窯業協會誌
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92 巻, 1065 号
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  • 津久間 孝次, 窪田 吉孝, 延谷 宏治
    1984 年 92 巻 1065 号 p. 233-241
    発行日: 1984/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    湿式法によって合成した. 2-6mol% Y2O3を含有するジルコニア微粉末を用い, 温度1400°-1600℃で焼成することによって, 相対密度99%以上のち密なY2O3部分安定化ジルコニア焼結体を得た. 機械的及び熱的性質を検討する目的で, これらの焼結体を用いて次の測定を行った. (1) 微構造の観察, (2) 3点曲げ強度及び破壊靱性, (3) 熱伝導度と熱膨張係数, (4) 230℃における熱的経時劣化. これらの測定から, 次の結果を得た.
    焼結体の微構造に関して
    (1) 焼結体は2mol% Y2O3組成では正方晶のみ, 6mol% Y2O3組成ではほぼ立方晶のみの粒子から構成されており, その中間の組成では, 約2mol% Y2O3組成の正方晶粒子と6-7mol% Y2O3組成の立方晶粒子が混在した組織からなっている.
    機械的性質に関して
    (2) MI法によって求めた破壊靱性値は, Y2O3含量が少なくなるに従って, 急激に大きくなる. この傾向は正方晶から単斜晶への応力誘起変態量の増加とよく一致する. 曲げ強度は, 2-3.5mol% Y2O3組成で, 1000MPa以上と最高値を示し, 破壊靱性から予想されるほどの組成依存性を示さない.
    熱定数に関して
    (3) Y2O3含量が少なくなるに従って, 熱伝導度は大きくなり, 熱膨張係数も若干大きくなる.
    熱的経時劣化に関して
    (4) 焼結体を200°-300℃に長時間保持した場合, 正方晶から単斜晶への相転移が起こり, クラックが発生するが, この現象は焼結体の粒子径と密接な関係があり, 3mol% Y2O3では, 粒子径を0.5μm以下に小さくした場合, 1500時間保持後でも生じない.
  • Si(OC2H5)4の加水分解途上で生成するシロキサンポリマーの形態
    神谷 寛一, 横尾 俊信, 作花 済夫
    1984 年 92 巻 1065 号 p. 242-247
    発行日: 1984/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    SiO2ガラスを作ることを目的としてシリコンテトラエトキシドSi(OC2H5)4を加水分解する過程で生成するシロキサンポリマーの形態を調べた. 反応途上にある重合体をトリメチルシリル化によって安定なものとして単離し, その数平均分子量Mnと極限粘度 [η] を測定した. Mnと [η] の関係, [η]=KMnaから指数aを定めシロキサンポリマーの形態を考察した.
    Si(OC2H5)4に対し, 加える水のモル比rが1.0及び2.0の溶液についてはaは0.75及び0.64で, 溶液中の重合体が線状であると考えられた. r=20.0の溶液ではa=0.34であり, この溶液では3次元的あるいは球状に成長した重合物が生成していると判断できた. r=5.0の溶液では反応初期にはa=0.55で, 線状重合体が生じるが, その後aは0.23となることからそれが成長して3次元的になることが分った. これらの結果は以前に報告した実験事実からの予測, すなわち少ない量の水でSi(OC2H5)4を加水分解すると, えい糸性が見られることから線状重合物が生成していること, また多量の水で加水分解すると, えい糸性を示すことなく寒天状ゲルになることから3次元的又は球状重合物が生成していると考えたこととよく一致した.
  • 横倉 修一
    1984 年 92 巻 1065 号 p. 248-254
    発行日: 1984/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    我が国において, 従来より広く使用されているガラスびんを試料として, びんの円筒部における楕円度が内圧負荷時に発生する応力に及ぼす影響について, 弾性力学的な検討を行い, ストレインゲージによる実測値との比較検討を行った. また内圧負荷による耐内圧試験において楕円度が強度に及ぼす影響についても併せて検討を行った. その結果以下のような知見が得られた.
    (1) 所定の楕円度及び肉厚を有する試料びんについて, 内圧負荷時にびん円筒部の円周方向に発生するストレイン量を弾性力学的に算出し, ストレインゲージによる実測値との比較を行ったところ, かなりよい一致が認められた.
    (2) びん円筒部の任意位置における肉厚及び曲率半径が分れば, 内圧負荷時に発生するストレインを推定し得る計算方法を検討し, 偏肉を伴ったかなり複雑な形状のびん円筒部についても, 実測値と比較的よく一致することを確認した.
    (3) 試料びんについて内圧負荷による破壊実験を行った結果, 耐内圧強度は楕円度の増加とともに低下した. また楕円度が約1.5%以上に大きい場合では, 破壊時のき裂の出発点は円筒部の外表面の短径部 (曲率半径が最大の位置に対応) に集中することが分った.
  • 小山 孝, 木枝 暢夫, 植松 敬三, 水谷 惟恭, 加藤 誠軌
    1984 年 92 巻 1065 号 p. 255-260
    発行日: 1984/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Ta-N系の相関係について, 窒素分庄10-3-1atm, 温度1400°-1700℃の範囲で研究した. その結果, β-Ta2Nとε-TaNの2種類の窒化物の単相及び2相の混合相を得た. 実験範囲内での各相の組成は, β相がTaN0.470-TaN0.524, ε相がTaN0.990-TaN0.996でありε相は組成範囲が狭かった. β-Ta2Nについて組成と格子定数の関係を求めたが, c軸は窒素量が増加するにつれて膨張するが, a軸はほとんど変化しない. これについてβ-Ta2Nの構造をもとに考察した. 更に, β-Ta2Nについて平衛状態図, 窒素分圧-組成等温線からβ相中の窒素の相対部分モルエンタルピー変化とエントロピー変化の組成による変化を求めた.
