紫外線照射によって表面に応力を発生した硼珪酸ガラス (SiO
2 81, B
2O
3 12, Na
2O+K
2O 4.5, Al
2O
3 2.5wt%) の小片を加熱し, 応力が減少する過程を観察した. 結果は次の通りであった:
1. 5℃/minの速度で加熱すると, 応力は250℃位から緩和を始め, 470℃で完全に消え, 冷却しても再発生はしなかった.
2. 400℃に保持すると, 応力は30分間で完全に消えた. 250°ないし360℃で定温保持すると, 応力は始めの30分間で減少し, それ以後, ほぼ一定の値のままであった. これらの一定値は, 保持温度が高い程小さく, また冷却後にもほとんど変化しなかった.
3. 上述の各温度は, このガラスの徐冷点 (約555℃) よりかなり低いものであった.
以上の結果から次のように結論された:
1. 応力は, 生起する温度域がそれぞれ異なるいくつかの機構によって緩和される.
2. 緩和機構の活性化エネルギーは20-30kcal/molの間と推算され, 粘性流動のそれ (約100kcal/mol) よりかなり低い.
3. それ故, 応力緩和は, たとえばひずんだ化学結合 (結合角, 原子間距離など) の回復の結果であって, 網目構造を形成するイオンの再配置の結果ではないと推定される.
4. 上記と同じことは, 応力発生の機構についても, 恐らく成立つであろう.
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