酢酸液滴からのマグネシアまたはマグネシアークロム鉄鉱多泡粒を用いて断熱耐火煉瓦を調製することができる. すなわち, バルクな多泡粒を水で湿らすと, 若干可塑性が現れて加圧成形を容易にし, 乾燥するとかなりの強度を発生, 高温焼成すれば, 比較的小さな焼成収縮で軽量なマグネシアまたはマグネシアークロム鉄鉱系多孔質煉瓦が得られる.
本実験に用いた多泡粒は, 0.42-1.7mm粒分30wt% 1.7-3.3mm粒分50wt%また3.3-4.7mm粒分20wt%の粒度分布をもち, 成形に好ましい水分量は, 成形圧10kg/cm
2の場合, 約5wt%であった. 105℃で乾燥した成形体の圧縮強さは27kg/cm
2である. 加熱すると, 約300℃で酢酸塩が分解してアセトンと炭酸ガスを発生し, 続いて1500℃加熱で線収縮4.5%, 圧縮強さ50kg/cm
2の軽量焼成体 (かさ比重, 1.2g/cm
3) を得た. 熱伝導率は1000℃で, 0.95kcal/m・h・℃, これは普通のマグネシア煉瓦の約1/4である. 平炉及び転炉スラグの浸食性を調べたところ焼成体組織へわずかに浸透したものの良い耐食性を示した.
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