  • 大矢 豊, 浜野 健也, 中川 善兵衛
    1984 年 92 巻 1065 号 p. 261-267
    発行日: 1984/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    コランダムとルチルの等モル配合物にFe2O3を添加し, チタン酸アルミニウムの生成反応と, 得られた焼成体の組織及び機械的強度に及ぼすFe2O3の影響について検討した.
    Fe2O3を添加すると低温で安定なシュードブルッカイト (Fe2TiO5) にチタン酸アルミニウムが固溶した固溶体が低い温度から生成し, これが核となってチタン酸アルミニウムの生成反応を促進する.
    低温で生成した固溶体は焼成体中のドメイン形成の核となり, Fe2O3添加量が増加するに従ってドメイン径は小さくなって, 5wt%添加した試料では明りょうなドメイン組織は認められなかった.
    1500℃, 4h焼成体では, 添加したFe2O3の大部分はチタン酸アルミニウム中に固溶し, Fe2O3の固溶量に相当するアルミナがコランダムとしてこの固溶体と共存する.
    得られた焼成体は, ドメイン径が35μm以下になると強度が増加したが, ドメイン組織の認められない5wt%添加試料でも1次粒子の粒径が3-5μmと大きいため, 粒界に多くのき裂が存在し, 強度の大きい焼成体は得られなかった.
  • 川本 貴道, 菊池 理一, 勝部 倭子, 柳澤 日出男, 川西 政治
    1984 年 92 巻 1065 号 p. 268-273
    発行日: 1984/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Li2B4O7系ガラスセラミックスのTSEEが放射線計測用の線量計として応用できるかどうかを知るために検討し, 次の結果を得た.
    Li2B4O7ガラスセラミックス及びLi2B4O7ガラスセラミックス上にLiF薄膜を蒸着した試料のTSEEのグロー図形は照射された放射線の種類に依存性のあることを示した. また, 二重層構造をもつ試料のグロー図形は混在した放射線場での各種放射線の線量を別々に測定することが可能であることを示した.
  • 松尾 陽太郎, 木村 脩七, 安田 栄一, 犬飼 雄男
    1984 年 92 巻 1065 号 p. 274-280
    発行日: 1984/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ぜい性材料であるセラミックスを, ある環境下で構造用材料として使用するには, き裂進展則を取り入れた確率統計論的解析と, 材料強度パラメーターを決定するための実験とが必要である.
    本論文では, 初めに不均一応力場における不活性強度分布 (二重モード・ワイブル分布) と低速き裂進展則とを結合した新しい理論式を導出した. 次にステアタイト試験片について空気中及び真空中で定負荷速度4点曲げ試験を行い, 不活性強度及びき裂進展速度のパラメーターであるN値を求めた. 二重モード・ワイブル分布のほかに, 内部き裂のみ, 及び表面き裂のみを考慮した分布のワイブル・パラメーターを推定し, これら3分布について故障診断データ及び情報量規準AICに基づく判定を行った結果, “表面き裂のみを考慮したモデル”が最適であることが分った. このモデルによって, 定負荷速度の3点, 4点曲げ試験及び寸法効果試験結果をよく説明することができた.
  • 上垣外 修己, 神谷 信雄
    1984 年 92 巻 1065 号 p. 281-287
    発行日: 1984/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    セラミックスの破壊力学を基礎において, 寿命保証試験を通過したセラミックスの破壊確率を求めた. 特に, 寿命保証試験に際して印加する試験応力の安全係数kと破壊確率との関係を論じた. 破壊確率はn, m, g, kに強く依存することが分った. ここに, nv=AKInvKIを結びつける定数, mはワイブル係数, gは要求寿命を持つセラミックスの破壊応力要求値σgと平均破壊力σgとの比であり, kは試験応力のσkとσgとの比で与えられる安全係数 (σk=k・σg) である. また, 計算の結果, 破壊確率は, 適当なkの値で最小となり, n-80, m-15, g〓0.5程度の多くのセラミックスでは, kを適当に選べば (k≒1.2-1.5) 破壊確率が1ppm又はそれ以下となることが分った. 寿命保証試験の効果は常に高いとはかぎらず, 特に, nが小さいセラミックスでは, 寿命保証試験は, 破壊確率を下げるのに必ずしも有効ではない. それゆえ, 寿命保証試験の実施に際しては, 多少の注意が必要と思われる.
  • 小林 美智子, 竹ノ内 智, 永長 久彦
    1984 年 92 巻 1065 号 p. 288-293
    発行日: 1984/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    K2O-FeO-Fe2O3-CaO-P2O5系酸化物セラミックスの標準的な分析法を確立することを目的として種々の検討を行った. 試料を塩酸と硝酸で分解後, カリウムをテトラフェニルホウ酸塩として重量法により, カルシウム, 鉄及びリンをCyDTAを用いる連続滴定法により, また鉄 (II) を別に不活性ガス雰囲気中, 硫酸分解後酸化還元光度滴定法により各々求め, カリウム, カルシウム, 鉄 (II) 鉄 (III), 及びリンの含有量を算出する. 更にこの方法をアルミニウムが共存する場合にも応用した.
  • 江畑 儀弘, 玉利 信幸, 木下 実, 速水 諒三
    1984 年 92 巻 1065 号 p. 294-295
    発行日: 1984/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 堀 三郎, 吉村 昌弘, 栗田 龍一, 加治 久継, 宗宮 重行
    1984 年 92 巻 1065 号 p. 296-297
    発行日: 1984/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 92 巻 1065 号 p. A24-A30
    発行日: 1984/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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