窯業協會誌
Online ISSN : 1884-2127
Print ISSN : 0009-0255
ISSN-L : 0009-0255
86 巻, 993 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 原田 哲也, 大田 正人, 高木 茂栄
    1978 年 86 巻 993 号 p. 195-202
    発行日: 1978/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ケイ酸三石灰固溶体の水和と硬化に基づく現象を硬化体のcharacterの変化としてとらえることを目的として, R相, M相及びT相の多形相当物を合成し, その水和に伴う物理的現象を様々の立場から検討した. その結果水和初期における水和速度は, R相>T相>M相であったが, 材令91目における水和率は3相ともほぼ等しかった. 一方, 硬化体の構造について, 比表面積及び細孔分布の測定を行うとともに, 電子顕微鏡による検討を行った. 硬化体に生成された外部水和物は各多形相に特徴的な形態を示し, R相ではfoil状, M相では針状, T相ではamorphous状の外部水和物が観察された. また, ケイ酸三石灰の硬化機構は水和に伴う硬化体のcharacter変化の一つである比表面積変化でよく説明され, その過程は四つの段階に大別されると考えられた. 更にX線回折で求められる水和速度は, これが直接硬化体のcharacterを表現するものとしては扱い難く, 更に多くの情報とともに検討を進める必要があり, 特にtexture, morphologyといったものが重要な位置を占めると考えなければならない結論が得られた.
  • 小林 俊雄, 石橋 真人, 須佐 憲三
    1978 年 86 巻 993 号 p. 202-207
    発行日: 1978/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    尿素を触媒に用いて立方晶BNの高圧合成を行い, 得られた立方晶BNを電子顕微鏡によって観察した. この結果, 合成条件と得られた結晶の粒形状及び粒度分布との相関が明らかになった. 立方晶BNは43 kbar以上の圧力, 900℃以上の比較的低い圧力, 温度条件で合成できた. 合成した立方晶BNは白色粉末であり, その1次粒子は晶癖面をもつ四面体結晶であった. 1800℃の高温あるいは60分の長時間で合成した結晶は四面体の頂角が丸味を帯びており, 溶解作用を受けたことが推察された. 結晶の粒径は0.02-0.7μmと極めて小さいが, 合成温度が高いほど, また尿素の添加量が多いほど大きくなり, 合成圧力が高いほど, また合成時間が長くなるほど小さくなる傾向を示した.
  • 陶磁器素地と釉薬との適合性に関する研究, 第6報
    稲田 博
    1978 年 86 巻 993 号 p. 208-213
    発行日: 1978/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    軽度の貫入の入ったビトリアスチャイナを釉焼窯で再焼成すると貫入が消滅する現象が経験的に知られている. この機構について検討した.
    当初の貫入が入って引張り応力を示す釉は再焼成を繰返すことにより応力0を経て圧縮応力を示した. その変化の割合は1回の焼直し当たり-200--400kg/cm2であった. また焼直しにより釉層の屈折率は順次低下した. 一方素地を無釉で釉焼窯で再焼成した後施釉, 釉焼したものも1回の焼直し当たり-150--200kg/cm2の圧縮応力の増加を示した. いずれの場合にも焼直しによって素地中のクリストバライトの量が順次増加することが認められた.
    釉応力と素地中の結晶量 [IQ(100)+1/6・ICr(101)] の関係を示す図において, 釉付きで焼直したものは素地の結晶量より予想される応力値よりはるかに大きい圧縮応力を示した. これは焼直しによる釉変質によるものと解釈し得る. 釉ガラスの膨張係6.7×10-6は素地上で釉焼されることにより5.2×10-6に変わり, 焼直しにより4.4-3.7×10-6にまで変化していると計算された.
    このようにして焼直しによる貫入消滅は見かけだけの融着, 又は応力緩和によるものでなく釉応力が全体として圧縮応力側に一方的に移行するための本質的変化であり, 釉層の低膨張化及び素地中のクリストバライト析出による素地の高膨張化の両効果によるものであって, 本質的に貫入に対し安全側に変化するためであることが分った.
  • 1978 年 86 巻 993 号 p. 213
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 奥尾 隆保, 永田 進, 本間 琢也
    1978 年 86 巻 993 号 p. 214-225
    発行日: 1978/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    この論文は長時間実験MHD発電チャンネル用BeOコールドタイプ絶縁壁に関する約200時間の耐久性実験と, 300W/cm2以上の高熱流束実験の結果について述べたものである. 長時間運転実験はETL Mark III及びMark VIによって実施し, BeOコールドタイプ絶縁壁の電気的熱的諸特性とBeO素子の劣化過程を解析調査した. この結果, 熱損失はチャンネル上流部を除き理論式とよく一致し, 絶縁特性を表わす発電時の開放電圧の経時変化は約4時間で安定領域に達することを明らかにした. また, この開放電圧の過渡現象はシリコン-アルミナ系メジ材の劣化過程に基づくものであると推定された.
    BeO素子の劣化はカソード電極近傍で走査型電子顕微鏡による組織調査及びX線マイクロアナライザーによる侵入不純物元素の解析によってわずかに認められ, この要因としてKとAl, Si等の不純物との反応が進行していることを明らかにした.
    このBeO壁に関して高熱流束実験機によって熱流束の限界条件を実験的に検討した. この結果, BeOコールド壁は5mm厚以下のBeO素子と高熱流束型冷却構造を組み合わせることによって400W/cm2前後の熱流束に耐えることを示した.
