外傷性環椎後頭関節脱臼(AOD)は致死的なことが多く, 見逃されていることが少なくない.生存例の報告も散見されるが, 病態などに明確なものはない.われわれはAOD3例を経験したので報告する.3症例は20歳以下の交通外傷であり, いずれも高度の意識障害と心肺機能不全を呈し, 神経学的所見はbrain stem injuryが示唆された.3症例とも頸部単純X線側面像で, Powers ratioを採用し, AODの診断をした.1例は経過中に3D-CTを施行し, AODの詳細な評価をした.さらに2例はMRlを施行し, brain stem injuryの存在とその範囲を確認した.また, MRlにおけるbrain stem injuryの範囲を解剖学的見地から障害発生のメカニズムを考察した.
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