亜硫酸カルシウム半水塩と硫酸カルシウムとの固溶体の生成, 及びその固溶限界について検討した.
亜硫酸カルシウム半水塩と硫酸カルシウムとを水溶液から共沈させた生成物を, これらのカルシウム塩の溶解度差に着目して水で洗浄した場合, この生成物中には水洗によって除去できないところの, 亜硫酸カルシウム半水塩に結合した硫酸塩が認められた. この生成物はDTA, TG, IRスペクトル測定, X線回折によって, 亜硫酸カルシウム半水塩と硫酸カルシウムの固溶体であることがわかった. 硫酸塩の固溶限界, 本実験の方法では, 15℃までは約9mol%で, それから温度とともに増加し, 83℃以上では約19.5mol%の一定値になった. この固溶体は, 硫酸イオンの固溶量約9mol%までは, 格子定数のわずかな変化をともなって硫酸イオンが整然と置換固溶し, それ以上の固溶量では, CaSO
3・1/2H
2Oの格子の乱れが大きくなることがわかった. また, 熱的性質, 結晶水含量の測定結果からも, 硫酸イオンの固溶量9mol%を境にして, 固溶の状態に変化があると考えられた.
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