  • 村瀬 嘉夫, 加藤 悦朗
    1978 年 86 巻 993 号 p. 225-229
    発行日: 1978/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Zr(OH)4について沈殿の生成条件, 乾燥条件, 試料の形状及び熱処理ふん囲気などが熱分解により生成するZrO2の結晶構造に与える影響を検討し, 水蒸気の作用について新しい知見を得た. Zr(OH)4沈殿の生成条件は結果にほとんど影響を与えない. 沈殿の乾燥に長時間を要すると乾燥完了までの沈殿の老化 (γ化) のために熱分解後のZrO2に単斜結晶の量が増大する. 塊状試料の熱分解や昇温速度の小さい熱分解では沈殿の老化 (γ化) や自ら発生する水蒸気の影響をうけやすく単斜ZrO2の結晶量が増大する. Zr(OH)4を水蒸気中で熱処理すると単斜ZrO2が結晶化し, 水蒸気の少ない減圧下では正方ZrO2のみが結晶化する. この水蒸気の影響は無定形ZrO2の生成過程よりそれからの結晶化過程において顕著である. この結果から水蒸気中では正方と単斜ZrO2の表面エネルギーの差が小さくなると考えられる.
  • 片山 淳子, 福塚 万寿美, 河本 洋二, 土橋 正二
    1978 年 86 巻 993 号 p. 230-237
    発行日: 1978/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    化学的耐久性の弱い光学ガラスであるホウケイ酸バリウムガラスSK-16の研磨面を用い, 酢酸, シュウ酸, 酒石酸, クエン酸などの有機酸, 及び無機酸の硝酸のpH 4.00の水溶液による, 50℃における侵食を調べた. 侵食の深さは, くりかえし反射干渉法で測定し, 侵食液中に溶出したSiO2とBaの量はそれぞれ, モリブデン・ブルー法による比色法と, EDTAによる光度滴定法で定量した. いずれの酸の侵食液もpH 4であるにもかかわらず, 酸の種類により侵食に差が生じ, 侵食の強さは, 酢酸>クエン酸>硝酸>酒石酸>シュウ酸の順序になった. 酸の侵食の強さは, (1) 酸の解離度及び, (2) これらの酸のBa塩の溶解度, と密接に関係していることを明らかにした. 更にBaが抜け出た後のSiO2骨格層の安定性は, 有機酸の種類によって異なることを明らかにし, その原因について考えた.
  • 星川 武, 清水 一宏, 田中 雅美
    1978 年 86 巻 993 号 p. 237-243
    発行日: 1978/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    SiO2-Al2O3-K2O-Na2O系のなかで, 均質なガラスになりやすく, かつ白りゅう石結晶を析出しやすい組成として6SiO2・0.7Al2O3・K2O・Na2Oを選びだし, この組成のガラスから白りゅう石結晶が成長する過程を研究した.
    ガラス表面に析出する白りゅう石結晶は核を中心にりょう角90°をもつ樹枝状結晶で, その外部形態は高さの低い四角錐形であった. その樹枝の成長方向はc軸方向で, ガラス表面に垂直方向の結晶成長速度は平行方向のそれよりやや小さかった. ガラス表面結晶化層内のNa濃度は母体ガラスに比べて低いが, K濃度は逆に高いこと, 更に析出白りゅう石結晶にはSiO2が固溶しており, かつ少量のNa2O成分が含まれていることがわかった.
    これらの結果の考察から, 白りゅう石結晶の成長は, まず高温での結晶表面に高粘性中間物が形成されたのち, この中間物から不純物相当成分であるSiO4グループとNaカチオンがガラス相側に排除される過程によって進行し, このさいガラス表面層でのKの移動濃縮とNaの移動拡散によって起こる表面張力の減少が重要な原因として加わっていると結論された.
  • 瀬戸山 克己, 高橋 聡
    1978 年 86 巻 993 号 p. 244-250
    発行日: 1978/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    亜硫酸カルシウム半水塩と硫酸カルシウムとの固溶体の生成, 及びその固溶限界について検討した.
    亜硫酸カルシウム半水塩と硫酸カルシウムとを水溶液から共沈させた生成物を, これらのカルシウム塩の溶解度差に着目して水で洗浄した場合, この生成物中には水洗によって除去できないところの, 亜硫酸カルシウム半水塩に結合した硫酸塩が認められた. この生成物はDTA, TG, IRスペクトル測定, X線回折によって, 亜硫酸カルシウム半水塩と硫酸カルシウムの固溶体であることがわかった. 硫酸塩の固溶限界, 本実験の方法では, 15℃までは約9mol%で, それから温度とともに増加し, 83℃以上では約19.5mol%の一定値になった. この固溶体は, 硫酸イオンの固溶量約9mol%までは, 格子定数のわずかな変化をともなって硫酸イオンが整然と置換固溶し, それ以上の固溶量では, CaSO3・1/2H2Oの格子の乱れが大きくなることがわかった. また, 熱的性質, 結晶水含量の測定結果からも, 硫酸イオンの固溶量9mol%を境にして, 固溶の状態に変化があると考えられた.
  • 1978 年 86 巻 993 号 p. 250
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 86 巻 993 号 p. A25-A28
    発行日: 1978/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
feedback
Top