日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
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67 巻 , 3 号
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原著
  • 鈴木 拓, 吉田 祐文
    67 巻 (2016) 3 号 p. 221-224
    公開日: 2016/11/22
    ジャーナル フリー

    指輪のサイズ測定に使用するリングゲージを用いて,上肢手術後の手指腫脹に対する治打撲一方の効果を検討した。上肢手術後に罹患指の腫脹が消退するまで治打撲一方を処方した112例と処方しなかった134例の腫脹消退期間を調査した。外傷/非外傷手術における腫脹消退までの平均期間は治打撲一方群が4.3/2.2週,非処方群が7.2/3.4週であった。術後1,2,4,8,12週における罹患指と健側指との平均サイズ差は治打撲一方群が0.9,0.4,0.3,0.1,0.1/0.4,0.3,0.3,0.2,0.1,非処方群が3.3,3.0,2.1,1.2,0.8/1.2,0.8,0.4,0.2,0.2であり,治打撲一方は有意に腫脹消退作用が強かった(P <0.01)。

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  • 本間 行彦
    67 巻 (2016) 3 号 p. 225-229
    公開日: 2016/11/22
    ジャーナル フリー

    連続的に登録された外来患者57名について,従来のカフ(マンシェット)を用いた血圧測定結果と,漢方医学的脈診による血圧測定結果を比較検討した。その結果,両者の結果には僅かの差しか見られず,漢方医学的脈診による血圧測定は臨床的に十分受け入れられるものと思われた。両者の間に大きな差の見られた症例が4例存在したが,これらはいずれも虚証の傾向の患者であった。

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  • 渡辺 哲郎, 永田 豊, 福田 秀彦, 長坂 和彦
    67 巻 (2016) 3 号 p. 230-243
    公開日: 2016/11/22
    ジャーナル フリー

    特発性腸間膜静脈硬化症(idiopathic mesenteric phlebosclerosis, IMP)は,腸間膜静脈壁硬化に起因した還流障害による慢性虚血性腸病変で,右半結腸を主体に,青銅色調の粘膜変化,腹部単純X 線撮影検査や腹部CT 検査での腸管や腸管周囲静脈の石灰化を特徴とする。近年漢方薬長期投与中のIMP 発症例を散見するが,漢方診療を専門に行う外来での実態は明らかではない。今回,諏訪中央病院東洋医学センターを5年以上通院する患者を対象としてIMP 罹患の有無を検索したところ,対象257名中2名(0.8%)で認めた。いずれも山梔子を含む方剤を長期服薬し,一例は急性腹症で緊急手術が施行され,一例は無症状であった。発症機序は不明な疾患であるが,長期に漢方治療を受ける患者,特に山梔子服薬患者においては,その存在を念頭におき,無症状例であっても積極的な画像検索を行う必要があろう。

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  • 大岡 均至
    67 巻 (2016) 3 号 p. 244-250
    公開日: 2016/11/22
    ジャーナル フリー

    【目的】柴苓湯による,経尿道的前立腺切除術(TUR—P)術後の尿道狭窄予防,術後尿道狭窄に対する治療効果,証を考慮した有用性につき検討する。
    【対象と方法】前立腺肥大症症例142例を対象とし,柴苓湯9.0gr.分3投与群と非投与群間で術後尿道狭窄予防効果につき検討し,さらに非投与群で術後尿道狭窄を呈した症例に対しても柴苓湯を投与し,その効果を検討した。 また今回の検討症例について柴苓湯証を加味した有用性についても考察した。
    【結果】1)柴苓湯投与により狭窄の発生率に有意差が認められた(p = 0.043)。2)非投与群の狭窄に対し,5 例に改善が認められた。3)柴苓湯証ではない症例には与薬せず,柴苓湯証の症例に与薬された場合に狭窄頻度は有意に改善した(p = 0.042)。
    【考察】TUR—P 後の柴苓湯投与は,術後尿道狭窄を予防し,術後狭窄に対しても有効である。本方剤は柴苓湯証の症例に適切に投与されるべきである。

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  • 星野 通隆, 胡 暁晨, 佐藤 寿一, 寺西 正明, 中島 務
    67 巻 (2016) 3 号 p. 251-256
    公開日: 2016/11/22
    ジャーナル フリー

