窯業協會誌
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89 巻, 1025 号
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  • 堀田 憲康, 長谷川 実, 前田 博之, 松尾 重友
    1981 年 89 巻 1025 号 p. 9-13
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Nb2O5焼結体とCaO焼結体とを重ね合わせて拡散対とし, Arガスふん囲気中1150°-1300℃で加熱してNb2O5-CaO系固相反応を調べた.
    生成する反応層を電子顕微鏡観察, X線マイクロアナライザー分析, X線回折及び熱膨張測定し, 次のような結果を得た.
    Nb2O5層とCaO層の境界面において, 1150℃と1200℃の温度でCaO・Nb2O5, 2CaO・Nb2O5, 立方晶3CaO・Nb2O5と斜方晶系化合物2相共存する層, 計3種類の反応層が生成し, 1250℃と1300℃の温度でCaO・Nb2O5, 2CaO・Nb2O5, 立方晶3CaO・Nb2O5, 立方晶3CaO・Nb2O5と斜方晶系化合物2相共存する層, 計4種類の反応層が生成した. これらはNb2O5中へのCaOの一方拡散により生じた. 生成した反応層の幅の大きさは, 2相共存層>3CaO・Nb2O5>2CaO・Nb2O5>CaO・Nb2O5, の順であった. この斜方晶系化合物は4CaO・Nb2O5よりもCaO成分が多い組成を有していると考えられた. また1150°-1300℃の温度ではこの斜方晶系化合物よりもCaO成分の多い化合物は存在しなかった.
  • 小林 俊介
    1981 年 89 巻 1025 号 p. 14-22
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    アーク融解により育成されたイットリア安定化ジルコニア単結晶 (Y2O3)x(ZrO2)1-x (x=0.085, 0.12) のイオン伝導について研究した. 育成されたままの単結晶 (x=0.085) は, 同じ組成の焼結体に比較して1.3倍大きな導電率を示した. しかしこれを加熱すると導電率は1次反応で減少していく (800℃において3.2×10-2h-1). この単結晶を電解質として酸素濃淡電池を構成し起電力を測定した結果, イオン輸率は育成されたままの単結晶でも0.98以上であり, 実験誤差内で酸素イオンによる電気伝導とみなしうる. 育成されたままの単結晶は, 化学量論比からずれた酸素不足欠陥をもっており, 加熱によりこの欠陥が解消していくことが紫外・可視吸収スペクトル測定により示唆された. 試料長と格子定数の熱膨張率を比較することにより, この欠陥は, 格子間陽イオンであることが判明した. この欠陥の存在が, 反対荷電の欠陥の間に存在する相互作用を弱めているため, 育成されたままの単結晶において酸素イオン伝導が増大していると考えられる.
  • 花田 禎一, 曽我 直弘
    1981 年 89 巻 1025 号 p. 22-26
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    X線マイクロアナライザーを用いて, 構造が既知の種々のTiO2含有結晶において, TiKβ1, 3線の特性X線スペクトルの測定を行った結果, そのスペクトルのピーク位置が結晶中のチタンイオンの周りの酸素配位数により移動することが認められた. この結果を基にしてアルカリチタンケイ酸塩ガラス中のチタンイオンの状態をTiKβ1, 3線のスペクトルから調べることを試みた. その結果, ガラス中ではTiKβ1, 3線のスペクトルのピーク位置の移動の程度はTiO2とSiO2の濃度比に依存し, チタンイオンの配位状態はTiO2濃度が低い場合には主に6配位状態で存在するが, SiO2をTiO2で置換してゆくとともに, 6配位から低配位状態へと変化し, TiO2/SiO2=1の組成で平均配位数が最小となった後, 更にSiO2をTiO2で置換してゆくと6配位状態へ戻るという結論を得た. また, ガラス中でのこのようなチタンイオンの配位状態の変化はガラス中に含まれるアルカリの濃度や種類には影響を受けないが, ガラスを熱処理して結晶化することにより低配位状態にあるチタンイオンは6配位状態へと変化することが分った.
  • 松本 潔
    1981 年 89 巻 1025 号 p. 27-31
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    汚染, 風化によりフロートガラス表面に生ずる炭素をESCAにより測定し, その存在状態, 成因に関する考察を行った.
    ヘキサンで洗浄したフロートガラスのC1sスペクトルはトップ面, ボトム面ともに2本のピークが見られる. これらのピークは大気中の二酸化炭素との接触により生ずると思われる. このうち低エネルギー側のピークは表面のシラノールサイトに吸着した二酸化炭素によるもの, 高エネルギー側のピークはガラス表面のアルカリ金属及びアルカリ土類金属とふん囲気中の水分のプロトンとの交換反応による生成物である水酸化物た, 二酸化炭素が作用して生じた炭酸イオンに近い形の炭素によるものと考えられる.
    フロートガラスのボトム面の一部には更に第3のピークが認められるがこれは製造工程中に付着したものと思われる.
  • 田端 英世, 石井 英一, 奥田 博
    1981 年 89 巻 1025 号 p. 31-38
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    オリビン型結晶構造をもつ鉱物クリソベリル (BeAl2O4) のAl位置を他の3価陽イオンで置換したときの格子定数を測定し, Cr, Fe, Gaのそれぞれの場合について, 1400℃における固溶範囲と, 組成による格子定数の変化の割合を決定した.
