X線マイクロアナライザーを用いて, 構造が既知の種々のTiO
2含有結晶において, TiK
β1, 3線の特性X線スペクトルの測定を行った結果, そのスペクトルのピーク位置が結晶中のチタンイオンの周りの酸素配位数により移動することが認められた. この結果を基にしてアルカリチタンケイ酸塩ガラス中のチタンイオンの状態をTiK
β1, 3線のスペクトルから調べることを試みた. その結果, ガラス中ではTiK
β1, 3線のスペクトルのピーク位置の移動の程度はTiO
2とSiO
2の濃度比に依存し, チタンイオンの配位状態はTiO
2濃度が低い場合には主に6配位状態で存在するが, SiO
2をTiO
2で置換してゆくとともに, 6配位から低配位状態へと変化し, TiO
2/SiO
2=1の組成で平均配位数が最小となった後, 更にSiO
2をTiO
2で置換してゆくと6配位状態へ戻るという結論を得た. また, ガラス中でのこのようなチタンイオンの配位状態の変化はガラス中に含まれるアルカリの濃度や種類には影響を受けないが, ガラスを熱処理して結晶化することにより低配位状態にあるチタンイオンは6配位状態へと変化することが分った.
抄録全体を表示