日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
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74 巻, 7 号
選択された号の論文の57件中51~57を表示しています
症例
  • 天願 俊穂, 中須 昭雄, 伊志嶺 徹, 村上 隆啓, 安元 浩, 八幡 浩信
    2013 年 74 巻 7 号 p. 1993-1996
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は24歳,女性.大量飲酒後,乗用車運転中(シートベルト非着用)に対向車と正面衝突し受傷した.ハンドルと座席の間に挟まれている状態で発見され救出され近医に搬送された.前医の腹部レントゲンにて右大腿骨後方脱臼,右寛骨臼骨折,両側恥骨骨折,CTにて鈍的胸部大動脈損傷(blunt thoracic aortic injury:BTAI)と診断され右大腿骨後方脱臼整復後に大動脈損傷に対する外科治療目的に当院に搬送された.同日,BTAIに対する人工血管置換術を行った.腹部CT検査と腹部超音波検査にて骨盤腔内に腹腔内出血と思われる所見を認めたが出血源不明だったため試験開腹手術施行した.開腹所見にて左卵巣破裂を認めた.破裂部の病理所見は卵巣嚢腫だった.女性の多発外傷患者に原因不明の腹腔内出血を認めた場合には卵巣損傷も考慮する必要があると思われる.
  • 宮田 隆司, 柄田 智也, 馬渡 俊樹, 石田 哲也
    2013 年 74 巻 7 号 p. 1997-2001
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は84歳,男性.右鼠径部の有痛性腫瘤を主訴に当院受診した.腹部CTにて内容物に腸管を伴う右大腿ヘルニアと診断したが,明らかな腸閉塞所見は認めなかった.緊急手術にてヘルニア嚢内を確認すると,異臭を伴う暗赤色腹水が充満し,虫垂が嵌頓していた.虫垂切除を施行し,大腿輪はMcVay法にて修復した.
    ヘルニア嚢に虫垂が嵌頓する,いわゆるde Garengeotヘルニアの報告は稀であり,イレウス症状を伴わない嵌頓ヘルニアの場合,虫垂嵌頓も考慮すべきと考えられた.
  • 宇野 能子, 中島 紳太郎, 諏訪 勝仁, 岡本 友好, 小村 伸朗, 矢永 勝彦
    2013 年 74 巻 7 号 p. 2002-2007
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    骨盤内臓手術や外傷後に発生する二次性会陰ヘルニアはまれな疾患であり,その発症には,創感染,糖尿病,長期のステロイド投与等の創傷治癒遷延因子や小腸間膜の長さが影響していると考えられている.今回,われわれは腹会陰式直腸切断術後に発生した会陰ヘルニアに対してデュアルフェイスメッシュを用いて修復術を行ったが,その15カ月後に再発し,Kugel Patchを用いて経会陰的に再度修復術を施行した症例を経験した.本症例は再発時に膀胱下垂を伴っており,骨盤臓器支持組織の脆弱性が関与している可能性が考えられた.本症例のようにメッシュを用いた修復後の再発は今までに報告がなく,再発の要因を検討するとともに文献的考察を加え報告した.
  • 吉野 泰啓, 佐藤 純, 名久井 実
    2013 年 74 巻 7 号 p. 2008-2012
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は79歳,男性.他院にて左内鼠径ヘルニア根治術(メッシュプラグ法)を施行され,2カ月後に傍膀胱膿瘍を発症,保存的に改善するも半年後尿に空気,便の混入を認めたため精査,膀胱S状結腸瘻と診断し開腹した.S状結腸,膀胱は左鼠径ヘルニア修復部と一塊になり剥離,分離不可能であったためやむを得ずS状結腸を有茎で切離し膀胱と憩室化し,S状結腸口側断端を人工肛門とした.このような重篤な合併症を防ぐためには,プラグやメッシュなどの人工物ができるだけ腹腔内に露出,突出しないような手技を行うように心掛けるべきであろう.
支部・集談会記事
編集後記
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