窯業協會誌
Online ISSN : 1884-2127
Print ISSN : 0009-0255
ISSN-L : 0009-0255
85 巻, 978 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • Ca(PO3)2ガラスとその他のガラス
    阿部 良弘, 斎藤 肇
    1977 年 85 巻 978 号 p. 45-52
    発行日: 1977/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    従来, ガラスはその転移温度 (Tg) 以下では結晶化しないとされていたが, ここではTg以下で結晶化することのわかったCa(PO3)2ガラスの種々の新しい結晶化データを提出し, その他にいかなるガラスがTgM以下で結晶化するかを調べた. まず, Ca(PO3)2ガラスブロックから生成する “半球晶” を, 粉末X線回折パターン, 赤外スペクトル, 電顕観察, 偏光顕微鏡下の観察から検討した. 試験片ガラスの厚さが数十ミクロン以下になると, 結晶成長速度は厚さに依存し, 薄いほど遅くなった, 少量のSiO2をこのガラスに添加すると, Tg以下での結晶化は認められなくなった. 転移温度以下で結晶化するガラスはSr(PO3)2, Ba(PO3)2などのガラスであった. ガラスと生成結晶とがともに鎖状構造をもつ場合にのみ, Tg以下の結晶化が可能のようである.
  • 星川 武
    1977 年 85 巻 978 号 p. 52-58
    発行日: 1977/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    SiO2-Al2O3-Fe2O3-K2O系の非晶質体をゲル化法で調製し, 800-1600℃で結晶化してAl-Fe-leuciteを得た. 生成結晶の格子定数と正方晶系→←等軸晶系転移温度を測定した.
    原非晶質体中のSi含有率 (δ=Si/Si+Al+Fe+K) が0.5以下の場合, 全生成結晶は理論組成KAlεFe1-εSi2O6 (ε=Al/Al+Fe=0-1) を示し, δ>0.5では, δ値が大きいほど, また結晶化温度が低いほど (Al+Fe)→Si置換 (=K+の欠陥) 数の大きいAl-Fe-leucite (KAlεFe1-ε)1-xSi2+xO6(x>0) 固溶体が生成した. 理論組成の結晶では, 転移温度はε値の増大とともに直線的に上昇した. 他方固溶体では, 格子欠陥数の増大とともに転移温度は降下した.
    Al分率 (ε=Al/Al+Fe) が一定値の場合, 格子定数c/a値と転移温度との間に直線関係が成立し, ε値の異なる5本の直線はc/a=1.0456, 転移温度360℃の点で交わった. この転移温度360℃の固溶体は単位格子当り2個のK+の欠陥をもち, 分子式K14(AlεFe1-ε)14Si34O96で示されるものと考えられた.
  • 野上 正行, 守屋 喜郎
    1977 年 85 巻 978 号 p. 59-65
    発行日: 1977/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    金属アルコレートから, SiO2-TiO2, SiO2-Al2O3およびSiO2-ZrO2系の透明な非晶質膜を作成し, その生成過程を赤外線スペクトルによって検討した. エチルシリケートとTi-, Al-およびZr-プロポキシドを約85℃で加熱すると, これらの金属イオンを含んだメタロシロキサン結合が形成されていた. このようにして得られた金属アルコレートは, 調整された雰囲気内で2次式に従って加水分解し, エチルシリケートとAl-イソプロポキシドの混合物の室温付近での加水分解の速度は他のものよりは速かった. 加水分解された金属アルコレートは加熱によってOH基やOR基が離脱し, 透明な非晶質膜になった. その過程において, 1050-1000cm-1付近の主吸収帯の位置は初め低波数側ヘシフトするが, その後高波数側ヘシフトしていくのがみられた. このようにして作成された非晶質膜の構造は, 透過電顕によると, 数十Åの多数の粒子から成る粒状構造を示していた.
  • 高橋 克明, 吉尾 哲夫
    1977 年 85 巻 978 号 p. 65-73
    発行日: 1977/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    著者らの測定によるアルカリ硼酸塩系とアルカリゲルマン酸塩系のガラスと結晶の溶解熱の組成依存性から求められる25℃での両系の結晶化熱と組成の関係は, 共に網目形成イオンの配位数変化を伴うガラス系特有の複雑な挙動を示す. このうち前者の系では, 配位数と組成の関係が既知であることから, 配位数と結晶化熱との関連性を見出すことができ, その結果は前報で報告した.
    本研究では, アルカリ硼酸塩系を参考にして, アルカリゲルマン酸塩系における結晶化熱-組成関係を考察することにより, 明確な報告がなされていないこの系のGeイオンの配位数と組成間の関係を求めた. さらに, その配位数-組成関係とガラスおよび結晶の溶解熱-組成関係とを用いて, この系を形成する3種の結合グループ, 即ち, [GeO6], 全て架橋の [GeO4]Bおよび全て非架橋の [GeO4]NB, の結合エネルギーを算出した.
