
    ヌープ微小硬度はSmB6の場合は (100) 面内価ついて, SmB4の場合は (001) と (211) 面内価ついて測定し, 次の値を得た.
    SmB6: (100) 1630-1930kg/mm2
    SmB4: (001) 1560-1920kg/mm2
    (211) 1460-2130kg/mm2
    両単結晶の酸化反応は740℃-750℃より起こり, SmB6の酸化生成物はSm(BO2)3 (単斜晶系) と非晶質のB2O3であった. SmB4はSmB6とSmBO3 (六方晶系) 等の中間生成物を経過してSm(BO2)3と非晶質のB2O3を与えた. SmB6の酸化反応は一般酸化速度式 (dw)n=kt価従って進み, nの値は2.00±0.10で, これより求めた酸化価おける見掛けの活性化エネルギーは201.3±6.4kcal/molであった. SmB4の場合は, その酸化反応の過程を上記の酸化速度式で表すことができない. 更価実験的検討を加えることが必要である.
  • 1983 年 91 巻 1051 号 p. A14-A20
    発行日: 1983/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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