    内リンパ水腫はメニエール病の指標であり,近年MRI によって診断できるようになった。東洋医学では内リンパ水腫を水毒の病態と考え利水剤が投与されることが多いが,内リンパ水腫が水毒の病態かどうかは実際の症例では検証されていない。今回MRIで内リンパ水腫と診断された11症例を中医学で弁証し,また,水毒および水毒の眩暈の病態を文献で検証した。自験例では,津液の病証7例,腎の病証8例,肝の病証5例であった。文献的には,『金匱要略』の痰飲咳嗽病・水気病篇の条文が水毒による眩暈の病態を表しているとされている。しかし,痰飲咳嗽病篇の眩暈の条文には蝸牛症状の記載がなく,蝸牛症状を伴うメニエール病とは異なる病態である可能性もある。自験例や文献の考察からは,内リンパ水腫は必ずしも水毒の病態とは限らず,腎や肝の病証も考慮し弁証する必要があると示唆された。

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  • 生田 啓記, 谷 万喜子, 鈴木 俊明
    67 巻 (2016) 3 号 p. 257-263
    公開日: 2016/11/22
    ジャーナル フリー

    病変部位上を通る経絡の経穴を用いる循経取穴による鍼治療を筋緊張異常の改善に難渋する運動器疾患へ応用するため,太白穴への鍼刺激が大腿四頭筋の筋活動に与える影響を検討した。 対象は同意を得た健常者10名(平均年齢23.1歳)とし,膝関節伸展運動中に鍼刺激を実施した。運動課題は膝関節屈曲60°で最大随意収縮の40%等尺性収縮を鍼刺激前,直後,5分,10分,15分後に行った。鍼課題は太白穴,公孫穴,無刺激とした。課題中に内側広筋斜頭,内側広筋長頭,大腿直筋,外側広筋の筋電図積分値を求め,刺激前を基準値とした筋電図積分値相対値で比較した。
    太白穴刺激での内側広筋斜頭の筋電図積分値相対値は,無刺激と比較し15分後に有意に高値を示した(p < 0.05)。
    太白穴への置鍼15分後に内側広筋斜頭の筋電図積分値相対値が増加したことは目標のトルク発揮を行うために大きな筋活動が必要であったことから内側広筋斜頭の筋緊張を抑制したと考えた。

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  • 磯部 哲也
    67 巻 (2016) 3 号 p. 264-273
    公開日: 2016/11/22
    ジャーナル フリー

    【緒言】月経前症候群(PMS)は月経前3∼10日に限定する愁訴と定義されイライラが精神的症状の中で最多である。
    【対象】月経前のイライラを主訴に受診し鍼治療を行なった30人を治療群とし,同症状で無治療の22人をコントロール群とした。
    【方法】精神症状の程度はSRS—18質問票を用いて測定した。治療群に対して1週間に1回のペースで計6回(1 クール)の施術を行った。SRS 合計点数20以上40未満の症例を両群から選出して連続する月経周期での点数を比較検定した。
    【結果】SRS 合計点数に関して,選出治療群17症例と選出コントロール群7症例の間および選出治療群の治療前後で統計学的有意差を認めた(P = 0.0080,P = 0.00025)。73.3%(22/30)の症例が治療効果に満足されイライラを含むすべての症状が平均43%の程度に改善した。
    【結論】PMS の精神症状が1クールの鍼治療によって改善した。

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臨床報告
  • 森 裕紀子, 五野 由佳理, 及川 哲郎, 小田口 浩, 花輪 壽彦
    67 巻 (2016) 3 号 p. 274-279
    公開日: 2016/11/22
    ジャーナル フリー

    群発頭痛の発作軽減に選奇湯の頓用が奏効した症例を経験した。症例は46歳女性で,30歳頃より季節の変わり目に群発頭痛の発作があり,症状は3日間持続した。発作時トリプタンや消炎解熱鎮痛剤は無効で,その発作の持続時間が長く頻回となったため漢方治療を希望し来院した。瘀血と気鬱より随証治療で通導散料を処方して頭痛の頻度と程度は軽減したが,鎮痛剤が無効な頭痛発作は生じた。そこで眉稜骨(眼窩上縁)内側の圧痛を認め,痛みの範囲が眉稜骨周囲のため頭痛時に選奇湯を頓用としたところ,最近1∼2週間持続した発作が30分で消失した。一般に構成生薬が少ない漢方薬ほど切れ味がよいとされる。選奇湯は黄芩を含む5味と構成生薬が少なく,頓用での効果が期待できる。眉稜骨周囲の痛みに対して,特に眉稜骨内側の圧痛を認める場合は選奇湯の頓用は試みるべき処方の1つである。

