窯業協會誌
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90 巻, 1041 号
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  • 能代 誠, 鑓田 富雄
    1982 年 90 巻 1041 号 p. 215-218
    発行日: 1982/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ガラスの性質に重要な影響を与える水分の新規な定量法を考案し検討した.
    試料を加熱し水分を追い出し, 追い出された水分をカルシウムカーバイドと反応させアセチレンに変え, それを水素炎イオン化検出器付きの高感度ガスクロマトグラフで定量する方法である. 定量条件を検討し, 最適の試料加熱温度, 時間 (1205℃, 1時間) 等, 諸条件を決定した. また発生させたアセチレンガスの捕集は, 臭気分折用トラップを用い, 急速加熱法によりガスクロマトグラフに導入することにより再現性のよい定量値を得ることができた. ガスクロマトグラフを用いるこの方法はガラス中の水分を精度よく定量できるはん用性の高い優れた方法である.
  • 新谷 宏隆, 福田 利明
    1982 年 90 巻 1041 号 p. 218-226
    発行日: 1982/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    カルシウムカーバイド系脱硫スラグによる高アルミナ質耐火物の損傷機構を明らかにするため, 脱硫操業率96%の混銑車のスラグライン部から回収した耐火物の調査, 脱硫の直前と直後の混銑車スラグの調査, 及びCaC2を含む数種の合成スラグと高アルミナ質耐火物との高温での反応実験等を行い, 次のような結果を得た.
    (1) 混銑車から回収した耐火物の稼働面にはち密な反応層や変質層があり, スラグの浸透, コランダムの析出がみられる.
    (2) 混銑車スラグの塩基度は脱硫前の0.1-0.4から脱硫後の1.6-4.5の間で変動する.
    (3) 高炉スラグは高アルミナ質耐火物を溶損し, 反応層をあまり形成しない. 他方, CaC2を含むスラグはき裂を伴った反応層を形成し, その厚さはCaC2量の多いほど大きくなる. 反応層内には, 金属シリコン, 針状のコランダム等の生成がみられる. き裂の生成は各種鉱物の生成やシリカの還元等の反応による耐火物の組織変化に起因すると考えられる.
    (4) 脱硫操業時における高アルミナ質耐火物の損傷は, CaC2を含む高塩基度スラグによりき裂を伴った反応層を形成し, スラグの塩基度の低下とともに, この反応層がスラグの中に溶解するという過程の繰り返しによるものと考えられる.
  • 松野 外男, 若井 史博, 岡田 正見, 奥田 博
    1982 年 90 巻 1041 号 p. 227-234
    発行日: 1982/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ノッチドビーム (SENB) の曲げ試験によって, 各種高強度セラミックス材料の破壊靱性を求め, また2次元光弾性実験によってノッチドビーム内の応力分布を調べて, 試験条件の影響を検討した.
    その結果試験条件の中でノッチの幅の効果が最も大きく, ノッチ深さの影響がこれに次ぎ, 炭化ケイ素などでは試験スパンの効果が認められた.
    また超音波パルスエコー法によってこれらの材料の弾性定数を求め, これとKIcの測定値からエネルギー解放率gIcな算出した. その結果ではσb及びKIcの最も大きいHPSNがgIcも大きく, HPSiCは最小であり破壊しやすさの程度が示された.
    KIcの値は, ノッチ幅が広くスパンが小さい場合及びノッチの深い場合に破壊荷重の増大に伴って大きくなり, 5×5mm断面の試験片で最も小さいKIcが各材料ともに得られたのは, ノッチの幅が小さく, その深さはビーム高さの1/4で, スパンについては40mmの大きい場合であった. KIcの増大しやすい材料はヤング率と曲げ強さの比が大きいものが多い.
  • カオリンからのウルトラマリン合成過程の研究 (第1報)
    石田 信伍, 藤村 義和, 藤吉 加一, 若松 盈
    1982 年 90 巻 1041 号 p. 234-241
    発行日: 1982/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    カオリン, 炭酸ナトリウム, 活性炭及び硫黄からウルトラマリンを合成する際の反応生成物をガスクロマトグラフや化学分析で調べて, 硫黄が存在すればNa2CO3は450℃でも容易に分解すること, この結果生成したNa2OがカオリンとNa2O:Al2O3・2SiO2nH2O=1:1の比率で反応することが分った. Na2OとH2Oから同時的に生成したNaOHは次の反応式で硫黄と反応する.
