微結晶集合体を得るために各種組成の含フッ素K
2O-MgO-SiO
2系融液を冷却凝固させ, 化学組成, 添加物及び冷却方法と凝固物の微構造との関係を調べた. その結果, 凝固物の微構造は化学組成によって変化し, 5.0K
2O・(30-
x)MgO・
xMgF
2・65Si
1/2O (
x=8) 組成 [A組成] の凝固物は均質な微結晶組織を有し, フッ化物含量 (
x) が8mol%以上又はそれ以下になると, それぞれ結晶粒径又は気孔の量が増加した. 結晶相は主にフッ素四ケイ素雲母であり, 微量のコンドロダイトを伴っていた. なお, 少量のフォルステライト及びKMgF
3が, それぞれフッ化物量が8mol%より少い試料及び8mol%より多い試料に認められた. 雲母量はフッ化物含量とともに増加した. 各種酸化物をA組成に添加したとき, 1wt%ZrO
2の添加が雲母からなる微結晶集合体を得るのに最も効果的であり, この原料調合物 [A組成+1wt%ZrO
2; Z組成] を1300°-1350℃で30分間加熱後, 60°-120℃/分の速度で冷却すると, 最も均質な微構造を持ち, 通常の工具で機械加工が容易な凝固物が得られた. なお, この場合, ZrO
2の微結晶粒子が冷却過程で異種結晶相の核生成を促進したものと考えられた.
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