透光性アルミナ焼結体 “ルカロックス” について, MgOの存在状態を, 粉末X線回折繰り返しステップスキャンニング法を使用した多結晶微細構造解析装置によって検出定量し, 他の微構造組織の結果との関係について検討した.
同装置によってルカロックス中に含まれるスピネル相が検出され, 定量の結果スピネル相は約300ppmであった. またこのスピネルはアルミナモル比が約58%のアルミナ過剰スピネル固溶体と認められた. スピネル結晶相から換算したルカロックス中のMgOは約70ppmで, 発光分光分析より求めた約300ppmと大きな差があった. この差はコランダムの格子定数の測定より, 微量のMgOがコランダムに固溶しているものと考えられた.
微構造組織の観察から, スピネル粒子の存在がコランダムの粒子成長を抑制する作用はある程度あるとしても, ち密化促進に最も寄与する要因は, コランダム中に固溶している微量のMgOの作用によると推察した.
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