  • 山岡 信夫, 小松 啓, 飯塚 栄一, 福長 脩, 瀬高 信雄
    1977 年 85 巻 978 号 p. 73-83
    発行日: 1977/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ニッケルを触媒とするダイヤモンド合成実験を65kb, 1650℃までの高圧・高温下で行い, 微分干渉顕微鏡による晶出ダイヤモンドの表面観察を通じて成長機構の解明を試みた. 60kb, 1450℃より低温領域では {100} 面層成長が支配し, 高温側では {111} 面層成長が支配していることがわかった. また晶出ダイヤモンドの形態上の違いから合成条件は四つに大別された. 60kb, 1335-1390℃にあるI-a領域では {100} ダイヤモンドの結晶集合体が得られた. 60kb, 1390-1450℃にあるI-b領域では (100) 面上の渦巻成長が支配した. 60kb, 1450-1560℃にあるII-a領域では (111) 面層成長の支配する六・八面体ダイヤモンドが晶出した. 60kb, 1560℃以上のII-b領域では八面体ダイヤモンドが晶出した. II-a, II-b領域で得られるダイヤモンドは通常黄緑色透明であったが骸晶や結晶集合体となりやすく, また黒鉛との平衡線近傍では溶解作用を強く受けた.
  • 長谷川 安利, 猪股 吉三, 木島 弌倫, 松山 辰夫
    1977 年 85 巻 978 号 p. 83-90
    発行日: 1977/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    シリコン粉末 (純度: 99.99%, 重量平均粒径: 約15μm) と窒素(O2<0.5ppm, 露点<-60℃) との反応を1300-1400℃の温度域で調べた. Fe2O3をシリコンに対し, 0.8wt%以上添加した系で一次的な反応の進行と, 無添加の場合に比べ5-10倍の反応速度の増加が認められた.
    反応は, シリコン粒子ないしFe-Si系の熔融物表面に形成されたSi3N4薄層の亀裂形成ないし剥離の過程またはFe-Si系融体を通ずる溶解析出過程を介して進行しているものと考察した. シリコンへのFe2O3添加量の増加に伴い, 反応の活性化エネルギーは高純度な系の約160kcal/molから133kcal/molへと減少した. Si3N4の固溶限界を越えて添加したFe2O3は最終的に, α-Feとして残存することを示し, Si3N4中へのFeの固溶限界は1400℃で0.24-0.49at%の範囲内にあることを示した.
  • 水野 正雄, 山田 豊章, 野口 哲男
    1977 年 85 巻 978 号 p. 90-95
    発行日: 1977/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ヘリオスタット式太陽炉を用いて試料を熔融, 急冷し, その冷却曲線から試料の凝固点を求め, Al2O3-Nd2O3系の液相線を測定した. 熔融急冷試料についてX線回折, 偏光顕微鏡観察および化学分析を行い, 生成相を調べた. 等モル配合組成の試料を1600℃に加熱処理したものおよび熔融した試料からNdAlO3の単一相が観察された. β-Al2O3 (Nd2O3・11Al2O3) 構造は熔融した試料から観察されたが, 単一相としては得られずNdAlO3と二相共存で存在していた.
    NdAlO3について高温X線回折を行った結果, 1100℃付近において菱面体晶系←→立方晶系に可逆転移することを認めた. これらの結果に基づき, Al2O3-Nd2O3系の高温平衡状態図を提案した.
  • 金澤 孝文, 門間 英毅, 榎本 茂, 布沢 正雄
    1977 年 85 巻 978 号 p. 96-99
    発行日: 1977/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    燐酸カルシウムに対するCaF2, AlF3, NaFの高温下での反応機構を検討した. これらの反応は弗化物の気相移動とそれの燐酸カルシウム中への拡散を通して進行した. 反応中間体あるいは最終生成物として弗素アパタイトが常に検出された. CaF2による反応生成物は理論組成の弗素アパタイトのみで, いわゆる弗素過剰組成のアパタイトは認められなかった. AlF3の反応によって生成した弗素アパタイトは, AlF3の供給量の増大とともに消失して, 最終的にはAlPO4とCaF2との混合相に変化した. NaFの場合は, 反応初期段階あるいは1000℃以下では弗素アパタイトとレナニットを生成し, 1100℃以上になると, いったん生成したレナニットはさらにレナニット-燐酸カルシウム系中間化合物に転化して行く逐次反応を示した.
  • 1977 年 85 巻 978 号 p. A10-A14
    発行日: 1977/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
feedback
Top