窯業協會誌
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85 巻, 987 号
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  • 松尾 哲夫, 北川 実, 坂本 博宣
    1977 年 85 巻 987 号 p. 525-533
    発行日: 1977/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    研磨材の性質は研削工具の切削性に最も強く影響する因子と考えられる. 本研究では黒色炭化珪素, 4種類のアルミナ系研磨材, 2種類のジルコニア系研磨材, およびダイヤモンド, エメリー研磨材についてS55C, SKS31鋼板に対するピンオンディスク型摩耗実験 (定荷重定速) が行われた. 試験は主として450gの荷重, 300および600m/minの摩擦速度下で行われた. この実験より研磨材の摩耗率ならびに除去率が測定された.
    S55C鋼に対する摩耗率は軟質な研磨材ほど高くなるが, SKS31に対する摩耗率の順位はこれとは少し異なっている. すなわち, ここでは硬度の低い研磨材でも低い摩耗率を示すものがあった. 除去率は一般に硬質な研磨材ほど高く, 研削比も同様であった. 摩耗率, 除去率とも摩擦速度を1500m/minまで高めるにつれ上昇する. 高速摩擦において生ずる熱のため研磨材の凝着摩耗を促進し, また深いみぞをつくることになるのであろう.
  • 猪股 吉三, 長谷川 安利
    1977 年 85 巻 987 号 p. 533-537
    発行日: 1977/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    特別に調製した酸素量の少ないSi3N4粉末を用い, Si3N4(60mol%)-Y2O3-Al2O3-SiO2四成分系に関する検討を行った. この系の混合粉末をBNを塗布した黒鉛製の押型に入れ, 1700℃に10分間保持して冷却, 試料を回収後, これを1気圧の窒素雰囲気下で5時間加熱焼鈍し, これらのX線回折データを集め, 以下の結論を得た.
    (1) 新化合物Y3AlSi2O7N2 (pseudo-hexagonal, a0=4.048Å, c0=9.150Å) が見出された. 以下にこれをNと記す.
    (2) 次の各系は1400℃で平衡するものと考えられる. SN-Ap-A-N, SN-A-G-N, SN-N-G-Ap, SN-Ap-G-Y2O3・2SiO, SN-Si2N2O-Y2O3・2SiO2-X, SN solid solu.-X-Y2O3・2SiO2-G, SN soild solu.-X-G
    ただし, ここにSN, A, Ap, GおよびXは, それぞれ窒化珪素, オケルマナイトおよびアパタイト形化合物, ガーネットおよびムライト形化合物に対応する.
    (3) 1700℃付近で生成したAl2O3を固溶するJ-相 (4Y2O3・SiO2・Si3N4) およびオケルマナイト形化合物 (Y2O3・Si3N4) は1000-1400℃の温度域で新化合物Y3AlSi2O7N2とガーネットおよびアパタイトを生成しながら分解する傾向を示す.
    (4) Y2O3・2SiO2には約20mol%のAl2O3が固溶しAl2O3の固溶量が増大するに従いβ-相にかわり, δ-相の生成量が増大する.
  • 元井 操一郎, 佐々木 伸一
    1977 年 85 巻 987 号 p. 537-542
    発行日: 1977/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    微量成分がシリカの窒化反応に及ぼす影響をX線回折, 走査型電子顕微鏡及び赤外吸収スペクトルにより検討し, 次に示すような結果を得た.
    (1) 窒化物の生成率に及ぼす微量成分の影響には顕著なものがあり, とくにアルカリ土類金属, 遷移元素及びバナジウムの酸化物はすぐれた窒化反応促進効果のあることが認められた.
    (2) 微量成分の種類の違いから生成する窒化珪素の結晶相や形態は一様でなく, たとえばアルカリ土類金属の添加ではα相の, バナジウム添加ではβ相の窒化珪素が優先的に生成し, さらにそれらの結晶形態はウイスカー状やパイプウニ状, あるいは柱状の六方晶などいろいろであることがわかった.
    (3) 窒化反応を促進する微量成分の適正添加量は, 種類によって異なるがおおむね2wt%付近にあることが認められた.
    (4) 微量成分が窒化反応に寄与している状況を, 中間生成物の赤外吸収スペクトルから, Fe2O3添加の場合について明らかにした.
  • 水野 正雄, 山田 豊章, 野口 哲男
    1977 年 85 巻 987 号 p. 543-548
    発行日: 1977/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ヘリオスタット式太陽炉を用いて試料を熔融後急冷し, その冷却曲線から試料の凝固点を求め, Al2O3-Eu2O3およびAl2O3-Gd2O3系の液相線を決定した. 熔融後急冷した試料についてX線回折, 偏光顕微鏡観察および化学分析を行い, 生成相を調べた.
    EuAlO3およびGdAlO3の単一相は, 1300℃および1600℃に加熱処理した試料と熔融後急冷した試料のいずれにも観察された.
    凝固点はそれぞれ2047±20℃および2069±20℃であり, 格子定数は, EuAlO3ではa0=5.267Å, b0=5.281Å, c0=7.450ÅでGdAlO3では, a0=5.254Å, b0=5.301Å, c0=7.447Åであった.
    2Eu2O3・Al2O3および2Gd2O3・Al2O3の単一相は, 1600℃で加熱処理したものおよび熔融後急冷した試料に認められ, 凝固点は1950±20℃および1951±20℃であった. これら化合物の格子定数は, それぞれa0=7.533Å, b0=10.696Å, c0=11.180Å, β=108.81°およびa0=7.514Å, b0=10.580Å c0=11.180Å, β=108.79°であった.