    (4+2α)NaOH+(3+αx+x-α)S→(1+α)Na2Sx+(2-α)H2S+Na2SO4+2αH2O
    500℃以上では, Na2SO4は活性炭によってNa2Sへ還元され, CO, COS及びCO2が発生する.
    カオリン及びNa2O・カオリンの表面積測定から, Na2Sxは7層以上になっており, Na2O・カオリンの表面を広く覆っていることが推論された.
    CS2やSO2をNa2Sxと接触させるとS3- (青色発色団) が生成した. この事実はウルトラマリン・ブルーの合成の際にCS2やSO2が重要な役割をすることを示唆する.
  • 猪股 吉三
    1982 年 90 巻 1041 号 p. 242-247
    発行日: 1982/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    二つのα-SiC結晶が (0001) 面, (1010) 面で, また二つのβ-SiC結晶が (111) 面で接合した場合の安定な形態を, 種々の粒界エネルギーを想定して計算し, 既に報告されている結果に照らして次の結論を得た.
    1) 高純度なSiC粉末の難焼結性は, 粒界形成による表面エネルギーの緩和が小さいことに主として起因する.
    2) 高純度SiC結晶が, 粒界をはさんで形成する2面角は, 粒界と表面の張力ないしエネルギーのバランスで決まるわけでなく, 系全体のエネルギーを引き下げるために生じた結果である.
    3) 高純度SiC結晶の表面あるいは界面の張力は, 表面あるいは界面のエネルギーに比べてかなり小さく, 焼結の進行にはあまり寄与しないと考えられる.
  • 多田 昌史, 丸茂 文幸, 大柳 宏之, 細谷 資明
    1982 年 90 巻 1041 号 p. 247-253
    発行日: 1982/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    GeのKの吸収端のEXAFSを利用して, Na2O・4GeO2ガラス中のGeの配位数を検討した. 従来から行われているフーリエ変換法だけでは, 正確な情報は得られなかったが, 構造既知の低温石英型GeO2を参照試料としたパラメーター・フィット法により, Na2O・4GeO2ガラス中の最近接のGe-O平均結合距離は1.79±0.005Å, 平均配位数は4.55であるという結果が得られた. この値は比較のために行ったX線回折法による解析結果と, かなりよく一致している. 4配位及び6配位のGe-O結合距離をそれぞれ1.74Å及び1.90Åと仮定すると, 本研究により得られたGe-Oの平均結合距離及び平均配位数の値より, 全Geのうち23±3%が6配位, 残りが4配位であるという結論が得られる.
  • 西田 俊彦, 武井 喜樹, 西川 友三
    1982 年 90 巻 1041 号 p. 254-261
    発行日: 1982/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頂角120°シェブロンノッチを入れた反応焼結Si3N4試片をスパン42mmで3点曲げ破壊した. 実験は1400℃でN2, 空気, 並びにO2の雰囲気中で0.023mm/minの一定クロスヘッド速度下で行った. 応力拡大係数 (KI) は安定破壊の荷重-変位曲線をコンプライアンス解析することによって算出した. それと対応するき裂進展速度 (V) は, Bluhmのスライス法で計算した破壊中の試片の理論コンプライアンスを, 測定した荷重-変位曲線中に現れるコンプライアンスの時間的変化と比較することによって求めた. 得られたKI-V関係におけるVは酸化性雰囲気中の方が, Si3N4の応力腐食が進みやすいと考えられがちであるにもかかわらず, 遅かった. N2雰囲気中の破面は粒界破壊であった. 一方空気中やO2雰囲気中の破面は平坦で, Si3N4の酸化生成物であるSiO2を含んだガラス相で覆われていた. Si3N4のゆっくりしたき裂成長において, 酸化性雰囲気中ではSi3N4とO2との化学反応によって応力腐食は活発化するかもしれないが, 一方ではこの化学反応はき裂先端を鈍化させるはずであろう. 酸化性雰囲気中のVはこの鈍化作用によってかえって減少するものと考えられた.
