ヘリオスタット式太陽炉を用いて試料を熔融後急冷し, その冷却曲線から試料の凝固点を求め, Al
2O
3-Eu
2O
3およびAl
2O
3-Gd
2O
3系の液相線を決定した. 熔融後急冷した試料についてX線回折, 偏光顕微鏡観察および化学分析を行い, 生成相を調べた.
EuAlO
3およびGdAlO
3の単一相は, 1300℃および1600℃に加熱処理した試料と熔融後急冷した試料のいずれにも観察された.
凝固点はそれぞれ2047±20℃および2069±20℃であり, 格子定数は, EuAlO
3では
a0=5.267Å,
b0=5.281Å,
c0=7.450ÅでGdAlO
3では,
a0=5.254Å,
b0=5.301Å,
c0=7.447Åであった.
2Eu
2O
3・Al
2O
3および2Gd
2O
3・Al
2O
3の単一相は, 1600℃で加熱処理したものおよび熔融後急冷した試料に認められ, 凝固点は1950±20℃および1951±20℃であった. これら化合物の格子定数は, それぞれ
a0=7.533Å,
b0=10.696Å,
c0=11.180Å, β=108.81°および
a0=7.514Å,
b0=10.580Å
c0=11.180Å, β=108.79°であった.
以上4種の化合物について高温X線回折を行った結果, 結晶転移は認められず安定相であることがわかった.
Al
2O
3-Eu
2O
3系におけるる共晶点はEu
2O
3が24mol% (1710℃), 62mol% (1900℃) および77mol% (1860℃) 組成で認められた.
Al
2O
3-Gd
2O
3系では, Gd
2O
3が25mol% (1720℃), 65mol% (1920℃) および73mol% (1930℃) 組成に共晶点が認められた.
Al
2O
3, EuAlO
3, GdAlO
3, 2Eu
2O
3・Al
2O
3および2Gd
2O
3・Al
2O
3の冷却曲線は冷却の進行に伴い過冷却現象があらわれ, 次いで凝固による発熱現象が明瞭に観察された.
一方, Eu
2O
3およびGd
2O
3の冷却曲線では, 冷却の過程において凝固点以下での固相における構造変化を示す発熱ピークが認められた.
これらの結果から, Al
2O
3-Eu
2O
3およびAl
2O
3-Gd
2O
3系に対する高温平衡状態図を推定した.
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