    以上4種の化合物について高温X線回折を行った結果, 結晶転移は認められず安定相であることがわかった.
    Al2O3-Eu2O3系におけるる共晶点はEu2O3が24mol% (1710℃), 62mol% (1900℃) および77mol% (1860℃) 組成で認められた.
    Al2O3-Gd2O3系では, Gd2O3が25mol% (1720℃), 65mol% (1920℃) および73mol% (1930℃) 組成に共晶点が認められた.
    Al2O3, EuAlO3, GdAlO3, 2Eu2O3・Al2O3および2Gd2O3・Al2O3の冷却曲線は冷却の進行に伴い過冷却現象があらわれ, 次いで凝固による発熱現象が明瞭に観察された.
    一方, Eu2O3およびGd2O3の冷却曲線では, 冷却の過程において凝固点以下での固相における構造変化を示す発熱ピークが認められた.
    これらの結果から, Al2O3-Eu2O3およびAl2O3-Gd2O3系に対する高温平衡状態図を推定した.
  • 中村 雅彦, 都賀谷 紀宏, 奥田 進
    1977 年 85 巻 987 号 p. 549-554
    発行日: 1977/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    著者らは, 多孔質セラミックス内の氷により, 一時的に未凍結状態で残留する水が, 凍害現象の一因として考えられることを, 既報研究で指摘した. 本研究では, 飽水試片の一次元冷却条件下で, 気孔内の氷によって, 一時的に未凍結状態で閉塞される水の生成に, 冷却速度および気孔径分布がおよぼす影響を, 飽水試片の凍結過程中の電気容量の変化を測定することにより検討した. 試料として, 湿潤強度, 気孔率および吸水率などの物理的特性値がほぼ同一で, 気孔径分布が大きく相違する, 市販の珪藻土質断熱煉瓦を用いた. 得られた結果をまとめると以下のとおりである.
    (1) 微細気孔内の水は, 周囲のより大きな気孔径内に生成した氷相によって, 一時的に未凍結状態で閉塞残留する. これは, 気孔径に反比例する氷点降下のためであると考えられる.
    (2) 気孔径分布が広くなるほど, また冷却速度が遅くなるほど, 冷却過程中に一時的に生成する未凍結閉塞水の量は多く, 凍害破壊を起こしやすくなる.
    (3) 耐凍害性の試験を, 一次元冷却下での凍結融解法により行う場合, 冷却速度の因子に加え, 試片を冷却する最低温度が重要な因子となる. 特に, 試料が, 上下面平均温度約-17℃以下で凍結すると考えられる半径約0.1μm以下の微細気孔をもっている場合には, 最低冷却温度は, きわめて重要となることがわかった.
  • 頓行 宏
    1977 年 85 巻 987 号 p. 554-558
    発行日: 1977/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Na2O-SiO2系ガラスの赤外吸収スペクトルが, Si-O結合の性質究明のために測定され, Si-O伸縮の力の定数を算出するため, 観測されたスペクトルに対して基準振動の取扱いがなされた. Si-O結合の力の定数, 結合次数, 結合原子間距離の経験的関係式に基づいて, ガラス中のSi-O結合の結合次数と結合距離の推定がなされた. その結果, ガラス中のNa2O量が増加するにつれて結合次数は減少し, Si-O結合の弱化を生じることが見出された. また, ガラスのSi-O-Si網目結合中のπ電子の挙動を調べるために, ガラス中に溶存させたVO2+の光吸収スペクトルが測定され, ガラス中のNa2O量が増加するにつれてSi-O-Si網目結合中の酸素原子上にπ電子が局在化することが確かめられた.
  • 久保 和彦, 高橋 輝, 柴原 数雄, 橋本 甲四郎
    1977 年 85 巻 987 号 p. 558-563
    発行日: 1977/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    本研究はNa2OとSiO2の2成分系よりなる長繊維を0.5Nの塩酸で処理してつくられたシリカファイバーのキャラクタライゼーションとこのファイバーをゾノトライトの水性スラリーからつくられる成形体へ応用する目的で行ったものである.
    シリカファイバーの耐アルカリ性はEグラスと同等であるが, Eグラスや耐アルカリグラスファイバーが900℃で熔融現象を生ずるのに対し, シリカファイバーは1050℃の高い耐熱性を有している.
    さらに, シリカファイバーは優れた柔軟性とスラリー中への優れた分散性を有しており, これが珪酸カルシウムスラリーからつくられる成形体へ応用される場合は補強効果が高く, 優れた適用性を示した. 即ち, シリカファイバーを使用してつくられた製品はかさ比重が0.17で曲げ強度が13kg/cm2, 同様に0.20で15kg/cm2, 0.40では60kg/cm2の高い補強性能を発揮した.
  • 木下 実, 速水 諒三
    1977 年 85 巻 987 号 p. 563-565
    発行日: 1977/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Zirconium diboride compact could be easily etched to give satisfactory textures for optical microscopy when the specimen was immersed in H3PO4 or H2SO4 in contact with platinum wire. Proper etching condition was 2 to 4 minutes immersion in the acids at about 60°C. Etching without Pt needed longer time immersion and the revealed texture was not satisfactory. The etching together with Pt was thought to be an electrochemical process.
  • 1977 年 85 巻 987 号 p. A64-A72
    発行日: 1977/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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