  • 菅井 幹夫, 宗宮 重行
    1982 年 90 巻 1041 号 p. 262-269
    発行日: 1982/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    セラミックスの製造プロセス等に関与する液相の挙動を知るための基礎研究としてSiO2-TiO2-Al2O3系融液の1600℃における密度, 粘度及び表面張力等の性質について調べた.
    融液の密度の測定はアルキメデス法による二球法, 粘度の測定はストークスの法則に基づいた球体引き上げ法, 表面張力の測定は白金棒を用いたウィルヘルミー法によって行った. これらの測定について, あらかじめ400℃から1400℃でのB2O3融液によって検討した結果, 密度及び粘度は文献値とほぼ一致した. しかし表面張力については粘度による影響が見られた. そこで “間欠降下法” を採用し, 粘度の影響を除去した.
    SiO2-TiO2-Al2O3系融液の密度, 粘度及び表面張力の値はSiO2-TiO2系共融点組成 (SiO2 89.5wt%, TiO2 10.5wt%) に対してAl2O3量が約12.5wt%までは, いずれもAl2O3量の増加とともに減少する傾向を示した. しかしAl2O3量が12.5wt%以上では, 融液中に生成したムライトの結晶が存在し, このため密度, 粘度及び表面張力は, いずれもAl2O3量の増加に伴い, 大きな値が測定された.
  • 呉 基東, 森川 日出貴, 丸茂 文幸, 貫井 昭彦
    1982 年 90 巻 1041 号 p. 270-275
    発行日: 1982/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    3B2O3・Na2OガラスのX線散乱強度を測定し, 動径分布解析法によってガラスの構造を研究した. 相関曲線のピークは1.40, 2.40, 3.65, 4.15, 4.55, 5.9と6.4Åに認められた. B-O原子対による第1ピークの面積から求めたB原子の配位数は3.1であった. このガラスの構造をα-3B2O3・Na2Oとβ-B2O3・Na2Oの結晶構造をモデルとする強度比較法によって検討した. 両モデルとも実測のSi(S) 曲線に一致する計算のSi(S) 曲線を与えたが, α-3B2O3・Na2O型モデルの方がわずかに優れた一致度を示した. モデルとした構造中のBO3三角形とBO4 4面体のB-O原子間距離は, それぞれ, 1.36と1.48Åであり, B原子はdiborate groupとpentaborate groupを形成し, Na原子の配位数は5.7である. 動径分布曲線の第2ピーク面積からモデルに従つてO-O, O-B, B-B原子対の寄与を差し引き, 求めたNa原子の配位数は6.0であった.
  • 梅林 正気, 岸 和司, 小林 和夫, 吉永 英雄
    1982 年 90 巻 1041 号 p. 275-279
    発行日: 1982/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    SiO2, Al及びSi, あるいはSiO2及びAlを原料として熱間加圧焼結により作製したβ-サイアロン焼結体及びAlN-サイアロン焼結体の熱膨張係数を測定した.
    z=1, 2, 3, 及び4組成のβ-サイアロン (Si6-zAlzOzN8-z) の熱膨張係数はそれぞれ2.86, 3.23, 3.40, 3.54×10-6/℃ (25°-1000℃) であり, z=1及びz=2においては比較のために測定したY2O3とAl2O3を添加した加圧焼結Si3N4 (3.47×10-6/℃) 及び反応焼結Si3N4 (3.31×10-6/℃) よりも低い値を示した. z=3と4のβ-サイアロンにおける高い値は共存するX相のためと推定された.
    一方, AlN-サイアロンにおいては, 5.61-5.58×10-6/℃ (25°-1000℃) であり, 加圧焼結AlNの値とほぼ同じであった. ポリタイプによる差はほとんどなかった. β-サイアロンと15R-AlN-サイアロンからなる焼結体は両者の中間的な値 (4.56×10-6/℃) であった.
  • 松末 勝利, 高原 北雄, 橋本 良作
    1982 年 90 巻 1041 号 p. 280-282
    発行日: 1982/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 一定変位下での荷重緩和法
    西田 俊彦, 西川 友三
    1982 年 90 巻 1041 号 p. 282-283
    発行日: 1982/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 90 巻 1041 号 p. A34-A38
    発行日: 1982/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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