    Crを固溶させた場合はBeAl2O4-BeCr2O4系の全組成範囲にわたって固溶体が生成する. Feの場合はBeAl2O4に対する固溶限界は約50mol%のところにあり, BeFe2O4組成の化合物は存在しない. Fe3+イオンはクリソベリル格子における鏡面対称のAlII位置のみを置換するものと考えられる. BeAl2O4-BeGa2O4系では両端成分化合物の結晶構造が異なっており, それぞれの構造において, 部分固溶の関係にある. BeGa2O4は六方晶系に属し, 格子定数はa=7.7525 (3), c=2.9817 (2) Å, z=2であった. 密度はdcalc=4.541g/cm3であって, クリソベリル型構造固溶体からの外そう値に比べて約23%低い値になっている. この化合物の熱膨張係数はa軸及びc軸方向にそれぞれ3.29×10-6, 2.95×10-6/℃であった.
  • 山崎 憲五, 中野 斌夫, 吉村 昌弘, 宗宮 重行
    1981 年 89 巻 1025 号 p. 39-48
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    CaO-Al2O3系化合物 (CAn:C3A, C12A7, CA, CA2及びCA6) の35℃リン酸溶液中における水和生成物を, X線回折, TG-DTA及びSEMを用いて調べた. C3Aの場合, 純水と急速に反応し1時間後でほぼ完全にC3AH6になった. C12A7, CA及びCA2の場合, 純水や薄いリン酸溶液中において1日養生で, まずC2AH8が生成し, その後次第にC3AH6へ変化した. SEMにより, C2AH8の不定形板状晶や六角板状晶がC3AH6の多面体粒子へ変化することが観察された. C2AH8からC3AH6へ変化する反応は大量の水やリン酸の添加により遅延されるものと考えられる. CA6の場合は全く水和反応が起こらなかった.
    各CAnとも, あるリン酸量を境にして急激に水和反応が停止してしまい水和物は生成しなくなった. IRによると, リン酸は急速に各CAn表面上に吸着し, 各CAn表面上での生成物はPO43-又はHPO42-基を有していることが分った. 各CAnの表面積やリン酸分子の断面積とCaO/Al2O3比との関係から, リン酸は各CAn表面上でCaO-Al2O3-P2O5系ガラスと類似の構造を有する難溶性のゲル状物質を生成し各CAn表面を被覆してしまうものと考えられる.
  • 栗林 清, 佐多 敏之
    1981 年 89 巻 1025 号 p. 48-54
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    3Y2O3・WO3の焼結, 及びCaOを添加した時の焼結に及ぼす効果について収縮率, 相対密度を測定することにより研究した. またこれらの焼結体の曲げ強度を測定し, 焼結条件を検討した. 3Y2O3・WO3の初期焼結は粒界拡散機構により進行すると考えられ, その時の焼結の活性化エネルギーは81-91kcal/molであった. CaOを添加することにより試料の粒成長が妨げられ焼結が著しく促進された. しかし粒又は粒界での液相の生成は認められなかった. CaO添加3Y2O3・WO3の初期焼結は体積拡散機構により進行すると考えられ, この時のCaO 1mol%添加試料の焼結の活性化エネルギーは65kcal/molであった. 3Y2O3・WO3焼結体の曲げ強度はCaO添加により増大した. しかし高温で焼結時間を長くすると粒成長が起こるため強度が少し減少した.
  • 長谷川 安利, 山根 典子, 広田 和士, 堤 正幸, 鈴木 弘茂
    1981 年 89 巻 1025 号 p. 54-62
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    5wt% MgOを添加剤として加え焼結したSi3N4の酸化挙動を検討した. Si3N4焼結体はAME社とシュタルク社製の2種の粉末を用いて, ホットプレスにより作られた. 酸化は純酸素中, 1200℃と1300℃の定温で, 30日まで行った.
    酸化による増量と酸化膜の厚み測定から, 酸化膜の生成量と酸化時間がほぼ放物線則に従って変化することが認められ, 酸化が拡散の関与した機構で進行すると考えられた. 酸化により生成する. 相はクリストバライト, エンスタタイト (MgSiO3), オケルマナイト (Ca2MgSi2O7), ディオプサイド (CaMg(SiO3)2), フォルスラナイト (Mg2SiO4) 及び若干のガラス相であり, 1300℃では酸化時間が長くなると, エンスタタイトが増加した. ガラス相の生成はNa, Ca, Mg, Fe等の不純物が酸化膜へ集積することに原因する.
    酸化膜の表面形状は酸化時間とともに変化したが, 酸化膜内部はクリストバライト, エンスタタイト等のケイ酸マグネシウム鉱物及び若干のガラス相からなり, 酸化膜表面はポーラスであるが, 酸化膜内部は比較的ち密な層を形成した. 拡散の律速は酸素の細孔内及びち密な酸化層内の拡散と加圧焼結体中の不純物の酸化層への集積と考察した.
  • 池田 攻
    1981 年 89 巻 1025 号 p. 62-63
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 岸井 貫
    1981 年 89 巻 1025 号 p. 64-66
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 89 巻 1025 号 p. 66
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 89 巻 1025 号 p. A1-A4
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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