症例は61歳男性. 主訴は上眼瞼部の浮腫性紅斑. 2002年11月初旬より両上眼瞼部に浮腫性紅斑出現. その後乾性咳嗽も出現したため受診. 筋力低下なし. ヘリオトロープ皮疹, 両肘頭部に角化性紅斑局面があり, 血液検査ではCPK, ALDは正常, 免疫沈降法上, 抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体を含めすべて陰性で, 未知の140 kDaに対する自己抗体が陽性. PO
2は69.5 mmHgと低下し, 胸部CTで間質性肺炎を認め, 経気管支鏡的肺生検 (TBLB) 上diffuse alveolar damage patternであった. 皮膚筋炎に特徴的な皮疹を有するが筋炎症状なく, 間質性肺炎を合併したamyopathic dermatimyositis (ADM) と診断. メチルプレドニゾロン1500 mgパルス2クール, プレドニン, シクロスポリン併用内服したが, 呼吸状態が悪化し, DICを併発し永眠. 本邦におけるADMは欧米と比べ治療抵抗性の急性間質性肺炎を合併する率が高い. ADMに特異的な自己抗体はいまだに見つかっていないが, 本症例は140 kDaの未知の蛋白に対する自己抗体が陽性であり, ADMに特異的自己抗体である可能性が示唆された.
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