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  • 川島 春佳, 木村 容子, 伊藤 隆
    67 巻 (2016) 3 号 p. 280-284
    公開日: 2016/11/22
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    当帰湯は,虚証,寒証の慢性の胸腹部痛・背痛を目標として用いる処方であるが,皮膚瘙痒症に有効であった報告は見当たらない。今回,冷えを伴う皮膚瘙痒症が当帰湯により速やかに改善した症例について報告する。
    症例は38歳女性。X—1年春より顔面の皮膚瘙痒感が出現し,徐々に手背・耳後部にまで症状が拡大したため,X年5月に当科を初診。寒がり,冷え症で,背面全体が冷えて寝付けない時があり,腹部所見では全体に冷感を認め,皮疹は掻破痕のみであった。当帰湯5.0g/日を投与し,服用6日目に皮膚瘙痒感が消失した。しかし,冷飲水や当帰湯の休薬によって腹背部の冷えを認めると,皮膚瘙痒感が再燃した。また,皮膚瘙痒感を認める度に症状を詳細に書いたメモを持参する等の几帳面な性格が見受けられた。当帰湯は,大建中湯や当帰建中湯,半夏厚朴湯の要素も併せ持つため,冷え,気うつ,脾虚をベースとした皮膚瘙痒症には当帰湯も鑑別処方の一つと考えられる。

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  • 伊関 千書, 佐橋 佳郎, 鈴木 朋子, 上野 孝治, 坪 敏仁, 小宮 ひろみ, 三潴 忠道
    67 巻 (2016) 3 号 p. 285-290
    公開日: 2016/11/22
    ジャーナル フリー

    症例1 は56歳女性。主訴は多発関節痛。X-10年より不眠症,X-2年より肩や手・指の関節痛,頭痛,肩こり,めまい,動悸,過敏性腸症候群などが出現した。症例2は72歳女性。主訴は,両下肢筋肉痛。X-10年より両下肢の冷えと痛みが出現し,X-2年より多汗,脱毛,頻尿,数年前から不眠症があった。両症例ともブロチゾラムを数年来投与されていた不眠症を伴う多愁訴,器質的な関節・筋疾患ではないこと,長年のストレスが共通していた。虚労が疑われ,多愁訴を虚煩と捉え,酸棗仁湯を投与したところ,多発関節痛,下肢痛が顕著に軽減し,その他の症状も軽減した。症例1では熟眠感の増加が得られたが,両症例とも他院のブロチゾラム処方継続を希望した。酸棗仁は神農本草経において「四肢酸疼,湿痺を主る」と記載され,酸棗仁湯は,虚労,虚煩を参考に身体の痛みも使用目標となり得ると考えられた。

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  • 磯村 知子, 木村 容子, 伊藤 隆, 佐藤 弘
    67 巻 (2016) 3 号 p. 291-295
    公開日: 2016/11/22
    ジャーナル フリー

    当帰四逆加呉茱萸生姜湯が有効であった高齢男性の寒疝2症例を報告した。症例1は74歳男性の両側坐骨神経痛で,交通事故による右下肢切断の既往があった。症例2は80歳男性の疼痛を伴う下半身の冷えで,胆管がん切除術の既往があった。当帰四逆加呉茱萸生姜湯が有効な女性例は脈候・腹候とも虚証であるのに対し,自験2症例は漢方医学的にはむしろ実証傾向で,高齢・手術や外傷の既往が共通であった。男性は女性に比べ冷え症は少ないが,高齢化及び手術や外傷は,男性に於いても寒疝をきたす一因となりうると考えた。今後の高齢化社会に於いては,自験例の様な当帰四逆加呉茱萸生姜湯の有効な男性症例は増加する可能性があり,男性症例を診察する際に,冷えの存在を疑うことが重要であると考えた。

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  • 徳毛 敬三
    67 巻 (2016) 3 号 p. 296-301
    公開日: 2016/11/22
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    骨盤内うっ血症候群は,骨盤内静脈のうっ滞や静脈瘤が原因となり,下腹部痛等を生じる疾患である。下腹部痛を主訴に来院され,左子宮周囲静脈と左卵巣静脈の拡張を認めたことから,骨盤内うっ血症候群と診断,桂枝茯苓丸にて症状が改善した症例を経験したので報告する。
    61歳女性。主訴は左下腹部痛でNRS9であった。寺澤らの瘀血スコア40点で重症の瘀血状態と診断した。CT 検査にて左卵巣静脈が10mm に,経腟超音波検査にて左子宮周囲静脈が6.0mm に拡張していることから,骨盤内うっ血症候群と診断した。桂枝茯苓丸(7.5g/日)を投与したところ,NRS1,瘀血スコア20点と改善し,6ヵ月で症状消失したため廃薬とした。
    廃薬後3ヵ月で,再び左下腹部痛にて来院され,桂枝茯苓丸を再投与し改善した。再投与5ヵ月後の造影CT は左卵巣静脈の拡張は10mm から9mm と変化は認めなかった。現在10ヵ月間継続投与中である。

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論説
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